夢見兄妹のヒーローアカデミア   作:月神サチ

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第14話 プッシーキャッツ/残された者

――Side 夢見朧

 

とある山の麓にある施設にて。

 

「煌めく眼でロックオン!!」

 

「猫の手 手助けやって来る!!」

 

「どこからともなくやって来る…」

 

「キュートにキャットにスティンガー!!」

 

「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!」」」」

 

連携の取れた4人の登場にオレは拍手する。

 

「はじめまして、八葉一刀流9代目剣仙、夢見朧です。ケンセンでも、朧でもどちらで呼んでいただいても構いません」

 

「夢見綾でーす♡ ヒーロー名はアーヤだよ」

 

「夢見奏です。ヒーローとしてはディーヴァと名乗っています」

 

「10歳から欧米でヒーローしてる若き天才三兄妹……特に朧君カッコいいし……唾つけとこ」

 

ピクシーボブが物理的に唾かけようとするが、奏のサウンドアーマーがオレの周りに展開され、全て弾かれた。

 

「ノーモーションで発動した……? 音の障壁で防御面も相当高いようね」

 

マンダレイがサウンドアーマーをみながら考察する。

 

「兄様の将来の相手は私なので、一番は譲れませんね。……ああ、私の派閥に付くなら兄様の寵愛のおこぼれくらいなら分けて差し上げますよ?」

 

「目が『ガチ』だわこのコ。殺意の獣飼いならしてる。……ってか兄妹で結婚って色々問題あるんじゃ……?」

 

「3人のうち朧君と綾ちゃんは養子と聞いている。3人相互に遺伝的血縁関係がなくて養子縁組を解除すれば婚姻もできるはず」

 

虎さんの言葉に、はえーとするラグドール。

 

「倫理的生物的に大丈夫ならヨシ! ……ところで本当におこぼれとかって……」

 

アカン、ピクシーボブが本気の色を滲ませている。

 

「メンタル小市民寄りのオレが複数人とそういう関係になったら胃が持たない!」

 

「そう? あちきが『見た』ところ数十人居ようと全員愛する度量があるみたいだけど? ……それに常人の数倍以上の性欲……そこらの人だと束になっても太刀打ちできないような……」

 

ラグドールがはて?と首かしげながらそんな事を言い出す。

 

「やっぱりお兄ちゃん強靭すぎる理性で性欲抑えてるだけじゃ……」

 

「ゴミ箱とか漁ってもそういうことしてることしてないので枯れているのかと思ってましたが……安心しました」

 

綾がジト目で奏は朗報を聞いたとばかりに涙ホロリとしている。

 

「それより! そこの少年は一体……」

 

物陰から顔を半分だけ出してる男の子に目を向けて問う。

 

「この子はアタシの甥っ子、出水洸汰さ。ほら、挨拶しな」

 

「……どうも」

 

マンダレイの言葉に反応し、最低限の挨拶をするとすぐに引っ込んだ。

 

……いや、関わることに嫌悪感を抱いたのか気配が離れていく。

 

「……ちょっと訳アリでね。ウチで面倒見てるんだ」

 

「――そのワケとやら、聞かせてくれませんか? 先代剣仙……亡き八坂御剣翁の血縁者がギクシャクしてるのは個人的にあまり見ていたくないので」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――Side 出水洸汰

 

「アイツらもヒーロー……ヒーローなんてなるもんじゃない」

 

秘密基地で思ったことを口にするおれ。

 

「……何が人を助ける仕事だよ……。なんだよ、『ヒーローとして立派に務めを果たした』って」

 

近くの小石を蹴る。

 

「……ヒーローは敵を捕まえなきゃだめなのに敵はヒーローを殺しに来る……不平等だし……」

 

「――周りは両親がヒーローとして殉職したことを誇れといい、自分を残して死んだことに文句を言えば『ワガママを言うなんて両親が悲しむ』とか言われる」

 

声のする方を向くとケンセンとか呼ばれてたヤツが木の幹に座っていた。

 

「……ラグドールから聞いたのかよ」

 

「一部始終な。……色々プライベート勝手に聞いたのが後ろめたいから今から独奏したり、独り言を喋る」

 

どこからか両手で持つ変な楽器*1を取り出すケンセン。

 

「はぁ? なにトンチンカンなことをいってんだ???」

 

後ろめたいのはケンセンの勝手だ。

 

わけがわからないのは『だから独奏したり独り言を喋る』という脈絡のかけらもない宣言をしたことだ。

 

おれが混乱してると、勝手に演奏を始めるケンセン。

 

何処か寂しげな、歌のない曲を落ち着いた様子でケンセンは演奏している。

 

 

 

 

 

 

しばらくして曲が終わったらしい。

 

いつの間にか小刻みに動かしていた手と指の動きが止まっていた。

 

「……八坂御剣って爺さんがいたんだ。オレに八葉一刀流を教えてくれた人なんだが……今はもう墓の下だ」

 

……たしか父さんの母さんの昔の苗字が八坂だったとか言ってたような……。

 

「その人、オレに八葉一刀流を一通り基礎だけ教えたと思ったら、『お前明日から9代目剣仙な』って言った挙げ句翌日死んだんだよ」

 

「……」

 

何が言いたいのか分からない。

 

けど、無視できなかった。

 

「オレこう思ったんだよ。『まだ教えてほしいことあったのに勝手にいなくなるなよ』、『オレが剣仙なんて無理だ』って。でも周りは先代が指名したから受け入れろって。無茶苦茶だよな」

 

「……そう……だな……」

 

頭をよぎるのは運動会や参観日に父さんや母さんの代わりに来るマンダレイの姿。

 

来てくれるのは嬉しい。

 

――でも、本当は……父さんと母さんに来てほしかった。

 

……何で死んじゃったんだっていう恨みに近い想い。

 

そこから――そんな命懸けの仕事である『ヒーロー』やその原因である『個性』、それがあふれる『個性社会』が憎くなったことを思い出す。

 

「……ちなみにオレは『個性のない世界』を少しだけ知ってる。たしかに個性がない分平和なところも有ったが、その分全員の身体は弱くて、怪我や病気を治す個性やそれに役立つ個性もない。コレは持論だが、どんな世界だろうと、結局死ぬときは死ぬ」

 

「? 前世の記憶みたいなのがあるのかよ」

 

おれの言葉にケンセンはしまったという顔をする。

 

「……おっと、このことは家族以外に話すの禁止なんだ。面倒なことになるからね」

 

ひみつひみつと言うケンセンにおれの顔は呆れ顔になってるかもしれない。

 

「……で、お前なにいいたいわけ?」

 

「そうだな……生まれたからにはいつか死ぬ。そして残された者が悲しんだりするのはその人の自由だ。家族が死んだら悲しい。それがヒーローであるから起きた死だとしても、どれだけヒーローとして立派だったとしても……だ」

 

……

 

「……雨が降ってきたようだな」

 

「……? 何処にも雨なんて」

 

おれの言葉にケンセンは首を横に降った。

 

「いや、降ってるよ。……長い雨になりそうだ。オレは寄宿舎に戻るとするよ。雨がやんだら戻ってくると良い」

 

そういうと去っていくケンセン。

 

「……あ……」

 

顔を伏せて見えた地面。

 

そこは雨がふったように濡れていた……。

 

*1
コンサーティーナ。コンサルティーナ、コンサーティナなどの呼び方がある珍しい楽器。構造的にアコーディオン等が近いが、アレ等よりかなりコンパクトである。詳細は各自で調べるとヨシ!




夢見コソコソ小話
朧が複数人愛人とか作ると聞いた場合。
夢見綾 独占したいが、奏とヤオモモくらいなら一緒でもいいかなぁ
夢見奏 私が一番なら十人くらいまでなら(自分把握前提で)愛人いてもいいかな
八百万百 できれば独占したい
夏目真衣 (元男なので)バイで女相手ならタチもイケるため、増えても全く問題なし。
葉隠透 のーこめんと!
轟焦凍 (宇宙猫顔)

時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?

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