※原作の事件に関するネタバレがあります。ご注意ください。時系列はベルモット編の途中です。
※原作沿いですが展開はかなり変わっています。苦手な方はブラウザバックしてください。
「では、私はこれで失礼します」
セァラは毛利たちに頭を下げて、彼らとは別方向に歩いていった。コナンが蘭に声をかける。
「そーいえばボク、博士の家に行かなきゃいけなかったんだ! ちょっと行ってくるね!」
「いいけど……あんまり遅くならないようにするのよ?」
「はーい!」
そんなやり取りの後に、コナンは追跡メガネを起動させてセァラを追った。彼女はちょうど買ったばかりの服を持って、ビジネスホテルに入っていくところだった。
(あの女、いくらなんでも手荷物が少なすぎねーか?)
ホテルにアメニティグッズがあるとはいえ、持ち込んだ物が先程買った服だけだというのは異様に見える。コナンはホテルの中に入って、受付の人間に声をかけた。
「ねえ、さっきここに女の人が来なかった? ボクのお姉ちゃんなんだけど……」
「さあねえ。どんな女の人だい?」
「えっとね、髪が短くて……背は大体160cmくらいだよ。荷物をあまり持ってない、身軽な格好の女の人!」
「そんな人は来てないなあ。今日泊まりに来たのは、男の人だけだよ」
受付の人間が首を傾げる。コナンは目を見開いた。
(んなバカな……)
メガネで確認する。彼女は間違いなく、この建物の中にいた。
(トイレにでも入ってるのか? いや、それにしたって……受付の人間に、全く見られてねえなんてことがあるか?)
コナンは周囲を見渡した。そんな彼の横を、男装したセァラが通り抜ける。
(あれ、今のって……)
顔も着ている服も性別も違う。ただ、
(発信機はホテル内にある。気づかれたか?)
コナンは悩みながらホテルを後にした。そして後日。彼は高木刑事に話を聞いたが、あの時彼女が語ったことは全くの嘘だったということしか分からなかった。
(くそー、次に会ったら逃さねえ。せめて本名だけでも聞き出してやる)
そんなことを考えながら、彼は1日を終えた。セァラは探偵事務所の裏で、壁に背をつけて空を見上げる。
(どうしましょう。いつものクセで、つい本気を出してしまいましたが……確実に怪しまれましたよね、アレ)
組織と敵対していたセァラは、追われることに慣れすぎていた。発信機が取り付けられたことも、1度や2度ではない。
(とはいえ、まさかコナンくんがそんな物を持っているとは思いませんでしたが)
服を着替える時に見つけた発信機は、シール状になっていた。彼がアレをどこから手に入れたのかは分からない。確かなのは、彼が見た目通りの子供ではないということ。
(もう少し、気をつけるべきですね)
セァラは暗い空を見上げて、そんな風に思ったのだった。