恐竜惑星とジーンダイバーのMOゲームを実況します 作:あーぷ
はてさて、次なるユキちゃんの解放クエはワールド3。
用いられるは最終ステージ、ギラグール本拠地攻防戦の後編である。
解放クエの中でも、コレだけは処理がやや例外的。クエスト受託中はステージ道中が完全に省略されてしまい、いきなりボス部屋直前に、ユキちゃんと揃って放り出されるようになっている。
要するに、トチってしまっても即座に再挑戦が可能である。リプレイ性が明らかに重視されているってことだ。
その手の配慮がしっかり図ってある時点で……およそ、難易度:高が察せられちゃうシチュエーションでもあるわけだな。
場所が場所なだけあって、クエスト目標は明白だ。
ギラグール本拠地、中枢部の屋内。半透明な紫色の球体に包まれた恐竜たちの生首で構築される、タワー状の不気味な構造物。
不確定原理を用いた事象観測機械、『宇宙の眼』がそびえる大広間にて。
片膝立ちで待ち受けるワールド3のラスボス。攻防戦ステージの前編ラストでラプターに手傷を負わされながらも、未だに気合十分なギラグールの首領、第一疾走者を打倒すること。
……なんだけど。単に彼女を倒せばそれでいいってわけじゃなく、ユキちゃんのHPを6割以上保った状態で、という達成条件がくっついてくるのがもう、非常にツラい。
絶賛続投中のユキちゃんポンコツAIも相まって、本ミッションの事故りやすさは天井知らずだと言っていい。
機動力の高さを活かしてしまって突出しがちな彼女が、不用意に飛び込んだところで相手の対空技に引っ掛けられる。
そんな良くある光景を2~3回繰り返すだけで、体力ゲージが60%を割るため。事実上、プレイヤーひとりで第一疾走者を完封するというハードモードを強いられる。
以前のフラウ姉さんみたく、パターンに嵌めることも出来ない。比較的動きにムラの大きい第一疾走者のAIが、ヌルいアルゴリズムを選んでくれるまで、延々試行回数を重ねる以外に道がないのだった。
やめてくんないかなァ、こういうの。
シナリオの順序を考えると、当然誰もが一度は勝っている相手ではあるし? ワールド4を丸々乗り越えた今、こっちの装備も一段上に強化されているから、やってやれなくもないはずとはいえ。
それにしたって、解放クエの2つ目でフォロル組とユイに見せたばかりの気配り精神は、いったいどこへやってしまったのか? 一貫性を維持してくれと言いたくもなります。ホントに。
ちなみに、本クエストのシナリオ上の建付けだが。ユキちゃんのイメトレというか、ギラグール基地にある専用機材を用いたシミュレーション・バトルに付き合う、といった体裁らしい。
ワールド3後半のプレイヤー拠点であるクロノ・キャリア。あれの操舵を勤めているギラグール副官――肌色に緑味を帯びた、赤い二本のツノが目立つ仮面を被った男だ――から、此の度の彼女の行いについて、雑感を伺うことができる。
「今一度、狩人としての腕前を磨き込む。先ほど閣下が求めたのは、つまりそれだ」
みたいなことを副官はのたまう。さも当然だとでも言わんばかりに、淡々とした口調でだ。
「いったい、何を疑問に思うことがある? 個人単位での戦闘能力が求められるこの緊急時。閣下の有り様は我々や、お前たちの目的にも適っているはず。お前も、あの方の後に続くがよい」
常に正しき道を、ってかあ?
連中の次期首領候補として。上役自ら更なる強さを追い求める、というのは、彼らの価値観的には普通にアリのようだ。
あっハイ。左様でございますかって感じの、投げ槍モードになる人も多いだろう。いわば他所様が勝手にやっておられることでしかないわけで、こちとら後に続いていいのか、イマイチ判別が付かないぞ。
……もちろん、夕闇の民ギラグールも高度な社会性を持つ知的生命種なのであって、ひとりひとりが複雑なソーシャルシステムの構成員としての側面を持つ。
一見して、彼らはアリやハチに代表される[真社会性生物]に似た厳密な階層社会を採っているそうだ。
バイオテクノロジーに裏打ちされた身体改造能力を背景に。個々の構成員に対して明白な役割、職務が与えられ、彼らが自らの分を弁えないことは基本的にない。
かといって、組織運営を機械作業めいた画一的な取り回しで行えるようになるかというと、そんなこともないのだろうと思う。
各々の構成員の知的水準の高さから考えて……ある程度上の地位に立つ場合には、どうしても管理職的な、後ろでどっしりと腰を据えた視点を持たざるを得なくなるはず。現場主義偏重で勤まるものではないわけだった。
その点、『恐竜惑星』劇中でも、VWOのシナリオにおいても。御自ら前線に出張りまくるユキちゃんの押せ押せっぷりは、彼ら基準でもいささか異端ではあるらしい。
実際にハルや、ギラグールの女研究者からは、胸中で少々呆れられているっぽいゲーム内描写があったりする。
即断即決、果断速攻。あの方の一本気なやり方にも困ったものだ、というような。
しかしながらその一方で、いびつな意味での現場主義じみた思考回路や行動様式が、その「ギラグールらしさ」ゆえに。狩人としての気質を色濃く残す部下からの支持を広く集め、彼女の名声をより高めているようなのも、また確か。
ところで、本件のクエストスターターってユキちゃん本人なんだよね。
「貴様も、その爪の鋭さを誇る一族の出なのであろう?」
クロノ・キャリアの司令室で釣り書きまがいを受注できる。
リックくんがプグラシュティクなもんだから、わざわざプグラ文化を引き合いに出しつつ、自らお誘いいただける。
基本的に上から目線は一貫しているものの。彼女から見たリックくん、すなわちプレイヤーキャラクターに対する評価は、だいたいどの場面でも妙に高いのだった。
「後脚、前腕の違いこそあろうがな。どのような状況に置かれようと、最初の一刺しを打ち込む切れ味を、鈍らせることがあってはならん。そのくらいのことは当然貴様であれば分かるはず。しばし、付き合うがいい」
イエス・マム。本件につき、ご同行させていただきましょう。
原作ストーリーにおいてはしばしばフォロルに対する蔑視を顕にし、また悪役組織の女幹部らしく、部下にパワハラ鉄拳で当たり散らすこともあった彼女。
それでも作中通して部下からの信頼は概ね厚かった。加えて巨大隕石『冬の王』に対する種族総出での対応時には、ついさっきまでいがみ合っていたフォロルとの連携を率先してこなす、同種族内で相対的に見た場合の柔軟性の高さをも垣間見せていた。
現場指揮官として優秀なことは疑いもない。人心掌握並びに采配の妙。人を使う術をしっかり心得ていることから、欠点とも取れる部分についても、周囲のフォローで何とでもなる範囲に収まっているものと見られる。
これでゲーム内の実力まで伴っててくれれば、本件のみならず、今後においても存分に付き従う気にもなれるって感じなんだろうけど。
残念ながら、引き続きプレイヤーがやるべきことは介護業務でありましてえ……。
◆
ま、それはそれ。最後のティルはワールド4、用いられるは前から5番目のデボン紀ステージだ。
ミッション全体の話運びとしては、同じ解放クエ、ワールド2のフォロル組&ユイと似たような感じになっている。
バーチャル世界側から起動されたジーン・ダイブの座標指定ミスにより、海中に単独放り出されてしまったティルを救助するために。ステージの所定のポイントまでとっとと向かうべし、というもの。
シチュエーション的に、前にも話した『ジーンダイバー』劇中で虎哲のスパイ疑惑が持ち上がっていた頃。
裏でスネーカーに乗っ取られていたメディア・ステーションのマザーコンピュータが、スネーカーが不要と判断した各種データ――プグラシュティクの世界の情報や、スネーカーが各時代に散布しているウイルス・ベクター・メカに対抗するためのエウロパ人製カウンター・ウイルスなど――をまとめて消去。
それに巻き込まれる形でジーン・ダイブ用の遺伝データを消されていたティルだけが、ゲンゴロウの転送に乗り合わせることができず、ひとり海中に取り残されてしまった。
原作におけるそのあたりの一幕を、形式的に再現したって感じかと思われる。
状況的なオーバーラップのおかげで、本ミッション中のティルも、リックくんたちと同様にちゃんとアイ・スーツを着込んでいるので安心して欲しい。
アイ・スーツに、プグラシュティクのパワード・スーツを重ね着。原作後半戦における彼女のお決まりの出で立ちだな。
ご都合主義と言われればぐうの音も出ない部分だろうが、ただまぁ、この点については仕方ない部分もあるんじゃないかね。
いくら突発性の出来事だからって。変にリアリティを追求して「ティル溺死ゲージ」とか付けられても、プレイする側が不愉快にさせられるだけで、肝心要たるゲーム性は一切高まらないように思うしねえ。
そんなわけで。ワールド2のユイ救出とは異なり、こっちには「これ以上過ぎるとアウト」になる、はっきりとしたタイムリミットは存在しない。
代わりに、画面右上にティルのHP残量を示す赤いバーが常時表示され、その赤色表示が全部灰色になってHPがゼロになってしまうとミッション失敗扱いとされる。
リックくんが救出に向かっている間にも、ティルはティルでマップの先でひとり戦っている。
彼女が前線で持ちこたえている間にステージを進めて合流。そのまま同道して最後までクリアすることでクエスト完了、という流れだ。
デボン紀後期の珊瑚礁マップが使用される。通常ならドライさんが先導してくれるステージで、今回のミッション中は彼がオミットされてしまうが、それ以外については初回プレイとほぼ同じ。
敵として出てくる板皮類や無顎類などのエラー生物のステータスや配置はそのまんまだし、サンゴ等のトラップの位置取りも同様である。
一度クリア済みのマップを普通に進めていくだけで話が済むため。基本的には、難易度低めに設計されたミッションと言って良いとは思う。
ただし、ティルのAIの機嫌次第……っていうか、具体的に言うと、彼女がサンゴの触手トラップに引っかかってスタン食らってるってケースがままあって。
しかも、ステージ開始直後から動き出しているティルに遠隔で干渉する手段が何もないせいで。彼女と合流可能なポイントに辿り着く前に「トラップにハマったティルが行動不能→板皮類の群れにタコ殴りにされてHPゼロ」のコンボを食らってて、問答無用でクエスト失敗。
みたいなかなり理不尽なパターンがそこそこあり得るのがまぁ、厄介なところかねえ。
使用ステージの難易度自体は低いんだけど。その手の運ゲー要素まで加味すると、変に高まってしまっているとも。どっち付かずな雰囲気がなくもないのだった。
万全を期しても一発クリアが確約されないのをイージーというのも何だから、間をとって、このクエストも難易度:中としておくか。
『ティル! ねぇ、ティル、大丈夫!?』
『おい、ティル! 応答しろ! なんでお前、こんなとこにいる!』
「ユイ!? それから虎哲に……そうか。お前たちの分隊が、来てくれたのか」
合流に成功し、タカってくる中型の板皮類の群れを
ティルを中心としたちょっとしたやり取りが挟まってくる。ゲンゴロウからの通信を受けて、アイ・スーツの球体メットの奥で、彼女がほっとした表情を見せる。
「大丈夫だ、これといってわたしに怪我はない。来てくれて助かった」
『本当? 良かったぁ……』
「しかし、お前たちが居るということは。ここは、古生代におけるいずれかの時代の海ということか?」
そう言いつつ、改めて周囲をキョロキョロと見回す。
「よくよく見ると、周囲の植生がさっきとはずいぶん違っている。先ほどまでわたしは、新生代、始新世後期の地中海に現れた戦闘実行体をやり過ごすために、海中の岩陰に身を潜めていたはずなのだが……」
『そうだ! ここはデボン紀後期フラニアン、およそ3億8000万年前のユーラメリカ大陸西部近海だ!』
近くまで追いついてきたゲンゴロウの機影が、背後の画面端に映っている。虎哲からの通信が、全員のインカムに等しく流れ込んでくる。
「デボン紀?」
『ああ。地理座標の近さから察するに、おそらく、転送対象ごとの時間座標指定に入れ違いでも有ったようだな!』
続けて推測を語る虎哲。例によってビミョーに高圧的というか、相手方の受ける印象を度外視した居丈高な言いぶりではあるだろう。
『知ってのとおり、DNAを持たないエウロパ人はこっちじゃ直接モニターが出来んからはっきりしたことは言えんが、元々ユイたちと同じ時代に居たはずのあいつからの通信が、さっきから途切れたままになっている。ティル! お前さんとドライ・シックス、それぞれの転送先の時間座標が相互に入れ違ったと考えれば、トラブルの全体像として収まりが良さそうだ!』
『それってつまり……ティルがこっちに来ちゃった代わりに、こっちに居たはずのドライさんが、ティルの居た時代に飛ばされちゃったってこと?』
「ふむ。これまでも、『任務』上の転送処理にしばしば粗雑な面があったことを思えば、あり得なくもない、か」
『そういうことだ。事態の推移を見る限り、可能性としては一番高いだろう! ここのエラー症状が収まったら、新生代、つまりティルたちの
一同頷く。なお、ドライさんの身の安全についてはこの後も特に触れられないが、ようは普通に何事もなく無事だったってことかと思う。
遊撃チームにおいてもサブリーダーに抜擢されているあたり。概ね、あのエウロパ人の統率者に対する劇中主要キャラクター陣からの信頼は篤いのだった。
「……それにしても、この状況。妙にいつぞやのことを思い出す話だな」
ちょっと意地悪げな笑みを浮かべて、ティルが呟く。それを受けて、首をかしげるユイのカットインが画面右上に映る。
『えっ? いつぞやって?』
「以前にも、シルル紀だかカンブリア紀だかの海中に、わたしひとりだけが置き去りにされたことがあっただろう? 遺伝データが何故か消えていた、とか言って。先行き不透明な情勢下。いよいよ今度こそ、敵方に寝返った虎哲に、密かに謀られたのかと勘ぐってみたというわけだ」
『あ、あぁん!? なんでオイラが、今になってそんなことをしなきゃならないってぇの!』
ティルの言い草にカチンと来たようだ。同じくカットイン化して画面の左側に表示されている虎哲のボディから、羽の生えた頭部だけが浮き上がり。ハンバーガーが空中分解したかのように大口を開けて、カンカンと湯気を立て始める。
キレるAIってか。確かに、受け手の情緒的な反応を引っ張り出すためのシグナルとしては、「威圧する」ってやり方は、
『ウチのマザーコンピュータに対するスネーカーの干渉なんぞ、とっくの昔に途切れている。だいたい、オイラとマザーの接続自体が現状ちょん切れっぱなしなせいで処理能力不足。しょっちゅう四苦八苦させられてんだから、オイラが下手人かもなんぞ、言いがかりも良いとこだ! おい、ティル! 憶測にしたって、言って良いことと悪いことってのが――』
「……フフッ。冗談だ」
ニヤリとしつつ、しれっと言い放つティル。虎哲が頭部を胴体に戻し、ポカンとした。
「わたしだって、今さらお前のことを疑うつもりはない。コンピュータは単なる道具でなく、有能な協力者、そう思っているとも。……ただ、久しぶりにお前の、そのAIらしからぬ横柄な振る舞いを目の当たりにして。懐かしさのあまりに、思わずこちらも憎まれ口のひとつくらい、叩いておきたくなったのさ」
『もう、ティルったら!』
と、ユイが嗜める。
といって、彼女の表情はせいぜいが苦笑いといった程度で、そこまで本気で非難する感じじゃない。まぁ見るからに、ティルの言動は冗談ってか。軽口のたぐいであることは明らかなわけだしな。
『確かに虎哲はー……ときどき言葉がキツいところもあるけど。ちゃんと、あたしたちのことを思って色々言ってくれてるんだから。あんまり意地悪言わないであげて?』
「ああ、そうだな。今のは些か口さがなかったかもしれない。すまなかった」
『……ええい。すぐに前言翻すくらいなら、最初っから余計なことを言うなってんだ!!』
キレ芸再び。例によって何処からともなく取り出した玩具のハンマーで、自分のボディ下部の円盤部分を叩きまくる。ピコピコピコピコ。
『ったく。どいつもこいつも弛んでやがる。オイラがピリピリしてるのにも相応の理由があるんだからな。未だ、バーチャル世界で頻発している現象についてははっきりせんし、事態が改善しつつあるのか、或いは悪化しかねないのかすら定かでない。いわばこれは、戦場の霧の中にいるみたいなもんだ! そんな場面を腕一本で仕切らなきゃならんオペレーターの重責ってやつはだなあ――』
『虎哲も突っ掛からないー。ティルが謝ったんだから、それでもう、いいじゃない』
『なにおう!』
『たいへんなのは分かるけど……だからって、あちこち角を立てたって、良いことなんかないでしょ? 虎哲はもうちょっと、言葉遣いを柔らかくすればいいと思うんだけどなあ』
裏表のない表情で、ユイが呟く。
ローティーンの少女っぽい、素朴な善良さ。別に頭の回転が鈍いわけじゃない――というか、むしろ『ジーンダイバー』通して彼女の判断力や理解力はかなり高い――んだが、本質的に「甘い」んだな。
この部分、ユイというキャラクターの危うさであり、美徳でもあるかと思われる。
『ほら、こないだ会ったアッケラ缶さんなんか、ずいぶん人当たりが良かったじゃない? 虎哲よりもだいぶん古い型のオペレーティング・システムだって話で、確かにちょっと、頼りなさそうな気もしたけど……でも、紳士的なのはいいことよね。試しに虎哲も、あの人みたいにやってみるのはどうかしら』
『てやんでい! 大きなお世話だ』
当然反発をくらう。実際、オペレーターとしては虎哲の方が優秀なことは間違いないのだ。
仕事の能率と、人格との相関性についてはひとまず置こう。
とにかく、これまでもゲーム中で度々言及されてきているとおり。
形式上、バーチャル世界の『外』からモニタリングしていることになっている虎哲についても。その例外ではない。
『先達にゃ先達の、オイラにはオイラのプログラム上の一貫性ってやつがある。オイラにはこの感情プログラムこそが性に合ってるんだ。演算機構に変数が多いのも、問題解決のスピード感をより高めるために、論理飛躍ポイントを複数仕込んでいるからであって、これこそ実用性の最たるもの。そこんところを――……ん!?』
何か引っかかることがあったらしく、突如として言い淀む虎哲。
しばしの沈黙。……ちなみに、今の彼のセリフは、ところどころが『ジーンダイバー』原作におけるエンディング間際のオマージュだねえ。
『……虎哲? どうかした?』
「何か、気づいたことでもあるのか?」
『あ、いや――……まぁ、いい。とにかく! 引き続きオペレートを続けていくぞ。今なおここ近辺のエラー症状は収まりきっちゃあいないんだ。お前たちも、何かと言いたいことでも溜め込んでるのか知らんが、現状、そんなことにいちいちかかずらってるヒマはない。進めや進めだ。さあ、気張っていくぞ!!』
……とまー、だいたいこんなとこか。
解放クエが四種類。一通り見ていくと分かるとおり、今まさに全員集合で遊撃チームとして動き出す。そんな場面に挟み込むサブストーリーにしては、色々と整合性に難があるのが分かると思う。
時系列的にも、キャラクターの所感としても色々とおかしいんだよなあ。ぶっちゃけ、この一連のクエストを、実際起こった出来事としてきっちり差し込める具体的なタイミングは何処にもないのだ。
局所性フラクタライズ・エラーの発生と、それに付随した――おそらくバーチャル世界という自立空間の側から行使される――強権的な使役。
その異常事態を一種のマクガフィンとして、このゲームの密度薄めなストーリーは辛うじて整合性を保っているわけだが。今回のサブクエスト群については、その「それっぽい辻褄合わせ」すら放棄されているって感じがまぁ、そこはかとなく。
おそらく、扱いとしてはパラレル・ストーリーでありながら。一方でキャラクター自身は、クエスト内容を実際に起こったこととして各々認識している。
そんな一種のご都合的なメタ時空が成立している。そう断言してしまって構わないんじゃないか。
ま、媒体を異にしているからこそ出来るワザって感じかねえ。
そもそものジャンルがアクションゲームであり、ストーリーはゲーム体験の添え物であることの強みってわけだ。
仮に、原作同様の映像コンテンツでこんなとっ散らかった話運びをやらかしたら、盛大にヒンシュクを買っていた可能性は高かったろう。
しかし今作のジャンル違いかつ二次創作という形式であれば。多少の時系列等の矛盾くらいなら、ナァナァで受け入れて貰える下地が整いつつある。
ここのところの誤魔化しは、それなりに巧くやっていると思う。消化するタイミングがプレイヤー次第で幅が出てくる、サブクエストという性質にも合っている。
多少はある種の「セコさ」を感じる部分もないではないが……それでも。一応は、及第点だと言えようさ。