――Side 八百万百
ウワバミという女性ヒーローの元、職業体験を受けているのですが……。
「ウチでマネージャーやらない?」
何故か事務処理やスケジュール管理を拳藤さんとやることになり、ソレをこなしていたらウワバミさんからスカウトされました。
「マネジメント能力を高く買って頂けるのは嬉しいですが……ヒーローをやりたいので、お受けできません」
「……そう。まあここで二つ返事するようなら、イレイザーヘッドのクラスにいるわけないか」
「歪な信頼だ……」
何故か困惑した顔の拳藤さん。
「それじゃ、次はモデルの撮影よ。貴女たちもモデルやってもらうわ。コレもヒーローになったらやるかもしれない仕事だからね」
「はいっ!」
「がが、頑張ります!」
「ソレ終わったらお昼にしましょ。近くにそれなりのレストランあるから。……それはそれとして、クリエイティどこぞの大食い選手並に食べてそのプロポーションの秘訣知りたいんだけど、教えてくれない?」
「剣仙が教えてくれた技でまだ完全に体得してないのですが。……食事に感謝するという当たり前の果てにある技で、いくら食べても見た目は変わりませんが……その……体重が……」
デメリットを自覚できるレベルになってる自分を顧みる。
「体重増える……八葉一刀流派生技能……? あそこ剣術以外にも技能抱え過ぎでは……?」
「体重は増えたくないけど食べても太らないその体質は……悩ましいわね」
……女の悩みはどこも同じようなモノだと改めて理解しました。
――Side 瀬呂
「えっと……俺たちこんなことしてて本当に良いんですかねぇ」
俺と青山が選んだ京都にある加茂事務所。
陰陽師ヒーロー 加茂波多利郎さんはのんきに茶屋の軒先の席で団子を食べている。
青山君もその横で優雅に団子を味わい、お茶で口を潤してる。
「たしかに巡回しながら怪しいヤツ居ないか見るのも大切だ。だがこうやって定点から見ると見えてくるものがある。――ほれ、あのおじさん、窃盗の現行犯だ」
目線向けると閃光が視界に飛び込んで目がやられる。
その窃盗犯の個性だろうか。
目が痛え!!!
「捕縛完了っと」
目に光が入るようになってきたので目線を向けると式神がおじさんを取り押さえていた。
「麻呂が居るおかげで暴れる類の敵は少ないが、代わりにこういう麻呂が対応しにくい犯罪が発生しやすいんだ。ヒーローの性質だけじゃなく、地域によっても犯罪傾向が違ったりする」
たしかに海や川が多い所なら少ないところより水難は多い。
当たり前だが、普段意識することはない。
「得意分野が何かを踏まえて、拠点を選び決めるのも戦略の1つだ。情報は力になる。個性云々をやるのは苦手だから、情報の集め方や組み合わせ方、使い方をこの体験で教える。職業体験じゃなきゃ金取るレベルだから、しっかり覚えて帰るように」
「「はいっ!」」
――Side 尾白
九州地方のとある山中の屋敷にて
屋敷に併設された道場にて俺と障子はある爺さんと対峙していた。
「どうなってるんだ……?」
多腕による同時攻撃をいなされた障子が困惑を見せる。
「全部受け流したんだよあの人――シルバーファングさんは!」
相対する爺さんを見ながら俺は『何が起きたのか』を告げた。
「障子君は身体能力は高い。発動型の個性頼りで白兵戦が苦手な相手なら懐に入れば余裕で勝てる。……が、いかんせん格上との経験、受け流しが主軸の柔拳との経験が足りんな」
からからと笑うのは強者の余裕だろうが……慢心してる様子がない。
「流水岩砕拳……堅牢な護りと、相手が崩れた隙に叩き込む一撃というカウンター気味の格闘技だ。油断してると刈り取られるぞ」
「わかっ――」
吹き飛び、壁にめり込んで気絶する障子。
えっ、話してる最中なのに攻撃するの!?
「尾白君、敵は待ってくれるとは限らんのじゃよ」
そういいながらシルバーファングは一瞬で間合い詰めながらの顔面への右ストレート。
悪寒に頼って避けてなければ、顔が陥没してたかもしれない。
「ふむ……ではこれはどうかな?」
こちらの実力を試すように少しづつ上がる攻撃。
悪寒を感じたモノは回避し、残りを受け止め、受け流す。
「やはりか」
シルバーファングは納得したような声をこぼした
「なにが『やはりか』なんですかっ!」
尻尾の叩きつけをしてみるが、空を切るばかり。
「何、君は闘気……人の意思に反応できることが今ので分かったというだけじゃ」
「?」
ソレにしては全部の攻撃に反応できて――
いつの間にか、拳が一寸先に『在った』
「今、特に殺意や敵意を込めずに寸止めした。反応できなかったが……」
反射的に腰を落として伏せる。
頭が有った所にシルバーファングの蹴りが通り過ぎた。
「――ほれ、避けられたじゃろ?」
「避けられなかったら障子の二の舞いでしたよね???」
俺の言葉にニコっとするシルバーファング。
「その時はその時じゃよ。さて……鍛え方の方針が纏まったな。今日は初日、あとは身体をほぐし、夕餉をたんと食い、良く寝るといい。明日から厳しく行くぞ」
「はいっ!」
反射的に返事してしまった。
しかしそれをさせるだけの何がこの人にはある。
「あと彼の面倒もよろしく。ワシは夕食の材料を買いに山を降りるからの」
そういうと今年米寿とは思えない軽やかさで道場を飛び出した。
「……あれ、もしかして傷の手当とか……なし……!?」
しばらく困惑したあと、すぐに障子の気付けと軽い手当をすることにした……。
――Side 葉隠透 東北地方某所。
「なんか朧と相対したときみたいな『次元が違う』って感じがするんですけど、もしかして剣聖だったり?」
目の前の女性に対し芦戸ちゃんが問いかけると、彼女は首を横にふる。
「私は最も得意なのは
「……逆にいえばいっちゃん得意な武器なら剣聖相手にも負けるつもりないと」
私の言葉に彼女――鋼のアリアンロード――は静かに頷く。
「今代の剣仙にはいずれ本気でも負けるでしょう。しかし私が知る限り本気の私に勝てる剣聖はいません」
そういうと彼女は構えた。
「敗北こそ多くのモノが得られます。この1週間をより実りあるものにするためにも――本気でかかってきなさい」
私と芦戸ちゃんはお互いを見て頷く。
はるか高みにいる人の胸を借りられる貴重な時間。無駄にしたくない――!
――Side 上鳴 北陸某所
「しかしウチで良かったのかね、ふたりとも」
目の前にいるのは人よりデカい電気を纏った鳥……雷鳥ヒーロー『サンダーバード』だ。
「ボクはそらとぶから、上鳴君は移動に追いつけないだろうし、常闇君はボクの纏う電気から漏れ出る光が煩わしいだろうに」
「電気系個性のヒーローはあまり居ないんで、参考にしたかったんです。移動は……常闇に頼ります」
「光が強ければ影もまた強くなる。問題ない。そして友に頼られるのは良いものだ」
「んー、2人がそう言うならいっか。まあ上鳴君の電気の使い方はもしかしたら増やせるかもだし、常闇君の弱点克服にはボクや上鳴君が相手の方が良いだろうし」
そういうと彼は背を向けた。
「さあ乗った乗った!ちょっとバチッとするけど、安全運転は保証するよ!」
その言葉にオレたちは彼の背中に乗せてもらう。
ちょっと先行きが不安だったのはココだけの話。
時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?
-
ほしい!
-
いらね