竜胆さんの日々   作:どういうこったあ!

13 / 30
 ※この作品においての青年は、男女の区別を含みません。


本編:シャーレの竜胆テレスさん
冷酷な算術使いとハンバーグ。そんな日々。


 「せーんーせーいー? またこんなにお金使って! 今月もまだ半ばなのに、こんなに使ったら困るってことくらいわかりますよねえっ!?」

 

某日、シャーレのオフィス。

白いスーツを纏った青年が青髪のツインテールの少女に怒られるという、いつもの光景が広がっていた。

 

「はい、ごもっともです……」

 

先生と呼ばれたその青年は申し訳なさそうな顔で俯いている。

 

「それになんですかこのカイテンジャーロボクラウドファンディング――」

 

「それなんだけどね! この前の虚妄のサンクトゥム攻略のときに出てきた巨大ロボあったでしょ?! あれの――」

 

「さては反省してませんね!? テレスさんからも何か言ってやって下さい! 大人なんだからもうちょっとしっかりした自己管理をですね……」

 

「まあまあ、先生も反省してるみたいですし……」

 

「うん、ごめんねユウカ……(涙目上目遣い)」

 

「ッ〜〜〜!! 次やったら本当に先生のお財布の管理しますからね! あとテレスさんは先生を甘やかしすぎです!」

 

「え?」

 

流れ変わったな?

 

◇◇◇

 

 シロコが家に押しかけてきて、それはもう盛大に俺が泣いた日のあとのこと。

大人しくシャーレに行って、全部とは言わないけれどそれなりに身の上話をした。

こことは違う世界の住人だったとか、元男だったとかね。

メインストーリーは百花繚乱の一章までしか知らないので、特に言うこともないだろうと思って、そういう話は伏せておいた。知らなくても先生なら大丈夫だろうし。

 

で、なんやかんやでシャーレ直属の生徒になりました。

所属としては連邦生徒会。

俺としてはシロコの手伝いをしたいって部分が大きかったんだけど、戦闘面では役に立ちそうもないので大人しくシャーレでお金稼ぎに徹している。

 

シロコの方はブラックマーケットで働いている。シャーレに所属するのも考えたんだけど、やっぱり気まずいらしい。

それにブラックマーケットも、やりたいことが見つかるまではって感じで、ずっといるつもりはないそう。

 

アビドス高校については、ここは彼女たちの居場所だからと基本的には静観するつもりらしい。もちろん、ピンチになれば助けに行くとは言っていたけれど。

 

そのときに「私の居場所はテレスだし、テレスの居場所は私でしょ?」なんてセリフも吐かれた。

向こうとしては「居場所がない者同士で居場所を作ろう」ぐらいのニュアンスなんだろうけどさあ……。

 

閑話休題。

 

俺がシャーレで主に行っていることは当番の生徒たちと大きく変わらない。

事務仕事をこなしつつ、オマケで先生の食事管理って感じだ。

抗争の鎮圧はどうしたって? こちとらアロナバリアないんやぞ。死ぬわ。

 

なのでこうして書類仕事をしているわけでございますよう。

 

 ん? この書類は……。

 

「先生〜、これってモモカさんに共有しておいた方が良いやつです?」

 

「ええっと……うん。これは共有しといた方が――って、あれ? テレスってモモカと面識あったっけ?」

 

「そういえばテレスさんって私の名前……というかウトナピシュティムの本船に乗っていた全員の名前、自己紹介する前から知ってましたよね」

 

あれもしかして墓穴掘った? マズい。えーっと、なんて言い訳しよう。活動記録を読んだので〜はウトナピシュティムのときの説明にはならないし……。よし、有耶無耶にしよう。

 

「そういえばユウカさん、晄輪大祭での活躍、素敵でしたよ?」

 

「へっ!? あ、ありがとうございます……。まさか見られていたとは……」

 

いけるか……?

 

「あのとき、先生と仲良く手を繋いで走ってましたけど、借り物競争のお題って――」

 

「ん゙ん゙ッ゙!!!!!! さあ先生! 仕事に戻りましょうか!! テレスさんも作業の邪魔をしてしまってすみませんでした!」

 

チョロい。そこが可愛いんだけど大丈夫かこの太ももお化け。

 

「え、私もお題のこと気にな――」

 

あんたもチョロいんかい。

 

「さあ先生ッ!??!? 仕事はまだまだありますよ!!」

 

◇◇◇

 

 シャーレでのお仕事も終わったので今日は早めに帰宅。

シャーレに所属するにあたって、退去日も迫っていたので山海経からD.U.に引っ越してきたのだけれど、こっちの世界に来てからのほとんどを山海経で過ごしたからか、D.U.の匂いには未だになれない。

 

山海経じゃ常にどこからか美味しそうな香りがしてたからなあ。少し恋しかったり。

玄武商会にもそろそろ顔出そうかなあ。ルミとレイジョからも落ち着いたら顔見せてって言われてるし。

 

なんて考えていたら、お腹が空いてきた。

山海経で漂ってくる美味しそうな匂い目指して夕飯作るんだい。

今日のメニューはハンバーグでございます。ひき肉と卵が安かったので。

 

―――

――

 

 「ただいま」

 

お、シロコ帰ってきた。

 

なんとルームシェア中。シロコに恩返しを迫られたので、ルームシェアして家賃を割り勘でって感じで落ち着けた。家事は分担。

なぜこんなことになったのかはわからないけれど、これでもマシな結果なのだ。本当に。

まあ、色々あったということで。

 

「おかえり〜。まだご飯作ってる途中だから、ちょっと待ってね」

 

「私もご飯作るの手伝おうか?」

 

「あとはもう焼けるの待つだけだから大丈夫だよ」

 

「ん、わかった。今日はハンバーグ?」

 

「おお当たり」

 

「……食い意地を張ってるわけじゃないから」

 

そう言うとシロコは顔を少し赤らめながら、お風呂場へと向かっていった。

 

……あ゙ーーーーーーがわ゙い゙い゙よ゙お゙!!!!!(限界化)

 

―――

――

 

 「「いただきます」」

 

おお、我ながら良い出来。

ハンバーグを割るとちゃんと中から肉汁が溢れてくる。

 

「美味しいね」

 

「おかわりもあるからどんどん食べて」

 

「……やっぱり食い意地張ってるように見える?」

 

「全然? いっぱい食べてくれたほうが俺としても嬉しいし」

 

シロコは長いことあったかいご飯を食べていなかったらしく(プレ先ルートのことを考えたらそりゃそうだ)、初めてご飯を振る舞ったときは涙ぐんでいた。

そんな子にはお腹いっぱい食べて欲しいに決まってるだろ! いい加減にしろ!!れ!

 

「テレスももっと食べるべき」

 

「この体、胃のキャパが小さいんだよねえ……」

 

「食べ過ぎちゃうのはテレスの料理が美味しいのが悪い」

 

「最高の褒め言葉だね」

 

「テレスは明日予定ある?」

 

「明日はミレニアムに行って、ゲーム開発部(もちろんケイも含めた)と遊ぼうかなって思ってたけど……」

 

そろそろケイの警戒心を解けそうな気がするのだ。

モモイから聞いたところによると、アリスとケイも仲良くなったらしいし。

 

あとは、ケイがやりたいものを伝えてくれるかどうかだな。

鍵じゃなくてケイであることを選んだわけだし、アリスを見守りたい……とかだろうか?

 

ここまで警戒心を解くの思ったより時間かかったなあ。

お姉ちゃんの体に入ってる見ず知らずのやつに警戒心を抱くのは当然なのだろうけど。

 

「なにかあった?」

 

「ううん。テレスは今、楽しいかなって」

 

「楽しいよ。それもこれもシロコのおかげ。ホントにありがとね」

 

「私もテレスのおかげで楽しい。こっちこそありがとう」

 

「……照れるね」

 

「ん、耳まで真っ赤」




 本編です。不定期投稿になるかと思いますが、良ければ見てやってください。
お気に入りや感想、評価、ここすきなど、とても嬉しいです。誤字報告も大変助かっています。本当にありがとうございます。


 以下、補足設定。

 顔がアリスに似ていることもあり、なんやかんやでユウカはテレスにも甘いです。
もっとも、テレスがなにかをやらかすことは少ないですが。

 テレスは二年生ですが、初対面の相手に対して学年を伝えない上、呼び捨てで構わないと言うので、一年生でも呼び捨てにする生徒も少なくありません。(というか、そもそも先輩だと思われていない場合が多いです。何人かは先輩だと分かった上で呼び捨てていますが)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。