恐竜惑星とジーンダイバーのMOゲームを実況します   作:あーぷ

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ゲンゴロウに危機きたる?

 

 

『その名もゲンゴロウだ! いいフネに相応しい、いい名前だろう!!』

 

 

 

 ……えーっとぉ? 名前のことはまぁさておき。リックくんからすると、たぶんワールド2のプグラメカの方が、どっちかと言えば居心地が良かったんじゃあないのかねえ。

 

 

 

 現実のクルマの乗り心地だって、車両が他国仕様のまんまだとあれこれ違和感が出てくるはずである。

 

 乗り手が常時手動運転にかかずらっていた大昔ならまだしも。臨時な生活空間としての役割が増大しきった今となっては、車内における居住性の良さが、たいへん重要視されているわけでして。

 

 

 

 ふんわりとした遠謀深慮。気配りの精神ってやつが求められる。どこのメーカーも未だローカライズに四苦八苦している。

 

 そんなふうに、他人種というだけで山ほど齟齬が出てくるんだから。他種族ともなればそれはもう、よっぽどだろうって感じがする。

 

 

 

 

 

 

 とはいえ、この『ゲンゴロウ』。

 

 メディア・ステーションの人工知能オペレーターである虎哲が、さっきから自信マンマンで推しまくっているコイツが、極めて優秀なベースキャンプ兼移動手段であるってこと。それ自体は言うまでもなく、疑いようのないことではあるんだけれど。

 

 

 

 航空に、水中。果ては宇宙空間まで航行可能と何でもござれだ。

 

 行き先に応じて何らかの換装を行う必要すらないという、ビックリ仰天な高機能性を誇っている。

 

 船舶としては、多機能探査船とでも分類するのが良いのかな。

 

 

 

 リックくんたちの現在位置がコックピットなせいで、今の画面からだとフネの外観を見て取ることはできないが。カラーリングは淡い黄色と薄紫色。全体的に丸っこくて風変わりなフォルムをしている。

 

 

 

 船体の大きさはプグラメカや、ワールド3後半にロビー兼母艦として使われたギラグールの航空巡洋艦『クロノ・キャリア』――『恐竜惑星』序盤で、船体下部の玉っころを使って恐竜を吸い上げてた、塗装が茶色い幾何学模様のアレだ――よりもかなり小さめだ。

 

 もっとも多機能、高性能を前提とするなら、むしろダウンサイジングにこそ技術力が求められるのが世の常。他種族と比べて基礎技術の発展段階が劣った描写がしばしば見られる原作ヒト種からすると、ほとんどオーパーツみたいなもんじゃないかとすら思えてくる。

 

 

 

 

 

 

 そんなゲンゴロウだけど、実は『ジーンダイバー』劇中では、コックピット以外の詳細な描写はこれといって為されていなかった。

 

 バックヤード部分がどの程度の広さで、そこにどんな施設が備わっているのかすら定かでない。

 

 ただ、ストーリー終盤の月面探索時に、備蓄されていたと思しき相当量の食料や水を引っ張り出してくるシーンが存在する。またオゾン層の形成が不完全なデボン紀以前となると、降り注ぐ有害な紫外線により、原則エウロパ人以外はうかうかと外をほっつき歩けない。

 

 原作で、主人公一行がそんな危険な時代にかなりの期間滞在し続けていたことを踏まえると。乗組員全員の生活サイクルを、閉鎖空間で当面維持する。それを可能とするだけの施設や物資が、機体のどこかしらにキチンと備わっているとみるべきだろう。

 

 

 

 

 

 

 実際、引き続きフロント・モニターに映っている、一面の岩石砂漠を見れば分かるように。現在外では、ペルム紀末期の大絶滅が真っ盛りだ。

 

 

 

 時刻はまだ正午前。にも関わらず、モニター左下に表示された計器類の数字を参照すると、外気温は摂氏50度オーバーで高止まりしている。

 

 真夏のサハラ砂漠並だと言っていい。そのくせ、酸素濃度はエベレストの中腹並の水準まで下がりっぱなしとくる。

 

 生存不可能とまでは辛うじて行かないものの、高度有機生命体にとって非常に過酷な環境であることは確実だった。

 

 

 

 そんななかで停泊しているにも関わらず。リックくんも、正面向かって右側の操縦席に着いているユイも、それぞれ気密性スーツを解除して、軽装のままでこの場に居られる。

 

 ゲンゴロウの住環境保持能力が一目瞭然。見た目は地味だが優れたプロモーションだと言えるだろう。

 

 

 

 そんな自他ともに認める名機のスペック解説が、コンソール中央部備え付けの通信機経由で行われていた。

 

 そして、その最後に虎哲からブチ上げられた一言が。冒頭のアレだったというわけなのだった。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 主役が大筋だんまりで進む本ゲームには珍しいことに。このタイミングで、画面中央に選択肢がひとつポップアップしてくる。

 

 YESか、NOか。つまり、ゲンゴロウは良い名前か否か? ってことだな。

 

 

 

 「YES」と答えると、虎哲の内部好感度パラメータが上がって、ステージ内での彼からの助言が要所要所で詳しくなる。

 

 「NO」だと虎哲に関してはそのまんま。一方、こっちを選んだ場合は、後ほど受けられるアキラ関係のサブクエストのひとつで、途中の手順をいくつかすっ飛ばしてラクをすることができる。

 

 

 

 今回の実況においては、サブクエストの大半はやらずにささっと駆け抜けるつもりでいる。そのため動画映えのことを考えて、この場は「YES」を選んでおくことにしよう。

 

『――そうだろう、そうだろう。ま、当然の感想だな!』

 

 満足げな虎哲の声。備え付けの通信機からノイズ混じりで聞こえてくる。

 

 対して、操縦席に座っているユイはというと、複雑な表情。なんていうか、微妙に引き気味な感じがなくもなかった。

 

「リックさん的にはアリなんだ、ゲンゴロウ……」

 

 

 

 芳賀唯。改めて紹介しておくと、彼女こそが『ジーンダイバー』本来の主人公である。

 

 ノンスリーブのジャケットに、ジーンズ製のハーフパンツ。ほんのり茶色がかったポニーテールと赤いリボンが特徴的。アキラ同様のローティーンで、年次はアキラと同じか、一つ下なのかな。

 

 大筋においては争いを好まない心優しい女の子なんだが、意外と行動力旺盛でもあって、言うべきことはしっかり口にする芯の強さを持ち合わせている。

 

 

 

 人類の未来を賭けて。ラスボスたるスネーカーと対峙した際の彼女の選択が、『ジーンダイバー』の物語を締めくくる、各種知性体にとっての重大な指針を導き出すことになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 ……さておき。原作での初お披露目のときからして、登場人物たち視点だと結構不評ではあったんだよなあ、ゲンゴロウ。っていうか、その、名前が。

 

 話のなかで繰り返し聞いてると、だんだん気にならなくなってはくるんだが。しかし良く考えなくてもまんま水棲の虫の俗名だし、語感にしたってどうにも無骨な感じが拭えない。

 

 

 

 劇中における乗組員四名のうち、二人が女性。もう一人も異星人としての特性上どっちかと言うと女性寄りと見られることを考えると、イマイチ配慮に欠けた名前だとされてもまぁ、仕方ないか。

 

 

 

 ついでに言うと、延々続いた虎哲の説明兼自慢話に、ユイとしては少々ゲンナリ気分でいるというのもあるかもしれない。

 

 今しがた流されたのはあくまで話の尻尾にすぎず。画面の向こうでは、結構な長口舌が繰り広げられていたようだしな。

 

 

 

 

 

 

 操縦席二つの間からやや後ろ。本来なら、ドライ・シックスが居るはずのスペースに突っ立っているリックくん。

 

 不満含みなユイの発言を受け。彼は片手を左操縦席の背もたれの上に置くと、いつもの軽い身振り手振りを行ってみせる。

 

「……ふぅん、そうなんだあ。通称とか、軍隊のコードネーム? だって考えたら。こういう名前でも、一応はそれっぽいのね」

 

 白く透き通ったヒゲを揺らし、リックくんが鼻面で小さく頷いた。

 

 

 

 互いの顔合わせについては、中生代ジュラ紀のギラグール基地と、ゲンゴロウとの間での超時空通信で事前に済ませてあったらしい。

 

 余裕のあるスケジュールを組めたおかげで。合流の際に、プグラメカのときのアレみたいな派手なトラブルも起こさずに済んでいる。

 

 おかげで新生代のときとは異なり、実際に会うのは初めてでも、既にある程度馴染んだ雰囲気が出来上がっているようだった。

 

「だけどメディア・ステーションって、軍隊って言うほど、物々しくはないと思うのよね。やっぱりこの子には、もっと相応しい名前があったんじゃないかしら? ホント、もうちょっと可愛くとかさあ、カッコいいとかあ……」

 

 

 

「うるさあああああい!!」

 

 ユイの愚痴をしっかり聞きつけた虎哲から、すかさず苦情が飛んでくる。

 

 通信機からの音声だけでは飽き足らず。ゲンゴロウのフロント・モニターが急に切り替わり、CGグラフィックの虎哲本体の姿が一面の大映しになる。

 

「わっ……」

 

 茶色いヒゲを蓄え、頭の左右には羽のような白髪を生やす。黒いボディにカラフルな電飾、オレンジ色の腕。ずんぐりした白い手のひら。ポリゴン数については総じて極端に少ない。

 

 首から上を真っ赤にして浮かび上がらせ、おもちゃのハンマーで、足代わりの円盤をピコピコやっている。

 

 

 

 見ての通り、20世紀末のチープさがそのまんまお出しされている感じだけど。これはこれで、当時の味が出ているってことでもあるのかねえ。

 

「今さらつべこべ言うんじゃない! ゲンゴロウはゲンゴロウだ、これまでコイツにどれだけ世話になったと思ってるんだ。だいたい、新入りに拠点に対するマイナスイメージを植え付けてどうする!! そういう日々の不徳の積み重ねが、イザ切羽詰まったってときのしくじりをだなあ……」

 

 

 

「だってぇ……。えっ?」

 

 ユイがもういちど後ろを振り向く。リックくん、またもいつものリアクションあれこれ。

 

 メインストーリーを能動的に進めるにあたっては、概ね話の勘所を付いていることの多い彼の「カクカクシカジカ」である。

 

 

 

 しかし今みたいなやや脇道に逸れた感じのシチュエーションだと、ロクでもないことを口に上らせてるってことも。あんがい珍しくないような気がする。

 

 仕事はいつでも真面目にやるけれど。意外とおちゃらけたというか、ユーモアがある方みたいなんだよなあ、リックくん、もといVWO主人公。一種の野次馬ちゃちゃ入れ気質、見方によってはわりとユカイなパーソナリティをしていると思う。

 

 

 

「あっ、良いわね、それ!」

 

 と、実際に彼から何事か吹き込まれたユイが、パッとした笑みを浮かべてみせる。

 

「あたしたちの側で、この子にニックネームを付けてあげればいいんだわ。実際に使ってるのはこっちなんだもの、もっと愛着の持てる名前で呼んであげるようにしたって、全然構わないのよねっ」

 

「こら、新入り! お前、どっちの味方だ!!」

 

 含み笑いめいた表情をするリックくん。たぶん「面白くなりそうな方の味方です」とでも言いたいんじゃないかね。

 

 ま、画面表示の上では、彼は相変わらず無言を貫いているんだけれど。

 

 

 

「いいじゃない虎哲。ゲンゴロウって元の名前も、ちゃぁーんと踏まえてあげるから」

 

 ユイが右手の人差し指を片頬の添えて、うきうき気分で考え込んでみせる。引き続き操縦席裏に立っているリックくんがブレーキを掛ける様子は一切ない。

 

「ギャリー? サービィ? んー……もう少し、可愛い感じのほうが良いかなあ」

 

 後者はゲンゴロウの英語読み、Cybister由来かと思われる。愛称は更に縮めてサビちゃん、てなところか。

 

 彼女の設定上の年代を考えると、あんまり出てきそうのない単語な気もする。これもリックくんからの入れ知恵かな?

 

「そんなケッタイな名前で呼んでも、オイラは絶対に返事なんてせんからな!」

 

 

 

「いいもん、こっちで勝手に呼ぶようにするだけだから。ティルとアキラには、後で新生代の拠点に通信を送っておけばいいし、ドライさんは、そのうちここに戻ってくるはずだから、そのときに伝えれば良くって」

 

 ゲンゴロウ改名計画。ユイ自身が本気かどうかも分からないまま、段取りだけがスルスル進展してゆく。危うしゲンゴロウ……の、名前。

 

「パックは……最近、忙しそうなのよね。どこにいるかも分からないけど、アキラに頼めば、超時空通信で伝えておいてくれるかしら」

 

 

 

 ……ところで。誰かひとり、欠けてるな?

 

 『ジーンダイバー』のメインストーリーにて、本来主要登場人物であったはずのもうひとり。あるいは、もう一機?

 

 

 

 別にユイが挙げ忘れてるわけでも、AIライターがヘマやったってわけでもない。こいつはこいつでひとつの伏線だったりする。

 

 まぁ、今すぐどうこうって話では全然ないから。当面のあいだは忘れておいても構わないが。

 

 

 

 

 

 

 ともあれ、これにてワールド4のオープニング・イベントは一区切りである。

 

 ワールド4からワールド5に掛けてのナビと、装備の強化に関しては虎哲に。アイテム購入とクエスト管理についてはユイにお世話になるって形。

 

 

 

 虎哲とやり取りするには、いちいち彼をゲンゴロウのメインモニターに呼び出していく必要がある。強化にあたってひと手間要るようになって面倒くささが増しているが……Rank5以降の装備強化と、特化武器の派生系が新たに何種類か、現時点で拡張的に追加されている。

 

 とりあえずこのシーンの後に呼び出すだけ呼び出してみて、伸びた派生ツリーのチェックくらいは、ざっと済ませておく方が良いだろう。

 

 

 

 ワールド2の後半から、ワールド3まで長らく活躍した獣脚類特化武器。古生代メインのワールド4になると、流石にコイツもほとんど役立たずになっちゃうからねえ。

 

 途中に何故か挟まっている三畳紀後期ステージ――ワールド1が白亜紀とジュラ紀に偏っていたので、ここに来て急遽埋め合わせって感じかね?――で雑魚敵として出てくる、初期獣脚類の[コエロフィシス]が辛うじてひっかかるくらい?

 

 現時点でもう虎哲にブン投げて、装備分解してもらって。別の特化武器のベース装備生成に使える素材に戻してしまっても、攻略上全然問題ないかと思われる。作成時に使った素材の六割くらいがリサイクル可能だ。

 

 

 

 ちなみにワールド4攻略にあたっての装備集めの指針としては……とりあえず、短期的には[単弓類]特化。中長期的に見ると[節足動物]特化あたりが有用かと思う。

 

 

 

 ただ、正直ワールド4まで到達したとなると。シナリオ進行度に沿って新たに追加される特化武器に関しては、出てきた端から全部作成し、手元におくようにした方が後腐れないかもしれないが。

 

 

 

 道中の雑魚の硬さも、被ダメージも、今後は加速度的に増していく。特に敵の硬さに関しては気になりやすい部分と言える。

 

 一匹倒すのに、平気でフルコンボ三回ぶんぐらい要ったりだとかするので。

 

 今までみたく。カタログ・スペックだけで選んだ一張羅でひたすらゴリ押しをするだけだと、どうしてもゲームのテンポが悪くなりがちなんだよなあ。

 

 

 

 複数の特化武器とか、場合によっては特化防具なんかも作っておいて、ステージごとに細かくスイッチする。そのために事前のひと手間を掛けておくのがモアベター。

 

 道中サクサク進めていけて、結果的に全体のプレイ感がよりスマートになるはずである。

 

 

 

 システムの理解度がプレイアビリティの明暗を分ける。本ゲームのワールド4っていうと、いい加減そんなタイミングだっていうわけだ。

 

 

 

 

 

 

 ……あ、そうそう。一応言っとかないと。

 

 今回初登場のユイなんだけど。彼女、これまでのフィラとかティルのように戦闘用NPCとしてカウントされることはありませんので、悪しからず。

 

 今後のステージ進行やストーリーの内容如何によっては、ゲンゴロウごとのジーン・ダイブや、同時代内での移動がしばしば挟まる。その際の航空操縦と援護射撃――ゲンゴロウには固有武装としてレーザーとミサイルが積まれている。ただし環境配慮のためどちらも威力は低め――が、彼女の主な役目とされているからだ。

 

 

 

 原作主人公の片一方が事実上の非戦闘員扱いというのが、釈然としないって方も居られるかもしれない。

 

 もちろん彼女自身の出番は常にある。しかしながら、やっぱりこの手の二次創作の醍醐味として。原作キャラ各人と最前線で共闘してこそだって意見にも、一定の説得力があるわけで。

 

 

 

 ただなんか、どうも聞いたところによると。ローティーンの女の子が、恐竜だの、ワニだの、巨大なムシだのにあちこち齧られまくるっていうのは、何かしら規制に引っかかるらしくて表現上無理くさいんだよねえ。

 

 それに加えて、他のキャラクターとの出番の兼ね合いって理由もあるだろうか。

 

 

 

 リソース的な調整に。シナリオ全体のバランス取りに。それからまぁ、大人の事情?

 

 単なる手抜きとかじゃなくて、ちゃんとした理由があるんであれば。それはそれで致し方ないんじゃないかと、個人的には思えます。

 

 

 

 変に藪つついて蛇を出しても馬鹿らしいからねえ、世の中。いつでも。

 

 

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