竜胆さんの日々 作:どういうこったあ!
目的地である大オアシス駅に到着したので、シェマタを停止させる。
プラズマの不活性化も済ませたので、無理に破壊しようとして暴発……なんてことはないはずだ。
それと忘れずに、ノノミのゴールドカードも回収しておく。
先生たちの到着まで、もう少し時間がある。
ヒナの方は――連絡がないってことは、まだ決着がついてないのだろう。
うーん、どうしよう……。
ノゾミとヒカリにスオウの拘束を任せて、ヒナの加勢に向うか……?
「シロコだけでもヒナの加勢に――」
そう言おうとしたとき、ヒナとホシノがいるであろう方向から爆発音が響いた。
「この感じ……ホシノ先輩……!」
爆発と同時に空が赤く染まっていくのを見たシロコが、シェマタから飛び降りて一目散に走り出す。
「シロコっ!? ノゾミさん! スオウさんをお願いします!」
緊急事態だってことは嫌でもわかったので、俺もシェマタから飛び降りて、シロコのあとを追う。
「たぶん、ホシノ先輩が反転した……! このままじゃ――!」
「反転!?」
脳裏によぎるのは、クズノハのセリフ。
『「色彩」によって反転した者を元に戻す方法など、存在せぬ』
「シロコ! 色彩の気配はある!?」
「今のところは……」
「じゃあ希望を捨てないで!」
クズノハのセリフでずっと気になっていたこと。
それは、まるで「色彩」以外の反転方法もあるような口ぶり。
それがホシノが反転した原因なら、まだ元に戻す方法はあるはずだ。
「色彩に反転させられたわけじゃないなら、まだ助けられるかもしれない!」
「――本当?」
「希望的観測!」
「わかった。取り敢えず、先生が到着するまでの時間を稼ぐ。
「テレス、手伝ってくれる?」
「もちろん!」
全速力で走ること十分。
そこには赤く渦巻くオーラを纏い、テラーとなったホシノと戦っている先生たちと、倒れているヒナの姿があった。
「――〜〜〜っ!!」
「シロコはホシノを! テレスはヒナをお願い!」
こちらをすぐに補足した先生から、鋭い指示が飛ぶ。
「「了解!」」
砂漠に倒れているヒナの首元に手を当てる。
「良かった、まだ脈はある……!」
見たところ、目立った外傷はない。爆発に巻き込まれて気絶したってところだろう。
「どんだけ頑丈なんだよ」、とツッコみたくなる。
俺がヒナの安全を確認している間も、シロコたちはホシノと激戦を繰り広げている。
シロコはホシノのショットガンから放たれる規格外と言っていい範囲と威力の攻撃を、障害物もない中、涼しい顔で避けている。
このまま順当に行けば、ホシノの鎮圧には成功すると思う。問題があるとするなら――
「先生! あの雷が顕現すれば、世界が滅ぶ!
「ホシノ先輩を戻すタイムリミットは『アレ』が完全に顕現するまで!」
だよなあっ!? まだ顕現していないというのに放たれれる圧倒的な存在感。
明らかにマズいということは赤子でもわかる。
それまでにホシノを元に戻す方法を見つけなければ、世界が滅ぶ。
「戻す方法に心当たりがあるのっ!?」
「わからない――っけど! ホシノ先輩の胸元にある手帳みたいなもの!
「あれは私の世界のホシノ先輩にはなかった!
「まだ形が定まりきってないんだと思う!」
シロコの言う通りホシノの胸元を見ると、そこには確かに手帳のような形をしたヘイローのようなものがあった。
「もしかして、ユメの……?」
「私は……。手帳は…手帳はどこに……」
そう呟くホシノの動きは、明らかにさっきよりも鈍っていた。
それに呼応するように、雷の気配も小さくなっていく。
「ホシノは今も、砂漠を彷徨っているんだ。……ユメの手帳を見つけるために」
「おそらく、あの手帳がホシノ先輩の最後の寄る辺になっているんだと思う」
「ホシノに直接、シッテムの箱を近づけることができれば、ホシノに声を届けられるかもしれない」
先生がどんな策を持っているのかはわからないけれど、突破口は見つかったらしい。
「……私も手伝う」と、寝ていたはずのヒナも起き上がる。
どんだけ頑丈なんだよ。
「私もサポートするので、先生はアビドスのみんなの指揮をお願いします」
「ん、私にも指揮をお願い」
「わかった! それじゃあみんな! もうひと踏ん張りだ!」
シロコのドローンが、セリカのアサルトライフルが、ノノミのガトリングガンが、ヒナのマシンガンが、俺のショットガンが、ホシノを迎え撃つ。
先程までの勢いはないとはいえ、未だその攻撃は苛烈だ。
広範囲、高威力、高頻度でショットガンから放たれる弾丸。頭上に発生させた光で直線上を薙ぎ払う技。
そして異常なまでの耐久性。
動きが衰えたと思って近づいても、謎のオーラを開放してすぐ距離を取らされてしまう。
けれど、その耐久性にも限界が見えてきた。
ホシノが膝をつく。
「――今!」
ヒナの合図に合わせて、一斉にホシノの元へと走り出す。
「何この熱さ!」
が、ホシノから放たれる熱気がそれを許さない。
それでも、先生はホシノへと手を伸ばす。
「私じゃダメだ……!
「他人の死や苦しみは、そう簡単に理解できない……!
「……たとえ、大人であっても! けど、みんなだったらきっと……!」
先生の言葉に応えるように、対策委員会の表情が引き締まる。
「人事みたいな顔してるけど、シロコ。君もだよ?」と、視線を送ると、「え?」みたいな顔された。なぜ違うと思ったし。
「ん、あなたもアビドスでしょ。一緒にホシノ先輩を助けて。
「……覆面水着団の一員として」
それを聞いたシロコは、おもむろに懐から取り出した覆面を被る。
「そういう意味じゃないから! シロコ先輩が調子に乗るじゃない!」と、セリカにツッコまれたシロコは少し残念そうな顔をしながら覆面を取った。
「やっぱりこの人、シロコ先輩だわ……」
「急いで!」
いつまでのんびりギャグパートやってんねんと、ヒナから声がかかる。
「みんな、頼んだよ! ホシノに、伝えよう!」
先生の言葉で、再び一斉にホシノの元へと走り出し、ホシノに抱きついた状態でみんなの動きが止まる。
きっと、それぞれの伝えるべきことを伝えているのだろう。
「ヒナさん! まだ動けますか!」
「もち……ろんっ!」
その間、俺とヒナは再び勢いの増してきた雷の意識をホシノから全力で逸らす。
俺は雷に近づき、横から攻撃。ヒナはホシノたちから少し離れた地点から攻撃を加える。
が、その意識はまるでホシノから離れず、その手に込められていく雷の標準がホシノへと定められる。
「ああもう! こっち向け!」
俺とヒナが全力で攻撃を加えるも、その意識は離れず、ついには雷が放たれてしまう。
「――ッ!!」
直接あたっていないというのに、その余波で雷の近くから吹き飛ばされる。
半ば絶望しながらも、砂埃の晴れたホシノたちがいた地点を見ると、そこには『IRON HORUS』の文字が。
「みんな、大丈夫!?」
盾の後ろから放たれるその声は、俺の見知ったホシノの声で。
思わず零れそうになる涙をグッと堪え、雷へと向かって走り出す。
感動の再会の邪魔をしないでもらおうか――!
先ほどと違い、今度はしっかりとこちらに意識が向いてる。
そうだ、こっちを見ろ。矮小な小虫がブンブン飛んでるんだ、鬱陶しいよなあ!?
降り注ぐ雷を。その手から放たれる雷の光線を。避ける。避ける。避ける。
やがて攻撃が当たらないことに業を煮やしたのか、地中に手を突き刺した。
今までしてこなかった動き。どうせ全体攻撃だろ!
だからと言って避ける手段は無いけれど! と、身構えて全体攻撃を気合で耐えようとしていた俺の後ろからシロコが現れ、地面全体に迸る雷を盾で防ぐ。
「感動の再会はもう良いの?」
「ん、テレスの方が大事」
「テレスちゃんだけにコレの相手させてたら、おじさん、ユメ先輩に怒られちゃうよ」
ちらっと後ろを見れば、シロコだけでなく他のみんなもこちらにきていて、先生は岩壁から手を振ってくれている。
なんかこう……涙腺にくるなあ。
「テレス、大丈夫?」と、先生から通信が入る。
「まだまだ行けますよう……!」
再三、雷と向き合うと、すぐさま先生からの指揮が飛んでくる。それも、この場にいる全員に向けて。
一度に指揮できるのは六人までのはずなのに、なにかあったのだろうか?
まあ、大人のカードを使うような無茶をしていないなら大丈夫だ。
「さあ、最終決戦だ……!」
―――
――
「テレス、立てる?」
先生の指揮のもと雷を弱らせながら、最後はホシノの一撃によって雷は砂漠全体に霧散していった。
戦いが終わったときにはみんな満身創痍で、汚れも気にせず砂漠に寝っ転がっている。
そんな中でも、シロコとホシノは立っているし、ヒナは座ってはいるものの、すぐに立ち上がりそうな気配を出している。
「無理」
「ヘイローも薄くなってる」
「ああ、道理で体が重いわけだ……」
まったくもって言うことを聞いてくれなさそうな体を地面に預けて空を眺めていると、唐突に目の前が青白い光に包まれる。
「……これは」
「アレ、魚の形してない?」
「きれい……まるで海みたいです!」
「もしかして……何らかの刺激が加わると、プラズマを発生させる鉱物じゃないかしら。
「でも、超高価で希少な金属のはず」
知っているのか空崎。……なんて冗談はさておき、どうやらこの光の正体は花火らしい。
夜明けと共に日が昇り、幻想的だった空をより一層、美しく染め上げる。
「……先輩の言う通りでした。
「見つけましたよ、お宝。まさか、本当に見つけられるとは思いませんでしたけど。
「私が間違ってました……。
「……先輩」
「なるほど、100g1000万の価値を持ってるだけあるわ」
「へっ!?」「え?」「マ?」
ぼそっと聞こえてきた情報に耳を疑う。
「ここ二年くらいの間に、十倍くらい相場が上がったのよ」
聞き間違いじゃなかったらしい。これが100g1000万の輝きかあ……。
「ちょ、ちょっと、この連鎖どうにかして止めないと! ダメ、お金がっ!
「少しでも確保するわよ! アヤネちゃん、スコップは!?」
「いきなり言われても……」
浮世離れした幻想的な景色を前に、随分と俗物的な話になってきたな。
シロコはシロコからもらった覆面を袋代わりにしようとしてるし。
いつの間にか、シロコとシロコで喧嘩してるし。
「うーん……まぁ、いっか。
「おじさんがカッコつけようとすると、いつもこんな感じだよね〜。
「……うへ〜」
そんなホシノのボヤキがやけに本物のおじさんめいていて、ちょっと笑ってしまう。
「テレス」
「ああ、シロコ。喧嘩はもう良いの?」
「ん、ジャンケンで勝ってきた」
ジャンケンなのかよ。
「それよりも、ヘイロー、完全に消えちゃったね」
「お陰で体がピクリとも動かないですねえ……。喋るのでやっとですわよ……」
「また発現させようか?」
そういえば、まだ神秘を自分の体に込める方法は聞いてなかったと思い当たる。
「そんな簡単にできる感じなの? だったらお願いしようかな」
「ん、任せて」と、シロコがこちらを向いたと思った次の瞬間、覆い被さるようにして口を塞がれる。
「……ん゙んぅッ!??」
顔を背けて逃げようとするも、シロコの手は既に首に回されていて、俺に逃げることを許さない。
シロコの舌が俺の口腔内を這い回り、くちゅくちゅと水音を立てながらお互いの唾液が混ざり合っていく。
「飲んで」
何が何だかわからない状況に脳が理解を放棄し、シロコに言われるがままに唾液をこくこくと嚥下してしまう。
「……ッぷはっ♡ な、ななな――んむっ!??♡♡」
最後まで飲み干し、ようやく唇が離れたと思ったら、またすぐに口腔内が犯されていく。
「舌、吸って?」
必死に抵抗しようとするけれど、シロコに押さえつけられているため、虚しく終わってしまう。
諦めてシロコの舌を吸い始めると、次第に頭がぼんやりとしてくる。
疲れや酸欠だけじゃない。何かに酔うような、甘く心地良い感覚。
頭、溶ける……っ。
花火の音と幻想的な景色に満ちていた感覚が、互いの息遣いと水音だけになっていく。
首に回されていた手は既に解かれて、互いを求め合うかのような恋人繋ぎで絡み合っている。
シロコの膝が股下に押しつけられ、全身が甘い感覚に支配されそうになったところで、シロコの体がぱっと離れる。
「ッんあぇ……っ??♡♡♡ なんっでぇ……♡♡」
今の俺はきっと、顔を真っ赤に染めて、蕩けきった表情をしているのであろう。
そんな俺を見て満足そうに「ん、ヘイローを出す条件。神秘を持つ人の体液の摂取」と、シロコは言い放つのだった。
――そういうなんでじゃなかったのに。
テレスのヘイローは青色の竜胆+摂取した神秘の特徴といった風に発現し、それに伴って攻撃タイプ、防御タイプも変化します。
もっとも、シロコ以外の神秘を摂取する気はさらさらないでしょうけれど。
名前 :テレス(臨戦)
フルネーム:竜胆テレス
レアリティ:★3
役割 :STRIKER
ポジション:FRONT
クラス :アタッカー
武器種 :SG
遮蔽物 :使用
攻撃タイプ:神秘
防御タイプ:特殊装甲
学園 :連邦生徒会2年生
部活 :シャーレ
年齢 :16歳
誕生日 :8月31日
身長 :155cm
趣味 :料理、サイクリング
シャーレ所属の謎多き少女。
ヘイローが発現したことで身体能力なとが向上し、戦闘にも積極的に参加するようになった。
EXスキル:邪魔しないでもらいましょうか……!(コスト4)
指定した場所に移動し、円形範囲内の敵に対して、503%のダメージ
最も近い敵に149%の追加ダメージ
ノーマルスキル:拳銃発砲
リロード中、扇状範囲内の敵に対して攻撃力の221%のダメージ
パッシブスキル:君からもらった力で+
神秘特攻を30.4%加算
全ての攻撃が敵の防御力を85%無視
サブスキル:それぞれの居場所
攻撃力を26.6%増加
同じ部隊にシロコ*テラーがいる場合、シロコ*テラーに退却猶予が適応されてから14秒後にシロコ*テラーのHPを全て回復(戦闘中に一回のみ)
固有武器:黒無常+白無常
パッシブスキルが「君からもらった力で+」に変化
ルミがくれたショットガンと、カンナに護身用として渡された拳銃の組み合わせ。
大切なものを守るため、少女は銃をとる。