Vtuberの俺たちは他人同士になったけど、兄妹設定はやめられない。元義妹が今もお兄ちゃんと呼んでくれる件。 作:羽黒楓
放課後、クメタコーヒーにて。
武士郎と舞亜瑠、それに
すごいボリュームだが、うら若き高校生、夕飯前にこのくらい食うのも〝朝飯前〟だ。
「というわけで、私もVtuberになりたいと思うっす!」
小南江がアホなことを言い始めたぞ、と武士郎は思った。
「だってだって、マルちゃんと先輩、Vtuberやってんすよね? ええと登録者何人って言ってたっすか?」
「……俺は二万人くらい」
武士郎のチャンネルの登録者数は最近順調に伸びて、ついに二万人を突破した。
「すごい! で、で、マルちゃんは?」
「えー私? えっとね……55万人」
「ひゃーーーっ! 有名人じゃん! 私も有名になりたい! ね、ポチもそうでしょ?」
そう言われた星子は、穏やかな笑みで言う。
「んー。私はいいかな。
そうは言ってもなあ、武士郎は思う。
「でもさ、けっこう厳しい業界だぜ。それに、アバターを用意するのにも、お金も時間もかかるし」
なにしろ、ウン十万円はかかっているのだ。武士郎たちみたいに親の助けがなければ、高校一年生の
「え、先輩とマルちゃんのアバターはいくらしたんすか?」
「んー、まあまあしたぞ。あんまり大きな声で言うのもなあ」
すると、向かいの席にいた
そして耳に自分の手をあてて、
「じゃあこっそり教えて下さいす」
まあしょうがないか。武士郎は
すると
「ひゃうっ! えへへ、耳がこそばゆかったっす」
と言って身体を悶えさせた。
「おにいちゃーん? 何やってんの!」
武士郎の隣にいた舞亜瑠が肩で武士郎の肩をどんっと押す。
「ふふふ。武士郎くん。その子、私のモノだから、行動には気をつけてね」
笑ったまま鋭い目つきで注意する星子。
その視線が怖くて、武士郎は思わず冷や汗をかいた。
「でも、そっかー。そんなにお金がかかるんすねえ。じゃあ、ちょっと無理すかね」
「そんなことないよー」
舞亜瑠がちっちゃな手でかつパンに手を伸ばしながら言った。
「そりゃ、絵師さんに一から作ってもらって、となるとそのくらいかかるけど、出来合いのもの、特にほかの人と同じアバターが被っちゃってもいいなら、一万円以下でも買えるのあるよ。試しにそれでやってみて、うまくいくようだったら本格的に考えてみてもいいんじゃない? そういうテンプレのアバターでも人気出る人はいくらでもいるし」
「そうだな、結局は内容だからな」
俺も頷く。
舞亜瑠は小さな口でかつパンにかじりつき、
「うわ、これ大きすぎ……口に入らないよ……」
「そのセリフ、エロいよマルちゃん」
やめてくれ、と武士郎は思った。
目の前で女子高生がエロいことを匂わせる発言するだけでビビクンッ! と反応してしまうのが悩み多き男子高校生というものなのだ。
「ま、とりあえずその安いアバターでやってみるか? 機材とかソフトとか俺が持ってるから、俺んちでやればいいよ。
それを聞いて
「はい! それでやってみたいす!」
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