夢見兄妹のヒーローアカデミア   作:月神サチ

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第1話 体力測定とNo.1の後継者

――side 夢見朧

 

桜舞い散る雄英高校の道にて。

 

オレたちは雄英高校の校舎へと向かっていた。

 

言うまでもないが雄英高校に合格し、3人揃って仲良くA組。

 

ちなみに出席番号は名前順らしく、綾、オレ、奏で19,20,21の最後尾を確保している。

 

「……夢幻回廊の鍛錬時間増やしたい。もっと言えば分身がほしい」

 

「兄様、夢幻回廊での鍛錬も良いですが、八葉一刀流の剣仙としての指導などもおろそかにしてはダメですよ」

 

奏が困った人、と何故か嬉しそうな顔で兄を嗜める。

 

「世羅*1が夢幻回廊で習得してたけど、蘇生包丁や食没みたく全員習得できる技能じゃなかったしねぇ……」

 

綾が思い出すように零す。

 

「……それはそれとして、オレは根津校長、オールマイトとの契約のため動くから学校はお前らの優先度下がるぞ。分かってるだろうけど」

 

「大丈夫ですわ兄様。兄様が意識不明中に逆レ未遂かました綾はしっかり私が見張っておきますので」

 

「いや、あーちゃんが夢幻回廊に潜ってて無防備なお兄ちゃんの貞操を淫乱奏から守ってたようにしっかり守るから」

 

「……えっ、初めて聞いたんだけど……」

 

などと話していたらいつの間にかA組の教室の前。

 

少し早く来すぎたのか、まだ教室には人が居ない。

 

「座席順だから廊下側……じゃないね。前から蛇行した感じで座席決まってるみた……うん?……やーい、奏一番後ろでぼっち席ー」

 

黒板に貼られた座席表を見ながら綾が奏を煽る。

 

「むしろお兄様の真後ろで後ろ姿を常に見ていられるので大当たりですわね」

 

が、奏の前向き発言に煽り失敗で頬をふくらませる綾。

 

じゃれ合いだからプライベートなら問題ないが……一応釘を指しておこう。

 

「一応EUとUSAのヒーロー活動経験者として有精卵たちに情けない姿みせないようにな」

 

「「はーい」」

 

二人の返事を聞きつつ、座席表から目的の名前を探す。

 

「……この席か」

 

緑谷出久の名前を探してその席を確認する。

 

顔は思い出せないが、ヒーローにふさわしい、おせっかい焼きな、分析能力の高い子だったのは覚えている。

 

「その席の子が後継者ですか?」

 

奏の言葉に頷く。

 

「オールマイトさんもいい年だからねぇ。でもお兄ちゃんの蘇生包丁と治療フルコース、リカバリーガールの治癒でかなりマシになったせいでまだ元気に活動してるみたいだけど」

 

思い出すように綾が零す。

 

「とりあえず目下の目標は彼と友人になり、鍛錬相手になるところだな。――体育祭の交流で仲良くなるって方法は決勝後のエキシビション以外出禁言い渡されたせいでお釈迦だし。……他のイベントを頼るまで待つのは流石に時間がかかりすぎるだろうし」

 

「私達は女の子たちのカーストにうまく入り込んでバランス調整頑張るかなぁ!?」

 

綾が喋ってる間に邪念を放つ何かがドアを隠密もびっくりな静かさであけて滑り込んできたので二人を抱き寄せて教室の後ろにバックステップ。

 

「なんで気がついた!?」

 

先ほどまで綾が居た位置に仰向けで寝転がっている子供の体格と丸い毛?の男子生徒が驚きを口にした。

 

「そんな邪念にまみれた気配をしてれば気がつく。ちなみに八葉一刀流の中伝以上なら気配察知はほぼ必須技能だぞ」

 

「んなのはどうでもいい。せっかくのラッキースケベチャンスをフイにされたことにおいらは怒って……ってあぁ! よく見たら試験会場にいたリア充野郎!」

 

途中で気がついたらしく、こちらをビシッと指差す男子生徒。

 

「……夢見朧だ。こっちは妹の綾と奏だ」

 

「次覗こうとしたら……顔面陥没させちゃうからね」

 

「忠告するだけ綾さんは優しいですね。私は……ふふふ」

 

「OK分かった。おいら峰田実。おいら二人には手を出さない。まだ死にたくない」

 

「「賢い人でよかったよ(です)」」

 

妹たちの恐ろしい側面を見て戦慄し、同時に性欲魔神だった(気がする)峰田が引き下がったことに困惑するオレ。

 

「あら、そちらは夢見の御三方では?」

 

いつの間にか半分ほど座席が埋まっており、その中でもスタイルの良い黒髪の女子生徒が声をかけてきた。

 

「あ、百ちゃん、相変わらずスタイル抜群だねぇ」

 

一見警戒心ゼロのわんこに見える(なお峰田のようなセクハラかますと即座に彼女の中のブラックリストに入る模様)綾だが本当に心を許しているのは家族を除けば片手で数えるほどしかいない。

 

そして眼の前に居る彼女、八百万(やおよろず)(もも)はその数少ない一人である。

 

「そうでもございませんわ。……最近また……」

 

途中から綾の耳元で囁きだしたので目線と意識をそらして見ざる聞かざる状態に切り替える。

 

「にしても御三方が高校をわざわざ「うわ、なんだ!?」」

 

入口の方で聞こえた声に八百万の声は遮られた。

 

こちらに聞き耳立ててた面々も居たので遮ってくれてくれてありがたかった。

 

とりあえず入口の方を向くとそこには黒服のドライアイな男が佇んでいた。

 

「相澤消太。君たちの担任だ」

 

そう言うと懐から体操服をクラスのメンツ分取り出した。

 

「とりあえず、コレに着替えてグラウンド集合。10分後に説明開始するから」

 

そう言うと用事は済んだとばかりに去っていった。

 

困惑する面々をせっついて急ぎ着替えてグラウンドへ向かった。

 

 

 

 

 

 

――side 相澤

 

「これより個性把握テストを始める」

 

「は? オリエンテーションは?」

 

「いきなりテストってどういうこと?」

 

話の途中で質問を投げてくる生徒たち。

 

あえてスルーして夢見兄妹の方に目線を向ける。

 

「個性把握ってことは――個性を使って身体テストをやれってことかな?」

 

「そのとおりだ。持っている力を使わない画一されたテストなんて今の時代意味をなさない。個性も自分の一部としてどれだけの結果を出せるかをこのテストで見せてもらう」

 

夢見綾の言葉にうなずき、説明を加える。

 

「見本として……爆豪、円から出ないなら何をしてもいい。全力で遠くに投げてみろ」

 

ボールを爆豪に放り投げて指定の円を指し示す。

 

夢見兄妹がいなければ入試の首席だった逸材であり、爆発の個性ならボールの推進力にしやすいのも選んだ理由だ。

 

「死ねやオルァ!!!!」

 

……性格や言動に問題あるかもしれないな。

 

「……705.2m」

 

記録の数値読み上げたあと、端末の画面を見せる。

 

「すげぇ」「流石雄英だな」「楽しそう」

 

……楽しそう、ねぇ……。

 

「よし、総合記録の最下位を『見込みなし』として除籍するとしようか」

 

「はぁ!?」

 

「そんなのありかよ!」

 

「理不尽だ!」

 

「教育内容の裁量は教師に委ねられている。そして担任の権限には担当クラスの生徒の除籍も含まれてる。つまり除籍処分を実行することは全然『アリ』なんだ。……それとココはヒーロー科だ。事故、災害にヴィラン……突然発生する理不尽を解決するヒーローを志してここにいるはずだ。……この程度の理不尽で音を上げてるヤツがヒーローになれるとでも?」

 

正論を突きつけると彼らは黙り込む。

 

「準備できたやつから測定してく。持久走は最後でまとめてやる」

 

突き放すように告げて50メートル走のスタートライン横に立つ。

 

「さて、どうなることやら……」

 

 

 

 

 

 

 

 

――side 夢見綾

 

相澤センセにジト目向けられてるけど、あーちゃんたちは気にせずほどほどの力で記録を出していく。

 

「……うーん、記録がパッとしてないね、彼」

 

私たちの目線の先にいるのは『オールマイトの後継者』らしい緑谷出久君。

 

「個性の反動で負傷するようですし……負傷して残りの競技が出来ないとそれこそ骨折り損になりかねませんしね。難しい判断に迫られてるのは確かですね」

 

「……少し話してくるか」

 

お兄ちゃんがそう言うと、ボールを渡されて円に入ろうとした緑谷君を呼び止めて何やら話し始めた。

 

相澤センセの目が怖いけど、仕方ないよね。

 

……?

 

「なんか兄様の気配に怒りが混じってません?」

 

奏の言葉に私も頷く。

 

「……何だっけ、江戸前寿司の白身ネタにマヨネーズぶっかけた人みた時より怒ってるよねぇ」

 

緑谷君に怒ってる……訳ではないみたい。

 

「……あ、緑谷君が投げた。……怪我は……人差し指の第一関節まで。その指先も一応動かせる負傷に抑え込めてるね」

 

「……爆豪さんが怒って詰め寄って、相澤先生が爆豪さんを捕縛布で取り押さえましたね」

 

お兄ちゃんが戻ってきたのでとりあえず抱きつく。

 

奏も負けないって言わんばかりに抱きついた。

 

「お兄ちゃん怒ってるけどどうしたの?」

 

「力のイメージがアホ過ぎて自滅してた事に呆れ、イメージの改善を怠った指導者に伝える小言が増えたことに軽い頭痛がしてるだけだ。……グラントリノ翁に一筆しておこう」

 

……お兄ちゃん的に教え甲斐あるのが嬉しいのか、基礎の基礎から大丈夫かの確認作業からになる事実が悲しいのか、どっちだろうね……。

 

 

 

――Side 相澤

 

夢見朧がわざわざ助言をしたこと、そして本人の超パワーという個性の申告。

……『いずれわかる』と校長からオールマイトの後継者がいると示唆されていた。

が、個性に振り回されている当人を見ると相当危なっかしいと言わざるをえない。

 

「それじゃ、結果を……一斉に表示する」

 

今回の有精卵たちはクセのあるヤツが多い。

 

……あの3人が(比較的)手間のかからないことを差し引いても爆豪の口の悪さと自尊心からくる喧嘩腰や緑谷との確執で当面頭を悩ませることになりそうだ。

 

「ちなみに除籍は嘘な」

 

「当然ですわ『それは違うな』」

 

オレの言葉に八百万が同意しかけたが、夢見朧が割り込んだ。

 

それに反応して他生徒が彼に目線を集めた。

 

「先生は実際に除籍した実績を持ってる。……反復横跳びで峰田が、ボール投げで緑谷が除籍リストから外れたから結果的に誰も除籍されずに済んだ。それだけだ」

 

「……EUとUSAでヒーローとして活躍したというのに、相変わらずネタバラシの好きなガキだな」

 

「別に秘密主義になったつもりはないし、秘匿と開示のメリットデメリットを照らし合わせて開示のほうが良いと思ったから伝えただけ。だよね、お兄ちゃん」

 

綾の言葉に頷く朧。

 

「好き好んで憎まれ役を買うお人好しのままで安心したよ。狂言回しのようにこいつ等に必要な時説明してくれ」

 

そう告げた後、今日はこれでおしまいと生徒を追い払う。

 

ついでに先程まで物陰から見守ってた枯れ木状態のオールマイトに小言を言うため、逃げた先である職員室に向かうことにした。

 

 

 

*1
奏の実弟であり、夢見四人兄妹の末っ子。夢幻回廊の比較的浅い層を周回してる。影分身を自力習得した変態だが今のところ出番はない

時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?

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