夢見兄妹のヒーローアカデミア   作:月神サチ

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次話は各地のA組の職業体験の話の予定です。
ではどうぞ


第16話 剣仙の(約)100人試しと……

――Side 夢見朧

 

「……次!」

 

職業訓練3日目。

 

京都市、九條家野外鍛錬場にて

 

オレは職業訓練1日目に全国の中伝の門下生に招集をかけ、一斉で奥伝教授の試しをすると宣言し、現在それを実行中だ。

 

「最年少と言われてるけど、流石剣仙だな……」

 

「歴代剣仙に既に届いてるとか言われてるだけあるね……」

 

試しとは奥伝を授かるものが影を演じる剣聖や剣聖と戦い、超えるべき壁とぶつかる戦いだ。

 

勝敗はあまり関係ない。

 

試しの中で理の一端を見いだせればよし、既に至っているならそれもよし。

 

「……次!」

 

影を演じるのはかなり骨が折れるが、歴代の剣仙や剣聖たちが連綿と続けてきたモノだ。

 

自分の代で絶やすつもりはない。

 

「……見いだせたようだな。……全ての試しが終わったら改めて奥伝認定をするから待ってるように。もし忙しいなら麻呂に認定と二つ名を授かるように」

 

「押忍!」

 

ヒゲを蓄えた壮年の男が活きの良い返事を返し、一礼して下がっていく。

 

「……次!」

 

中伝までなら時間と努力で到れる。

 

そこで止まるものも多いが、それでも剣を捨てずにいる者達も一定数いる。

 

ありがたい話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――Side 九條弾正忠満宗(通称 麻呂)

 

「此度の試しで4人が奥伝を認められたか。……一度に試しを受けた人数も前代未聞のではあるが、4人も剣聖が生まれたこともまた、前代未聞よな」

 

若き剣仙の力の一端に振れ、試しにより理を垣間見た4人を見る。

 

中には何度か試しを行うも至ることができず、半ば諦めていた麻呂の弟子もいた。

 

「まずは辺古山ペコ」

 

「はい」

 

前に出たのは白い髪とメガネが特徴の娘。

 

「9代目剣仙の名において、貴殿を二の型を極めし剣聖と認める。二つ名に閃を与える」

 

「ありがとうございます」

 

頭を下げる。

 

麻呂の門下生になった割に初伝認定と中伝認定以外ほとんど顔を出さぬ異端児が剣聖とは……不思議なこともあるものよな。

 

……にしても冷静沈着な娘じゃのう……。

 

「次は士道剣也」

 

「うっす!」

 

成人しとる黒髪のやんちゃ坊主が前に出た。

 

「9代目剣仙の名において、貴殿を六の型を極めし剣聖と認める。二つ名に緋をあたえる」

 

「ありがとうございます!」

 

数年前に二瓶が紹介状書いて麻呂の元へよこした野生児じゃったな……あやつの見る目に狂い無しということか……。

 

「次は真壁平八郎義弘」

 

「押忍!」

 

白髪まじりの茶髪の男が前に出た。

 

麻呂の愛弟子が剣聖になる。

 

麻呂が何度も試しをしても叶わなんだことを思えば、感動もひとしおと言えようて。

 

「9代目剣仙の名において、貴殿を一の型を極めし剣聖と認める。不屈……あるいは旋の名を名乗るように」

 

「は、ははぁ!」

 

涙で前が滲んでおじゃる……白粉も滲んでしまう……!!!

 

ティッシュをだして拭いたりするが涙はあふれるばかり。

 

「最後、山本五十六……あれ、もしかして山爺の血縁?」

 

「はいっ!じじさまは曽祖父です!」

 

前に出たのは黒髪のポニーテールの娘。

 

どうしよう、急に涙引っ込んだわ。

 

……老い耄れてもなお戦闘狂と言われてるあの爺に子供とかおったんじゃなぁ(失礼)

 

名前は……あの人の身内からとったのかもしれんな……。

 

「……貴女と対峙した時妙にあの人を彷彿すると思えば。……血筋云々でとやかく言うつもりないのでそのへんにして……」

 

咳払いする剣仙。

 

「山本五十六。9代目剣仙の名において、貴殿を七の型を極めし剣聖と認める。そして【零】の二つ名を授ける」

 

「!」

 

八葉一刀流は無手の八の型は無手の実質番外とし、七の型が剣の型としては最後の型とされている。(一応八の型も奥伝はあるが、他の型の奥伝を与えられるときに剣聖の称号とセットで認められる)

 

八葉一刀流の教えでは万象は零からはじまり、総ては零へと還る。

 

故に零の称号は一の型か七の型の奥伝にしか与えられぬ。

 

そして八葉一刀流において始まりと終わりを意味する零は同じ時代に1人しか存在せぬ。

 

……同時に後継者筆頭にのみ名乗らせる二つ名だ。

 

「……零の名、コレより名乗りたく思います」

 

……自分の2つ上を後継者筆頭にするのは少し厄介なことになりそうなのがのう……。

 

しかし剣仙による剣聖の任命に関しては基本翻ることはない。

 

つまり彼女が次の剣仙筆頭なのは確定した。

 

……それよりあの山爺の孫娘が次の剣仙……いや、あの娘は私情を抜けば、麻呂から見ても十代目に相応しいと思うのだが……その……なぁ……。

 

「剣聖はほか剣術や武術における師範代に相当する。基本剣仙や剣聖がスカウトする形で門下生を増やすが自主的に来た者は拒まぬように。……最も、最初に剣聖に成れる者が一握りという現実を伝えて、諦める者が多いだろうがな」

 

「「「「応!」」」」

 

いい目をしておるわ。

 

まだ青いところもあるが、次の世代もしっかり育っている。

 

麻呂の目が黒いうちは八葉一刀流が絶えることはなさそうであんしんじゃの。

 

「……剣聖になりたての君たちに剣仙から最初の指示だ」

 

……試しを急ぎやった理由きいておらなんだが、何があったのじゃろうか。

 

「……今年の夏季、予定に問題ない者はいるか?」

 

……?????

 

麻呂は意味がわからなんだが、何か意味がある役目なのじゃろう。

 

「申し分ない、私は身内の都合で動けるかわかりません」

 

辺古山ペコ……あやつたしか……。

 

「……わかった。無理強いはしない。それとこれで用事は終わりだ、早く護りたい人の元に帰るといい」

 

「……御厚意、感謝致します」

 

そういって去っていく辺古山。

 

……裏の人間が剣聖になった前例はある。

 

道を違えぬなら捨て置かれるが……。

 

……考えるだけ不毛じゃな。

 

麻呂は剣仙に目配せしたあと、その場を後にする。

 

剣仙が人手を欲して試しをした。

 

夏になにがあるか知らぬが、ここを動けぬ麻呂がなにかできることもなし。

 

故にあとは当事者たちに任せることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

――Side 虎

 

夢見綾嬢と共に他県の山岳遭難者の救助をして戻ったところ、2人の男女を連れて夢見朧が戻ってきていた。

 

「その2人が後詰めの剣聖?」

 

マンダレイの言葉に頷く剣仙。

 

「片方は北の大地の山育ち、片方は剣仙候補筆頭だ」

 

「士道剣也です!七月からよろしくっす!」

 

黒髪の快活な青年が元気よく挨拶する。

 

「山本五十六です。若輩者で剣仙がいるので問題ないと思いますが……7月から合宿終了まで後詰めとして待機させていただきます。どうぞよろしくお願いします」

 

静かに挨拶する山本嬢。

 

「後詰めはあったほうが良いと思ったけど、よく考えたらこれって過剰戦力では……」

 

ラグドールの言葉に改めて数え直す。

 

合宿期間にこの地にいるヒーローは……。

 

我々にイレイザーヘッド、ブラドキング。

 

剣聖×2、剣仙、アーヤ、ディーヴァ。

 

……雄英襲撃の情報のうち、人形兵器を勘案しなければ過剰戦力だ……。

 

事実、人形兵器以外は一部生徒、剣仙とイレイザーヘッドだけでほぼ解決してたしな。

 

「……ソレだけ敵連合を警戒し、万一襲撃してきたら一網打尽にしたいという意思の表れなのだろう」

 

「……何もなければそれでよし。敵が来てもいいようにやられぬ戦力がある。あちきたちはヒーロー科の雛鳥育成に意識むけてればいい。わかりやすいね」

 

ラグドールの言葉に頷く我々。

 

彼らの夏が実りあるものになるよう、我も今のうちに鍛錬してレベルアップせねば……!

 

時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?

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