恐竜惑星とジーンダイバーのMOゲームを実況します   作:あーぷ

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非日常における異種族との邂逅

 

 

 3ゲージあるシャオキロンのボス用HPバーを、だいたい2ゲージ目の半ばあたりまで削り取った。するとそのタイミングでまたも一時的に自キャラが操作不能となり。追加のイベントシーンが割り込んでくる。

 

 

 

『……よーっし! 間に合った。おつかれさん、助けがくるぞ!!』

 

 パックの喜色に溢れた声があがる。直後、ダメージを負って怯んでいるシャオキロンを挟んで対角線上の向こうに、そこそこ大きめのジーン・ダイブ・エフェクトが生じた。

 

 

 

 遠目に現れたのは。薄緑色の塗装のバイク型ホバー・クラフトと、その上に相乗りしている男性がふたりだ。

 

『……白亜紀前期、[ローラシア大陸]東部基地の座標を確認』

 

 と、彼らの会話が、リックくんのスーツ内蔵インカム経由で横聞きっぽく伝わってくる。

 

『どうやら緊急転移は上手くいったようだな。大丈夫か、ナオー?』

 

『おうおう、ノーミソぐらついてて気分最悪ってぇ以外は問題はないぜ。ったく、どいつもこいつも人使いの荒いこった。……っと。無駄口叩いてる場合じゃないみたいだな』

 

『そのようだ。……そこの君、聞こえているか! 我々はこの基地に所属するフォロルの戦士だ。援護する!』

 

『そういうこと。そんじゃ、ちゃちゃっと片付けちまうとするか!』

 

 

 

 彼らはホバー・クラフトに跨ったまま、藍ネズ色をした大口径ハンドガンサイズの手持ち火器を、太もものホルスターから抜き放つ。そして20メートルほど先のシャオキロン上体部に向かって、各々が構えた。

 

 

 

 

 

 

 ヒトならぬヒトガタをした異種族。フォロルの民だな。

 

 種族紹介時に前述したとおり、プレイヤーキャラクターとしても選択可能な種族のひとつでありまして。ヒプシロフォドン科の小型草食恐竜、[レエリナサウラ]から進化したとされる、二種類いる恐竜人類種の片割れ。草食系恐竜人類(レイリナサウロイド)に該当する。

 

 今現れた二人とも、円形の胸当てを帯びている部分以外の全身は、短く密集した紫系統の毛並みに覆われている。

 

 また、長くスラリとした首。かかとを浮かせた蹄行性の下半身。そして、まっすぐ伸ばせば彼ら自身の身長にも匹敵しそうな、長大な尻尾を生やしている。

 

 

 

 毛並みの色柄と、インカム付きのヘルメットのカラーを見れば、遠くからでも彼らの個体を容易に識別することが出来るかと思う。

 

 水色のメットに薄めの毛色、口調が比較的丁寧だった方がフィラ。

 

 藍色のメットで毛色の紫が濃く、ワイルドな言葉遣いなのがナオー、だな。

 

 

 

 どちらも『恐竜惑星』後半部の主要登場人物だ。作中でギラグール、トロオドン科の[ステノニコサウルス]――昔はそのまま[トロオドン]って名前だったんだが、命名の先取権を巡る紆余曲折を経て、今ではこちらが正式名称とされている。但し、本作内では引き続きギラグールの祖先はトロオドンだと表記されることの方が多い――から進化した肉食系恐竜人類(トロエドニアン)を相手に何度も激しく渡り合った、フォロル族の中でも指折りの戦士たちである。

 

 

 

 ……まぁ、原作の描写や、本作のムービー中の活躍とは異なり。このゲームの戦闘参加NPCはちょっぴりおバカっていうか、そこまで優秀ってほどでもないんだけど。

 

 火力はかなりしょっぱいし、カバーリングも雑である。ボス格が結構な頻度で放ってくるAoEも、そこまできっちり避けてはくれない。

 

 

 

 そのくせ彼らの参加に伴い、敵側のステータスはしっかりマルチプレイ用の強化モードに切り替わってしまうので、ステージの内容如何によって単なるハンデにもなりかねず。

 

 プレイヤー比である程度高めに設定されたNPC用HPにしたって。ゲーム後半戦だと実質即死技と化すAoEの前には甚だ無力、焼け石に水。ああ無情。

 

 

 

 とはいえ、とりあえずボス敵のターゲットを分散させるデコイ役としてはそれなりに役立つから、及第点くらいはある。……と言っておいてもバチは当たらないだろうとも思う。

 

 特に今来たフィラとナオーの二人に関しては、今回含めたワールド1と、あと、ワールド3でもちょいちょい外部NPCとして参戦してくれる。ワールド5序盤に開放されるサブクエストをこなせば、最終的には肉入りプレイヤーの代役として、事実上のPTメンバー扱いでほとんどのステージを連れ回すことも出来るようになる。

 

 一回こっきりのスポット参戦でないぶん、比較的AIの行動パターンが作り込まれているのはやはり大きい。

 

 後述するが、フォロルっていう種族自体の戦闘スタイルもわりとCPU向けの造りである。相対比較した場合のポジション的に、この二人が相当上澄みな部類の味方NPCであることは確かなのだった。

 

 

 

 

 

 

 さて、ムービーシーン継続。

 

 フィラとナオーの二人が、適度な距離を保ったまま、手持ち火器のフォロル族謹製粒子ビーム銃を連射する。目標は当然シャオキロンだな。

 

 

 

 ビームが直撃するたび、白い粒子の炸裂が余波となってこちらの視界まで届き、目の前でちかちかと瞬く。

 

 シャオキロンが上げる苦痛の声。一撃一撃が、着実に巨体の生命力を削いでいく。

 

 

 

 

 フォロル族は他種族と比べて手先の器用さが群を抜くという設定で、実際に『恐竜惑星』劇中では、その特性を大いに活かしてギラグールとの種族間闘争を戦ってきたとされる。

 

 既に両種族の和平が成った後の時間軸である本作においても、そうした長所はしっかり活かされている。

 

 彼らは多種多様な武器を使いこなす、遠距離攻撃中心のキャラクターとして調整されておりまして。とりわけパーティプレイに関して言えば、安定した継続的な火力役(ダメージ・ディーラー)として無類の強さを発揮するんだな。

 

 

 

 さっきから二人がバカスカ撃っている粒子ビーム銃の『ブラスター・ガン』。発生の速さや弾速、威力で比較すると、プグラシュティクのドリル・レーザーの完全上位互換である。

 

 またレベル8以降で習得可能な、光弾を炸裂させる『フォトン・キャノン』も優秀だ。こいつも効果範囲の広さと優秀なダメージ効率から、全種族スキル中随一の使い勝手を持つ遠距離攻撃と言っても過言でない。

 

 

 

 加えて、現在彼ら二人が相乗りしているバイク型ホバー・クラフトの正面二連装砲は、あれこれと面倒な制限(ホバー・クラフト自体の操作性が微妙、水中&宇宙ステージだと最初から使えない、一回破壊されてしまうとリスポーンもしない、などなど)こそあるものの、単一キャラの単発ダメージとしてはこのゲーム中の最大火力を誇っている。

 

 

 

 一方、近距離戦で使い勝手の良いスキルは長い尻尾から放たれる『尻尾回転打ち』しか持っていない。

 

 近距離360度の敵に向けて中ダメージと微ノックバックを与えるこの技。発生速度だけはそこそこ早いものの、判定も無敵の長さも頼りない性能。

 

 そのため、間合いを詰められてしまうと切り返しがままならず。そのままタコ殴りにされてお陀仏になりやすいという、分かりやすい弱点をも抱えているのだった。

 

 

 

 要するに「やることがハッキリしていて使いやすい」キャラ設計、ってことが言えるだろう。

 

 総合的なポテンシャルは高めな方だ。難点といえば行動がワンパターンになりがちで操作に飽きやすいってくらいだから。概ね、彼らは初心者向けの優良種族に分類される。

 

 

 

 

 

 

 さておき、シャオキロンだが、既にリックくんとやり合ってそこそこ弱っている状態だった。

 

 そこにムービーシーンにおける火砲乱れ打ちをくらったとなれば、もはや年貢の納め時となるのも無理からぬこと。

 

 

 

 ちょっとの間、身を縮めて何とか耐え抜こうとする素振りを見せたものの。残っていたHPゲージ一本半はあっけなく吹っ飛び。全身からぷすぷすと白い煙を噴きながら、巨体がよろつき、荒れ野のフィールド上に地響きと共に倒れ伏す。

 

 

 

 ぐったりと地に伏せたシャオキロン。白目を剥き、半開きの口から舌をだらりと垂らしている。

 

 しかし、やがて。先ほどリックくんに倒されたディロングたちと同様に、ジャギっていたグラフィックが端々から全身へと広がっていき。予めそこに何もなかったかのように、消え失せていった。

 

 

 

 赤茶色の鱗に覆われた捕食者のフォルムが、ものの十秒もしないうちに、跡形もなくなる。

 

 あくまでもゲーム的な演出のように見えるかもしれないが……これは、作中のキャラクター目線でも、実際に目の前で起こっている「実体のある物理現象」にあたるのだった。

 

 

 

『ターゲットの沈黙を確認』

 

 利き腕を直角に曲げた立て銃の姿勢を取りつつ、フィラが首尾を述べた。ナオーもそれに目線で応じるが、こっちはさっさと手持ちをホルスターへと放り込んでしまう。

 

『ふぅー……雰囲気的に、今のがラストってことで良さそうか。しっかし、まさか基地ど真ん中にピンポイントでフラクタライズ・エラーが起こるとはなあ。ビックリさせやがる』

 

『戦える人員を、常に基地にもある程度残しておくべきなのかもしれないな。もっとも、普段の私たちように別の時空間座標へこちらが「呼び出される」形ではなく――』

 

 周囲の基地を見回しつつ、難しそうな表情を浮かべるフィラ。

 

『こうやって、エラーの発生に現地で直に巻き込まれてしまった場合。その時点で心得があろうとほぼお手上げのようだから、仮に一定数の戦闘員が控えていようと、気休めにもならなかったかもしれないが』

 

 

 

 プレイヤーの視点では、緑色の遠隔セリフ表示用ウィンドウ脇に出ているキャラクターのポートレートで、彼らの顔つきの変化をはっきり見ることが出来ている。しかしおそらく、リックくんの目線だと、たぶんそうした細かいところまでは認識が及んでいないだろう。

 

 彼にとって、現時点ではまだ音声と、遠巻きに見通せるフォロル二人組の大まかな動作だけだ。

 

 

 

『なんにせよ、今回は運が良かった。パック君に感謝だな』

 

『あのネズ公、マジで便利だよなあ。アイツ全然違った時間線からでも、近場のコンピュータ経由で、バーチャル世界そのものに無理やりアクセスできるんだっけ?』

 

『ああ、そうらしい』

 

『俺たちの基地の有りモノじゃ、この時代からの時空間移動ですら四苦八苦してるってのに。生身のカラダでいったいどうやってんだかね』

 

 言いつつ、ナオーは長めの爪が生えた人差し指で首筋をポリポリと掻いている。切り替えが早いというか、大雑把な性格の現れだと見るべきか。

 

『今の非日常が片付いたら、背中の皮ひっつかんで本国までご招待といきたいもんだぜ。研究室に持ち込んで、シロク博士に見せてやりゃ、喜び勇んで量産型メカ・パックとか作ってくれんじゃねえの?』

 

『……おいこらナオー、聞こえてんぞ。オレはネズミじゃないって、何度言わせんだ!』

 

 

 

 パックは、額から半透明な糸を出して機械端末と直で接続することで、コンピュータ各種に介入できるという特殊能力を持っている。

 

 セキュリティをぶち破ったり。他所から送り込まれたデータを強引にアップロードしたり。ある意味魔法まがいのことが色々とできる。出来てしまうのだった。

 

 

 

 彼の内に秘められた、情報生命体としての基本スキルだな。ぶっちゃけると、『ジーンダイバー』の原作中よりも本作VWOシナリオの方が、「糸」を使ってパックが出来ることの幅は幾らか広がっていたりもするのだ。

 

 当面、本ゲーム中で、パックに関する裏事情が詳しく語られることはないけれど……今回リックくんのスーツ内蔵インカムに通信を繋いだり、フィラとナオーの二人をこの場にジーン・ダイブで緊急搬送するにあたりまして。裏では彼の、尋常ならぬ活躍があったんだろうと思われる。

 

 

 

『くだらないこと言ってないで、フィラ。とっとと新入りに事情を説明してやってくれよ』

 

 と、だんだん疲れ気味になってきた声でパックが言う。ポートレートもゲンナリ顔だ。うーむ、かわいい。かわかわ。

 

 

 

 ……ちなみに、さっきからパックは口のところが一切動いていないのが分かると思うが。彼の声は実は口じゃなく、背中に生えている二本の透明な羽根から発せられているんだな。

 

 擦り合わせることで様々な言語を発話することが出来、また、哺乳類くらいの知能がある相手であれば、野生動物とも意思疎通が可能だというこれまたスグレモノである。

 

『ムチャやったせいで、こっちはもうすっかりグロッキーなんだからな。さっきから頭がガンガンしてるし、腹も減ってきたし。無理やり繋いでるこの回線ちょん切って、今日はもう、オレ、休ませてもらうぞ』

 

『ああ、わかった。ありがとう、すぐに向かう』

 

 今のタイミングで、インカムの通信がブツリと途切れた。

 

 それと同時に遠隔セリフ用のウィンドウも閉じたあたり。見た目が直接的で、プレイヤー目線でも分かりやすくなっているってわけである。

 

 

 

 

 

 

 ホバー・クラフトが、リックくんの方に向かって低空を徐行速度で滑ってくる。

 

 だいたい5メートルほど離れた場所で止まって、地上に降着。シートから降りたフィラとナオーの二人が、仕草と表情で友好的な雰囲気を作ってこちらに近づく。

 

 リックくんはリックくんで、いつの間にやらアーマーの戦闘モードを解除。メットとドリルを外して素顔を外気に晒している。

 

 

 

「……基地のものを代表して、お礼を言わせてもらいたい。貴官の救援に感謝する」

 

 と、フィラが尻尾を上に向けてピンと立てる、彼らにとっての敬礼の姿勢を作ってみせた。

 

「私はフィラ・クルル・フェリロ、こっちがナオー。先ほども言ったとおり、フォロルの戦士だ」

 

「ナオーだ。いやあ、助かったぜ!」

 

 ナオーがおもむろに距離を詰めて来、人好きのする笑顔を浮かべながら、リックくんの右手を取る。

 

「戦闘員がごっそり出払ってて、ガラ空きなタイミングだったんだ。それにたとえ誰かしら残ってようが、あの状況じゃあ、マトモに戦えてたかは怪しいもんだ。ここが落ちたら明日の朝メシにも難儀するハメになっちまってた。ありがとな!」

 

 

 

 ……実は、プグラシュティクの文化的に。「相手の手を握る」という行為は「呪いを掛ける」という意味を持っていたりする。

 

 ヒトやフォロル族の間ではちゃんと通じる、「互いの友好を願う」を意味しない。おそらく、彼らの先祖が土中生活を主としていたことに起因するんじゃないかと思われるが。

 

 

 

 この身振り手振り(ジェスチャー)の方向性の食い違いこそが。『ジーンダイバー』原作最序盤において、プグラシュティクとヒトとのファースト・コンタクトが、決定的にこじれてしまった原因だったりもする。

 

 

 

 そのためプグラシュティクの一成員たるリックくんは、一瞬だけ僅かな躊躇いをみせた。

 

 しかし彼はすぐさま理性でその躊躇を抑え込み。至って自然体の手つきをもって、ナオーの握手を受け、返礼を返した。

 

 

 

 このあたり、リックくんのバックグラウンドを垣間見ることができて、なかなか芸コマな感じだなあ。

 

 相対的にマイナーな自種族の伝統よりも。多種族間に広がっているスタンダードな慣習のほうを、内々で優先することができる。

 

 リックくん=主人公のプレイヤーキャラクターには、すでに他種族との交流経験がある。したがって、現環境でも無難にやっていけるだけの人格的、時系列的な裏付けを備えている実情が、今ので言外に示されたってことだろうさ。

 

 

 

 

 

 

 握手を終えると、リックくんからも何やらジェスチャーが返された。

 

 例によって彼自身が何言ってるかは定かでなく、相手方の反応から内容を推し量る必要がある。たぶん今のは、簡単な自己紹介と、それから現状への説明を求めるとかしたんだと思う。

 

 見た目はジェスチャーオンリーだが、話の流れ的に見るとどうやらそこそこ喋っている。彼の意思表示として、今後も繰り返し用いられるやり方であるよ。

 

「……そうか、リックどの。いきなりの事態に困惑されていることかと思うが、まず差し当たって、この基地の臨時責任者。カーン総司令に直接会ってはもらえないだろうか?」

 

 と、フィラ。

 

「現在、この基地に集まっているのは、貴官と同じような状況に置かれている者がほとんどなんだ。突如としてバーチャル世界に呼び出され、閉じ込められて、各時代の『局所性フラクタライズ・エラー』を潰す役回りを担わされる。ジーン・ダイブやタイム・ホールによって半強制で飛ばされた先で、エラーによって異常化、凶暴化した生命体を駆逐し、その残骸から精製される物資を手に入れた上で帰還する。そうしたルーチンによって、この場所での生活を、ある種、緊急避難的に成り立たせている」

 

「実際俺たちと、あと、ピラルってやつも一緒に巻き込まれたんだが、三人揃ってここ二ヶ月ほどそんな感じでね」

 

 ナオーがやれやれとでも言うように、片手をすくめた。

 

 ただ、彼らの骨格の構造上、ヒトと比べて腕がそこまで上がらない。そんせいでこっち側の視点だと、微妙にハンパなリアクションとして映らなくもないな。

 

「ワケがわからないし、仕組まれてるって感じも鼻につく。それでも、とりあえず食うに困るってほどじゃないから、何とか持ち堪えてるってなところだな。この場所みたく、前大戦のときのフォロル軍やグール……じゃねえや。ギラグールたちの前線基地を、急場しのぎに使えるようになってるおかげでもあるか」

 

 

 

 ちなみに、彼らが話している局所性フラクタライズ・エラーなるものについては、この後基地内にいるギラグールの女科学者――彼女はワールド1における武器防具の強化担当NPCでもあるため、今後当面のあいだはお世話になる機会が多い――から、詳しい話を聞くことができる。

 

 あちこちジャギってる見た目とか。凶暴化とか。倒せばそのまま掻き消えることとかを。彼女なりの推論を交えてだ。

 

 ……まぁ、身も蓋もないこと言ってしまうと、これってプレイヤーと過去の野生動物とをドンパチさせるため。本ゲームのシナリオ上に配置されている、ただの理由付け(マクガフィン)ってだけのものではあるんだけどさ。

 

 

 

「この基地に限らず、我々『多種族間臨時協定部隊(InterRacial Temporary Agreement Team)』の人員は慢性的に不足している。前線で戦える者に関しては、特にね。後あと総司令からも同じような説明を受けるだろうが……貴官とも現況維持、ひいては現状打破に向けての協力関係を築いていければと思う」

 

 フィラの言った部隊名の略称がIRTAT。読みはイルタットだ。Tipsやゲーム内用語辞典、あと公式サイトのストーリー説明なんかにも名前が時々顔を出す。

 

 ただし、彼らが対話に用いているのはインカム経由の翻訳言語で、日本語とか英語とかが直接話されているわけじゃないからなあ。

 

 この呼称はあくまで便宜的なもので、両原作がクロスしている世界設定上、辻褄の合った名称にはなっていないかと思われるが。まぁ余談か。

 

「まッ、為せば成るし、住めば都さ。お前さんもれっきとした戦士のようだし、面構えだってしっかりしてる。この後も、一緒に戦えることを願ってるぜ」

 

 

 

 束の間釈然としない顔になりつつも、なにか代案あるでなし。

 

 リックくんはすぐに頭を切り替えた上で、フィラとナオーに向かって頷いて見せるのだった。

 

 

 

 

 

 

 そのまま、画面の視点はだんだん上空へと高度を上げてゆく。

 

 やがて高みから見下ろせば、局所性エラーに伴うフリーズ状態から開放され、白亜紀のフォロル基地全体が、徐々に本来の活気を取り戻していくのが手に取るようにわかる。

 

 耳をすますと各種環境音も聞こえてくる。今しがた、さえずりと共に視界をよぎったツバメサイズの鳥モドキの群れは、[孔子鳥]という名前の古鳥類の一種だ。

 

 周囲の生態系もまた、生きているってことをちゃんと思い出し始めているわけだ。

 

 

 

 そんな中、フォロル族二名とプグラシュティク一名。種族違いの三人組は、連れ立って基地の敷地内を迷いなく進み。

 

 さっきフィラの言っていたカーン総司令が居るのだろう、中央の建物に向かっててくてくと歩いていくのだった。

 

 

 

 ……リザルト画面を跨ぎ、ステージ・クリアの文言が画面上に踊る。ワールド1の第一ステージ、これにて終了ー。

 

 この後、パーティプレイ用のロビーとしても用いられるフォロル基地内部を一通り紹介して、今回ぶんの実況は一区切りすることにしよう。お疲れ様でした。

 

 

 

 いやはや、放送初回から結構長引いちゃったなあ。だが、その甲斐あってこのゲームの基本的なところは、粗方キチンと紹介できたんじゃないかと思う。

 

 

 

 

 

 

 ところで、続くワールド1の第二ステージでは、ゲームの舞台はジュラ紀へと移る。

 

 巨大恐竜の全盛期。陸生脊椎動物最大のサイズを誇る竜脚類たちが闊歩する、これこそ中生代といった感じの風景が、目の前一面に広がることを保証しましょう。

 

 第二ステージの道中で、局所性エラー現象に巻き込まれた[ディプロドクス]の子どもと仲良くなるミニイベントがあったりするのでお楽しみに。

 

 うむ、今しがたコメントでご指摘のあったとおり。それって『恐竜惑星』第一話。他ならぬバーチャル三部作における、最初の第一歩のリスペクトにあたるわけであるよ。洒落てるイベントだよなあ、わりと。

 

 

 

 ……もっとも、ネタバレてしまうと。仲良くなったお友達はボス戦前のムービーシーン中であっさりエラー発症アロサウルスの昼ご飯になっちゃって、そんなところまでキッチリ真似なくていいのにって感じのオチなんだけれど。

 

 でもまぁ、それはそれで、いわゆる適者生存の掟とでも言いますか――

 

 

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