恐竜惑星とジーンダイバーのMOゲームを実況します   作:あーぷ

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スタージョンよ、永遠に

 

 

「祖父母から、私のことを良く聞かされていたって? それじゃ、君は。……ああ、いや。ずっと遠くの『誰か』に、目の前にいる君自身のことを紐付けてしまうのは、あまり良いことじゃあないのだろうね。とにかく、有難う。本当に助かったよ」

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

[やりたいこと自体はマァ、分からなくもないんだけど……] 

 

 評価→:おすすめする

 

 

 

 二次創作ゲームの続編。フォーマットをMOからMMOへと舵を切った本作ですが、マイナー・ジャンルなりに佳作としてそれなりに良い評判を集めていた前作と比べて、どうしてもアラが目立つ出来栄えだったと。そう言わざるを得ないでしょう。

 

 個人的に言いたいことはだいたい表題部に詰まってますね。やりたいことは分からなくもないんです。だけど許容範囲をオーバーしている部分がちょっと。……いや、かなり。多すぎる。

 

 

 

 辛うじて、ほんとうに辛うじて「おすすめする」に投票してますが、実態を見ていくと、残念ながら限りなく「おすすめしない」に近いレベルだったんじゃないですかねえ。

 

 

 

 前作のストックを流用し、その上でさらなるアセット・データと組み合わせる。それによってゲームとしてのスケール感を大幅に拡張する。基本的なコンセプト自体はまぁ分かります。

 

 しかしながら、そうやって大風呂敷を広げてみせたは良いものの。詰め込まれた内容物の質がイマイチよろしくなかったせいで、結果としてゲーム体験的には前作から大幅に劣化してしまった。実態としては概ね、そんなところじゃないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 すべてがバーチャル世界、つまりシミュレーションされた仮想世界での出来事だった前作(VWO1)とは異なり、本作VWO2の舞台はリアルの地球。

 

 それもヒト(の可能性)世界における地球、並びに月などの外部天体となっています。

 

 ただし、謎の空間異常増殖を起こしたバーチャル世界が、作中通して現実世界のあちらこちらを侵食中。結果として、現代地球や外部天体各所に、過去世界の風景が、アトランダムで混ざり込んでいるっていうのが状況設定です。

 

 

 

 北米の一部が白亜紀の森になっていたり。ヨーロッパ方面に新生代更新世の平原が広がっていたり。

 

 また例えば自キャラの種族をヒトにした場合、初回ログイン時のスタート地点は日本の東京ステージの一角からです。

 

 PV映像でも大っぴらになっていましたように、廃墟と化した首都圏に始新世のジャングル(当時は[始新世初期の温暖化(英)]の時期だったため、日本の気候も熱帯ないし亜熱帯に位置していました)が入り混じった大規模マップは、本作においても異色の出来だと言って良いでしょう。

 

 

 

 馴染みがあるようで馴染みがない。そんな不可思議かつ多様性に溢れたロケーションを旅する。

 

 そしてそのあちこちを闊歩している各時代の古生物や、変異した現代生物(ヒト含む)と交戦。レベリングするなり個別クエストを進めるなりしてキャラクターを育ててゆく。というのが、ゲームとしての基本的な骨子となります。

 

 

 

 自キャラのアクション面については、前作から引き継いだ上で要所要所が洗練されています。

 

 バランスも良好。目立ったバグもありません。おかげで細かいことを考えずに切った張ったをやるだけなら、それなりに楽しめるでしょう。

 

 

 

 もっとも……それってただ単に最低限の水準をクリアしているというだけでありまして。昨今大した評価に値しないのは、ご承知おきの通り。

 

 そして、このゲーム。大事な大事なプラスαの部分が、露骨なレベルで作りが甘いのがマァ致命的なんですよねえ。ホント、どうしてこうなった。

 

 

 

 

 

 

 個人的に一番ダメな気がしたのは、ストーリー面です。

 

 本ゲームはMMOとして日々の方針はプレイヤーごとの独自の判断に委ねられますが、一方で『メインクエスト』と呼ばれるキャンペーン・シナリオが存在しています。

 

 キャラクター作成直後から受諾可能。また、自キャラのレベルが上がるごとに段階的に続きが解放されていくこの一連のクエスト群をプレイすることで、VWO2の主だったストーリーを体験してゆくことになるわけですね。

 

 

 

 原作登場人物や各種族のモブNPCたちが、状況に翻弄されながらも、徐々に事態の真相に迫ってゆく。そういった様子が順次描かれていきます。

 

 経験値的にも報酬的にも実入りが良い。作成直後から高レベル帯に至るまで、本ゲームのプレイヤーはこの『メインクエスト』と付き合っていくことになるでしょう。

 

 

 

 前作シナリオ中だと、各NPCキャラクターの物わかりが良過ぎる点がたびたび突っ込まれていました。ご都合主義レベルで察しが良く、従順すぎる、といったような。

 

 しかし、それに対して本作では、過去のツッコミどころが完全に逆噴射してしまっているんですね。

 

 

 

 つまり、純粋に登場人物の頭が悪く見えるシーンが多い。また置かれたシチュエーションに対していやに反抗的でもある。

 

 そこらへんがプレイしていていちいち鼻についてしまうのが、巨大な難点として立ちはだかってくるのです。

 

 

 

 本作『メインクエスト』でフォーカスされているのは、現代地球各地における種族間抗争です。

 

 状況を極めつけに単純化してしまうと、各種族はヒト可能性世界における地球という土地の確保を巡って、互いに争っているわけです。

 

 したがって登場人物ごとに立場が異なる。各々目的も異なる。また考え方も。

 

 加えて現地調査を進める主人公の肩書き――各種族の第三者機関所属調査員――が、必ずしも各地で歓迎を受けるわけではないということもあるでしょう。

 

 

 

 込み入った設定上の利害関係を、シナリオにキチンと反映するのなら。実際、頭を抱えたくなるようなトラブルが頻発する方が、描写的にリアルだと言えるのかもしれません。

 

 でもですよ? 今どき題材が全盛期の二次創作ゲームなんかプレイするような年季の入ったファンが、原作キャラの情けないところなんか見たいか? というと、当然そんなはずもないですよねえ。

 

 どう考えても需要を読み違えているわけです。完全に。

 

 

 

 

 

 

 粗野な利己主義者として描かれた新規NPCが味方の足を引っ張る展開や、突発的な事故発生による前作戦の失敗。

 

 その手の残念な状況からのリカバリー役を、自キャラが押し付けられることになる。クエスト進行中に散々味わうその手の流れを見るにつけ、ある種の「負のご都合主義」的な不快感を覚えるプレイヤーは、少なくないんじゃないかと思います。

 

 

 

 少なくとも、このレビューを書いている当人は完全にそのクチでしたね。

 

 前作では事前カスタマイズ込みのAIオート対戦(いわゆる『対人モドキ』)を相当やり込んだり、そこそこコストを掛けた模擬人格(ゴースト)使って、通しで実況動画を上げさせてもらったりするくらいにはハマった人間なんですけども……正直。VWO2(こっち)はそこまで本腰を入れてやる気にはなれなかったというのが、掛け値ない本音です。いまいちノれなかった。

 

 

 

 

 

 

 ……なんか書いてて生理的に(・・・・)ムカムカしてきましたよ。久々も久々に。ここからはもう完全に、ネタバレ配慮皆無で行かせてもらいます。

 

 

 

 『メインクエスト』序盤の北アメリカマップにて。半変異して暴徒化した現地人によって構成される武装ゲリラ集団に誘い込まれ、孤立無援となるポカをやらかすギラグールの女司令官。

 

 シナリオの裏で率いてた別働隊が雑に壊滅。いつの間にか病院送り――こっちは中盤で訪れる、太平洋の熱水噴出孔付近に設置されたエウロパ人の出先機関内部でのこと――になっているドライ・シックス。

 

 

 

 原作高IQキャラがやらかす無様な失態の数々。そんなもん、いったいどこの誰が見たがるのかっつー話でありまして。

 

 

 

 その一方、AIオペレーターの虎哲はシナリオ中盤から味方サイドで出ずっぱりなせいか異様に優秀になっています。

 

 特定ジャンルにおける処理能力がセラフィーを上回るみたいな扱いで、どこらへんがロートルなのって感じでしたね。対するアッケラ缶がどの場面でもイマイチ役に立ってないのは、別にそれは構わないと思いますけど。

 

 フォロル族のモブキャラが画面の隅で量産型アッケラ缶(エウロパ人式の端末からホログラフ式に浮かび上がって話してくれる)としょーもないやり取りをしているのはそれなりに微笑ましかった。とはいえ、設定的な整合性はキチンと付けて欲しいもんですよ。

 

 

 

 また、鳴り物入りで登場した追加種族にしても。正直言って、鳴かず飛ばずで終わっているように感じられます。

 

 甲冑人間『カルサイテオス』(※:三葉虫から進化した無骨なヒューマノイド。脱皮して脱ぎ捨てた皮を用いたやや複雑な戦闘ギミックを持ち、また地中戦もこなせる。コンセプトとしてプグラシュティク+エウロパ人÷2といったところ)は全般的に動作が重くて今ひとつですし。

 

 改造人種『ドラゴニュート』(※:ギラグールをベースに、ヒト種のDNAを用いて生体工学的に改造することによって作り出された、いわばヒト版のラプター)にしたって。合成元のいいとこ取りと見せかけて、実態としてはヒトよりも扱いやすさで劣り、しっかり使い込んでみても、火力、機動力両面において常時ギラグールの後塵を拝したまんま。器用貧乏が否めない性能でした。

 

 

 

 しまいにゃ、ワーウルフみたいなのとか、ワーキャットもどきなんかまで後追いで出してくるわけです。わんわんにゃーにゃー?

 

 まぁそこらへんに関しては既存アセットから引き写して多少手を加えただけっぽいですから、プレイアブル・キャラクターとしての出来は相応に良いんですが。

 

 しかし世界観考えると、あの安直極まる見た目じゃあいくらなんでも。雰囲気ぶち壊しと言われても仕方ないですよ、アレ。

 

 

 

 更に、更にネタバレ。前作でトリックスター役としてそれなりに出番があった某巨大無機物ですけどね。彼女(ないし彼)が本作シナリオにおける、事実上のラスボスに抜擢されているんですよ。

 

 某木星衛星内部が自己変形し、丸ごと地下迷宮と化している。多数のプレイヤーたちが日夜ダンジョン・ハックを繰り返すことで、一定水準のポイントが溜まりきった時点で中枢部への道が拓ける。

 

 スネーカー本体に似た感じの中枢ユニットを、レイド戦で打ちのめすとストーリー的には大団円。みたいな流れが『メインクエスト』のラストに用意されています。

 

 

 

 その手の有りがちなスキーム自体はまぁ、良いとしても。彼女ないし彼の目的がわりとチープ……ていうかもう、完全にぶっちゃけてしまうとですね。

 

「別宇宙を創造してそちらにも自分を発生させ、相互連携を行わせることで事実上の永遠を得る。その計画を実行するために多元宇宙における各種族のハイパー・バーチャル・システムを尽く乗っ取って、演算能力を結集しようと目論んだ」

 

 という、絶望的に有りがちな悪役ムーブを押し付けられているってのがもう。ひどい。とてもひどい。

 

 

 

 ヒトの理外の存在としてのAIを象徴する、自生的無機秩序体としての「得体の知れなさ」。そのあたりが相当剥がれ落ちてしまってて残念極み。

 

 ストーリーの作りがどうにも深みに欠けるのは、別にこの点に限った話ではないですが。それでも前作VWOでのシナリオを後追いで巻き添えにしてしまっているあたり、悪質度でいうとここらが天井付近に位置するように思います。イヤハヤ。勘弁です。

 

 

 

 

 

 

 ……一応。この巨大無機物悪役化の流れの中で、前作主人公ポジションの人間がちゃっかり救助されまして。更に後の選択肢によっては、事実上のヒロイン役に収まってくれる。

 

 コレ自体はまぁ、良いことだったんじゃないかと思えるんですけどねえ。

 

 

 

 前作ストーリーのメリーバッドじみた終わり方は、控えめに言って賛否両論でした。そのあたりが今作で補完され、事実上のハッピーエンドを迎えることができたわけです。

 

 本作シナリオにおける数少ない加点要素と言えましょう。ていうかはっきり言っちゃうと、今回自分が「おすすめする」側に票を投じたのは概ねこの部分によるものです。

 

 チープだと謗られようが、ハッピーエンドは良いもんですよ。ええ。

 

 

 

 そのあたりの没入感を高めるためにも、前作既プレイの方はなるべくデータをVWO1からコンバートしておいた方が良いかと思います。

 

 ゲームのオプション設定やキャラクターの容姿などを、このVWO2へ丸ごと引き継げるようになっているんですね。2側でのキャラクター作成時に選択肢のポップアップが出ますので、そこでYESを押したら、後は表示される手順に従うだけで済むはずです。お忘れなきよう。

 

 

 

 ただまぁ……今作主人公の視点に立ってみますと。自分の婆様or爺様の昔の恋人といい感じの関係になるっていうのは、それはそれでどうなんだって感もなくはないですけどねえ。

 

 時代設定的に、当の婆様or爺様やその関係者もフツーに生きてそうですし。そっちの方でも相当居た堪れないことになってるのでは? PCの年齢等の任意設定にもよるでしょうけどさ。

 

 

 

 つーか、そもそも。初っ端も初っ端なキャラ作成時に、エンディング間際に反映される事実上の地雷を仕込むのって本シリーズの伝統なんですかねえ?

 

 ったくもー、とっとと捨てちまえって感じですよ、そんなもん――

 

 

 

 了

 

 

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