竜胆さんの日々   作:どういうこったあ!

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東奔西走テレスちゃん。

 ずっと遠い昔。

まだ神々が忘れられていなかった頃。

 

力も名も持たない酷く弱い生き物がいました。

 

弱い彼らは強い力を求めました。

彼らは強い者を信仰することで、その崇高の一端を得ました。

けれど、それではまだ神々に至ることはできませんでした。

 

そこで彼らは一人の少女を王女とし、信仰することで彼女を神にしようとしました。

けれど彼女は信仰に耐えられず、死んでしまいました。

 

次に王女に選ばれた少女は、体をより丈夫な機械へと造り替えました。

けれど彼女も信仰に耐えることができず、死んでしまいました。

 

その次に選ばれた少女は、体をさらに丈夫な機械に造り替えました。

けれど彼女も信仰に耐えることができず、死んでしまいました。

 

それでも名も無き彼らは諦められず、王女を信仰し続けました。

 

そうして六番目の少女が死んだ頃、彼らはある考えに至りました。

 

機械の体には十分な強度があった。

それでも六番目の王女が死んでしまったのは心が弱かったからだと。

 

であるならば、心などいらない、と。

 

空っぽな彼女を王女と呼ぼう、と。

 

果たして作られた七番目の少女たちは神々へと至りました。

 

けれど、初めは空っぽだった二人はやがて心を持ってしまいました。

 

ならば彼女たちは死んでしまったのか。

 

答えは否です。

 

彼女たちは死んでなどいません。

 

だって、彼女たちが手に入れたのはどんなことがあっても折れることのない心だったのですから。

 

もし、彼女たちの心が折れてしまいそうになっても大丈夫です。

 

だって、彼女たちには頼れる仲間がいるのですから。

 

心なき王女はいなくなり、二人の忘れられた神々が生まれました。

 

だからね。

 

■■は鍵なんかじゃない。

 

■■■は王女なんかじゃない。

 

■■、■■■。

 

お姉ちゃんたちに教えてよ。

 

二人は何になりたいの?

 

……って、思ってたんだけどなあ。

 

二人は私が思ったよりもずっとずっと強いからさ。

 

■■■は王女で、勇者で、魔王で、ゲーム開発部であることを選んだ。

 

■■は王女の鍵で、アリスの鍵であることを選んだ。たとえその先に別れが在ったとしても。

 

大丈夫。バットエンドなんかには絶対にさせない。

 

妹のワガママを叶えるためにお姉ちゃんはいるんだから。

 

◇◇◇

 

 アビドス砂漠でカイザーが動いた。

トリニティで聴聞会に対するデモが起こった。

シャーレの屋上から戦術輸送ヘリが離陸した。

 

そして、虚妄のサンクトゥムの出現。

 

ドローンからの映像を遮断する。

 

あー、いよいよかあ。

いつの間にか最終編だもんなあ。

こっちに来たときからずっと考えてるのに、結局こんな解決案しか出せなかったなあ。

 

ふー。深呼吸。

 

――うっし。行こう。

 

まずは……

 

―――

――

 

 やって参りました子ウサギ公園!

 

シャーレ奪還作戦の見守りしてろよって話なんですけどね。どうしても確認しなきゃいけないことがあるんですよ。

俺がバットなルートの先生と本編先生との見分け方で思いついたけれど、すぐに候補から除外したもの。

 

――シッテ厶の箱のパスワード。

 

ゲーム内でのプレナパテスと本編先生の大きな違いの一つ。

このあいだカンナの家に上がったとき、ベストにちょっと録音機をね……。

本当は発振器と盗聴器も仕込みたかったんだけど、電波の悪いこの状況じゃ無理だろってことで。

 

最低だって自覚はあるよ? けど命には変えられないってことで許してちょ。

それにカンナのお見舞いもしたかったし。ホントにこっちに来てからカンナにはお世話(逮捕的な意味合いじゃなく)になってばっかりだからね。

 

モエに見つからないよう、コソコソっと録音機回収。そんでビタミンゼリーとコーヒー置いてっと……。

 

「ホントにありがとね、カンナ」

 

そう呟いてカンナの頭を撫でてテントを出た。

 

……ちょっとキモかったかな?

 

◇◇◇

 

 実は来るの初めて! そう! アビドス砂漠!

テンション壊れてんのは緊張でどうにかなりそうだからだよ!

まぁーじで、エデン条約のときからずっと豆腐メンタルが変わってない。

 

シャーレ奪還はシッテ厶の箱のパスワードが本編先生だったから任せてきた。

……なんてできるわけがないのでちゃんと確認しました。大丈夫でした。

 

目標はウトナピシュティムの本船。

道中のカイザーPMCはなぎ倒してでも行くけど、流石にビナーくんは無理なので頼んだぞ、皆。

 

とはいえカイザーPMCも今は避難中だし、きっとビナーさえどうにかすれば侵入は簡単……なはず。

アビドス高校側とは違うルートで行くから、みんなに見つかる可能性もほぼなし!

まあ、ここまで来たらもう見つかっても良い気がするけど、ロールプレイがね……。

 

それじゃあ、行ってみよー!

 

―――

――

 

 誤算その一。みんなのビナー討伐が思ったよりも早かったこと。

弊害はビナーの早期討伐によりカイザー帰還も早まったこと。

 

誤算その二。買った車が道中でエンストを起こしたこと。エリドゥでのドローン然り、どうしてこう……。

弊害は砂漠でカイザーとバッティングして、交戦が始まったこと。

 

誤算その三。カイザーと交戦することになったこと。

なにがヤバいか。向こうは戦闘のプロたくさん。こっちはペーペーが一人。

向こうは資源が潤沢。こっちは資源が少ない。しかもほとんどは車の中で、持ち出そうと思ったらさらに量が少なくなる。

 

嬉しい誤算その一。PMCの数がたくさんといっても五十人くらいだったことと、採掘場に逃げられたこと。

 

なにがヤバいかその二。

逃げこんだは良いけどここ、敵の本拠地やねん……。

 

はっはー、助けてみんな。

 

◇◇◇

 

 死ぬかと思った死ぬかと思った死ぬかと思った!

みんなの到着が間に合ってホントに良かった……! いやもう超ギリギリでしたわよ。先生たちの方にカイザーが分散してなかったら腕くらいは持っていかれてた気がする。

愛銃は壊れるし、仮面はヒビ入ってるし、服はボロボロだし……!

 

この仮面、マイスター製のやつほどじゃないにしてもかなり気に入ってたのになあ……。

でも逆にヒビが入ることでカッコよさが増してたり?

 

「なにこれ……」

 

狭い通路に反響して、聞き覚えのある声が耳に届く。

お! セリカの声! てことは……!

 

「これは……」

 

ノノミも!

ああ、アビドスのみんなを見るのは晄輪大祭ぶりだなあ。シロコも後で会えると良いなあ。

 

「ふむ……そうですね。これが『宇宙戦艦』で間違いないかと」

 

ヒマリ! 超天才清楚系美少女ハッカー、ヒマリ! ミレニアムのおもしれー女、ヒマリ!

エリドゥじゃ顔を見れなかったヒマリ! 早くこっちにおいで! 怖くないよ!

 

「中に入ってみようか」

 

あー、ヤバい。ニヤニヤしちゃう。仮面つけてなかったらヤバかったなこれ。

仮面の下からでも分かるようなニヤニヤ感は流石に出てないよね?

 

久しぶりだなあ、この感じ。カンナやルミ、レイジョたちと初めて会ったときとか、晄輪大祭とかこんな感じだった。

うぎゃー、緊張とニヤニヤで感情バグりそう。

 

搭乗口からホシノたちが入って来る。

よし、それでは。

 

「ようこそ、ウトナピシュティムの本船へ。私はユウキ。この船の案内人です。と言っても、そこまで多くを知っているわけではないのですが」

 

ロールプレイング開始でございます。




 テレスの愛銃はベネリM4とグロック17が元ネタです。
戦闘スタイルは臨戦ホシノに似ていますが、超が付くほどの下位互換となっています。

 エデン条約で使用していたのはKar98Kが元ネタの銃ですが、使える場面が少ないのでテレスはあまり使用しません。

テレス「できることなら遠距離からチクチクしていたい」
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