夢見兄妹のヒーローアカデミア   作:月神サチ

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第10話 雄英高校体育祭(なお夢見三兄妹は出禁)その2

――Side 夢見朧

 

「第1競技は――障害物競争!」

 

ミッドナイトが競技内容を説明する。

 

1 コースは会場の外周(およそ4キロ)一周。

 

2 途中障害物があるので個性や実力を駆使して突破すること。

 

3 コースを外れずに一周回ってくること。妨害禁止などのルールは特に無し。強いて言えば死人がでないように!

 

4 次競技の出場枠は不開示。順位高ければ次競技に出られるチャンス!

 

5 ドローンやカメラによるリアルタイム中継されるので個性の使い方や実力をプロたちは見ていることお忘れなく!

 

6 補足として棄権(リタイア)は宣言できる。またエリアごとの安全担当に死亡と判断されたら救助の上、失格となる。

 

比較的シンプルなルールだ。

 

「それじゃ、スタート位置について頂戴!」

 

鞭を地面に叩きつけながら告げたミッドナイトの言葉で、ゴールにしてスタート位置のゲートに殺到する1年生たち。

 

「それじゃ、ヨーイ……スタート!」

 

少し溜めたミッドナイトの合図――とスターターピストルの音――で駆け出す生徒たち。

 

しかしスタートから会場外までの通路は……狭い。

 

「押し合いへし合い取っ組み合いだな、通勤ラッシュの電車みたいだぜブラザー!」

 

「体力消耗覚悟で混雑の波を進むか。……先頭スタートで突っ切るのが安牌だがスタートしたからそれは選べない。空中を通過するか、混雑による体力消耗をさけて最後尾から追い上げを狙うか……手札と戦略次第でしょうね」

 

伊達メガネかけて冷静に解説してくオレ。

 

「おっと、そんなこと言ってる間に先頭集団は出口をくぐり抜け、外にでたぞ!」

 

「先頭の方が順番的には優位だけど……プルスウルトラな雄英が普通の障害物置いてるとは思えないのがなぁ……」

 

綾の言葉に先頭集団がハッとする。

 

自分たちはファーストペンギン*1であることに気がついたのかもしれない。

 

「おっとそんなこと言ってたらでてきたのはロボットインフェルノだ!」

 

画面に映る大型のロボットたち。選手たちの行く手を阻むように立ちはだかる。

 

「ヒーロー科の入試で各試験会場で1体ずつでた巨大ロボットですね。まあ倒しても0ポイントなので壊したのは私たち3人含め、4人だけとのことですが」

 

奏が解説してる間に轟がロボたちを凍結させる。

 

余波で足元が凍り、殆どの選手の足止めとなる。

 

「コレは轟選手の独走かぁ!?」

 

「才能の塊で地味にストイックな爆豪選手がその後に続いてますよ。爆破を器用に使って飛行し、ロボたちを上から通り抜けましたね。そのまま空中移動は……せずに次以降の障害物用に温存のようですね」

 

「それよりあのロボたちの凍結が甘いから、あと10秒くらいで動きそう」

 

先頭の何人かが通り過ぎたころにロボが再び暴れ出した。

 

そのうち一体がこけて2名ほど選手が下敷きになる。

 

「やべえよコレ放送事故だって」

 

「いや、ある意味あの2人の選手にとっては最大のアピールになったかと」

 

「えっ、あの放送事故が???」

 

奏の言葉に困惑するプレゼント・マイク。

 

そう言ってるうちにロボの下から2人の選手が這い出てくる。

 

「……切島選手は硬化、鉄哲選手の個性はスティール。どちらも硬いことに定評のある個性ですからね。潰されても平気ですし、その姿がアピールになります。……あのエリアの安全担当は相澤先生なんで本当に危険なら捕縛布がどこからともなく飛んでくるはずです。ほら、今F組の生徒3名がロボに潰されかけて相澤先生に救出されました」

 

「なら問題ないな、ヨシ! 放送事故かと思って焦ったぜ……」  

 

現場猫からの汗を拭くようなジェスチャーするプレゼント・マイク。

 

「そんなこと言ってる間に先頭が2つ目の障害物にたどり着いたみたいだよ〜」

 

「次の障害物は ザ・フォール! 向こう岸まで点々とある足場に描けられたロープを渡れ! 空飛べるならソレもアリだ!」

 

綾の言葉で切り替えるプレゼント・マイク。

 

「高所恐怖症には辛い障害物だな」

 

「もしかして〜ミスタ苦手だったり?」

 

なんか食いついてきた。

 

「ご想像にお任せする」

 

「おっと、先頭を走るのは〜……轟、爆豪選手の2名。互いを妨害する苛烈な首位争いしてるねぇ」 

 

綾がニコニコしながらそう告げた。

 

「3位以降も負けてないな。おっと、爆豪選手は爆発を推進剤に大跳躍!轟選手はロープを基点に氷を使った氷の床を作って強行突破!」

 

「……緑谷さん、何故ロボインフェルノの外装の一部を持ったまま走ってるんでしょうか」

 

「おっと、蛙吹選手に飯田選手、それぞれの個性を駆使して方や堅実に、方や曲芸的速さで突破しているぅ!」

 

奏の疑問が響く前にプレゼント・マイクの実況がその声を上書きした。

 

「B組も負けていないようだ。……円場選手の空気凝固で足場を作ったり、角取選手の個性で空中を移動したりしている。……妙にB組の足並みが揃っているのが気になるが、それぞれの戦略なんだろう……」

 

「スタンドプレーのA組とチームプレーのB組ってか?……禁止されてねぇし良いんじゃね?」

 

「まあ、そうですわね」

 

オレの代わりに奏が曖昧な笑みを魅せる。

 

「さて、最後は地雷原! 敷き詰められた地雷を超えて、一番にゴールするのは誰だ!? ちなみに地雷は競技用に調整されてるから音と光、それなりの衝撃という安心設計!但し音と光で失禁しちまうかもなぁ!」

 

「地雷を見抜けるか、地雷をものともしない精神力があるか……。1つ言えるのは上位通過狙いほど苦しむ障害物ってことだな」

 

等と言っていたら、冷静に回避していく爆豪と轟の後方から装甲をボードにして意図的に地雷を起動させた。

 

「オイオイ緑谷選手。ロボインフェルノから剥ぎ取った装甲と地雷でサーフィンたぁクレイジーだな!」

 

「爆豪と轟による取っ組み合いを飛び越えて1位をかっさらったな」

 

地雷原を越えたらそのままの勢いでゴールを目指す緑谷君。

 

ソレに猛追する二人だが……。

 

「1位緑谷!写真判定で2位爆豪、3位轟!まさかのダークホースによる大番狂わせだぁ!」

 

緑谷の奇襲に対して反応が遅れた分が明暗となったようだ。

 

その後ヒーロー科39名(AB21人ずつ-夢見三兄妹)、普通科の心操人使、夏目真衣、サポート科の発目明という42人が次競技に進出することとなった。

 

「い、1000万……!?」

 

次の競技は順位毎に初期点数が割り振られた人同士で組む騎馬戦。

 

42位から5ポイントずつ増える仕組みなのだが、何故か1位だけ1000万ポイントという破格の事態。

 

渦中の緑谷は顎が外れそうな顔になっていた。

 

*1
最初に海に飛び込むペンギンのこと。天敵の存在するハイリスクと引き換えに一番最初に潜ることで一番エサを手に入れやすいハイリターンがある

時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?

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