その数日後。毛利小五郎が蘭とコナンを連れて出かけようとしているのを見かけたセァラは、彼らに見つからないように隠れて付いていくことにした。
(どうやら彼らは大阪に向かうようですね)
行き先はすぐに分かった。有名なスポーツ選手がオーナーになったレストランの、オープニングパーティーの会場だ。大阪駅で、毛利たちが2人の高校生と合流する。セァラはすぐに手元の端末を使って、合流した人物の身元を洗った。
(関西で有名な高校生探偵の服部平次くんと、その同級生の遠山和葉さんですね。合流した時の様子からして、蘭さんとコナンくんのお友達なのでしょうから……まあ、問題はありませんか)
セァラの任務は蘭とコナンの護衛だ。プロとして、仕事は完璧にやり遂げなければならない。彼らに近づく人物に気を配るのは、当然のことだった。
(とはいえ、流石にパーティー会場にまで付いていくわけにはいきませんね。外で待っていて、中が騒がしくなったら忍び込みましょう)
彼女は建物に入っていく彼らを見送ってから、その近くで息を殺して身を潜めた。しばらくして、建物の中から彼らが出てくる。
(まだパーティーは終わっていないようですが……蘭さんがトランシーバーを持っているところを見ると、誰かに何かを頼まれたのでしょうか。まあ、危険なことではないようですから……少しだけ、周囲を警戒しておけばいいでしょう)
オープン前のホテルの窓に明かりが点けられていく。セァラは少し離れた場所からその様子を見守っていた。窓の明かりがKの形になる。その次の瞬間に、銃声が聞こえた。セァラは即座に手元の端末を懐に仕舞って移動した。そんな彼女の目の前で、服部とコナンが銃声が聞こえた部屋に向かって駆けていく。彼女は咄嗟に2人を追って建物内に入った。階段を駆け上がり、銃声がした部屋の前に立つ。部屋の中には既に服部とコナンがいて、2人とも死体に近づいていた。
(拳銃は……床に転がっていますね。どうやらコナンくんや蘭さんを狙った犯行では無いようですが、それにしても……)
部屋の中にいる2人は、真剣な顔で死体を調べている。服部は高校生探偵だから死体に慣れているのも分かるが、コナンはどう見ても小学生だ。
(この年で死体を見て、こんなに冷静でいられるとは。やはりこの少年は、普通の小学生では無いのでしょうか)
遠くからサイレンの音が聞こえてくる。建物の前にパトカーが止まって、警察がホテル内に入ってきた。セァラは他の野次馬と共に、警察の誘導に従って外に出た。彼女と入れ替わるようにして、毛利たちが建物内に入っていく。
(まあ、私が関われるのはここまでですね。警察も来ているようですし、この場で何かが起こることは無いでしょう)
外に出たセァラは集まった人に紛れて姿を消した。彼女はそのまま建物の入り口が見える場所に移動して、建物内に入った毛利たちが出てくるのを待つことにした。