夢見兄妹のヒーローアカデミア   作:月神サチ

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最近承認欲求モンスターなぼっちちゃんの気持ちがわかる気がしてきた。
ここだと
良いねくれ〜。感想くれ〜。
でいいのかな?


第15話 雨上がりの少年/密命と交渉

――Side 夢見朧

 

施設に戻ったオレ。

 

そのあとプッシーキャッツから施設の案内をされ、昼食の時間が近づいていた。

 

せっかくなのでポーチに保管していた魚類を出して料理を振る舞いたいと提案するとプッシーキャッツ一同快くオーケーしてくれた。

 

「……ここ山だから肉はあっても魚はあまり食べる機会ないのよね……」

 

厨房にて、案内兼アシスタント(なお早期のつまみ食い未遂によりアシスタントはクビ)のラグドールがそうぼやきながらオレが捌くクロマグロを見る。

 

「せっかくだから寿司にしましょうか」

 

「あら、催促したようで悪いわね」

 

「この程度造作もないですよ」

 

ご飯は炊けているので酢飯にする割合を確認すればいいか……ん?

 

「洸汰君、もう雨は止んだか?」

 

こちらに来た洸汰君。

 

「ひとまずは。……山の天気は急に変わる。また降るかもしれない」

 

オレと洸汰君の言葉に首をかしげるラグドール。

 

「止まない雨はないし、常に快晴なことも珍しい。降ったり止んだり、それでいいと思う」

 

「……変わったやつ」

 

「違いない。……ああそうだ。昼は寿司と魚料理メインだが大丈夫だよな?」

 

「……オレ大トロ食いてえ」

 

「注文に合わせて用意するさ」

 

マグロを捌き、柵単位でまとめ、スプーンで骨周りにこびりついた赤身を剥ぎ取ってねぎとろを作る。

 

頬肉の部分も余す所なくとり、目玉は……ヒトを選ぶので出さないことに。

 

途中で飽きたのか厨房から出ていく洸汰君。

 

「……洸汰君となにかあったのはわかるけど、何があったの???」

 

「……当たり前を当たり前と認めて良いんじゃないかと言っただけです」

 

「????? とりあえず……ダイニングで待ってるわね」

 

ラグドールはそういうと洸汰君の後を追うように去っていく。

 

「……しまったな、どれくらい食べるのか聞いてないな。……まあ、全部酢飯にしてもいいか」

 

 

 

 

 

――Side マンダレイ

 

あ、ありのまま起こったこと話すわ。

 

夢見朧君が来たと思ったら、ダイニングの一角にカウンター型の寿司屋ができていて、私たちはいつの間にかそこに座っていたの。

 

幻覚とか催眠とかではないはず。

 

いや、ソレよりも恐ろしい何が起きたハズなのに途中過程がわからない。

 

なにかとても恐ろしいモノを経験したとしか言えなかった。

 

「寿司はワサビいけるならサビアリにしますし、苦手か自分で量調整するならサビ抜きにしますんで好きに注文してくださいね」

 

そういってお品書きを私たちに見せてくれる朧君。

 

店員を見ると綾ちゃんと奏ちゃんがいた。

 

三兄妹でコックコートに身を包んでいる。

 

お品書きがすごい。

 

大間のクロマグロにイクラ、エビ、タコ、カツオにアジに鰻、黒鯛、カレイにウニなんかもある。

 

寿司以外にも魚料理が色々と……名前からしてお高いヤツが揃ってるような……。

 

「……ちなみにお代は?」

 

恐る恐る問いかけると

 

「お残ししたら罰金ですが、それ以外で金を取るつもりありません。食べたいものを、食べられる分だけ、お腹と相談して、注文どうぞ」

 

「おれ、大トロ!」

 

「はいよ、大トロ1ね」

 

そういうと朧君が瞬く間にシャリを握ってワサビをネタとシャリの間にはさみ、洸汰君の前にだした。

 

「そういえば2貫で1つなのって何故なんだっけ……」

 

ラグドールがふと気になったのか首をかしげる。

 

「そうなったのは江戸時代末期と言われてます。当時1つあたりの大きさがコレの3倍だったようですが、ある時期から一口サイズにするためサイズを小さくし、バランスを考えて武士にとって縁起の悪くない2つで量を調整したとか」

 

「武士にとって2が縁起悪くないってどういうこと?」

 

「武士はゲンを担ぐ生き物で――」

 

かなり知識豊富ね。

 

何処で知ったのかしら……。

 

あ、寿司はどれも絶品だったし、伊勢海老をはじめ各地の魚を使った料理はとても美味しかった。

 

彼、料理人としてもやっていけそうなのよね……。

 

 

 

 

 

 

――Side 夢見朧

 

今回ここに来たのは根津校長の密命が有ったからだ。

 

内容は『ヒーロー科1年の夏期合宿の変更先の交渉』だ。

 

「……」

 

食事のときとは打って変わって険しい顔を見せるプッシーキャッツ。

 

「ここが最有力候補と言われてますが、無理にとは言われてません。……受け入れ不可でもこちらは問題ないのですが……」

 

「いや……その……ね?」

 

「受け入れ自体は問題ないのだが……」

 

凄く歯にものが詰まったような顔をしている。

 

「「「「秘密裏にしたいとか言ってる割に、後詰めのためにヨーロッパで絶賛活躍してる風の剣聖を引っこ抜いたら秘密裏の意味がなくなると思う」」」」

 

備考のところに書かれた内容を4人揃って指し示す。

 

「……やっぱり指摘されましたね」

 

「だからアリオスおじさんは無理だって。諦めて焔の剣聖の山本のおじいちゃんとか呼ぼうって」

 

「あの人の剣聖なのに血の気多いし振る剣撃全部属性炎だから!暴れ始めたら山火事になるの目に見えてるから呼びたくないの!あとヒーローとして隠居してるせいで事ある毎に年寄りこき使いよってとか小言うるさいし!御年120超えてるから老人酷使言われたら反論できないから!」

 

選びたくないと拒否反応が出るオレ。

 

「……麻呂のおじちゃんこと九條弾正忠満宗さんは京都の知事のせいで京都市を離れようとすると大騒ぎだし、二瓶鉄心のおじさん携帯持ってない上に人のいない地域を徘徊してるせいで実質常時行方不明だし、北郷のお兄さんは60人近くの最近子育てで動けないって言ってたし……他に選択肢あったっけ……?」

 

うーんと悩む綾。

 

「……根津校長からのオーダーで、『後詰めは八葉一刀流剣聖で口が硬くて信用できる人』って指定入ってるのでかなり限られてるのですよね。……アジア圏やオセアニアやアメリカ方面にいる他の剣聖は1、2回しか会ったことない人しかいないですし……」

 

奏も頭を抱えてる。

 

「……剣聖って剣仙が選んでるって聞いたことあるけど、朧兄ちゃんが選べないのか?」

 

洸汰君の言葉にオレたち3人の頭に雷が落ちたような衝撃が走った。

 

「そうじゃん、欧州行く前に試しをした人とかいたよね!まだ実力不足で奥伝認めなかったけど」

 

「……麻呂に日本の門下生の試し代行任せてからそのままだったわ。中伝の門下生で奥伝授けられそうなのあたってみる。――洸汰君、ありがとう!なんとかなりそうだ!」

 

オレは早速心当たりある人の元へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

――Side マンダレイ

 

「……とりあえず後詰めの方なんとかなるなら、受け入れオッケーでいいよね?」

 

「「「異議なし」」」

 

「ってことだから、後詰めの人決まったら一度顔合わせさせてもらえる?」

 

「アッハイ、兄様に伝えておきますね」

 

スマホで連絡入れてる奏ちゃん。

 

……どうしよ。

 

根津校長からの手紙には『職場体験、三人については適当に対応してくれればオッケー』としか書いてなかった。

 

「……残りの日数、3人はどうするつもり? 根津校長さんからは適当でいいよって言われてるけど……」

 

すると綾ちゃんが少し考える素振り見せる。

 

「んー……たぶんお兄ちゃんは剣聖案件終わったら、鍛錬しつつ4人の仕事手伝うと思うのでそれまでは放置で。奏は書類仕事手伝うと思うので経費関連お願いすればやってくれるかなって。あーちゃんは山を探索するね。襲撃者視点でこの山林地帯を分析してソレに対して対策とか考えてみるつもり。……どこまで役立つか分からないけど」

 

「……まあ、方針決まってるようだし、特に口出しする理由ないわね。困ったらお願いするから、その時はなるべく手を貸してくれればいいから」

 

「かしこまり〜」

 

ヒーロー実働経験あるとは聞いていたが、自主的に色々やろうという気概と役割分担ができてるあたり、スリーマンセルって感じのヒーローなのかもしれないわね……。

 

少し親しみを感じた気がした。

 

 




夢見コソコソ小話
八葉一刀流の剣聖(師範代)は極めた型と剣に纏いやすい力等から『風』、『炎』などの属性系の称号を付けるのが通例である。(歴代剣仙のネーミングセンスが揃ってゴミのため、高頻度でダブる)
なお現在剣聖は20人以下で山爺以外全員60歳未満だが、同時に全員が30以上という、歪な人口ピラミッドをしてる。
朧や現役の剣聖たちが若い芽を探しているが個性優先の人間が増えてるため、遠くない未来で八葉一刀流の剣聖が全滅し、後継者不足で断絶の可能性があると思っている。

時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?

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