恐竜惑星とジーンダイバーのMOゲームを実況します 作:あーぷ
VWOにおけるメインシナリオクリア後のエンドコンテンツって、概ね二種類に大別することができる。
まず一つ目が、これまでも何度か話題に出ている対人戦。
そしてもう一つ。ランダム生成の高難度ステージを周回して、キャラクター強化を極めていくハック&スラッシュだな。
このうち後者に関しては、実況者自身そこまでやり込んでいないのであんまり詳しく語れない――対人戦の場においては各種装備品は強制的にダウングレードされて誤差レベルまで丸められるから、どっちもこなしておく必要性ってのは然程ないため――んだけども。
しかしこちらも本ゲームのエンドコンテンツであることは確かだ。今のうちに大枠だけでも、さらっと説明しておくことにしとこうか。
……うむ。お察しのとおり。
なんでまたいきなり、そんなことを語り始めるのかと言うとだな。
一応ステージボスであるはずの赤アーマーのフラウ・ニー。彼女を加減しつつボコってるってだけじゃ、正直言ってこれ以上、間を保たせられそうにないんだよねえ。
引き続きパターン入ってるフラウ姉さん共々。申し訳ないけど、今しばらくお付き合いの程、よろしくお願いしたいところであるよ。
とまぁ、そんなわけで。今話題に上った高難度ハクスラコンテンツ。正式名称『眠れる星の奥底へ』の舞台となるスポットは、とある太陽系惑星の、そのまたとある一衛星だ。
ストーリーの長さで換算するとまだ倍くらい先に位置する。VWOのワールド7、メインステージに抜擢されてもいるその衛星。
漆黒の宇宙空間にぽつねんと浮かぶ。まん丸い星の全体図をまるごと用いたステージ選択画面の、その片隅に。メインシナリオ進行中には侵入不可能だった一角がある。
そここそが、パーティリーダーの裁量で初期設定を弄ることが出来、いくらでも難易度が上げ下げ可能なスタンドアローン・エリアになっているんだな。
本ゲームのエンディングに到達後。一旦ワールド1のロビーに戻り、カーン総司令とのちょっとした問答(某衛星に異常が観測されたので調査を依頼する、みたいな有りがちなヤツ)を挟むことで、特殊エリアが満を持して開放される。そういう仕組みになっているのだった。
マップの進行度に応じて景観が移り変わる、起伏の激しい岩石地帯。ハクスラステージのビジュアルは、押し並べてそういった感じで統一されている。
道中の構造がランダム生成。かつ、画面が基本的にモノクロベースなため殺風景ではあるものの、生成されるマップ面積自体はかなりの広さを誇っている。
そんなステージに、肉入りパーティなり、ソロなり。NPC頼りのメンバーなりでいざ侵入。
すると、ジャギりっぷりが更に悪化した、既存ステージのコンパチ超強化敵キャラクターどもが、大挙してこちらに襲い掛かってくるわけだ。
敵側の編成は、率直に言ってまぁメチャクチャである。
各種古生物もいれば、人型もいて、混成軍団のきわみ。おまけに生息域の分類や、キャラクターごとの固有性すら曖昧とくる。
例えば、空飛ぶバシロサウルスと一緒になって、バン・ニーもどきが五体同時に攻めてくる。そんな非常識な侵攻WAVEが、平気の平左で飛び出してくるといった次第。
メインシナリオ完走後ということで、原作や地球史とのすり合わせを考えなくてもいい強みを精一杯生かしている……と、言って言えなくはないのかもしれない。
もちろん、実態としては単なる工数節約の手抜きだとは思うが。それはまぁ、言わないお約束ということで。
ともあれ。メインシナリオをクリアするまでに身につけた攻略用知識と腕前を総動員し、目の前の敵軍団にぶつかることになるだろう。
ワールド1に出てくるような雑魚敵だろうと。HPや攻撃力、防御力といったステータスは大幅に……具体的に言うと、だいたいラスボスの前座が勤められるくらいまでガッツリ引き上げられている。
個別の行動パターン自体は変わっていないのが、せめてもの慰めと言うべきか。
高止まりしているHPをちまちま削る持久戦。その果てに、何とかコンパチどもを全滅させると。連中はレアな装備品強化用アイテムや、カスタム用パーツの合成に用いる『ピース』をぽろぽろ落としてくれる。
特殊ステージに挑む、具体的な目標はそれら
規定数集めたピースと、既存の強化素材の山とを合成することでレア・アイテムないしパーツが完成。
ソイツと大量の所持金を一緒にして――当然、既存素材も所持金も全然足らなくなるため、以前のワールドに戻っての『稼ぎ』を並行してこなす必要が出てくる。そうした稼ぎ組に他のプレイヤーを便乗させることで、シナリオで詰まっているプレイヤーの救済役を兼ねさせていたりもする――ハルなり、ピラルなり。誰でもいいのでいずれかの拠点のエンジニアNPCに持ち込めば、自キャラの身につける各種装備品の品質を、一段と高めていくことができる。
武器と防具を一通り更新するだけでも、シナリオ攻略時とは人が変わったようなパラメーターが手に入る。
それらでもって、さらに高難易度に設定した同ステージに次々挑んでいく……といった感じの強化学習的ループ構造が、本コンテンツの大まかな段取りなのだった。
難易度を上げれば上げるほど強力なアイテム・ピースがドロップされ、装備時に付与されるパッシブ・スキル等、強化アイテムのバリエーションもジワジワ増えていく。
極論を言えば、いつまでだって潜り続けてキャラクターを延々強化し続けることが出来る。出来てしまう。
これまでのプレイ中でご覧になってきた通り。本ゲームって、ところどころアラはあれども。レベル・デザインに関しては概ね良くやっている。
適正水準の装備やレベルを事前にちゃんと揃えておく。そうすれば、ワールド単位にせよ、個別のステージにせよ。程よい火力と被ダメージ量に収束するよう、きちんとバランスが取られている。
某社製の3Dゲーム構築AIも、既に売り出しから年単位が経過した。公開当初、違法建築さながらに散々やりまくったバージョンアップは語り草だ。
今までの蓄積がしっかり反映されているんだな。おかげでシナリオとの擦り合せみたいなアナログ面はさておき。出力される作品につき、数字部分のさじ加減に関してはあんがいソツがなかったりする。
しかしながら、そうした
っていうかむしろ。バランスをぶっ壊すこと自体をエンタメに仕立て上げている、とでも言うべきか。
レアリティの高い装備品は、付けているパーツや強化Rankの数値、あと装備の組み合わせ次第で追加されるセット効果などによって、攻撃力の計算式にがんがんプラス補正が掛かるようになっている。
しかも本来の計算式に更に乗算するタイプの補正が多い。おかげさまであれこれと組み合わせを工夫するほど、出力される数字が加速度的に伸びていってしまう基礎構造になっている。
実際、例えば獣脚類キラー属性を付けた武器に、攻撃時のヒット数増加効果と対二足歩行ボーナスあたりを上乗せして武器本体も強化しまくると……ボス属性のティラノサウルスだろうとワンコンボで消し飛び。ワールド2のガストルニスとか、ワールド3のギラグールの雑兵あたりであれば、通常攻撃で撫でるだけで即死させられる。馬鹿みたいな火力を発揮できる。
他にも、攻撃速度の増加やディレイ減少を足し合わせていくことで雑にコンボルートを拡張可能。それによって自分のキャラクターに、曲芸じみた動きをさせられるようになったりもする。
立ちのぼるダメージ表示の数字の滝。一瞬で暗転する雑魚敵どものライフゲージ。
ボスが相手だろうと、一旦空中に浮かせてしまえば反撃を食らう機会はほとんどなく。あろうことか、二種類のスキルを交互に使うだけで永パに直行することも。
そんなぶっ壊れっぷりを、存分に味わえるよう作られているってわけだ。
好きな人は好きなんじゃないですかねえ、こういうの。
VWO元来のもっさり感から一挙におさらば。また、装備品との相乗効果を踏まえた上で、キャラビルドのカスタマイズを突き詰める奥深さも、そこそこ以上に多様性があるそうだし。
それでなくとも、バ火力曲芸アクションを傍から見ているだけで、笑えるシーンはそこそこ多いんじゃなかろうかと思う。
ただ……前述のとおり、もう片方のエンドコンテンツである対人戦時においては、
対人には公平感が求められる。ハクスラ進展度が双方で異なるってだけで、事前に大差がつくことを容認してしまうと、バランスもへったくれもないから当然の対応ではあるんだが。
しかしそうなってくると、とりわけ移動速度、攻撃速度の増加やディレイ減少なんかがプレイヤーにとっての枷となりうる。
動きの微調整やコンボのつなぎ。また自分と相手との間合いの取り方。そこらはいわゆる「指に馴染ませる」部分だからだ。
操作に変なクセが染み付いて、事実上、腕前の水準が落ちてしまうって可能性が危惧される。
なんで、対人戦メインの人間ならむしろやらない方が良い面があるし。そもそも自分はこの手のエンドレスミッションをわりと不毛だと思ってしまうタチでもあるから、元からあんまり触っていないって次第である。
もちろん、ハクスラと対人を両立しているプレイヤーだってたくさん居るだろうけどな。
そのあたりは個々人の好みと、柔軟性。それから時間的な余裕との兼ね合いだろうか。ま、要するに、
それじゃ、次は自分が主に嗜む対人戦。とりわけタイマン式の順位取り勝負、ランクマッチの解説に入る……っと。
そろそろ、向こうで、決着が付きそうだな?
ティルの裂帛の声が響き。ドリルがアーマーを砕いて肉をえぐる、不愉快な効果音がインカム越しに伝わってきた。
……んー。ランクマについてはまた今度、かねえ。そっちについては語れることが幾らでもあるから。このタイミングだと、流石に紙幅が足らなさそうな感じがする。
またぞろ、ゲーム画面上にピントを戻していくと致しましょう。フラウ姉さんもお疲れ様だ。
◆
『……まったく、業腹な話だよ。私がさんざん焦がれたものを引き継ぐのが。よりにもよって、妾腹のお前だなどというのはね』
ゴホガハと、深く咳き込む音が聞こえてくる。
引き続き、巨大戦闘艦の内部で相当距離が離れてしまっているこちら側からでは、あっちの実情をはっきりと伺うことはできないが。たぶんティルのドリルで土手っ腹に風穴を空けられ、格納庫の床の上に片膝でもついてるんじゃあなかろうか。
バンからすれば、都合二つ目の穴ぼこに当たる。なお、この後すぐに三つ目が空けられることになるだろう。
『だが、今さら言って詮無きことだ。私は賭けに負け、
アーマーのメットが外れる、かしゅっと気の抜けるような効果音。
深手を負ったことで、もはや勝負は付いたとみたのか。武装解除の上、勝者を見あげ、その処断を待つ。
わりと最後の最後まで生き汚かった原作中のバンからすると。異様に殊勝な振る舞いであると言えようさ。
『さあ、もう一度、派手にやりたまえ』
悪辣であり、しかしその一方で、生まれ持ったたぐいの超然さで振る舞ってもみせる。これはこれで、ティルの中で一種の理想化がされた、バン・ニーという男の姿ってことなんだろうかねえ。
確かに彼は権力欲に憑かれていたが、その我欲を、依然として自らの支配下に置いていた。
ティルにとっての目上の肉親として。せめて、そうあって欲しかった。
『そして、憶えておくのだな。お前は、今や、唯一残されたリャナンの後継。すなわち、あの家に立ち篭むしがらみや欲望、歴年を経るなかで、堆く積まれた荷を引き継ぎ……己が両手を汚しながら、先を踏み往く責務を負うのだということ。お前はもう、それを受け入れる他、なくなった』
『……どうして、こんな』
『なぁに。踏みにじり、その上に立つというのであれば。良きにつけ、悪しきにつけ、お前はそれを継がねばならないということさ。私という男の抱いたこの欲望をも含めてね。それに……己が爪をもって、我が身を抉っておきながら。下手人があやふやな
『……』
『このくらいの意趣返しは、させてもらっても構わんだろう? 確かに、先にお前を始末しようとしたのは私の側だし、そのことを詫びるつもりなどさらさらないが……それでも。先に屍を晒すはめになったのは、この私ではあるのだから』
たぶん、バンは笑っている。笑っていられる精神状態をしている。
人格はバンとはいえ、
『……まぁ、せいぜい達者にやりたまえ。因果な商売であり、ロクでもない綱渡りでもあるだろう。王家の血など、事実上、呪いにひとしい。しかし、それでも私が求め焦がれたその場所で、お前は、足掻いてゆく、ゆかざるを得んというわけだ。……さよなら、ティル。亡者とともに、地の底で待つ』
しばしの逡巡めいた無言の後に。もう一度、ドリルの始動音、続いて掘削音がインカムの向こうで響き渡る。
ごりごり、がりがり。ぎゅおんぎゅおん。
……うーむ、『ジーンダイバー』劇中でも聞かされた音だけど、地味にグロいなあ。何処狙ってるのか知らないが、絶対肉やら骨やらが上から順にこそげていってるよな、これ。
だいたい十数秒くらい経っただろうか。
次第にドリルの回転が止まった。フラクタライズ・エラーでジャギった生命体が消えてゆく、ノイズのような音がかすかに響き。そしてそれについてもまた、すぐに聞こえなくなっていった。
『バン……』
二度目の死に目においてすら、もはや兄と呼ぶことはない。
それでも、大いにセンチな気分にさせられたティル、といったところで。通信は、途切れた。
それじゃ、こっち側もフィニッシュといくかー。
悪趣味な時間稼ぎを強いられた、これまでの鬱憤を晴らすがごとく。最大コンボをブチ込んで、一気にフラウ姉さんを血祭りにあげてくれるぜ。
『バインド・ショット』でスロウ付与。スウェー攻撃からのドリアタでモーションキャンセルを掛けて、そりゃそりゃそりゃあ。
……なんか、やってること、リックくんの方がよっぽど原作のバン・ニーじみててゲスい気がするな。しかしまぁ、ここで彼女をブチ倒さないことには仕様上話が進まないのだ。已む無ーし。ゴメンネー。
「フッ……ティルを、頼む」
現時点でのフルコンボが入ってHPゲージが空っぽ。微笑みとともにそう告げると、フラウ・ニーの姿もジャギって掻き消えてゆく。
ステージクリア、リザルト画面へ。
さらば、フラウ姉さん。ありがとう、フラウ姉さん。
ここまで来ればもう、言うまでもないかとは思うけれど。
ワールド3は全般的にいわゆる原作再現。並びに、原作内容を踏まえた上で描かれる、キャラクター同士の発展的なやり取りをメインとしたお話がステージ中に詰め込まれている。
より正確を期すならば。『ジーンダイバー』前半のプグラシュティク事変と、『恐竜惑星』後半のギラグールとの全面対決。
原作ストーリーにおける個別のシチュエーションが、エラー症状を発した上でプレイヤー側に牙を剥いてくるのだ。
そうした渦中に登場人物たちもまた置かれることで、それぞれが何らかの個人的示唆を得る、という。ワールド3シナリオの基本構造とは概ねそういったものである。
また、シナリオ後半戦では今回のフラウ・ニーのように、プレイヤーキャラクターに近い挙動をするNPCが度々ボス敵や中ボスとして出てくるのであって。話自体の展開と並行して、このゲームのエンドコンテンツの片割れたる対人戦への導線という役割をも持たされているのだった。
……もちろん、その手の企図がちゃんと機能しているのかっていうと、かなーり怪しく感じる部分が無いではないが。
今回のステージ内容を見ただけでも、問題点は明らかだな。大筋がとにかくシチュエーション偏重な造りになっているせいで、どうも敵キャラとか、味方NPCとかの、性能面でのバランス調整が追っついていない感がある。
お話としてはソコソコ見どころがないではないのに。そのへんイマイチ実際のゲームプレイに反映されていないせいで、違和感が拭えない。
シナリオとシステム。それぞれにおいて一定水準の完成度があるにも関わらず、相互の擦り合せがヘタクソである。
これもまた、この手の量産ゲーを生成するスキームが陥りがちな、分かり易い問題点だと。そう言ってしまって良いだろう。
出来ることならとっとと改善して欲しいもんだけども……特定の生成ツールを用いた場合の傾向性として浮かび上がってしまう時点で、やっぱりこういうのって、何らかの技術的なボトルネックがあるんだろうかねえ。
アチラを立てればコチラが立たず。世の中ままならないもんであるよ。