恐竜惑星とジーンダイバーのMOゲームを実況します   作:あーぷ

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混成チームの裏方事情

 

 

 てなわけで、ティモシーⅡ――『アンクル・ドン』呼びでも良いんだけど、どうも似た発音の単語が多いせいか読み取りづらさ(・・・・・・・)がある感じだから、本実況ではこちらで統一させてもらう――に乗り込んだ遊撃チーム。一丸となってワールド5のスネーカー対応編へ……とは、問屋が卸さなかったりする。

 

 

 

 一旦ワールド1~4の各地にとんぼ返りをしまして。クリア済みステージを再周するタイプのとあるサブクエストを幾つか、事前に消化しておく必要があるのだな。

 

 

 

 もっともこのサブクエ群に関しては、ワールド4冒頭のアイ・スーツクエストよろしく、クリアしないとワールド5自体に入場不可って形にはなっていない。

 

 いちいち寄り道なんぞしたくないってユーザーも少なからず居ることだろう。そうした需要に応えるために。サブを無視して直線的(リニア)にシナリオを進めていくってケース自体は、システム的にしっかり容認されているのだった。

 

 

 

 とはいえ、このクエやっとかないとゲーム体験が相当味気なくなってしまうので、ほとんどのプレイヤーは一通りクリアしてから次のシナリオに行っているんじゃないかと思う。

 

 身内で肉入りの固定PTメンバーが出来上がっているとか。NPCをパーティ・インする必要が一切ない場合なら、その限りでもなかろうが。

 

 

 

 

 

 

 つまるところこのサブクエ群は、「NPCを正式にPTメンバーとして扱うための事前準備」にあたる。

 

 ドライ・シックス、フィラとナオーのコンビ、ユキちゃん、ティルの各々につき。既存の4ワールドに一つずつ割り振られたサブクエをクリアする。

 

 それによって、今までみたいなステージごとに固定に参戦してくる外部NPC扱いではなく、肉入りPTメンバーの代用キャラクターとしてカウント出来るようになるってこと。

 

 PTメンバー解放クエスト、とでも呼ぶべきかね。運営側からの正式名称は特に設定されてないようだけど。

 

 

 

 今回の実況では他のユーザーと組んでシナリオを進める。いわゆるCo-opプレイの予定はない。そのためNPC連中がいないと、幾ら何でも画面が寂しすぎるだろう。

 

 ノスタルジーを味わうっていうコンセプトにも反している。原作登場人物たちとわちゃわちゃするのがこの手の二次創作ゲームの醍醐味と言えるのだし、ワールド5からは、ステージごとに面子を取っ替え引っ替えしつつ、なるべく全員に満遍なくご出場いただきたいところだな。

 

 

 

 

 

 

『あ、そうだ。リックさん、今、少し良いかな?』

 

 超時空通信の周波数合わせは済んでいる。ティモシーⅡの後部タラップに足を乗せかけたリックくんのインカムに、早速アッケラ缶からの通信が入った。

 

 立ち止まり、視線をいくらか後ろに傾ける。彼のインカムを内蔵しているパワード・スーツのメット部分は、備え付けのフードよろしく今は背中の側に下げられているが、その状態でも音声のやり取りはちゃんと成立するらしい。

 

 地味に付近への音漏れがひどいことになっているんじゃなかろうか。それか、音波の指向性に相当精度があるのかね?

 

『さっきフォロルのヒルム将軍から連絡があったんだけど……どうも各地で、ちょっとしたトラブルが起こっちゃってるらしくてね? 遊撃チームの準備が整うまでには、まだいくらか間があるはずだから、時間に余裕があれば、そっちのコトもいくらか手伝ってあげて貰えないかなァ』

 

 言ってからすぐに、定規型三角形のカットインとして表示されているアッケラ缶の表情が、パッと切り替わった。

 

『あァ、もちろん、お疲れだったらこの話は他所に持ってく。それにそこまで急ぐ話でもないみたいだし、また後で、タイミングが合ったらってことでも全然構わないよ』

 

 片手を半ばまで挙げ、曖昧な返事をするリックくん。

 

 今のやり取りの裏で、各時代にいる解放クエストのクエストスターターにそれぞれフラグが立ったわけだ。

 

 

 

 ワールド5の拠点たるティモシーⅡに乗り込んで、ムービーシーンからプレイヤー操作に戻った。途端にUターン。

 

 今しがたリックくんが入ってきた船体の出口部分。つまり、灰色のシャッターが降りている後部搬出口から、ワールド5のステージ選択画面に移る。

 

 

 

 画面右上のタブを弄ってー。以前のワールド1~4のいずれかに表示を切り替える。

 

 その状態のままで画面選択をキャンセルすれば、クリア済みの各時代の拠点へと戻ることができるようになっている。

 

 

 

 今さらながら、これって行き来によっては一瞬で何千万~何億年単位の時代を跨いでいることになりそうだ。

 

 物資不足、その中でも燃料の反物質がカツカツなせいで時空間移動に制限が掛かっているはずのVWOの設定と、どういうふうに折り合いを付けているのか。ビミョーに気にならないではない。

 

 新生代でのプグラメカぶっ壊れの顛末等々。節操なしなタイム・トラベルが可能であることを前提にすると、これまでのシナリオ、あちこちガタが来そうな感じがそこはかとなく。

 

 

 

 ……単なるゲームシステム上の都合なんだから言うだけヤボ? ごもっとも。

 

 

 

 

 

 

 

 別にどの時代ぶんから手を付けても一向に構わないんだが……ま、今回は分かりやすく。ワールド1からにしておくか。

 

 

 

 白亜紀前期のフォロル基地入り口に到着。さっきのムービーシーンでリックくんが居たのも同じ場所だったから、キャラクターの視点だと、エア・ポートから基地中央部に徒歩で移動したってだけだろうけど。

 

 ともあれ、システム的にはワールドを跨ぐことで、完全に別のフィールドへ移ったのは確かだ。

 

 Mキーで基地拠点の広域マップを開けると。通常、灰色の丸で表示されるはずのNPCアイコンのひとつが、明るい青紫色に光っているのが分かるかと思う。

 

 光量強め。しかもゆっくり点滅している。重要度が高いから、他のサブクエストよりも見分けが付きやすくしてあるってことだな。

 

 

 

 ちなみに、本来サブクエのマーカーは黄色で表示される。今回のプレイでは大半すっ飛ばしているせいで、見ての通り、あちこち黄色く光ったアイコンまみれだ。

 

 中身ひしめく一枚図。ワールド1フォロル基地の俯瞰図は、現状なかなか見た目がやかましいことになっていたりもする。

 

 

 

 

 

 

 リックくんの眼前に浮かんでいる、矢印状のナビゲーションに従って青紫アイコンの座標へと向かう。

 

 広域マップのアイコンにチェックを入れることで、勝手に目的地まで移動してくれるオート機能も実装されてはいるんだが。イマイチ精度が悪くて、たまに自キャラが壁の端に引っかかったりするから正直常用はお勧めしない。

 

 

 

 ……ああ、今回のクエストスターターは、ファルンだな。そういえばそうだった。

 

「あら、お久しぶり。元気にしてた?」

 

 ワールド1前半のナビ役として、彼女にも何度か出番があったが、忘れられてそうだし、ここで改めて紹介しておこう。

 

 

 

 ファルン・ニー・ファルン。フィラの妹で、フォロル軍の諜報部に所属する女性士官のひとりだ。

 

 フォロル族は総じて多産の傾向があるらしく、フィラには兄弟姉妹が24人もいるそうだ。そのうちでも、ファルンはフィラと年の頃が近く、もっとも仲の良い家族であるとのこと。

 

 

 

 その兄貴同様、彼女の顔の文様はほぼ無地に近い。額のところに細い逆三角形の紫ラインがあるってくらいか。

 

 赤いカラーのインカム付きヘルメットについても、特注らしきピラル用のそれとは異なり、見た目からしてシンプルな量産品を被っている。総じてビジュアル面にはこれといって特徴がないとも言える。

 

 

 

 とはいえ。少々線が細く、それでいてすっきりと整ったフォロル的風貌は、概ね異種族美人といって差し支えないかと思われる。

 

 

 

 彼女の『恐竜惑星』での登場は第二部の序盤。

 

 フォロルやギラグールにとっての「現代」にあたる時間軸において、萌にフォロル本国を案内していたフィラの口から、カタイの秘密基地(所在地は中国。今いる白亜紀前期基地も中国北部だから、おそらく地質座標的に見て近い位置にあるんじゃなかろうか?)で調査任務に従事する人間としてファルンの名前が挙がった。

 

 そしてその直後。彼女の勤務先であるカタイが、ギラグールの襲撃を受けたという報がフィラのインカムに飛び込んできたのだった。

 

 

 

 

 

 

 なんで秘密基地がいきなり襲われる展開になったのかというと。味方サイドの裏切り者であるフォロル族のマザー・シルが、諜報用の鳥型メカ(パスバード)経由で密かにギラグールへ情報を流していたことによるものだ。

 

 ワールド3最終ステージのギラグール本拠地戦。ボス戦開始前の演出として、第一疾走者に蹴り飛ばされて出オチしてたあのオバサンだな。

 

 

 

 マザー・シルは、ギラグールが建造していた事象改変システム『宇宙の眼』を乗っ取り……数多ある並行宇宙に、絶対的な太母として君臨することを目論んでいたのだった。

 

 肥大化した女性のエゴイズム。わりあいステロタイプな悪役の誇大妄想だが、そのためだけに全力で味方を売るとか、随分なことを仕出かしていたもんである。

 

 ギラグールはフォロルの抹消を目的のひとつとして『眼』を作っていたんだから。よっぽどコトが巧く回らなければ、普通に自分ごと問答無用で消去されてた可能性が高かったっていうのにねえ。

 

 

 

 

 

 

 そんな裏事情に基づく敵軍襲撃により、カタイの現地施設はあっけなく壊滅。その場に詰めていたファルンも生死不明となってしまった。

 

 しかし、同じくカタイに居たらしいピラルとともに何とか逃げ延びており。救助に赴いたフィラ&萌と後ほど合流に成功した。

 

 

 

 逃避行の途中で闖入してきた謎の巨大人類(ホモ・ギガンテウス)ドン・ジー・ロンをも交えて、泥縄の脱出劇を繰り広げつつ。ギラグールの巡洋艦を一隻掻っ払い、無事フォロルの本国まで帰還している。

 

 

 

 その後、『宇宙の眼』を巡って佳境に入っていくストーリーからはフェードアウトしてしまうため、チョイ役といえばチョイ役ではあるのかねえ。

 

 彼女についてはフィラから見て、妹分的なポジションが萌と被るせいでレギュラーに成りそこねた感がないではない。

 

 フォロル組トリオの空き枠は、直後に登場するナオーがあっさり埋めてしまった。そういう意味ではわりと不憫なキャラクターだと言えるのかもしれない。ファルンって。

 

 

 

 

 

 

「あなたの活躍は、近ごろ毎日のように耳にしているわ。すっかりウチの主戦力ね」

 

 目を細め、快活そうな笑みを作ってみせる。気さくで人懐っこいのは彼女たちフォロルに共通する性質なんだそうだ。

 

「兄さんやピラルと一緒に、遊撃隊に参加するのよね。各種族から選りすぐりを集めたって話でしょう? 責任重大ではあるけれど、この上ない名誉であることも間違いないはず。私たちのぶんも、どうか頑張って」

 

 

 

 ところで、と続く。今、時間は良いかしら? 出来れば少し、手伝って貰いたいことがあるんだけど、云々。

 

 さっきアッケラ缶から言われたようなことが繰り返される。その後も彼女から依頼の具体的なところを伺い、一通り説明が済んだあたりで、クエストの説明文書がポップアップで割り込んでくる。

 

 

 

 サブクエストお定まりの薄青色の画面表示。文面をざっとスクロールして、文末のOKボタンをジェスチャーでポイントすれば、ドライさんの解放クエスト、受注完了だ。

 

 

 

 なんで作品違いのファルンからドライさんの話が出てくるのかは大概ナゾだが……おそらく、ドライさん→ユキちゃん→カーン総司令→諜報部の元締めらしきヒルム将軍→更に何人か間に挟んでファルン、というふうに、依頼のタライ回しがあったんじゃないか。

 

 行き着いた果てで案件がダブついてるあたり。縦割り組織によくある、セクショナリズムの悲哀ってやつだろうかね。

 

 

 

 

 

 

「請けてくれてありがとう。このところ、どうも人員の割り振りがタイトなのよね。スネーカーの戦闘メカの絡みもあって、あのエウロパ人さんの護衛に相応しい腕前の人が、なかなか見つからなかったの。……悔しいけど私じゃ、この任務には力不足な感じだったから」

 

 つかのまネガティブな雰囲気を滲ませるファルン。でも、すぐに元の笑顔へ立ち戻る。

 

「わざわざ手伝ってもらうぶん、あとで事務方に掛け合って、達成報酬は多目に用意しておくわ。そっちなら私の得意分野。期待、しておいてね?」

 

 

 

 実際に彼女の言う通り、報酬はどっさり手に入る。HP回復ポーションとか、状態異常全般を解除できる万能薬とか。それはもう山ほど。

 

 解放クエの報酬は4つともそんな感じだから、一通りクリアすると、シナリオ終盤まで普段遣いに困らないくらいのヤケクソみたいな数が集まる。

 

 消耗品がメインなので人によってはアテが外れる――ぶっちゃけ、現状のリックくん的には装備品の強化素材なんかを貰えた方がだいぶん嬉しい。ステージギミックがネタバレしていて、被弾が減りがちな周回プレイだとポーション類はガッツリ余る――ことになるが、初周プレイヤーにとっては概ね有り難い支援物資だと言えるだろう。

 

 

 

 特化装備の制作費用が高くつくせいで、ワールド4からこっち、そろそろクレジットが底を付いてくる頃合いだしな。

 

 金勘定は今あたりが一等シビアになっている。収入の増え方以上に支出が伸びる。いわゆる収支ギャップがピークに達するタイミングだからだ。

 

 単に実入りも払いも渋いってだけの序盤よりも、だいぶん懐事情が厳しくなっているはず。ステージクリアで得られる実入りを、消耗品に回さずに済むのなら、それに越したことはないだろう。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 さてと。NPC解放クエスト各種については、大筋だけっていうか、ダイジェストみたいな形に留めておきますかね。

 

 本クエストに用いられている過去ステージは、概ね以前クリア済みのものの使いまわしである。

 

 マップの要所要所に多少の追加や改変があるってだけだから。てっぺんから足先まで、通しで実況するほどでもないように思う。

 

 

 

 クエストごとに指定されたステージに、ロビー入り口からいつも通りに入場する。マップ内部のどこかしらで、所定の目標を達成することでクエストクリアの運びとなる。

 

 言ったとおり、ステージの全体構成はシナリオ攻略中と大筋変わらないが、進行中のオペレーターの発言や、マップ内での味方NPCの配置、それから一部敵のPOPするポイントやパラメーターについてはところどころ変化が見られる。だいたいそんな具合で各解放クエストは進行していく。

 

 

 

 

 

 

 まず、今しがたファルンから受注したドライさんのぶん。

 

 ワールド1-5。最終面ひとつ前の、白亜紀末期ステージがクエストの目的地となっている。

 

 

 

 地質座標はインド亜大陸の荒原地帯。通常プレイだと、マップ途中でちらっと出てきて遠巻きにしたまま通り過ぎるだけのオブジェクト。『超高密度超質量物体』の調査を手伝う、というものだった。

 

 

 

 超高密度、超質量物体。おそらく虎哲の命名であり、移動要塞勤務のプグラシュティクのモブオペレーターは、超高密度、超高温物質とも呼んでいた。

 

 どっちにしてもまぁ、わりとテキトーなネーミングではあるかな。

 

 登場は『ジーンダイバー』第一部終盤。デカン・トラップの大噴火を誘発させるために造られた、スネーカー謹製の巨大ギミックのひとつにあたる。

 

 

 

 作中初めて目撃したティルが、パワード・スーツの内蔵機器を用いて分析した見立てだと、組成には[ウラニウム]が絡んでいるって話だった。

 

 しかしながら、濃縮ウランってだけじゃあ劇中の描写にはまったく説明が付かない。あの深い緑色をした玉っころにつき。実は具体的なところは、何一つ定かでなかったりする。

 

 

 

 正直言って、作中人物の発言を振り返ってみる限り……みんながみんな、力技で『物体』の存在を「こういうもんだ」と押し通そうとしていたように見受けられる。

 

 つまり同じくスネーカー製のギミックの、三畳紀の高温乾燥化の原因となった『巨大宇宙レンズ』や、ペルム紀の寒冷化を引き起こした『極冠カーテン式ラジエーター』。そっちやらと並べてみるとやや無理筋、SF的に見て考証に難があるってことなんだが。

 

 

 

 ただ、その一方で。このオブジェクトこそが、作中で進化への介入者(スネーカー)の実在を匂わせる最初の物証のひとつだった。

 

 白亜紀の自然の中に突如として現れる人工的、ないし無機的な見た目のおどろおどろしさも相まり、視聴者に与えたシナリオ上のインパクトはたいへん大きかったに違いない。

 

 

 

 本『物体』や、同時期にこれまたティルが目撃することになった羽虫のようなウイルス・ベクター・メカの登場。

 

 それらによって物語はバーチャル世界の時間線上におけるヒトとプグラシュティクとの小競り合いという枠組みから脱皮を果たし、世界創造者とのコンタクトという、より一層大掛かりなスケールへと広がりを持つ。

 

 ある意味、『ジーンダイバー』というストーリーの、唯一無二の転換点に位置する。そんなオブジェクトでもあったわけだ。

 

 

 

 

 

 

 とまぁ、その『物体』傍でやることはと言うと。超絶簡略化版のタワー・ディフェンスって感じのミッションだな。

 

 緑まばらな荒野をゆく。かつては白亜紀後期まで生き延びた[剣竜類]最後の生き残りとして持て囃され、本当のところは[首長竜]の化石を無理やり組み替えたものだったという[ドラヴィドサウルス(英)]なんかが襲ってくるので蹴散らしつつ――同じく作中だとゴジラみたいな描写をされていた超巨大肉食恐竜[ブルハトカヨサウルス]も、本当は竜脚類の一種だったらしい。部分的な脚部の骨換算で、ぜんぜん異なる形態のサイズを推定するというめちゃくちゃなことをやっていたそうだ。[シヴァ・クレーター]のヨタ話なんかも含め、往時のインド絡みの地質学は、やけにこの手の大らかすぎるエピソードが多い――ステージを途中まで進める。

 

 

 

 するとそのうち、『物体』の前でしゃがみ込んでいる、ドライ・シックスの姿が見えてくる。

 

 

 

「来てくださって有難うございます、リックさん」

 

 近づいて、彼に話しかけることでミッション開始の運びとなる。

 

「今回の調査には少なからず時間がかかり、その間、私はこの観測機の操作を行い続けなければなりません。未だにこの場所は、フラクタライズ・エラーの局所性が強度を保っている状態にあります。今しばらく、周囲の警戒をお願いします」

 

 

 

 そう言われるが早いか。いきなり周囲の荒野の岩陰から、体長5メートルほどの中型獣脚類、二頭のアベリサウルス科[コンプソスクス]が現れる。もちろんどちらもエラー発症済み個体だ。

 

 再び『物体』の前でしゃがみ込み、キャリーバッグくらいのサイズの計器を忙しなく弄り続けるドライさん。彼めがけて何故か執拗に襲いかかってくるこの二頭を、ひたすら撃退するのが当座の目標になってくる。

 

 

 

 

 

 

 下目レベルで異なる([ケラトサウルス下目])くせに、CGモデルとしてはステージ1のシャオキロン(こっちは[テタヌラ下目]で、両下目が分岐したのはジュラ紀だから、たぶん両種が進化上分かたれてから一億年くらいは経っているはず)から、前腕を縮小させただけだったりするこのコンプソスクスども。

 

 

 

 ウロコ肌が赤いコンプソA。青味を帯びているコンプソBともに。ある程度ブン殴ると怯んで明後日の方角へと駆け出して行くんだが、どっちもしばらくすると、ケロっとした顔でこっちの方まで舞い戻ってくる。

 

 その際減らしたはずの体力ゲージも、綺麗さっぱり元通りだ。つまり、事実上の無限体力。

 

 

 

 一定時間、手を変え品を変え襲ってくるヤツらを延々退け続ける必要があるわけである。「かわいらしいワニ」って名前のくせしてちっとも可愛げがありゃしない。

 

 とはいえ、攻撃力などステータス周りのさじ加減や、行動パターンの複雑さは概ねコピー元(シャオキロン)と同じ。

 

 つまりワールド1基準であって、今となっては別段難敵って程ではないんだな。単純に耐久バトルを強制されるせいで、ひたすら時間が掛かるってだけだ。ミッション自体の面白みはさておき、適当に戦っていれば問題なくクリアできるため、難易度:低。

 

 

 

 

 

 

 次。フィラ+ナオーの二人組はワールド2。

 

 新生代の第5ステージ。450万年前の鮮新世、北アメリカが目的地だ。

 

 

 

 『ジーンダイバー』第一話の再現スポット。秋めいて草木色づく、森と森との合間に開けた草原マップにて。

 

 エラー巻き込まれ組の[ヘミキオン(英)]の子どもを助けようとしてゲンゴロウから飛び出したユイを保護するため、三人揃って急行するっていうのが主な筋書き。

 

 

 

 犬っころを助けるために危機に陥るってあたり、原作第一話に加え、ユイがスネーカー戦の精神攻撃を食らったときのシチュエーションもいくらか混じっているのかな。

 

 もっとも、ヘミキオンって分類上犬じゃなくてクマ公なんだけども。[イヌ亜目]、クマ下目、クマ上科。名前の意味が「半分イヌ」ってあたり、原作ともども、何とも絶妙なところを突いている。

 

 

 

 ドライさんの方がタワー・ディフェンスもどきとするなら、こっちは簡易式のスピード・ランみたいなもんだろうか。

 

 画面左上に表示される赤タイマーの制限時間内に、ステージの特定ポイントまで辿り着ければ目標達成となるわけだ。

 

 

 

 前向きが二本、後ろに柔らかめ(オシコーン)のもう一本。キリンの近縁ともされる三本のツノの古代ウマ、[クラニオケラス(英)]やらが引っ切り無しに突っ込んでくるのをあしらいながら、イネ科ススキ属がメインとなった草原地帯を進んでいく。

 

 別に、フィラやナオーをキチンと誘導したりする必要はない。どっちも放ったままガンガン先に行って構わない。

 

 NPCとの距離が空きすぎると、ちゃんとプレイヤーの近場でリスポーンする仕様になっているので。

 

 

 

 ……このへん、アプリ生成疑似人格(ディレクター)の擦れっ枯らした良心のようなものが窺えて、生暖かい気持ちになるよなあ。

 

 仮に、このクエストの目標が「NPC二人を制限時間内にポイントまで辿り着かせる」だったなら。

 

 右往左往するNPCの介護に大わらわ。プレイヤー各人から怨嗟の声が上がりまくるのは、ほぼほぼ間違いなかったろうって気がするぞ。

 

 

 

 Artificial Idiot再びの悪夢は、NPCの不自然なワープ航法によって辛うじて回避されているわけだった。

 

 絵面の一貫性よりユーザビリティを優先する姿勢には拍手を贈りたい。世の中、変なコダワリでプレイヤーに不便を押し付けるケースのなんと多いことか。

 

 それはそれとして、利便性優先をやりすぎると絵面が雑すぎてシラけちゃいかねないから、我儘目線なユーザーとしては、程々にして欲しいとも思いはするけど。

 

 

 

 

 

 

 そのあたりの配慮も加味して……難易度:中ってところかねえ。

 

 難しいとは言わない。しかしかといって、欠伸が出るほどイージーってふうでもなく。程よい湯加減だ。

 

 

 

 ただ、ワールド4クリア時点の装備充実度で考えた場合。安全策を打ってのんびりマップを進めていると、ギリギリ間に合わないってくらいの調整にされていたんじゃなかったか。自キャラの使用種族や強化段階にもよるだろうけど。

 

 

 

 この手のゲームでは、ステージ進行に伴って出現する敵を逐一捌き続けることになるゲーム・フォーマット上の必然性により。自キャラの継続火力(DPS)を一定ライン以上に引き上げられるかどうかで、クリア速度に雲泥の差が生じてくる。

 

 そのため、ゲームのシステム側からシビアに急かされるのが苦手ってプレイヤーは、武器をもうワンランク強化して、攻撃力を幾らか上積みしてから挑んだ方がいいだろう。

 

 先のワールド5を事前に何ステージかクリアすることで、次ランク用強化アイテムを規定数集め、Rank7武器を先回りして一本用意しておく。そうすることで、ヘミキオンの子どもとユイがいる目的地までのタイムを、大幅に短くすることができるはずだ。

 

 

 

 それか、マップの森林部分で襲いかかってきて、倒さないと先に進めない体長1.2メートルほどの[ピューマ属]の古代種――ピューマとジャガランディ、それからもしかするとチーターとの共通祖先にあたる――を手っ取り早く片付けられるよう、[食肉目]特化武器を事前に仕立てておくかか。

 

 

 

 ここ以外に使い所がもうほとんど残っていない一振りである。せいぜい、某ハクスラ系エンドコンテンツのごく一部の階層で使えるかなあ? ってくらい。労力に見合ってない感は非常に強いが。

 

 ただそれでも、仮にプレイヤーがコレクター気質のユーザーであれば。つまり作れる武器防具はなるべく作って揃えておきたいってタイプなら、ま、一考の余地ぐらいは出てくるんじゃないかと思う。たぶん。きっと。

 

 

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