ロリリリサキュバスアシュラララ!   作:胡椒こしょこしょ

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割とタイトルはそのまんま


二人の淫魔、一人の男

~~~~~

 

〈唯木氏ヒネッタ@saitou_san$

白金阿修羅は今、新宿で一番ヤバい奴なんよ

新宿の中で一番喧嘩売ったらいけないんよな〉

 

⁅パンチ☆メンチ@pandhi_pama

返信先:@saitou_san

兄貴が白金阿修羅に喧嘩売って病院送りにされた

標識ぶん回して逃げるのに必死だった

おかしいだろあの化け物⁆

 

<唯木氏ヒネッタ@saitou_san$

返信先:@pandhi_pama

それは流石に嘘www>

 

≪かもめ@bird_birdbirdbird

新宿の方で花魁みたいな色っぽい女がビル横入ってくの見たわ

遠目だったけど、めちゃ綺麗な人だったと思う≫

 

〔ががばばば@kimyouna_monobakari

返信先:@bird_birdbirdbird

マ?

どーせなら声掛けてみればよかったのにw

つーかそれ、最近都市伝説になってる黒蝶大夫なんじゃない?

異偵に通報かぁ~?〕

 

〖長チンです( ´∀` )@dekachin_0721

返信:@bird_birdbirdbird

ただのホステスに決まってんだろボケwww

お前童貞のガキだろ

厨房は新宿行かずに家でマスでもかいてろwwww〗

 

〚ぽぱい@hourenn_sou9393

この前、路駐してタバコ吸ってたら大きな駐車場の方からなんか飛んでったの見たわ

あれってもしかしてフライングヒューマノイドか?

映像取ってたらバズってたかもしれないの惜しかったわ〛

 

~~~~~

 

 

 

 

「こンのォ、化け物がぁああああああ!!!」

 

怒声を上げると男はナイフを振り上げて....一目散に逃げだす。

 

立体駐車場。

男の耳にはもはや何の音も入らない。

鼓膜を揺らすのは、心臓の荒い鼓動と息遣い。

 

目の前の存在への恐怖は走っているのに、まるで足元が不確かであるかのように男を苛む。

手に握った人肌ほどのナイフの暖かみしか感じない。

しかし、暫く走ると背後で聞きなじみのある声が聞こえる。

 

「糞ッ、クソクソクソクソッッ!!畜生!!!なんで今日に限って....」

 

「タクさん、危ねェ!!」

 

男はハッとして振り返る。

 

瞬間、とんでもない速度で男の方へと飛んでいく消火器。

それを視界に収めたが最後、男の意識はその衝撃に刈り取られた。

 

「タクさぁぁぁん!っ、てンめェェ!!」

 

「おいやめろ!さっさとそれ抱えて逃げろ!アイツ、あの『白金(プラチナ)阿修羅』だ!!!」

 

3人の内、鼻ピアスを開けた男が自分の仲間を倒した相手に激昂する。

しかし、傍らでニット帽を被った男がそれを制止した。

なぜなら、目の前の相手と対峙するのはこの街で死を意味することに近いから。

 

まるで金糸をまとめ上げたかのような長い金髪。

一般男性が見上げるほどの高身長。

一昔前のレディースのように胸にサラシを巻いて純白の特攻服に身を包む一人の女性。

その容貌は美しいながらも、切れ長の瞳には剣呑な光が灯っていた。

 

「クッソ...なんでよりによってこの日に白金阿修羅に出くわすんだよ....。ただ商品を届けるだけの楽な仕事だと思ったのによォ....!」

 

ニット帽の男は鼻ピアスの男に持たせているアタッシュケースを一瞥して憎々しげに白金阿修羅へと視線を戻す。

一体自分たちに何のミスがあって、こうしてこんな化け物に目を付けられることになったのか。

それがまったく理解できない。

男からしたら、不条理なことこの上なかった。

 

そもそも目の前の存在も不条理なことこの上ない。

事情を知らなければ男からすればただの色っぽくて激マブなパツキンねーちゃん。

なんなら男の方が多い分、囲んで輪姦そうとしたかもしれない。

 

そんな不良少女のような格好の女が....背が高いとはいえただの女がだ。

消火器をまるで大リーグのピッチャーもかくやと言えるほどの速さで仲間の一人にぶん投げたのである。

その細く見える腕のどこにそんな力があるのか。

 

「なンだァ....なんだなんだなんなんですかァ~!テメェは一体何の用で俺らの前に立ってやがンだ...よっ!」

 

3人の中で一番若く、頭が軽そうな男が一歩前に出る。

首元に入れ墨を入れたパーカーの男はポケットからナイフを取り出すと右手左手と持ち替えて手遊びし、右手に強く握りしめて駆け出す。

 

「やめろっつっただろ!カジ!!」

 

「なにビビッてんすかゲンさん!相手は女一人で俺ら男三人、なっさけねぇ~スよぉ!それに女にあんな力があるわけねェ!なんかトリックがあんすよ!!」

 

人数差

そう叫びながら、女との距離を詰めるパーカーの男。

そのまま力任せにナイフを突き出す。

 

微動だにしない女。

そして、ガチンという音と共にパーカーの男の背後でカチャンと金属製の何かを落としたような音が響いた。

パーカー男は目を見開いて、ゆっくりと自分が突き出した腕を戻して手元にあるはずのナイフを見る。

 

ナイフがない。

そんな感想が頭に浮かんだ後、パーカー男はそれが間違いだとすぐにわかった。

柄は握っている。

ただ、刃先が根元からへし折れていた。

 

女の柔らかな肉を引き裂いたはずの刃。

力いっぱいに突き出した刃は、女の体に突き刺さりすらしなかった。

彼の背後でなった金属音は折れて空中に躍り出た刃先がコンクリートの地面に落ちた音だったのだ。

まるで岩でも刺そうとしたかのような感触に、男の頭は混乱する。

 

そんな不条理で残酷な現実。

しかし、すぐに今呆けているのはそんな『化け物』の目の前だと気づく。

 

ハッとした男の視界には、拳を握り締めて振りかぶった女の姿。

 

「ハッ、ハヒュッ.....」

 

その瞬間、ぐしゃりとした音が鳴った直後にニット帽の男と鼻ピアス男の間をパーカー男がかっとんでいく。

そして彼らの背後に停めておいた逃走用の大型バンの背面ガラスに突き刺さる。

ビービーと車の防犯アラームがけたたましく鳴り響く。

殴り飛ばされたパーカー男の顔は酷いもので、鼻は捻り折られて前歯はへし折れていた。

それは彼女の消火器を投げた芸当がトリックでもなんでもなく、彼女自身の腕力だから叶った事象であると証明していた。

 

「ハッ、ハッ、やべぇやべぇやべぇ......。」

 

「おい!...クソっ、貸せ!!」

 

「おわぁっ、ゲ...ゲンさん!?お、オイ....嘘だろ!?俺を見捨てんのかよ!そりゃねーだろォ!!?」

 

鼻ピアスの男は極度の恐怖で、ズボンにシミを作りながらガタガタと体全体が震えていた。

壊れた。

そう判断したニット帽の男は鼻ピアスの男があてにならず、このままコイツに構っていると共倒れになると考える。

そう思考を巡らせるが否や、ニット帽の男は商品の入ったアタッシュケースをひったくると大型バンの方に一目散に駆けていく。

背後で兄貴分と思っていた相手に見捨てられたと喚く鼻ピアスの男を置いて。

 

「へ、へへっ....コイツさえ届ければ、そうだ....アイツらが居ない今、報酬は全部俺のモンじゃねぇか。逆にラッキー、俺にまだツキは向いてる....。」

 

バンに何とか乗りこむと自分に言い聞かせるように男は呟く。

3人は仲間ではあるが、仕事で度々一緒になる程度。

男からすれば自分と同じクズで、地元の友達に比べればどうなっても良い人間だったからこそニヤリと笑みを浮かべる。

ボタンを押して、エンジンを掛ける。

 

「クッッソがぁぁあああああ、ああああああっっっ!!!!」

 

投げやりな鼻ピアスの男の叫びは、最後は悲鳴へと変わっていた。

そんな声を無視して、ニット帽の男はバックで停めていた車を出す。

駐車スペースから出てすぐに目の前に見えるのは、ぼろ雑巾のように横たわった鼻ピアスの男とその傍らで大型バンを真っすぐ見据える白金阿修羅。

 

なりふり構っていられないニット帽の男は、アクセルを踏みぬくかのごとくベタ踏みする。

 

「ヒッ...ヒヒッ....どけどけどけェ!いくらテメェでもデケェ車に轢かれたらおっちんじまうぞ白金阿修羅ァァァァ!!!」

 

まるで自分は冷静ですと平静を保とうとするも、彼もまた気が動転していたのだ。

そもそも白金阿修羅....彼女の危険性を最初に知っていた彼だ。

誰よりも早く精神的に追い込まれたのだ、気付かぬうちに鼻ピアスの男のように壊れてしまっていた。

 

瞳孔は開いて口元は歪み、肌は脂汗が流れる。

極度の興奮状態に熱に浮かされたかのように鼓動が早まる。

男はハイになっていた。

 

ただ、頭の中を巡っている思考は一つだけ。

ここから逃げる。

そしてその際には、苦汁を嘗めさせられた白金阿修羅を跳ね飛ばしてもう二度とこの化け物に会わなくてよいように....安心できるようにすると。

 

車はとんでもない排気音とタイヤの音と共に、みるみるうちに女に迫る。

常人ならこの勢いの車に突っ込まれれば、間違いなくただでは済まない。

跳ね飛ばされて空中で錐揉み回転した後に、とどめを刺されるかの如く硬いコンクリートの地面にたたきつけられて意識を手放すことになるだろう。

 

だというのに、白金阿修羅は腕を広げる。

そんな彼女にまっすぐ突っ込む車。

 

「...嘘だろ。」

 

しかし、車は女に接触するや否や止まってしまう。

厳密に言えば、タイヤは動いている。

空回っている。

メキッ、バキッと音が響いた。

男がフロントガラス越しに見たのは、女のこちらを見据える感情のない顔。

 

白金阿修羅は、車を受け止めていた。

それどころか、少し持ち上げ始めていたのだ。

破砕音に似た音が響いたのは、彼女が受け止めていた車を持ち上げんと力を入れたことで手をついていた車の外装が凹み貫かれたから。

 

「っ、おおっ...ぐぅぅ....おおおおおおおおおッッッ!!!!」

 

「ヒッッ、ヒィィ~~~~~ッッ!!」

 

今まで一言も発さなかった白金阿修羅。

そんな彼女の喉からまるで獣のような低く恐ろしい叫びが発せられる。

ギギギと音を鳴らしながらも、持ち上げられる車。

 

ガンガンと数度、車を地面に叩きつけるとそのまま力いっぱい反対側へと投げ飛ばした。

未だかつて、この立体駐車場でなった音の中ではもっとも大きいであろう轟音。

車はまるで駐車場内の外壁に突っ込んで事故ったかのような有様になっていた。

中ではエアバックが出ているものの、目の前で起きた事象の恐ろしさに耐え切れずニット帽の男が泡を吹いて気絶していた。

 

「....これか。」

 

バンの方へと歩み寄ると、ドアの窓ガラスがはまっていた部分を手で掴む。

ドアをむしり取ると、中を覗き込む。

そして、彼女は車内からアタッシュケースを取り出した。

 

 

「へぇ、なかなか派手にやってんじゃん。本当化け物染みてるね、お姉さま❤」

 

 

すると、彼女の頭上で幼い少女が嘲るような声が聞こえる。

声の聞こえた方向に視線を向けると、他の駐車スペースに停められた放置車両の屋根に一人の少女が座り込んでいた。

 

「....邪魔しに来たか、梨璃。」

 

「ちがうちがう。これでもワタシ、最近はそこそこまともに過ごしてるんだよ?ほら、わたしって男の趣味に染まっちゃうタイプじゃない??」

 

「知らねぇよ。」

 

「ただぁ~、通りがかったところで貴女を見かけたから尾けてきたって感じ?なんか最近調子乗ってるらしいし、どうしてるかな~って。<白金阿修羅>だっけ?ぷぷっ、ワタシたちの出自を考えたらお姉ちゃんはむしろ<脳筋淫魔>だけどね~。」

 

少女は口元に手を当てて、ぷぷぷ~と馬鹿にしたかのように笑う。

その仕草に苛立ったのか、女は目を見開くと咄嗟に足元に転がっているドアのサイドミラーを毟り取って少女の方へと投げつけた。

 

さっき男たちに投げたのと同じ速度の金属物。

幼い少女が当たればただでは済まない。

しかし、その少女は笑みを浮かべると車の屋根を蹴って飛び上がる。

 

少女の足元を通過するサイドミラー。

ふわふわと滞空する少女。

その背と腰元には、先ほどはなかったはずの蝙蝠染みた小さな羽と先端がハート形の悪魔のような尻尾が顕れていた。

 

「お~、こわこわ~wそんなに怒んないでよ。もう帰るからさ~。わたしも男と待ち合わせの約束してるし?あんまり焦らすと可哀そうだものね~❤」

 

「だから知らねぇって....さっさと失せろ。」

 

「えぇ~~w妹にかける言葉とは思えな~い❤もうちょっと丸くなった方が良いんじゃな~い?淫魔の癖につっぱってるから溜まってるのよ。貴女も男見つけるとかさ~?」

 

「余計なお世話だ。....目星は付けてる。」

 

「ふ~~~~ん?」

 

女の言葉を聞いて、少女はニヤリと口角を上げる。

そして、踵を返すと立体駐車場の外へと飛んで行った。

 

「....チッ。」

 

そんな後ろ姿を見ながら、女は舌打ちをする。

そして、右手に持ったアタッシュケースを地面に置くと中を確かめる。

 

「霊薬はちゃんと入ってる、....そろそろずらかるか。」

 

そう呟くと、アタッシュケースを閉じてその場を後にする

 

立体駐車場に残されたのはボロ雑巾のようになったガラの悪い男共と、大破した車だけだった。

 

 

 

 

 

 

朝。

デスクの上、液晶上では書いている途中の怪異の調査書に『kkkkkkkkkkkkkkk.....』と無意味な英単語の羅列が表示されていた。

...机の上で寝てしまったか。

 

「うぐっ.....。」

 

Kの羅列を消すと、椅子から立ち上がる。

変な体勢で寝たから、頭が痛い。

伸びをすると、身体からパキパキと音が鳴った。

 

とりあえず、習慣として携帯を手に取る。

どっか伝手を辿った人間からの依頼のメッセージとか入ってるかもしれないからな。

 

アプリを開けば、メルマガみたいなどうでもいいような物も含めて複数の垢からまばらにメッセージが送られていた。

その中でも、直近でチャットを送ってきたアカウントが目についた。

 

アイコンに映るのは小麦色の肌をした幼気な美少女。

挑発的に舌を出して裏ピースをしている。

アカウント名は『梨璃』。

 

 

寝起きで思考が纏まらず、ボッーと眺めながらメッセージを見ようと画面をタップした。

 

~~~~

 

『おはよ❤』

 

〈おはよう〉

 

『わっ、こんな時間に返信来た!

朝早くに起きてえらいね❤

お兄様❤』

 

〈どうも〉

 

『ほんとにねむそ~~

じゃ、眠気覚ましにコレ送ったげる❤』

 

~~~~

 

「眠気覚まし....?って、うおおおおおおおおっっっ!!!」

 

小麦色の肌をした幼気な少女。

そんな彼女が、エナメルピンクの煽情的な水着に身を包んで蹲踞の姿勢を取っている。

流し目でカメラを見ながら、指で作った輪を口元の近くで構えている。

その輪に自分の先端がハート形の尻尾を通し、その尻尾に目掛けて舌を伸ばしていた。

 

とんでもないエロ蹲踞だよコレ。

この年頃の少女がやったらはしたないなんてもんじゃない。

それどころか、成人男性のスマホから出てきたらお縄につくんじゃないかと思うほどの犯罪集。

蠱惑的な表情を浮かべる少女は大人の女性も顔負けの色気を放っていた。

 

こんなのがいきなり送られてきたらそら目が醒めるわ。

つつましやかながら成長の兆しを感じさせる胸に、むっちりと肉感的でエロティックな下半身。

それが少女とエロ蹲踞、エロ水着にアレの素振りといった要素のギャップが相まってこれだけで夜のお世話になるような画像だと言える。

ある種の退廃芸術、イコンと言えるだろう。

 

...ハッ!いけないいけない!

食い入るように見てしまった。

 

大人の男として、少女の裸体に食い入るのはいかがなものか。

そもそも良識を問う立場である以上、このような画像を送ってはいけませんと言うべきだろう。

 

~~~~

 

『どお?エロい?

起きた?』

 

『起きたかって聞いてんだろ

このクズ❤』

 

〈起きました

というかおっきしました〉

 

『キモww』

 

『あさって、コレ着てってあげる

楽しみにまっててね❤』

 

~~~~

 

こんな水着を着た幼い少女が、ここにあさって来る。

それって色々犯罪的じゃない!?

他の人にそんなロリを....しかもこんなませたエロガキ入れてるってバレたらどうなるか.....。

大家にバレるだけで社会的信用の喪失から退去を命じられてもおかしくない。

いや、でも悪い思いをするだけではないのは確かだし.....。

 

「待っててねって....え、えぇ...どうしよ....おわぁあああああっっっ!?」

 

目の前の事実に戸惑って考え込む僕の意識を、扉をガンガンと叩く大きな音が引き戻した。

それはこの前、昼の情報番組でやってた警察が暴力団事務所に訪れた映像を想起するような激しいドアノック。

 

「あ、ちょっ....ちょっと待って....!」

 

よりにもよってなタイミングで訪れた誰かの対応をする為に、携帯をそこらに放ると玄関へと向かう。

覗き穴から外の相手が誰かを確認する。

 

「うおっ....ながっ.....。」

 

覗き穴を見たらすっげぇ長い谷間が映ってる。

いかがわしい店かなんか?

嬉しくはあるけど、なんもわかんないんだけど。

 

ただまぁ、なんとなくこんな強いノックをしてくる相手には心当たりがあった。

なので、鍵を開けて扉を開いた。

そこに立っているのは純白の特攻服に身を包んだ長身の金髪女性。

切れ長の目つきと、整った容貌。

クールビューティーという言葉が頭に浮かんだ。

 

「よぉ、今日は早いお目覚めなんだな。こんな時間に行ったから待たされんかと思ってたけど、安心だわ。」

 

「お、おはよう。あの、近所迷惑にもなっちゃうからもっと優しくノックして欲しいんだけど....。」

 

「あ?....チッ、平手でやったっつーの。次はデコピンでノックでもしろってのか?あぁん?」

 

「さいですか....なんでもないです....。」

 

はぶてたように舌打ちをしたかと思えば、こちらに睨みを聞かせてくる。

その圧に、僕は目を逸らす。

そりゃ美人だし、知己とはいえ明らかレディースな女性に睨まれたらそうなるよ。

 

「いいからどけ。...おじゃましまーす。あっ、風呂借りんぞ。こっちは寝ずにアンタに会いにバイク飛ばしてきたんだからな。」

 

疲れた様子で首に手をやる彼女。

サラシが巻かれた大きな胸が揺れて、思わずそっちに目を向けてしまう。

グラビアアイドルとしてデビューしても天下取れそうな大きな胸だ。

疲れてるのも本当なようで、どこか汗臭い。

 

「今日は風呂だけ入りに来たの?」

 

「あ?ちげーよ。....これ、霊薬が入ってる。"トーカツ"に渡すのを口利きしてもらおうと思ってな。」

 

「あぁ....なるほど。」

 

どうやら用はあったようだ。

彼女は手に持っていたアタッシュケースを見せてくる。

霊薬か...呪物とか、怪異とかじゃないだけマシだ。

....にしてもどこから持ってきたんだろう。

 

「あ、おい。湯舟溜まってねーじゃん。」

 

「え?そりゃ、僕今起きたばっかりだし....シャワーで済ませ....」

 

「やだよ。今から貯めろよ。」

 

「えぇ....。」

 

即答....。

浴室の方に向かって扉を開けた後、彼女は僕に眉根を寄せて明らかに嫌がっている顔を見せる。

アレ、僕って家主だよね....。

なんで湯舟を入れさせられようとしてるんだ....?

 

「スンスン....つーかお前も寝汗で汗くせぇ。じゃ、こうしようぜ。今からお前は湯を貯める。オレは、オレの為に態々風呂掃除をしたお前を労う目的で身体を洗ってやる。」

 

「....あの、僕デリヘル頼んだ覚えないんですけど。」

 

「ハッ、プラチナアシュラだのなんだの呼ばれてるオレに向かってデリヘル呼ばわりとは大きく出たじゃねーか。やっぱおもしれーな、お前。」

 

目の前の彼女はニコニコと笑っている。

しかし滲み出るオーラから彼女が怒ってるのは明らかだった。

あ、やべっ....。

 

「あっ、いや....今のは違...力つよっ!やめっっ....!!」

 

「おら、とりあえず風呂行くぞ。さっさと掃除しろ...オレも手伝ってやんよ。」

 

そう言うと彼女はなぜか自分が僕にやらせているのに、恩着せがましい口調で手伝いを申し出つつお風呂場に僕を連行する。

新宿を始めとした街で『白金阿修羅』と恐れられている女傑....桐山羅々。

 

僕はどうやら、これから彼女と入浴することになるようだ。

なんで....?

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