竜胆さんの日々   作:どういうこったあ!

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カルバノグの兎とアイス。そんな日々。

 「猛暑だ……」

 

シャーレのビルから一歩踏み出すと、カラッとした熱気が体を包んだ。雲一つない快晴だ。

 

「こんな所でなにしてるんだ……?」

 

遮るものがなく、燦燦と照る太陽に目を細めていると子ウサギ公園の方から歩いてきたらしいサキに声をかけられた。

額には大粒の汗が浮かんでいる。

この天気でRABBIT小隊は大丈夫なのかと心配になるけれど、そこら辺は彼女たちが一番わかっているだろう。

 

「あ、サキさん。どうも〜。おたくの小隊長さんがシャワー借りてるんですけど、言外の圧を感じまして……」

 

ミヤコこえーよ。

一言も発してないのに出ていけって圧を感じさせられたよ。

 

「またあいつは……」

 

「アイス買ったんですけど、食べます? モエさんとミユさんの分もありますよ」

 

「いや、ミヤコのせいで追い出されたのに食事まで貰ってはSRTの名折れだからな。今回は遠慮しておくよ」

 

ミヤコはシャーレでアイス食べてそう……というのは言わない方が良いだろう。

多分、ミルクアイスをエッチに舐めてることだろう。なんたって卑しいからな。

 

「あらそうです? そういえば、サキさんはどうしてシャーレに?」

 

「えっ?! い、いや、その……」

 

「ふふっ、シャワー浴びに来たくらいで誰も怒りませんよ。それに最近は暑くてかないませんし」

 

「あ、ああ。すまない……」

 

おーん? この反応だと、なんか別で目的があるっぽいな?

 

「その鉄帽、蒸れて大変そうですよね。外さないんです?」

 

「頭は人体の一番の急所だからな。任務中に外すのはやっぱり抵抗があるんだ」

 

「任務中?」

 

「あっ」

 

サキは「しまった」とわかりやすい表情を浮かべる。

 

「その鉄帽を外した頭の匂いを嗅がせてくれたら聞かなかったことにしますよ?」

 

「テレスはたまに先生みたいなことを言うよな。キモいぞ」

 

おうふ。面と向ってキモいと言われると、なかなかクるものがあるな……。

 

「で〜? 一体、なんの任務なんです?」

 

「いつの間にかミユさんまで来てますし」

 

「えっ」

 

「気付かないと思いました〜?」

 

鉄帽のくだり辺りから、後ろに回って来てたのちゃんと気付いてるからな。

 

「テレスさんも私を見つけてくれるんですね……えへへ」

 

「さっきミヤコから連絡があってな。シャーレに仮面を付けた知らないやつがいるって」

 

「それで確認してみたらテレスさんだったというわけです……」

 

あー、そっか。この仮面を着けてからはまだRABBIT小隊に会ってないのか。そりゃ警戒もする……か? シャーレなんて知らん生徒のバーゲンセールな気がするけれど。

まあ……警戒するに越したことはないか。

 

「そうそう、テレス。私もシャワー浴びたいから公園の見張り変わってくれない?」

 

話を聞きながらサキとミユにアイスの袋を渡していると、モエから通信が入った。

ミヤコが帰るの待ったら? というのは野暮だろう。みんなにもクーラーの効いた部屋で団らんしてほしいし。

 

「え゙。サキさんが頭の匂い嗅がせてくれたら良いですよ」

 

「よし、サキ。脱ごう」

 

「はあ?!」

 

「冗談ですよ冗談。今から公園に向かうのでちょっと待ってて下さいね〜」

 

「くひひっ、やり〜」

 

「ありがとうございます……」

 

「恩を売ったところで頭の匂いは嗅がせないからな!」

 

「は? 生徒さんにそんなことしませんよ、気持ち悪い……」

 

「こいつ……!」

 

楽しい。

 

◇◇◇

 

 「キーリーノーさんっ。美味しそうなもの持ってますね」

 

子ウサギ公園からの帰り道。

商店街を通っていると、アイスクリーム片手にパトロールをするキリノを見つけたので、こっそりと後ろから這い寄って声をかける。

 

「うわあ!? あ、テレスさんでしたか……」

 

「パトロール中ですか?」

 

「はい! と、いってもアイスクリーム片手で言ってもかもしれませんが……」

 

「地域とのコミュニケーションは大事ですから」

 

「そうですよね! 本官のしていることは間違っていない……はずです!」

 

バツの悪そうなキリノにフォローを入れると、嬉しそうにアイスクリームを掲げた。溶けるから早く食べなさい。

 

「フブキさんは元気です? この暑さだから署に引きこもってそうですけど」

 

「本官が署を出たときには仕事をしていたのですが……恐らく今は……」

 

ま、でしょうね。

最近、新しいドーナツ屋ができたので、感想を聞きに会いに行ってみようかな。

でもフブキのやつ、こっちがドーナツ持ってないってわかると露骨にテンション下がるんだよなあ。奢りって言って、一緒に買いにいくのも良いかもそれない。

 

「ふふっ。フブキさんらしいですね。でも元気そうでなによりです」

 

「本官としてはもっと警官らしい行動をしてほしいのですが……。

「あ、そういえば、最近カンナ局長(――今は謹慎中ですが)とテレスさんの写真がヴァルキューレに広まっているんですよね。

「えっと……あ、ありました。これですね」

 

「ああ、この前カフェに行ったときのですね。けどこの写真、カンナさん以外の人にはあげてないと思ったんですけど」

 

キリノから見せられたのは、とあるカフェでコーヒー片手に自撮りをする俺とカンナの写真だった。

カンナの照れが混ざった、少し引きつった笑顔が最高に可愛い。フニャっとしたピースもポイントが高い。

 

「どうやら局長が公安局内のモモトークに誤ってアップしてしまったらしく、それがどんどんと……といった感じですね。もし不快でしたらやめるよう言いますが……」

 

「別に嫌じゃないよ? むしろみんなにカンナさんの可愛さを広めるチャンスですし」

 

「本官もですが、普段のカンナ局長はこんな表情をされないので驚いたという生徒も多かったみたいです」

 

「そうでしょう、そうでしょう。そのギャップが――」

 

「あっ、アイスがっ!」

 

聞けよ。

 

◇◇◇

 

 「ねえ先生」

 

「何も言わないで」

 

「いーや、言いますね。午前中に今日は早く終わるって言ってませんでした?」

 

「言いました……」

 

「この書類の山はなんですか?」

 

子ウサギ公園から戻ると、シャーレを出る前にはなかった書類の山がデスクの上にできていた。

 

「さあ……???」

 

「ホントになんでこんな急に仕事増えたんですか……?」

 

「さあ……???」

 

「つらたん」

 

「テレスさんってそんなキャラでしたっけ……? って、あれ?」

 

先生も流石にヤバいと思ったらしく、ヘルプでユウカも来ている。あと、俺はこんなキャラだよ。生徒の前だと猫被ってるだけです。

そんでユウカはなんでそんなに俺を覗き込んでくるの? なんか顔についてる?

 

「どうかしました?」

 

「そのピアス――いえ、なんでもないです」

 

やめろよ。気になるじゃないか。

 

「いつでも仮眠とっていいんだからね?」

 

先生にまで心配されたし。真面目にやりすぎると、こういう弊害があるのか……。もうちょっとセクハラまがいの発言増やそっと。

 

「まだ買ってきたアイスコーヒーのカフェインパワー効いてるので大丈夫ですよう。そういうお二人は大丈夫です?」

 

「「いざとなればカフェイン」」

 

「最高」

 

―――

――

 

 「あ、ノアさん。来てたんですね」

 

流石に午後からぶっ通しでの書類作業は堪えたので、仮眠室で少し仮眠をとった。

一時間程の仮眠の後、仮眠室からオフィスへ戻ると、いつの間にかノアが来ていて、先生とユウカは机に突っ伏して寝ていた。

 

「ユウカちゃんからヘルプがありまして」

 

「二人は寝落ち……あー、リラックスティーです?」

 

「ふふっ、正解です」

 

二人のコップを見るとコーヒーではない薄い茶色の液体が残っていたので「もしかして」とは思ったけれど、ホントにそうだったらしい。

 

「お仕事を下さいな〜」

 

「あら、もう少し寝ててもいいんですよ?」

 

「御冗談を……」

 

「ではお言葉に甘えさせてもらいますね」

 

「ノアさんもキツくなったら休んでくださいね」

 

「はい、ありがとうございます。

「そういえば、その仮面と左耳のピアスってどうなされたんですか?」

 

そっか。ノアも仮面を着けて会うのは初めてか。

どうなされたって言われてもなあ……。

 

「おしゃれです」

 

こう言うしかないよね。

仮面はシロコがくれなきゃ着けなかったと思うけれど、こっちの世界に来てから長いこと着けてたので、あると落ち着くようになってしまった。ないと落ち着かないってほどではないんだけどね。

 

 

「そうだったんですか。てっきり、左耳のピアスは『そういうこと』かと」

 

「『そういうこと』?」

 

「あら、ご存知なかったんですね。左耳のピアスには同性愛者の意味合いもあんですよ」

 

「……マ?」

 

「『マ』です」

 

「そういう意図は全くなかったです……。どうりでユウカさんにあんな反応されるわけだ」

 

「特に『そういうこと』ではなかったんですね」

 

「おしゃれです……ファッション同性愛者です……」

 

「残念」

 

「……!?」

 

「冗談ですよ」

 

そう言って微笑むノアがめちゃくちゃ怖かったです。

でもきっと、その矛先が向かうのは俺じゃなくて向かいのデスクに突っ伏している……。




 今更ながらにテレスのプロフィールです。

名前   :テレス
フルネーム:竜胆テレス
レアリティ:★1
役割   :STRIKER
ポジション:FRONT
クラス  :アタッカー
武器種  :SG
遮蔽物  :使用
攻撃タイプ:ノーマル
防御タイプ:通常装甲
学園   :連邦生徒会2年生
部活   :シャーレ
年齢   :16歳
誕生日  :8月31日
身長   :155cm
趣味   :料理、サイクリング

シャーレ所属の謎多き少女。シャーレに所属する以前は玄武商会に所属していた。
面倒見が良く、先生や生徒たちにとって頼れる存在。
ヘイローを持たないため戦闘に参加することは少なく、書類仕事をこなしていることが多い。

EXスキル:悪いですけど……!(コスト3)
扇状内範囲の敵に対して、攻撃力の900%分のダメージ

ノーマルスキル:備えあれば憂いなしってね+
戦闘開始時、スキルコストを4.2獲得(戦闘中に1回のみ)

パッシブスキル:避けタンクの真髄+
自身の回避値を42.6%増加

サブスキル:さっさと終わらせましょう
EXスキル使用後に自身の攻撃力を20%増加(15秒間)

固有武器:黒無常+白無常
パッシブスキルが「避けタンクの真髄+」に変化

ルミがくれたショットガンと、カンナに護身用として渡された拳銃の組み合わせ。
武器を与えてくれたルミとカンナ、扱う術を教えてくれたレイジョへの感謝を胸に少女は戦場へと向かう。

愛用品:ミレニアム製高性能仮面
攻撃力 +500、ノーマルスキルが「備えあれば憂いなしってね+」に変化

たとえ書類仕事中や正式な場であっても外さない仮面。でもご飯のときは外す。
そのことを指摘すると「外さないと食べれられなくないです……?」と返ってくる。

 追記∶誤字報告ありがとうございます。
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