恐竜惑星とジーンダイバーのMOゲームを実況します   作:あーぷ

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ぼんやり運転事故のもと

 

 

 うーん。正直、ちょっと、ダレ気味になってきたよーな気がするぞ。

 

 いや、まぁ。その。チュートリアル成分多目の序盤戦を乗り越え、アクションゲームとしてはいよいよ本番。

 

 これからガンガンやりごたえが出てくるんだぜって場面では、あるんだけどねえ。一応。

 

 

 

 ひとつ前の放送コマで、ワールド2-1を何度かぐるぐるして稼ぎを済ませた。その際にリックくんのレベルが13になり、主力スキルが出揃った。ついにプグラシュティクの基本戦術を振るうための下準備が整ったと言える。

 

 このところどうもプレイ内容が不甲斐なかったぶん、ですね。さっきの放映コマと現行コマとの間隙的なタイミングで、ネット経由のお手軽なお勉強(・・・・・・・)をキチンと済ませてきたのだよ。

 

 

 

 飛び道具無効の土中潜りと、回避性能に優れる地上移動とを適宜切り替えつつ接近。鈍足(スロウ)付与効果のある『バインド・ショット』――『ジーンダイバー』劇中で、バン・ニーがレーザーでユイの太ももを撃ち抜いて重傷を負わせたアレだな――を使って状態異常を入れる。

 

 そしたら一定時間相手の動作が鈍くなって反撃を喰らいづらくなるので。ドリアタなどの各種近接スキルに通常攻撃を絡めた安定コンボで、ダメージをゴリゴリ取っていく。

 

 これこそ、我らがプグラシュティクの基本戦術ってわけである。……そうなんだってさ。

 

 

 

 他種族との比較だとどうしてもトータル火力(DPS)が低めに出がちなプグラシュティクだけど、通常プレイのステージ進行に支障が出るほどひどいってこともないからな。

 

 適正レベルまで上げて、ほどほどに装備更新も済ませてあれば。初見だろうとスムーズに進められるよう、しっかりとバランス調整が行われている。

 

 

 

 敵モーションの理不尽な当たり判定とか。雑に付いてる仰け反り無効属性(スーパーアーマー)とか。不意のAoEによる大ダメージとか? 

 

 そーいういかにもトサカに来そうな要素も、処々にないではない。

 

 とはいえ、ワールド2の現時点ではまだまだ戦闘におけるスパイスの域に十分留まっているってこともあって。ゲーム体験としては、このあたりが一番脂が乗っているんだと言っても過言じゃない。

 

 少なくとも平均的なプレイヤー・アカウントからの評判は、概ね良好と見られる部分である。実際にそういう評価がたくさん付いていたはずだ。

 

 

 

 でも、ねえ。一介の古生物ファンとして。グラフィックがジャギった状態で襲い来る連中をひたすら迎え撃つだけってのは、忍びない気持ちが抑えきれぬと言いますか。

 

 

 

 

 

 

 とりわけこのワールド2序盤ステージの風景が、今みたいな感想を一層助長してくれるんだよなあ。

 

 なんていうか。植物相が現代に近いからか、変に既視感があるんだな。全体的に。

 

 

 

 盆地の底に開けた草っぱらに、常緑性の広葉樹がぽつぽつと? アレ、たぶん、ブナ科のコルクガシあたりの祖先種なのかねえ。

 

 

 

 地面をまだらに覆っている、丈の低い雑草めいた連中にしたってだ。普通にマメ目のいずれかで、また植生の大勢を占める赤紫色の小さな花は、現生のカラスノエンドウそっくりな見た目。

 

 キク目に位置するタンポポっぽい黄色い花も、中にはちらほらと混じっている。

 

 

 

 もちろん、現代とは種レベル。殊によると科レベルで違っているのだろうし、人類史で誠おなじみのイネ目の発展は、現時点から2000万年先の未来、中新世を待たねばならない。

 

 そのため実態を見ていく場合の草本の顔ぶれには、大きく違いがあるにはある。しかし、他方。素人目に見てそれと分かるほど、ビジュアルに差異が見いだせないってのも、また確かなことだと言えるだろう。

 

 

 

 引き続き始新世のヨーロッパ近傍。今で言う、ベルギーあたりに位置するポイントだけども。

 

 仮にここが、地中海性気候の現代南部イタリアだって言われたとして。エラー状態で特攻してくる各種古生物軍団が居なかったら、普通に信じてしまいそうなランドスケープなのだった。

 

 

 

 

 

 

 それに……ビジュアル面でワールド1と丸かぶりしている。そういう、わりとミもフタもない言い草だってできるかと思う。

 

 ムービーや、ステージ進行中の場所やタイミングによっては、先ほどのような色とりどりの花が咲き乱れるカットシーンが目を楽しませてくれる。

 

 ただ、正直言って被子植物が地球上に現れたのなんて。時代を振り返ってみると、ジュラ紀の後期あたりまでガッツリ遡ってしまえる。

 

 

 

 中でも顕花植物は、白亜紀を通して徐々に勢力が伸長。白亜紀中期ごろには既に、バラ類やキク類といった現代に通じる枠組みが、しっかりと形造られていたんだそうだ。

 

 

 

 恐竜時代の再現図なんかで良く知られる、ソテツ類や、シダ類が大いに繁茂する、緑と茶色とで彩られた世界。

 

 そんないかにも「中生代でござい」って感じの植生分布。あれってせいぜい、白亜紀の前期あたりまでだったりするんだな。

 

 

 

 ワールド1の後半は、白亜紀中期以降の時代背景がほとんどだった。目ざとい方は、ステージの片隅で色づく草花のことを、なんとなく覚えておられるんではないでしょうかね。

 

 

 

 

 

 

 ワールド1。そのクライマックスで野次馬的に追体験することになった、約6600万年前の[K-Pg境界]における地球外天体衝突事変。

 

 当時引き起こされた全世界的な大量絶滅と、それに伴う適応放散。これにより動物界においては、陸海を問わず、劇的なニッチの入れ替わりが起こった。つとに有名なお話だ。

 

 

 

 だけど、植物に関しては案外そこまでではなかった。むしろ、それ以前から大きな潮流としての変化のベクトルがあって……事変以後についても、引き続きその傾向が継続していった。

 

 大枠をそんなふうに捉えてしまっても、良いんじゃないかって思わんでもない。

 

 

 

 もちろん、コレってかなり語弊のある見方だとは言えるだろう。

 

 当時の実態を古植物学的に見ていくと。恐竜なんかと一緒に絶滅してしまった植物は、種や属レベルでのカウントが相当数にのぼっている。

 

 とりわけ隕石の直撃を食らった南北アメリカでは被害がひどかったらしい。八割近い植物種がまとめて根こそぎ、歴史から抹消されている。

 

 

 

 加えて、多様性の観点では既に被子植物に押され気味だった裸子植物が、量的側面においても著しい退潮を見せた。そんなふうな事実関係を、花粉化石から窺い知ることが十分に可能である、とのことで。

 

 白亜紀と、新生代に足踏み入れる古第三紀との厳然たる隔たり。天変地異によるガラガラポンは、植物界にも相当な影響を与えている……というのも、それはそれで確かな事実ではあるっぽいんだが。

 

 

 

 しかし、言っちゃなんだけども、その。

 

 とにかく見た目がねえ。チト地味。

 

 

 

 

 

 

 ……おっとと。危ない危ない。ボンヤリ喋くってたら、リックくんが出会い頭に不意打ちをくらうとこだった。

 

 今、岩陰からヌッと現れたバカでかい鳥は、[ガストルニス]だな。

 

 体高おおよそ3メートル。威圧感のある大きな頭部と、その半分以上を占める巨大なクチバシ。そして対照的に小さく退化した双翼が特徴の、俗に恐鳥類とも呼ばれる飛べない鳥だ。

 

 

 

 『ジーンダイバー』原作だと、コイツ――正確には種の一つであるガストルニス・ギガンティアかと思うが――はディアトリマって言われていた。

 

 ベーリング陸橋経由でユーラシアとたびたび接続のあった、始新世前期の北アメリカにて。劇中では[原猿]と呼称される初期の[直鼻亜目]のサルたちを、樹の幹を蹴り飛ばすことで樹上から篩い落とし、モシャモシャしようと狙っていた。

 

 しかし、最終的には森林火災に巻き込まれて逃げ込んだ水中で、自分が古代ワニにモグモグされるハメになった。ようは生態系ピラミッドにおける、上から二番目くらいの上位捕食者として描かれていたわけだ。

 

 

 

 が。どうも大クチバシの形状なんかを見るかぎり。実はディアトリマ、もといガストルニスって、木の実なんかを突き割って食べる、草食メインの比較的大人しい生き物だったみたいなんだよねえ。

 

 絶滅した巨大鳥として知名度の高い[ジャイアント・モア]とか[エピオルニス]。あるいは現生のダチョウあたりと似たようなポジションを占めていたと見られる。

 

 劇中ではたぶん、別の肉食系大型陸上鳥類である[フォルスラコス]あたりと混同されちゃってたんじゃないだろうか。

 

 

 

 両者の類縁関係はそれほど近くない。ガストルニスはカモ目に近く、フォルスラコスの方はなんとスズメ目とソコソコ近縁なんだとか……あ、しまった。被弾した。

 

 

 

 こいつのストンピング、避けづらいんだよなあ。

 

 草食動物らしい蹄みたいな形状の足してるくせに、ダメージもそこそこ通してくる。そんでもって一発もらうと追撃でツツキ回されて被害が加速だ。ちゅんちゅんちゅん。痛い痛い。

 

 

 

 なんか、イヤーな予感がするなあ。今みたいに一匹なら、多少ミスっても何とかなるけれど。確か、この後二匹同時に湧いてきたような?

 

 流石にステージ2ごときでワンミスかましてジーン・ダイブ待ちは馬鹿らしいってか恥ずかしいんで、この場は回復アイテム連打で雑に誤魔化してしまおう……って。そういやワールド1のラストで使い切ったポーション類、一切補充してねえぞ!

 

 

 

 えーっと。あー。前回紹介しましたとおり、ワールド2だとクレジット消費でハルから買えます。

 

 ていうか、艦内散策したときにわざわざ購入画面見せて、品揃えまでバッチリ読み上げた記憶がそこはかとなく。なのに買ってないっていうね。

 

 いやもー、グダグダ……。

 

 

 

 こういうときって、何やってもダメだよなあ。ケチがついちゃってる。

 

 普段のペースよりも相当早めだけど、このステージ終わらせたら、今の放送コマには一旦区切りを入れるとするか。

 

 不調時のお約束。一回頭をザバッと洗って出直して(・・・・・・・・・・・・・)こよう。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

『今の[パラケラテリウム]が最後の一体だったみたいだね。お疲れ様』

 

 うむ、お疲れ様ー。

 

 ゾウ並かそれ以上の体躯を誇るサイの仲間、ヒラコドン科のパラケラテリウム。別名にインドリコテリウムとかバルキテリウムなんてのもあったりする。

 

 この手の名前ダブりと正式名称の変遷は、20世紀終盤以降の分岐分類学の発展に伴い。乱立していた種分類が系統的に整理されたというのが、主だった理由なんだとか。

 

 

 

 ともあれ、陸生哺乳類では史上最大級を誇る7メートル近い体高は、相対してみるとティラノサウルス並のサイズ感があった。しかしまぁ、ワールド1の恐竜大行進を潜り抜けた今となっては、いい加減もう慣れた程度のインパクトでもあるだろう。

 

 

 

 それにアキラのナビってか。助言が的確なおかげで、狙い所が分かりやすかったのも良かったかね。

 

 実際、哺乳類のデカブツは突撃を躱した後の足を狙えというのは、大スキピオの戦象対策以来の定石でもあったはずだしな。

 

 

 

 カルタゴ滅ぶべし、と。……さて。これにてワールド2、第3ステージをクリアとなる。

 

 およそ3000万年前の漸新世、中央アジア付近のステップ地帯。このあたりに広く生息していた風変わりな大型獣たちの波状攻撃を、何とかかんとか捌き切った。

 

 一コマ前の放送での第2ステージに続いて、場面場面でそこそこ危なげはあったと思う。それでもさっき気合を入れ直した(・・・・・・・・)おかげで、プレイ内容自体は概ねソツのないものだった。

 

 

 

 結局、こういうのって、難易度じゃなくて集中力の問題なんだよねえ。事前準備でちゃんとコンディション整えとけば、その場のノリでだいたい何とかなるもんだ。

 

 

 

 ちなみに次のステージ4は、時代をやや遡って、暁新世後期の南米北端。マップ自体も今までとは毛色の異なる洞窟ステージである。

 

 暗がり、入り組んだ分岐に、高低差? 適当に進んでいるとどんどん方向感覚が狂わされる構造になっている。そのため引き続き、アキラのナビゲートが大へんお役立ちとなる。

 

 神様アキラ様、当面よろしくお願い致します。

 

 

 

 

 

 

 一度拠点に戻ってー。まずは機材置き場でクエスト報告から。

 

 プグラシュティク向けのパネル式コンソールを、使いづらそうに弄っているハルに話しかけると。薄紫色のヘルメットに覆われた頭が、くるりとこちら側を振り向いた。

 

「……どうした?」

 

 リックくんがいつもの身振りで応対をする。ギラグール全般に共通して言えることだが、白い仮面で表情を隠している上、黄色い目玉にタテ一本の爬虫類らしい瞳のせいで、相手の感情がイマイチ読めない。

 

 あ、そうそう。このあとで消耗品もしっかり補充しとかないとな。前回のポカを繰り返すことのないように。要注意。

 

 

 

「肉歯目、[ヒアエノドン]のサンプルを5体分。確かに揃っている。礼を言う」

 

 肉歯目っていうのは、暁新世後期から中新世にかけて、4000万年以上に渡って生息していた主に肉食性の哺乳類グループだ。

 

 先程のステージでわらわら出てきたのは大型犬サイズの種だったけれど、大小様々存在し、とりわけ新生代の前半には、現生の食肉目――イヌとかネコとか――と似たような生態系ニッチを広く占めていた。

 

「……相変わらず、哺乳類の肌は水っぽい。好きではない」

 

 はァい、「好きではない」。お言葉頂戴。

 

 『恐竜惑星』原作でも、萌に向かって似たようなことを言っていたけれど。アンタ、哺乳類の研究者じゃないのかよってツッコミを入れたくもなる。

 

 研究対象のサンプルを触るのをいちいち嫌がってたら、試料分析なんてやってられないんじゃないだろうか。しょせんは半端な爪研ぎかー。

 

 

 

 ……とはいえ、このハルという男。もともとギラグールの中でも相当な変わり種である。

 

 本来彼らの文化には「嘘を付くという発想がない」はずにも関わらず。劇中のギラグール本拠地で、仲間の女研究者に騙し討ちみたいなことを普通に仕掛けていたりする。

 

 フォロルとの和平を率先して図ったあたり、好戦性もかなり低い。生理的にも、また文化的にも、肉食性恐竜としての形質を色濃く保っているはずの彼らのステロタイプからは、精神性を大きく異にしていることが察せられる。

 

 

 

 ようするに、この「好きではない」って。実はハルなりのユーモアの発露なのかもしれないな。

 

 ツンデレぶっておどけてみせるトカゲ人間とか誰得だよという感じもするが。これはこれで、一部の層にはしっかり需要があるんだろう。たぶん。

 

 

 

 まぁさておき。今しがたハルから受け取った報酬を速攻で使い、武器強化して初期装備をRank3までアップ。次のマップに条件が合うハルクエストもいくつか拾っておいてと……それじゃ、ステージ4に出向くと致しましょう。

 

 プグラメカの後部出入口からステージ選択画面にアクセス。ワールド2-4を選んで、いざ発進ー。

 

 

 

 

 

 

『今回は僕が、ナビゲートと一緒にマッピングも担当するよ。何か分からないことがあったら、その都度インカムで質問してね』

 

 オッケーオッケー、よろしくよろしく。

 

 現実問題、頼りになるんだ。質問してねと言ったって、別に音声認識で返答を自動生成するプログラムなんてもちろん積まれちゃいないのだけど、システム的な補助輪をやってくれるだけでも十分以上に優秀である。

 

 

 

 具体的にはこのステージからマップ機能が拡張される。いつも通りMキー押してマップ画面にし、次にTabキーを押すことで、より詳細な図面に切り替えられるようになっている。

 

 場合によってはアキラからインカム経由で助言も受けつつ、適宜詳細マップを参照して進んでいけばいいってわけである。

 

 

 

 ワールド1でも、ステージによってはフィラの妹であるファルンからの通信で、ある程度の指示案内を受ける場面があった。

 

 ただ、あっちはどちらかというとステージ内でのシナリオ進行に絡めた、演出としての意味合いが濃かったからなあ。個人的には実用品のこっちの方が、プレイ中における有り難みはずっと上だと思う。

 

 

 

 

 

 

 現代世界でいうところのユカタン半島北部。緑深き山肌にぽっかりと開けた暗い入り口から入り、続く鍾乳洞の内部を、恐る恐るで進んでゆく。

 

 内部は意外なほどに広々としていた。頭上から垂れ下がる鍾乳石と、あちこちの地面から伸び上がる石筍が特徴的な閉鎖空間である。

 

 

 

 地理座標で言うと、ココって後の[チクシュルーブ・クレーター]の辺縁部にあたる。世界各地の鍾乳洞ロケーションの中では、相対的に見てまだかなり若い部類の物件だと言っていい。

 

 要するにK-Pg境界の天体衝突事変に伴って形成された[カルスト地形]が基盤となっておりまして。現時点ではそこそこの標高に位置しているものの、数千万年後にはすっかり沈降からの水没を経て、一般に[セノーテ]と呼ばれる、中米地域で馴染みの地下水脈へと装いを新たにしていることだろう。

 

 

 

 天井のひび割れから射す明かりのおかげで、視界にそこまで不自由しないのは幸い。一方で、そこかしこに見られる石灰岩オブジェクトのせいで、見通し自体はかなり悪い。

 

 

 

 よくよく見ると、滴る雨水や地下水が洞穴の底面を侵食し、ところどころが崖みたくなっているのが分かると思う。

 

 アクションゲームの常として、足滑らせるとあっさりワンミスなので、要注意だ。

 

 池ポチャの場合、ジーン・ダイブの待機時間は免除してもらえるんだが、報酬については通常通り死亡数に応じて減額される。そのため、事あるごとにポトポト落下していると、クリア後のリザルト画面で愕然とさせられるハメになりかねない。

 

 

 

 ……まぁ、多少気をつけてようが、落ちるときは容赦なく落とされるんだけど。

 

 それまたアクションゲームのお約束ってか。良くも悪くもね。

 

 

 

 

 

 

 薄暗がりの鍾乳洞。湿気まみれの淀んだ空気。現代の感覚だと、いかにもコウモリなんかが群れで営巣してそうな雰囲気かと思う。

 

 しかしながら、暁新世はまだまだ翼手目が未発展な頃合い。群れなす航空戦力に突き回される心配はないから、安心して構わない。

 

 

 

 代わりに、このマップで出てくるのは[メソニクス]である。

 

 面長な顔。四足歩行の足裏をべったりと地面に付ける[蹠行性]。

 

 そのまんまメソニクス目と呼ばれる、さっきの肉歯目よりもさらに古いタイプに当たる。不格好な狼といったふうな中型肉食獣だ。

 

 

 

 始新世に入ると、早くも肉歯目に押されて――その肉歯目にしたって、中新世には食肉目に完全に取って代わられるわけだから諸行無常ではある――どんどん数を減らしていく彼らメソニクス目だけど、この暁新世では最もポピュラーな捕食者のひとつだった。

 

 本ゲーム的にはそこまで強い相手でもないんだが、複数体が波状式でガンガン突っ込んでくるため。ステージ自体の立ち回りづらさも相まって意外と厄介だ。

 

 なんでお前らこんなところで群れてるの、というもっともすぎるツッコミは謹んで呑み込んでおくべきか。

 

 

 

 

 

 

 それからもうひとつ。マップを進めていくたびに、こちらに一撃を加えては消えてゆく。怪しく伸びあがる不気味な影。

 

『うわっ! ……危なかったね。なんだったんだろう、今の』

 

 物陰からの不意打ち。とっさのガードは可能だが反撃はできない。

 

 

 

 明らかにメソニクスどもとは一線を画した大きさだった。わずかな間だけ壁に映ったシルエットが、黒い三日月のようにひどく撓っていた。

 

 一見しただけでは生物とは思えない形状をしていたアレは、いったい?

 

 

 

 

 

 

 ……さくっとネタバレしてしまおう。この洞窟ステージ、ボスは史上最大級のヘビである[ティタノボア]である。

 

 ティタノボア・セレジョネンシス。最大全長は貫禄の15メートル。身体の太い部分の直系も1メートルを越えており、ヘタな丸太もかくやの大サイズを誇る。

 

 

 

 要所要所でこいつが襲撃を繰り返してくるのが厄介なんだよなあ、このマップ。

 

 周回プレイヤーなら、前もって身構えておいて特定のタイミングで適切にガードを置いておけばどうとでもなるんだけど。初見だとほぼ確定でダメージを貰ってしまうはず。

 

 またさっきも言ったように、襲撃時に狙いすまして殴り返してみても、そもそも敵に当たり判定がないので意味がなく。どうしてもストレスが溜まりがちとなる。そういうタチの悪いギミックなのだ。

 

 

 

 まぁ道中がカッタルイというだけで、一度ボス部屋まで到達しちゃえば、残りはわりと消化試合って感じでもあるんだけどな。

 

 ヘビだけあって当然変温動物のくせに、涼しい洞窟なんかにいるからか。全般的に動きが単調。かつAoEののたくり攻撃の範囲も狭いため、こっちの遠距離攻撃スキルの格好のマトだったりするので。

 

 

 

 最近スキルスロットからリストラ気味だった『ドリル先端部レーザー発射』くんにも、たまにはカムバックして貰うとしよう。適材適所ってやつである。

 

 

 

 

 

 

 ところでー……ヘビって生き物の進化の系譜なんだけど。陸上説と水生説があるというのは、皆さんご存知でしょうか?

 

 新生代における爬虫類の代表的勢力である有鱗目。その片割れのヘビ亜目――もう片方はトカゲ亜目――が、どんな感じでトカゲから分岐していったのか。21世紀なかば現在、未だに結論が出ていない。

 

 

 

 現生のウミイグアナのように、半海棲の爬虫類が、水中生活に適応する形で手足を失っていったのか。

 

 それとも、ミミズトカゲと呼ばれる現生トカゲの一派のように。狭い穴や亀裂を利用して生きていくために、すらっとした一本ボディを獲得することになったのか?

 

 遺伝子解析で大凡の分岐時期自体は割れており、だいたいジュラ紀末期から白亜紀前期あたりだとされている。しかし、そこらにおける決定的な化石証拠が、今なお未発見だったりするんだな。

 

 

 

 一応、陸上説としては[ナジャシュ]。水生説では[パキラキス]なんかがクラドグラムにおける基底的なヘビとして有名だけど、どちらも既にかなり特殊化が進んでいて、イマイチ決め手に欠けている。

 

 また、両者よりも年代を遡る日本産のドリコサウルス類[カガナイアス]が、どうも淡水棲だったらしく。同じ水生説でも、海中派と淡水派で派閥が割れていたりと、なかなか事態は混沌としているのだった。

 

 

 

 現時点だと、陸上説がやや有利なのかなあ。ナジャシュよりも古い、腕の退化した陸生有鱗目の化石証拠がいくつか出ている。

 

 さりとて、海生爬虫類のモササウルス類との関連等。水生説を担いでいる側だって、まだまだ白旗を揚げてはいない。

 

 

 

 陸か、それとも海か? 優れた頭脳を持ついい大人たちが、今このときも、果てなき真実目指して日夜議論、論文で殴り合っている。

 

 こういうナゾにふんわりと思いを馳せるのも、ある意味、古生物学の醍醐味ってやつだよなあ。半可通にだって、門戸がバッチリ開かれているってわけである。

 

 

 

 まぁ、実際ゲーム中に敵として出てこられてしまうと。背景事情をいちいち考えるより、ヤツらをどうやってボコって仕留めるかってことの方が、よっぽど重大事になってしまうのが物悲しくもあるけれど。

 

 

 

 

 

 

 ……それはそれとして。道、間違えてないか?

 

 ずっと似たような洞穴が続いていた中。だんだん進む方角がズレてった、ような気がする。

 

『んー……このまま行くと、元の道に戻っちゃう感じだよ?』

 

 あっ、はい。デスヨネー。

 

 

 

 分岐ごとにいちいちアキラが誘導めいたことを言ってくれていたのを、軒並みスルーしちゃってたのが良くなかったな。ウンチク語りにかまけてるような場合じゃなかった。

 

 以前にちゃんとクリアしていようが、うろ覚えの手なりプレイじゃあこうもなろうってか。

 

 このステージ、稼ぎ向けの構造じゃあ全然ないから、何度も周回(ハムスター)した経験もなかったしねえ。失敗失敗。

 

 

 

 仕方ない。同じポイントで連続して襲撃食らうって設定にはなってなかったはずだからぁー……二度手間にはなるけど、一旦思いっきり引き返して。最序盤の分岐を起点に、イチからしっかり進み直していくことに致しましょ。

 

 

 

 しっかし、どうも()りきってないって感じだなあ。この後もっかい洗顔タイムを挟むとするか。

 

 ま、良くあることではあるんだけどね。皆さんもよくよくご存知の通り。今となってはこれはこれで、一種のバイオリズムみたいなもんだろうさ。

 

 

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