恐竜惑星とジーンダイバーのMOゲームを実況します 作:あーぷ
いやあ、ワールド1の最終ステージは強敵でしたね。
あんなにリックくんとティラノサウルスで基本性能の差があるとは思わなかった……!
……つうか、土中を潜行して敵に近づき、そのまま短距離ドリアタに繋げられる。プグラシュティク固有スキルの『ハイディング・アサルト』。
10レベルになってようやく習得できたんで、嬉々として使ってみたらボコスカ被弾しまくったわけだけど。良く考えたら、概ね武器は己のボディな巨大野生動物を相手に、「潜行中は飛び道具無効」ってこのスキルの持ち味。ほとんど意味、なくないか?
対人戦で、牽制の弾撃ちが飛び交うようなシチュエーションなら、確かにアレが主力スキルになるんだろうけどさあ。
実際プグラって。ランクマッチのタイマンだと、試合時間の半分くらいは地面に潜ってモコモコしてるってイメージなんだよねえ。
それが、まさか対Mobだとここまで微妙な使い勝手とは思いもよらなかった……!
こんなんじゃ俺……プグラシュティク使って実況し続けるモチベがなくなっちまうよ……。
でも今は、そんな事はどうでも良いんだ。重要なことじゃない。
……ネタが古い? まぁ、うん。おっしゃるとおりでございます。
今からもう30年くらいは前のゲームの。しかもどっちかと言えば、醜聞に属するたぐいのネタでもあるわけだしなあ。
いくらワールド2のオープニング映像が、見ての通り一面の
しかし、である。歴年の選別を耐え抜き、後の時代まで残ったものには、相応に見るべきものがある。そのような見方もないではないかと。
皆さまも良く良くご存知のとおり。神経系の機械的な拡張によって成し遂げられた、有機知性体の記憶容量の大幅な嵩上げはまさしく転換点だった。
データの出し入れ自由。検索能力や即応性も、日進月歩で増している。
おかげで、
別に、常日頃から語録にどっぷりってわけでは全然なくても。茶目っ気のあるタイミングで目の前にお出しされれば、瞬時に「ああハイハイ、あれね」と察してリアクションを返せる
彼某がもたらした古の語録が、今なお高い知名度を保っている理由は、そうした背景事情によるものだろうと思われる。
とはいえ、なんでもかんでもが、無節操かつ無尽蔵に生き残り続けるってわけにはいかない。
それでは話がうますぎる。さしずめ平衡的な自然環境下でも、生物種の変遷が、日々夜々で進み続けているように。ジャーゴンだって、平時の淘汰圧ってやつから完全に無縁では居られないからだな。
適者生存。遺伝的浮動のランダム性。意志なき世界のちまたにおいて、自ずから立ち現れた、曖昧で、それでいて断固たる秩序のまとまり。
そうしたシステムに揉まれながらなお。某シリーズの半世紀あまりの歴史のなかで、もっとも世間に膾炙し良く残った……ていうか。「残っちゃった」のが、彼がやらかした語録の一揃いだというのもまぁ、確かなことで。
兎も角、こんにちまでバッチリ生き延びたっていう実績を、完全に無視することなんてできないし、するべきでもない。
万物をしっとりと覆い隠す霧こそが、本質を表象するという逆説的メソッド。
今となっては、他ならぬ彼こそが。某シリーズの足掛け五十年をあるがままに映し出す、歴史的な『顔』であると言ってしまっても、あながち過言ではないんじゃあないでしょうかねえ。
……ああ、うん。ごめんなさい。
まっとうなファンの方々に、囲んで小突き回されそうなことを言いふらすのはこのへんにしておきましょう。
悪ノリ自体はめっぽう楽しい。いつの時代もその手の性悪さはしつこく居座る。とはいえ、何事も、程々のところで弁えとかないと。ロクなことにならない。
反省する。反省してますってばさ。だから、その。トラフィックに負荷掛けて間接的にブン殴ろうとするのは止めてくださいませんか。
許してください。ホントに。ソーリー。アイムソーリー。
◆
さぁさ。目の前で、いよいよ濃い霧が晴れ渡ろうとしているぞ。
……いや、ですからね? ソッチの意味じゃあなくってね。目の前の、画面上で進行中の、ワールド2オープニングの話です。
心を入れ替えて実況させていただきますので、何卒、何卒ご覧あれ。
くすんだ緑色のアーマー(初期装備から全身買い替えた上で、部位ごとにRank3まで強化済みである)を着込み。ヘルメットだけは装備解除して、衣服備え付けのフードのように、背中側へと垂らしている。
そんな風貌のリックくんが、黒ずんだ岩肌の上に、ぽつねんと佇んでいるって状況だった。
ツヤのある細い白ヒゲが生えた鼻面をひくりと動かし。彼は左斜め上に向かって、空を見あげる。
すると、画面のフォーカスも彼の視線とオーバーラップ。一人称のFPS視点だな。我々プレイヤーの目線を用いる形で、霧のせいでボヤかされた頭上の仰角低めに、薄白い朝日が、さっきから顔をのぞかせていたことに気づくことができる。
天文単位の彼方より。常々届き続ける核反応のぬくもりによって、早朝の肌寒さが、じんわりと取り払われてゆく。
億年前から繰り返されてきた一日のサイクル。夜明けから数時間のあと。大地の目覚めとともに、立ち込めていた霧も、速やかに地上から消え失せていくというわけだった。
もっとも、消えっぷりがビデオの早送りみたいになっているのは単なる演出。いくら儚さに定評のある朝霧といえど。現実だと、ここまでスムーズってことはないけどな。
さて……すっかり霧が晴れると。今このとき、リックくんがどんなところに立っていたのかが詳らかとなる。
ごつごつとした岩礁地帯の手前のあたりだ。彼の居る場所の真っ正面からは、塩っ辛い潮風がひっきりなしに吹きつけてくる。
岩が七割、波間が三割といったところの礁までの下りは、断崖絶壁というほどの高さはない。それでも鋭く切り立った岩や、打ち寄せる激しい波しぶきのせいで、徒歩で降りてゆくのは相当リスキーだと言えそうだ。もちろん岩礁地帯自体もうかつに踏み込む危険性は大きい。
そんなデンジャーゾーンを越えた先に広がるは、遠浅の海。
水平線だけで縁取られた果てなき大海原が、前方の一面に、広々と広がっているのだった。
と。ネコの鳴き声をやや低くしたような音が、頭上から、繰り返し繰り返し聞こえてきた。
それを受けて、リックくんは潮風に目を細めつつ。空のより上をめがけて、首を傾げる。
近海の空は淡く。青白く。
心洗われるような天蓋のキャンパスをバックに。朝ごはんを探して早くも海上を回遊する数多くの海鳥たちが、さっきの鳴き声をあげながら、種ごとに群れるでなく、あちこちにバラけて入り混じり、飛び交っている。
中生代で目にした古鳥類とは打って変わった。どこか見覚えのある形態の、しかし見知ったそのものではない様々な鳥たち。
彼らは、[現生鳥類]のいずれかの目に属する。すなわち、今を生きる鳥類種の、直系祖先にあたる生き物となる。
白亜期末の大絶滅を乗り越え、さらなる洗練を果たした現生鳥類。彼らは新生代において、もっとも成功した動物
時代を下るごとに種レベルの移り変わりこそあれ、空における中~大型動物のニッチのほとんどを、バッチリ見事に占有し続けた。
例外といえばコウモリくらいのもので、彼ら翼手目も、この時期、既にローラシア獣上目の変わり種として地球上に姿を現している。
とはいえ現段階ではまだまだ一零細勢力に過ぎず。また、勢力をいや増した後の世においても、概ね夜闇に紛れるマイノリティーの立場を覆すまでには至らなかった。
大空へ、翼広げてナントヤラ。史上様々に歌い上げられた憧れの具象に相応しく。鳥類というのは、誰もが認める空の王者ってわけである。
それはここ、始新世後期初頭。およそ4000万年ほど昔のアフリカ大陸北端部においても、一切変わることはなかったのだった。
そして。今や海の側にも、異なる王者の原型が潜んでいる。
リックくんの目の前に広がるはテチス海。現代では既にいくつかの名残り――黒海、アラル海、カスピ海など――を残して消えてしまった、いにしえの海のその沖合いで。
突然、大きな音と、波しぶきとがばしゃりと跳ね上がった。
リックくんの一人称視点から、更なるズームインが行われる。
引き伸ばされた映像が海中にまで突入。その先で表示画面に全体像が映されたのは、藍色の手びれと尾ひれを持つ、蛇のように細長い巨体である。
原クジラ亜目、バシロサウルス科。その
コイツもまた、テチス海が擁する豊富な海産資源の数々に、朝から大口を開けてがっついているらしかった。
にょろついた見た目と、『王様トカゲ』という意味を持つ名前から、中生代の[モササウルス]みたいな海棲爬虫類と思われがちなこの生き物だけど。
ていうか、学名後半がラテン語のトカゲって冠されてる時点で、19世紀半ばの発掘当初は、学者さん方にすらモロ勘違いされてたりするんだが。これでも正真正銘、哺乳類の一種にあたる。
哺乳綱、鯨偶蹄目。何百万年か前のご先祖は四本脚の小型肉食動物として地上を駆け回っていたのが、今や、すっかり水中生活が板についているのだった。
鯨偶蹄目から、鯨類のクレードが分岐したのは、始新世のひとつ前。暁新世の末期頃だと言われている。
まずはウシやシカあたりと枝分かれし、次にカバみたいな半水棲種とも分岐した挙げ句に、完全水棲生活へと速やかに移行していった。
従ってこのテチス海とは、彼ら水棲哺乳類の進化を促す、バカでかい一杯のゆりかごだったのだ。そんなふうに言い表しても、言い過ぎってことはないだろう。
ただ、どうもバシロサウルス科の活動地域は、比較的水深の浅い近海に限られていたらしい。
彼らには大海へ果敢に泳ぎだす遊泳力が、おそらくなかった。
わずかに後足が残っていたり。背びれが未発達だったり。あと、[エコロケーション]の源として有名な、頭部のメロン体もまだはっきりとは形作られていなかっただろうと考えられている。
泳ぎのプロフェッショナルとして見ていく場合、どこかぎこちない部分が少なくなく。またバシロサウルス科以外の他の原クジラ亜目にしても、いずれも始新世の現段階ではそこまで大差のない水準に置かれていた。
だが、[始新世終末事件(英)]と呼ばれる一時的な寒冷化の時期を経て、バシロサウルス科の近縁たるドルドン亜科から、現行のクジラやイルカの直系が派生してゆく。
そうなればもう、占めたもの。種の発展とともに彼らは遠洋へと進出し、世界の海を股にかけ。
あらゆる海でのヒエラルキーの頂点として、現代に至るまで、遍く君臨することになるだろう。
……とまぁ。こういう、いかにも「遥かな過去の原風景」って感じのパノラマには、いかにもテンションがアガるよなあ。
海と空。各々を征する王者たち。若かりし頃のその姿、ってなところでしょうかね。言うなれば。
ロマンがある。見ごたえがある。欲を言えば、このまま背後の内陸部にも目を向けていってほしいもんだけど……残念ながら、いつまでも観光気分に浸っているわけにもいかない。
なにせ、これってアクションゲームでありますからして。
今みたいな特殊演出はあくまでオマケ。刺身のツマ。
凶暴化した古生物相手に切った張ったがメインコンテンツなのでありまして。そこのところ、取り違えさせてはもらえないのだ。
◆
まず、そもそもの話。リックくんはどうしてまた、こんなところに一人ぽつねんと突っ立ってるんだろうか?
ワールド1。最終ステージ終了後、インターミッションにおけるやり取りのことをここで思い出してみてほしい。
白亜紀末期。ユカタン半島への巨大隕石落着間際に発生した、今までにない大規模な局所性フラクタライズ・エラー。
その解決にあたって多大なる貢献を果たしたリックくん。共に戦ったフィラたちとともに、彼は基地の人々から重ね重ねのねぎらいを受けた。
得られる物資の量は、解決されたエラーの規模に比例する。ゲーム内世界でのフレーバーのレベルでも、その設定は生きている。
ステージクリア後のリザルトという、ゲームシステム上のリターンにとどまらず。今現在バーチャル世界内に閉じ込められている登場人物たちは、エラー解決によって得られる物品から日常生活用のリソースを得てもいるのだ。
そのため、白亜期末の大規模エラーを制圧したフォロルの基地内にはそこそこ余裕が出来た。
もちろん無駄遣いできるほどではないけれど。一方で日々のメリハリも大事である。というわけで、戦勝を喜ぶささやかな祝いの席を持つことになったのだった。
その祝いの席の折に。バーチャル世界内のフォロル族、並びにIRTATの暫定リーダー。カーン・トゥハ・カークがリックくんの方に寄ってきて、ひとつの計画を打ち明ける。
中生代のエラー発生はどうやら一段落ついたようだ。この機会に、各時代に拠点を整備する計画がある。
エラー発生を受けてバーチャル世界側から強制的に飛ばされる場合。相互の年代差が大きすぎると、到着までにかなり絶対時間が経過してしまって、現地の事態が悪化していることが多い。
そうした状況を緩和するために。暫定的な処置として、節目の時代にいくつか中継地点を置き、その場に前もって人員を常駐させることで即応性を確保したい……という。
「リックくん。君には後ほど、哺乳人類の歴史における、新生代に飛んでもらいたいのだ」
と、カーン総司令は、白くて長いあごひげを扱きながら。改まった口調でそんなふうに告げた。
「少人数ではあるが、既に現地で活動しているチームがあるそうだ。パック君の協力があれば、お互いを直接引き合わせられると聞いている。彼らと合流し、当該時間線近傍で発生するエラー反応に対処しつつ、我々の問題解決能力を引き上げるための橋頭堡を作り上げる。君ならばその役目に申し分ない。頼まれては、くれないかね」
以上のような流れを踏まえると……ようはココって、待ち合わせ場所なんだよな。
現地チームとの合流を目論んでのものだ。そしてリックくんだけがまず先だって、白亜紀前期フォロル基地の簡易転送システムを用い、このポイントまでジーン・ダイブしてきたんであるよ。
なんつーか、本作中におけるリックくんの扱い。このへんだけ見ると微妙に投げっぱなしって感じがなくもない。
送り出した側からのフォローアップに不備があるっていうか。お一人様、いってらっしゃい頑張って? 捨て駒とか、厄介払いのたぐいじゃないのかよって疑心暗鬼になるかもしれない。
ただ、フォロルにしても、ギラグールにしても。彼らの本国のコンピュータ――現在バーチャル世界内部からは通信途絶状態だ――の手を借りずに、前線基地のシステムのみで時空間移動を行う現体制の場合、相対的に見てかなりのコストを要するとの話もある。
エネルギー源である反物質のストックも心もとない。つまり、リックくん一人にジーン・ダイブのリソースを割くというのが、異例の特別措置にあたるってこと自体は確かではあるんだな。
今回の扱いに関して言えば、素直に周囲から高評価を受けているがためという理解で構わないのだと思う。
その一方で、彼が投じられる本作戦の立案。並びに現地での具体的な展開からは、どうにも突貫工事くささが否めないのが怖いところではあるけれど。
かくして、待ち人来たる。巨大なジーン・ダイブ・エフェクトの発生が近くで起こった。
……なぜか背後の平地ではなく。前方の岩礁地帯を抜けた先、テチス海の大海原のその上に。
だいたい海水面から上空15メートルほどのポイントだ。つまり標高で言うと、今リックくんの居る場所と同じか、少し高いくらいのところ。
そんな位置に、何の裏付けもなく、いきなり大質量がパッと現れたというわけである。オイオイオイ。
その大質量だが、当然ながら、万有引力の法則には逆らえない。そこそこの高さから下の海面へ向かって、勢いも新たに降り落ちてくる。
さあ、ドボンだ。派手な着水音が、周辺一帯へとものの見事に轟き渡った。
驚いた海鳥たちが一斉に散り散り逃げ惑い。泳ぎ回っていたバシロサウルスなどの海中生物たちの影も、まるっきり見えなくなってしまった。
飛び散った海水が、束の間豪雨のように降り注ぐ。岩礁地帯まで何度か届く少津波。これはもう、ちょっとした事件だろう。
そうして、ひと騒ぎが収まってみると。
始新世の海にはまったく似つかわしくないメカメカしい物体。指先をすぼめ、爪を半端に立てた手首を横倒しにしたような形の『何か』が、ぷかぷかと波間に揺られて浮かんでいるのでありました。
この時代、地球上で最大を誇る生き物は古クジラ類である。
バシロサウルス科で最大の種はゆうに20メートルを超えるほど。しかし、遠巻きに見ても、くだんのツメ型構造物はバシロサウルスより更に長いし、縦横の太さに至ってはもう比較にもならないサイズをしている。
もちろん、あんなクジラは居やしない。そもそも生き物ですらない。
アレは、プグラシュティクたちが乗り回す土中潜行戦闘メカである。
正面に突き出している鈍色のツメは掘削用のドリル。そして黒い装甲で囲われた本体部分の中には、コントロールルームや実験処置室、居住スペースなんかが詰め込まれている。スタンドアローン高級品、てとこ。
お察しのとおり、リックくんと合流予定だった現地チームの乗り物であり、臨時拠点のコアとなるべきユニットでもある。
予定通りにこの時代へとやってきた。……予定にはない、体を張った一発ドボンを携えて。
『……追加人員各員、聞こえるか?』
インカムの回線が繋がり、少々ハスキーな女性の声が聞こえてくる。
もっとも、各員って言ったって、この場にはリックくん独りしか居やしないんだが。
『こちらはティル・ニー・ノグ。どうも何らかのトラブルが起こったらしい。そちらまですぐには迎えに行けない。申し訳ないが、しばらく現在位置で待機しておいてくれ』
遠隔会話用ポートレートに映ったのは、ウェーブがかった毛並みのプグラシュティクの女性だった。
高めの背丈。白い襟のついた紫色の服を身につけている。ネズミづらでありつつもまぁ、スラッとした美人。
前にも少し話したけれど、ティル・ニー・ノグ。『ジーンダイバー』通しての主要登場人物の一人で、フラウ・ニーとバン・ニーの実妹、彼女もまたプグラシュティクの王家の騎士だ。
他方、作中においては主人公であるユイ嬢の姉貴分(といって、ストーリー前1/3あたりまでは敵同士だったんだが)とも言える。原作の前後半で立場がガラッと変わった一人である。
細かい紹介については他所に譲らせてもらうが、実情として、VWOの登場人物の中では、世間的にも一番認知度が高いキャラクターなんじゃないか?
人気あるらしいんだよねえ、彼女。聞くところによると、獣人系の女性キャラの一角として。放映から半世紀経った現代でも、未だにそれなりのポジションを占めているとか、いないとか。
『……ああ、ご心配はありがたいが、大丈夫だ。手を貸して貰わなくてもそこまで時間は……うッ!』
例によって、無言のリアクションを取るリックくん。ティルがそれに応えていたところ、バチリと、何かが盛大にショートしたらしき音が聞こえてくる。
『しまった、漏電か!』
背後では少々ヤバげな雰囲気が醸されている。とはいえ、『ジーンダイバー』原作における暁新世の西アジアにて、手足を縛られた状態で3メートル級の陸生ワニである[プリスティカンプスス]の群れにもみくちゃにされても生き残れる彼女なら、たぶん大丈夫だろうという予測は立つ。
噛まれた挙げ句のブン回しを複数回食らっていた。現生ワニのデスロールって程ではないとはいえ、アレ、普通は死んでる。
『そうか、
はいはい、会話シーン終了と。例によって、ポートレート付きの表示モニタも一緒にぷつりと消えてしまった。画面も一旦暗転する。
この後、プレイヤー目線だとすぐに次のシーンに移り変わるわけだけれど。おそらくリックくん視点だと、始新世テチス海の沿岸部にて、かなりの時間待ちぼうけを食らうハメになってたんじゃないかねえ。可哀想に。
……メッタメタなこと言わせて貰うと。この一連の醜態って、プグラ戦闘メカをステージに持ち込ませないためのアリバイづくりってやつだよなあ。
メカを新生代の仮拠点として設定上運用したい。しかしながら、本稼働してステージ内で暴れられる状態にしておくと話運びに困る。だったら程々に壊して物理的に使えなくしとけ、っていう。
あと、人気キャラのティルを早期に登場させた上で、彼女をメカ修理に掛かりっきりにすることで、当面戦闘には参加させないための理由付けでもあるだろうか。
某社製アプリのAIライターで自動生成をした場合、かなりの頻度で似たようなストーリーテリングをやらかす傾向があるように思う。
顔見せだけはさせといて、本丸に関してはいちいち勿体をつけるっていうか? 既視感がある方もそこそこ居られるんじゃないかな。
この手のいまいち雑な定形パターンを目の当たりにしたとき、あっさりシラケてしまうんじゃなく。皮肉交じりでも構わないから楽しめるかどうかっていうのが、ハンドメイドの量産ゲームをプレイするにあたって欠かせないスキルなんじゃないかと思うんだが、どうなんだろうねえ。諸説ありそうだ。