主人公探してます   作:エドモンド橋本

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総力戦

 

 

 「分かっていたが、バケモンだな」

 

 レインのクラスメイト達はベイカーとの交戦を繰り返していた。皆優秀であり、流石にベイカーも分かりやすい挑発をする事はなかった。リーガスを筆頭にナックル、ラミスで近接戦を仕掛け、距離を取った隙にニール達が援護射撃を実行。ロイド、クロード、レオハルトは奇襲を仕掛ける。

 

 「何で当たらねえんだこいつ!?」

 

 「落ち着けナックル!」

 

 「こっちにも来る。リーガス!ナックル!」

 

 「どいつもこいつも鬱陶しいですね。しかし何故こうも的確なタイミングで……」

 

 ベイカーの頬を掠める勢いで飛んで来たのは、ニールの放った矢。彼の直ぐ側には、ベルが矢を生成魔法で生み出していた。

 

 「ニールさん!追加の矢です!」

 

 「良いか?俺様は外したんじゃない。あえて避けるように誘導したのだ!」

 

 「分かったのでさっさと射ってください」

 

 こんな時でもペースが崩れない2人に、周り思わず苦笑いを浮かべる。

 

 「流石に前衛陣が厳しくなってきましたね」

 

 「動けるのならリミネスとルメアの魔法が欲しい」

 

 「回復魔法が使えるカトリーナとマリアも」

 

 「レインの傷見ただろ!流石に厳しい」

 

 「おい!あんま前に出過ぎると狙われるぞ!」

 

 ベイカーを包囲する生徒達は休む暇を与えないと怒濤の勢いで攻め続けた。各々愚痴を零したり焦ったりと精神的に疲弊しつつあったが、どういうわけか、彼らが破綻することは無かった。それが逆にベイカーにとって煩わしく感じた。

 

 「いい加減諦めてはいかがですか?」

 

 ベイカーは苛立ちを抑えきれずに怒鳴った。しかし誰も退かない。諦める者は誰もいなかった。

 

 「貴様は友人を傷付けた」

 

 リーガスの冷たい声に、クラスメイトの皆んなも、思わず息を飲む。

 

 「そこまでする程ですか?付き合いは一年経たずな筈では?」

 

 「命をかけるのに、付き合いの長さは関係ない」

 

 リーガスは剣を握り直し、ベイカーへと剣先を向ける。

 

 「俺は、俺達は、友を見捨てる騎士にはならない!!」

 

 リーガスの咆哮とも言える大声に圧倒され、ベイカーは一瞬怯んだ。その隙を見逃さずリーガスは踏み込んでベイカーに斬り掛かる。間一髪躱すが、ナックルとラミスはそれぞれ左右から攻撃を仕掛ける。それを合図に次々と援護射撃を行い始める。ベイカーは流石の反射神経で避けた。

 

 「若造がこれ程までとは、興味深い」

 

 ベイカーはリーガスの剣を回避しながら余裕綽々と言った態度だった。

 

 「ですが、やはり退屈凌ぎにもなりませんね。そろそろ終わらせてしまいましょう」

 

 ベイカーが片手を上げると指の間に4本の短剣を出現させた。そのまま短剣を投擲する。しかし次の瞬間ベイカーの眼前に閃光が走る。咄嵯に回避行動をとり事なきを得る。閃光を放った人物へ視線を向けるとそこに立っていたのは鬼人族のモモカだった。赤い髪、鋭い一本のツノ、そして彼女の手には青白く光る炎に包まれた拳がある。

 

 「鬼火……ほう……」

 

 モモカは再び拳をベイカーに向かって突き出す。放たれた火球は一直線に飛びベイカーへ着弾する。爆煙とともに爆発音が鳴り響く。だが、そこには無傷で立ち尽くすベイカーがいた。

 

 「危ない危ない」

 

 ベイカーは笑みを浮かべる。

 

 「次はこちらの番です」

 

 「うぐっ!」

 

 そう言うとベイカーは手刀を構えモモカに接近し、彼女の腹部を目掛けて斬りかかる。モモカは紙一重でかわしたものの衝撃により体勢を崩してしまう。そこへベイカーの追撃が入る。辛うじて防御することに成功したモモカは、直ぐに後退する。合わせる様に前に出るのは狐の獣人のリン・ラッカー。人間以上の素早い動きでベイカーへ槍を突き出す。

 

 「ふっ!ハア!!」

 

 「速い、狐人種は厄介ですね」

 

 「やあ!!」

 

 「ですが甘い」

 

 リンの攻撃を難なく避けると彼女の腕を掴み、そのまま地面に叩きつけた。受け身を取れず背中を強打した彼女は苦悶の表情を浮かべる。

 

 「終わりです」

 

 ベイカーが短剣を振り下ろす。それを阻止しようと動いたのはリンの付き人のベアゴンとアンナだった。2人は間に入り込みベアゴンは盾を構えると彼女を庇う様に立ちはだかる。

 

 「ご無事ですかリン様!」

 

 「あ、ああ」

 

 熊の獣人であるベアゴンは、クラス一の巨体であり、巨大な盾とハンマーを構えて、ベイカーを警戒する。その隙にリンの側に駆け寄った兎の獣人のアンナ。リンやベアゴンと違い、兎の耳と尻尾以外は人間と変わらない姿だ。アンナは自分の膝にリンの頭を乗せると詠唱を始める。

 

 「癒しの風よ。傷つき者に安らぎを。母なる大地の精霊よ。かの者を癒やす為に汝の力を貸したまへ。癒しの光を」

 

 するとリンの身体が光り輝き始める。光が消える頃には、リンは素早く立ち上がった。

 

 「助かったわアンナ、ベアマン」

 

 「ご無事で何よりですぞ」

 

 「マリアさん達の様な回復魔法ではなく、応急手当ての様なものですので、ご無理なさらず」

 

 アンナの言葉に頷くとリンは武器である槍を持ち構え直す。そしてベイカーに視線を向けながら言葉を続ける。

 

 「さて、ここからだぞ」

 

 リン達3人の攻撃に、絶え間ないニールの援護射撃に思わず舌打ちをするベイカー。しかし、それすら捌き続けるベイカーに、致命的な一撃を与えることは出来なかった。長期戦による生徒達の疲労の蓄積が目に見えて分かる様になると、ベイカーは攻撃を辞め、生徒達から一定の距離を取る。まるで、彼らを見定める様に。 

 

 「……なるほど。予想よりも遥かに良く訓練されていますね。これは私の調査不足でした」

 

 そう言いながらも余裕があるベイカーに生徒達は警戒する。リーガスやナックル達は特に油断していない様子だ。それを見たベイカーは嬉しそうに微笑む。だが突然その表情が一変する。

 

 「……しかしまぁ」

 

 「……」

 

 「まだ舞台の端役が残っていましたね」

 

 そう言って彼はマリアとカトリーナを見る。彼女らは回復魔法を使える為、後方に待機している。そんな2人の背後に立つ影が一つあった。

 

 「レイン・エレジー」

 

 血塗れの制服を纏ったレインは、マリアとカトリーナの前に出る。ベイカーはそんな彼女をゴミを見る様な目で見つめた。

 

 「僕は台本通りにならないのが何より気に入らない。君は、死んでなきゃいけないのです」

 

 「ごめんね、人に恵まれたようだ」

 

 ベイカーの攻撃は、レインを死に至らしめるほどのものだった。彼女を立たせているのは、マリアとカトリーナのおかげだ。

 

 「ルメア、リミネス、大丈夫?」

 

 レインはゆっくりと振り返り、背後に立っていた2人に声をかける。先程まで不安そうな表情だった2人がパァっと笑顔になり返事をする。

 

 「全く、無理しすぎですよ。私は大丈夫ですから」

 

 「ええ、私も問題ありませんわ!」

 

 2人の言葉に、優しげに頷くレイン。そんな彼女を見つめるリーガスは一瞬レインと視線を交わす。

 

 「ナックル!ラミス!」

 

 リーガスは、彼女から何かを読み取ったのか大きな声をあげた。

 

 「もう一度突撃だ!!」

 

 「おっしゃああ!!」

 

 「ああ!」

 

 ベイカーはレインから視線を逸らさず、迫る3人の攻撃を最小限の動きだけで避ける。

 

 「モモカ!リン!裏を!!」

 

 リーガス達に続き左右から挟み込むようにモモカとリンが攻撃を仕掛ける。だがそれも簡単に避けられてしまう。すると今度はニールが矢を放ち援護に入る。ベイカーは舌打ちをする。

 

 「邪魔くさい!!」

 

 ベイカーの怒りが込められた一撃がモモカの脇腹に決まる。激痛により思わず呻き声を上げてしまう彼女を守るように前に出るベアゴンとアンナ。

 

 「大丈夫ですか?モモカさん」

 

 「こっちに!」

 

 2人はお互いの武器を構える。ベアゴンは背にモモカを隠し、ベイカーに対して大きく踏み込んで力強くハンマーを振るう。アンナはモモカを抱き抱えて後退する。

 

 「無駄な演技で尺を伸ばさないでもらいたい」

 

 ベイカーにとって、リーガス達の攻撃はもはや脅威ではなかった。しかしベイカーは、数多の攻撃を捌き続け、視界に映るレインの存在、目的のルメアに思考を奪われ。もはや気付いていなかった、自分が誘導されていた事に。

 

 「うおらあああ!!」

 

 「ハッ!」

 

 ナックルの拳とラミスの剣を躱したベイカー。それを見てニヤリと笑う2人。

 

 「今だ!ヨイチ!!」

 

 「御意に」

 

 今まで戦闘にも援護にも参加せず、住宅の屋根にて傍観していたヨイチ。彼は咥えていた煙管から口を離し、煙を吐き出す。ベイカーが町の噴水広場に出た瞬間、辺りは煙幕に覆われた。

 

 「視界を遮っただけで、勝ったつもりですか?」

 

 ベイカーは一切動じず、ゆっくりと目を閉じた。

 

 「(追い込んだつもりでしょうが、私に攻撃を仕掛けたくば、この煙の中を彼らも入って来なければならない。つまり、煙の流れが変わる。そこにいると居場所を教える事になる。愚かですね)」

 

 集中力を高めるベイカー。数秒後、彼の背後で煙が動いた。

 

 「残念でしたね!見えているんですよ!!」

 

 身を捩り、自身の背後にいる人影に短剣を突き刺した。しかし、人特有の肉に刺さる感覚は無く、硬く冷気が漂う物質の感触が短剣越しに伝わった。

 

 「氷の人形(アイスドール)?」

 

 ベイカーが短剣を刺したのは、人型の氷だった。

 

 「ええ、そうですわ。攻撃も出来ない。盾にもならない。特に戦闘、において役には立たない魔法です」

 

 どこからとも無く聞こえるルメアの涙交じりの声。

 

 「何を」

 

 「貴方が殺したお兄様が、大好きだと言ってくれた私の魔法です!!」

 

 ルメアの叫びを合図に、煙の中を、リーガス達が駆け回る。虚をつかれたベイカーは思わず身構えた。

 

 「だからどうした!!そんな事で僕は!!ッ!?」

 

 攻撃しては煙の中に消えるクラスメイト達に、もはやベイカーは冷静ではいられなかった。そんなベイカーの腕に一本の矢が突き刺さる。

 

 「ぐ!」

 

 「あ、当たりました!当たりましたよ!ニールさん!!」

 

 「まだだ!!」

 

 ニールは再び弓を引く。煙の中で混乱しているベイカーに向けて。

 

 「ッグ!!ふざけるなよガキがあ!!」

 

 ベイカーの太腿に二本目の矢が突き刺さる。苦悶の声をあげるベイカーに容赦なく放たれた三本目が肩に刺さる。

 

 「おらあ!!」

 

 「がふあ!!」

 

 ニールの矢を警戒していたベイカーにナックルの拳が顔面に叩き込まれる。モロにくらったベイカーは完全に体勢を崩し、リーガスとラミスの一閃が両脚を捉える。

 

 「ぎっ!!」

 

 両脚を斬りつけられてバランスを崩したベイカーは地面に倒れる。だが彼はすぐに立ち上がろうとする。そんな彼に飛んで来た青い炎。モモカを始め、リン達の追撃を受けるベイカー。もはや彼に余裕なんてものは無かった。

 

 「ふ、ふざけるな!こんなシナリオは!認められない!!」

 

 仮面は割れ、腫れ上がった顔の男は、裏返った声で叫ぶ。そんなベイカーの姿を見てゆっくりと近付くレイン。

 

 「騎士を目指す者として、1対多を卑怯と言われても返す言葉がない。それでも私はこれを正義だと胸を張って言うよ。あんたが奪って来た全ての為にも。あんたをここで捕らえる」

 

 「許さない。僕から全てを奪ったのはお前達貴族ではないか!!偽善者共が、また僕から奪うのか!!」

 

 ベイカーの周囲に渦巻く黒い瘴気。負の感情が彼の内側から溢れていく。

 

 「許せない。認めない。否定する。拒絶する!!全て滅んでしまえばいい!そうだ!そうだそうだそうだ!!あの日消した町の様に!塵一つ残さず燃え尽きろ!!」

 

 「おい!なんだよあれ!!」

 

 「取り敢えず一旦引け!」

 

 黒い瘴気はレイン達を飲み込もうと触手の様に伸びる。触れれば間違いなく有害だろう瘴気に身を震わせる一同。そんな彼らの前に立ったのはリミネスだった。

 

 「おい!リミネス嬢!」

 

 「リミネスさん!危険だ!!」

 

 心配するみんなに対して、一瞬だけ振り返ったリミネスは優しげに微笑んだ。

 

 「光の精霊よ!闇を払う光の柱となりて天へと昇りたまえ!!!」

 

 リミネスが詠唱を終えると同時に空から一筋の光が差し込み、ベイカーと黒い瘴気を飲み込んだ。光は徐々に大きくなり柱の様な形を作る。そして光の柱が収まるとそこにはボロボロになったベイカーが横たわっていた。

 

 「馬鹿な……なぜ……」

 

 呆然とした表情で呟くベイカー。レインはリミネスの肩に手を置くと、ベイカーの前に立つ。

 

 「ここまでだ」

 

 レインから放たれたたった一言にベイカーは絶望した。こんな小娘に、何も知らないガキに、ベイカーは負けた。

 

 【お父、さん】

 

 「ッ!!ふう!!」

 

 ベイカーはもはや叫びも喚きもせず、短剣を手にレインに斬りかかる。レインを守ろうと一斉にクラスメイト達が飛び出そうとするが、それよりも早く、レインは蛇行剣で短剣をいなしてベイカーの胸を斬りつけた。血を撒き散らしながら倒れていくベイカー。そんな彼を見つめながら、レインはルメアへと声をかけた。

 

 「ルメア、終わりにしよう」

 

 「ええ、氷の精霊よ」

 

 ルメアが詠唱を始めると、ベイカーの身体は氷に覆われた。瞬間、ガラスが割れる様な音が響き渡る。真っ暗で静かだった町に光が灯り、少しずつ住民の声が聞こえる様になった。

 

 「住民達の干渉を塞ぐ為の結界魔法だったのか?」

 

 「町1つ丸ごととは、なんて奴だよ」

 

 「それより、ベイカーの奴死んでねえよな」

 

 そんな言葉に、完全に身動きが取れない状態となったベイカーにマリアとカトリーナが近寄る。

 

 「今、魔法をかけましたので、死に至ることはありません」

 

 「ベイカーの方は大丈夫ですね。負傷された方はこちらへ!治療します!」

 

 終わった。これでベイカーとの戦いが終わった。ナックルやロイド達の勝利の雄叫びに包まれながら、レインは緊張感から解放され脱力し膝をつく。

 

 「レイン、大丈夫ですか?」

 

 「リミネス」

 

 レインの肩を抱いて、声をかけるリミネス。その表情はどこか複雑だった。

 

 「無茶、しすぎです。本当に心配しました」

 

 「あは、はは、そうだね、ごめん。みんなが来てくれて良かった」

 

 リミネスに支えられながら立ち上がるレインは、他のクラスメイト達にも感謝を述べようと治療チームの元へ向かう。

 

 「改めて、マリア、カトリーナ、ありがとう。2人のおかげでなんとか生きてるよ」

 

 「いえいえ、当然の事をしたまでです」

 

 「そうですよ。レインさんはもっと周囲の人を頼るべきです。一人で抱え過ぎてはダメです。私たちがついていますから」

 

 「……うん、ありがと」

 

 照れくさそうに顔を逸らすレインを見て、微笑む2人。それをどこか面白くなさそうに見ているリミネス。

 

 「み、みなさん!」

 

 広場に響き渡る声に、治療を受けていたリーガスや、声高らかに自分の活躍を語っていたニール、帰る準備をしていたリンなど、ほとんどのクラスメイトが視線を向けた。みんなの視線を集めたのルメアだった。彼女は両手を胸の前で握り、視線を泳がせながら、言葉を紡いだ。

 

 「みなさん、あの、本当に、ありがとうございました。それから、今までの、失礼な態度、本当に申し訳ございませんでした!」

 

 深く頭を下げたルメア。しばらく広場に沈黙が漂う。

 

 「ルメア」

 

 沈黙を破ったのはリーガスだった。ルメアは恐る恐る顔を上げるとリーガスは、ふっと微笑んだ。

 

 「君の兄上の件は知っている。だから、今回の件はそこまで気にする必要はない」

 

 「だな!オークキングの件についても、さっきの謝罪でチャラだ!」

 

 リーガスに同調する様にナックルも声を上げる。

 

 「リーガス様、ナックル様」

 

 「今後は私達のお茶会にも顔を出してくださいませ。ルメア様」

 

 「そうですね。是非ご一緒して下さい」

 

 マリアとカトリーナの言葉に目を潤ませるルメア。そんな彼女にリミネスとレインが近づいた。2人に気付いたルメアは、目元を拭って姿勢を正した。

 

 「レイン様、リミネス様、今までの無礼をお詫びします。レイン様には、その、かなり重症を負わせてしまい」

 

 「ルメア、傷ならマリアとカトリーナのおかげで何とかなったよ。傷は残るみたいだけど、そんなに気にしてないし」

 

 「レイン、様」

 

 レインの中で、ルメアの存在は変わりつつあった。彼女はそもそも自分に自信がなく、その自己肯定感の低さをどうにかしようと足掻いた結果があの態度なのかもしれない。そう思い始めていた。

 

 「王国騎士団である!!大罪人ベイカー・リッキーについての目撃情報を受けて参った!!」

 

 騎馬隊が町へと入って来た。モモカとリン達が見張っていた氷の元に騎士がやってきて話を聞き始めた。

 

 「帰ろうルメア。学校へ」

 

 「はい」

 

 レインが差し伸べた手を、ルメアは躊躇う事なく取る。もう片方のレインの手をスッと握ったリミネスは、何やら不服そうに引っ張っている。

 

 「怪我人レイン!おぶってやろうか?」

 

 「いいえナックル様、その必要はありません!」

 

 レイン本人ではなく何故か拒否したのはリミネス。そんな光景に和やかな気持ちにさせる一同。レインの隣にいたルメアはクスクス笑いながら、レインに手を引かれてついていく。

 

 「明日、怒られるのかな?」

 

 「あのベイカー・リッキーを捕らえたんだ!褒められるに決まってる!」

 

 「オークキングの時と違って、そもそも校則違反を犯しているからね、なんとも」

 

 「みんなでやったのよ。何も怖くないわ」

 

 騎士団が用意してくれた馬車に乗り込むクラスメイト達は達成感を噛み締めるのだった。

 

 

 






マリア・アドマン・ロール
侯爵令嬢。ゆるふわの金色の髪と優しげな顔の少女。正義感が人一倍強く。困っている人のために尽くしたいと考えているお嬢様。料理やお菓子作りが好きだが、立場上あまり多く出来ないことに悩んでいる。

カトリーナ
修道院で生活していた孤児。入学までは修道女として修道院で働いていた。現在も朝晩の祈りは欠かさず行っている。母の様な温もりと優しさから、プライドの高い貴族達からも好かれている。しかし、謎の多い人物でもあり、マリアと同じく回復魔法を専攻しているが、何故かクラス内個別戦闘成績はリーガス、ラミス、ナックルを置いて一位だった。

モモカ
鬼人族の姫に当たる少女。赤い髪と鋭いツノは鬼人族特有のもの。気が強く、喧嘩っ早い性格を治す為に、父親に学校に放り込まれた。戦闘訓練にてリーガスやナックルの強さに圧倒された事をきっかけに、2人を超える為に真面目に訓練に取り組んでいる。鬼火などの妖術を操れる様だが、あまり見せてはくれない。

リン・ラッカー
子爵家令嬢。狐の獣人であり、全身毛に覆われている。ふわふわの尻尾は、リリィやマリアから大好評。獣人には珍しく触れ合いに抵抗がない。たまにマリアやカトリーナに無言で近寄り撫でてもらうのを待っている時がある。

ベアマン
リンの付き人。幼い頃から一緒にいた為、尻尾の揺れを見て感情を読み取れる。二足歩行の熊の獣人でありクラス1の巨体。普段は温厚なのんびり家で、リンの事をすっぽかしてよく中庭で昼寝をしている。起きる頃にはリンを始めクラスメイト達の枕になっている。

アンナ
リンの付き人。元奴隷。リンに解放されて以降彼女の付き人として行動を共にしている。兎の獣人であり、大きな耳と丸い尻尾が生えているが、肉体的には普通の人間と同じ。綺麗な白い髪と大きな胸とヒップは学園の男子達の視線を独り占めしている。既にプロポーズを受けているがきっぱり断っている。

 
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