この素晴らしい世界で再誕を 〜紅緑の嗎〜   作:柊 カスミ

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ども、
偶に昔読んでいた物にどハマりする時ありません?
それです


プロローグ

 

 あれ?どこココ?

 気がつけば知らない部屋にいた。

 殺風景な部屋だなぁ。といったような中身のない感想しか抱けない。なんだか頭の中がふわふわしている。

 

 「……あなたは死にました」

 「うわぁびっくりしたぁ」

 

 直前まで浮かんでいた疑問は目の前の人物に声をかけられたことで霧散する。

 なんだこいつぅ?なんていうか……こう、神聖な感じがする。

 

 「はぁ、それでどうやったら帰れますかね?」

 こういう時は相手の機嫌を損ねるような事はタブーである。相手がどんな考えを持っているかわからないからね。

 

 「はぁ、混乱して自分が死んだ事を理解できないようね?貴方には死に際の記憶があるはずです。よく思い出してください」

 

 表情と口調から「うわ〜めんどくさ〜」とでも言いそうな思念が滲み出ている。

 「はぁ〜めんどくさ〜」

 口に出したよこいつ!

 頑張って思い出そう。

 俺はあの時……そうだった!トラックに轢かれそうになった女の子を助けて!

 

 「あの〜女神さま、でいいんですかね?あの女の子は無事ですか?」

 

 「えぇ、左足を打撲する程度の怪我を負いましたが生きていますよ」

 あぁ、よかった。なら俺の死も浮かばれるってもん「まぁもっとも、貴方があの場にいなければ怪我を負うこともなかったんですけどね?」

 

 「え?と言いますと?」

 

 「あのトラクターは本来ならあの女の子の前で止まったんですよ。当たり前よね?トラクターなんだもの。そんなにスピードは出ていなかったし……つまり、貴方はヒーロー気取りで余計なことをして死んだ大馬鹿者って事です。プークスクス!」

 

 なんだこいつ(2回目)

 なんでここまで人の神経を逆撫ですることができるんだろう?

 っていうかまって?

 「今なんて言いました?トラクター?トラックじゃなくて?」

 「えぇ、トラクターですよ?あの女の子だって大型のトラックが迫ってくれば気付きますし、よけますよ」

 

 「えっとぉ、じゃあ俺の死因ってトラクターに耕されて死んだってこと?」

 「いいえ、ショック死よ。トラックに引かれたと勘違いして!……プッアッハハハハハハ!私長くこの仕事やってきたけど、こんな死に方初めて見たわ!プークスクス!今後一切見ないでしょうね!」

 

 なんだこいつぅ?!(3回目)

 

 「貴方は轢かれそうになった恐怖で失禁!気絶して近くの病院に搬送!医者や看護師に笑われながら目を覚ます事なく心臓麻痺で……プークスクス!」

 「だー!?やめろぉ!聞きたくない!聞きたくない!!」

 

 「我が子の訃報を聞きつけてやってきた家族も死因を聞いて思わず吹き出して……!」

 「やめて!やめろください!?なぁ!嘘だろ?!そんな情けない死に方あんまりだろう?!」

 

 

「プークスクス!まぁ、私のストレス発散はこのくらいにして。初めまして、佐藤和真さん。私は水の女神アクア。日本において若くして死んだ若者達を導く女神よ。……さて、類を見ないほど滑稽な死に方をした貴方には二つの選択肢があります」

 

 なんだこいつ!(4回目)

 ここまで虚仮にしてくれたやつに素直に従うと思っているのだろうか?

 

 「1つは記憶を全て洗い流し日本で新たな生を歩むか。もう1つは天国と呼ばれる場所でおじいちゃんみたいな暮らしをするか」

 

 なんだその選ばせている様でそうでない選択肢は?

 「いや、新たな人生はともかくとして、おじいちゃんのような暮らしって一体?」

 

 「天国ってところはね?貴方達が思っているほどいい所ではなくてね?肉体が無いから3大欲求が無いし満たせない。自我が希薄になるから言葉も忘れて行く、できることと言えばお隣さんと日向ぼっこってとこかしら?」

 

 なにそれ、ってか自我が希薄になるって何?!怖いんですけどぉ!?

 やはり選択の余地はないか?いやしかし自我の消失を意識した後に赤子にリセットって切り替えるのは難しい…。

 そんなふうに悩んでいると、女神(?)は満面の笑みを浮かべて。

 

 「うんうん!天国なんて退屈なところは嫌よね?かと言って人生をやり直すなんてのも嫌よね!そんな貴方にいい話があるのよ!」

 

 なんだ?この悪徳商法みたいな言い回し。とても胡散臭い。

 俺が警戒していると、女神(邪神かもしれない)はニコニコしながら言った。

 

 「あなた、ゲームは好きでしょう?そんな貴方に今の記憶と肉体を引き継いでの異世界行きを提供できるって言ったらどうする?剣と魔法の世界よ?」

 

 「確かに魅力的ではあるんだけどさ?なんかあるんじゃないの?」

 駄神っぽいし

 

 「簡単にぶっちゃけちゃうとね?その世界は魔王の軍勢によって攻め滅ぼされようとしていてね?その世界で魔王に殺された人達がそこでの輪廻転生を嫌がっちゃって。このままだと世界が本当の意味で滅んじゃうのよ。そこで神々の間でこんな打開策が出たの。もういっそ他の世界から魂を連れて来ようって!」

 

 まさかの移民政策!だから体もってことか。

 

 「で、どうせなら若くして死んだ人々を、肉体と記憶をそのままに異世界に送ってやろうってことになったの。」

 

 「いや、そんな世界に送られてもまた死ぬだけじゃねぇか」

 すぐに死ぬのはごめんだね。

 

 「そう、だから特典をつけることにしたの。それは強力なスキルだったり、とんでもない才能だったり、神話級の武具だったりね。どう?これならお互いにメリットのある話だと思わない?貴方達転生者は特典と共に第二の人生を送ることができる!その世界の住人は即戦力を手に入れられる!ね?悪い話じゃないでしょう?」

 

 なるほどな?チート貰って第二の人生か……。確かに悪い話ではないな。しかし……どうしたものか。ここで素直にコイツのいうことを聴くのも癪だ。

 

 「えっと、聞きたいんですけど、向こうの言葉とかってどうなるんです?俺、異世界の言葉とか分かりませんよ?喋れるの?」

 

 「あぁ、その辺は問題ないわ。私達神々のサポートによって、異世界に行く際に貴方の脳に負荷をかけて一瞬で習得できるわ。勿論文字だって読めるわよ。副作用として運が悪いと頭がパーになっちゃうけど……だから後は特典を選ぶだけよ!」

 「今すっごい重要なこと言わなかった?…頭がなんだって?」

 「言ってない」

 「言ったろ!絶対!パーになるって!」

 

 すでに最初に感じていた緊迫感というか、緊張感というか…。そんなものはここに存在していなかった。

 相手は女神だと言うのに俺は既にタメ口だった。

 いやだって、どうやって敬えばいいの?コイツ。

 

 それはそうと、この提案はかなり魅力的だ。

 目の前にはスキルやら武器やらが書かれたカタログが置かれている。

 

 「さぁ、選びなさい!貴方に、何者にも負けない力を授けましょう!」

 

 ざっとカタログに目を通す。

 専用のスキルに職業。俺の行く世界は職業とそれに関連するスキルを覚えられるという世界らしい。

 ほー…いよいよゲームみたいだな。

 なるほど、剣のスキルを取るとどんな素人でも剣が扱えるようになるってわけか。

 そんで、職業によって取れるスキルが違う訳か。後は職業による補正が乗るくらいかな。

 うーん、剣も扱ってみたいけど、魔法も捨てがたい。

 

 なーんて事を考えていると、どこから持ってきたのか、アクアはスナック菓子を食べながら…。

 

 「ねーぇ、早くしてぇ?どうせ何選んでも一緒よ!一緒。最初から引きこもりのニートにはなんの期待も寄せてないんだから」

 

 なぁ!なんだコイツぅ!!(5回目)

 どこまでも俺をバカにしてぇ…!

 精神を落ち着けて、カタログに意識を向けようとした時、俺の灰色の脳細胞に電流が走った!

 

 「よし、決めた」

 「それで、何にするの?」

 「お前」

 「はいはい、私ね。それじゃあこの魔法陣から出ないように……へ?」

 

 アクアは間抜けズラを晒して動きを止める。

 「今、なんて言ったの?」

 

 呆然と呟くアクア、そして俺の足元には白く輝く魔法陣が。

 おっとこれは、もしかして:成功?

 するとそこに天使のような奴が現れた。

 

 「今ここに契約は受理され…ってちょっと!アクア様!暴れないでください!」

 

 「いやよ!こんなのおかしいじゃない!なんで私が下界に行かなきゃいけないのよ!」

 「ぶあっははははは!どうだ?女神さんヨォ!バカにしていた相手と異世界行きだゼェ?」

 「いやぁ!こんなクソニートと一緒に下界に行くなんて!」

 

 そんなことを言いながら暴れるアクア。

 ザマァないね!

 と、その時

 

 『ピシッ……ビキビキッ!』

 と魔法陣にヒビが入った

 

 

 俺の方に。

 

 「……なぁ天使さん。つかぬ事を伺いますが、……これってマズい感じ?」

 

 天使は冷や汗をかきながら言う

 「……かなり、マズいですかねぇ」

 

 「おい!どうしてくれるんだクソ女神!何かあったらどうするつもりだ!?」

 「知らないわよ!クソニートに何かあっても私は困らないし、むしろ下界に降りる必要がなくなって万々歳よ!」

 

 そうこう言っているうちに魔法陣のヒビは広がり続ける。

 『バリン!』

 あ、穴空いた!

 

 不思議な浮遊感と共に俺の意識は落ちていく。

 俺は最後の力を振り絞って叫ぶ。

 

 「ふざけんな!クソ女神ィイイイイ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚める。

 「うぅ、頭痛い。別に酒飲んだわけじゃねぇのになぁ……。にしても変な夢だなぁ…ってあれ?どんな夢みてたっけ?確か、俺が女神に勇者がどうこうって……いやいや、ありえんな。こんな夢見るなんて、俺も紅魔族ってことかぁ?」

 

 俺の名はカズマ。

 紅魔族の、半端者である

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