――Side 塚内
保須襲撃事件の翌日
同市の総合病院にて。
僕は保須の警察署長である面構犬嗣さんと話していた。
「職業体験中の『個性使用許可の出ていない』少年少女による事実上のステイン撃破。ステインの活動に合わせて出現した脳無と人形兵器たち。マスコミ各社に届いていた『敵連合』による犯行声明。剣仙とその妹2人が撃退しかできなかった仮称『黒衣の男』の存在。……頭の痛いことばかりだワン」
面構さんが顔を顰め、僕もそれに頷く。
「人形兵器たちは技研にまわして調査予定です。雄英の発目少女が装甲やシステムをある程度の分析をしてくれたおかげで、こちらは完全手探りからある程度見当がつくようになったと言ってましたし」
なので1つ悩みが減りましたね、と言うと肩を竦める面構さん。
「悩みのタネは1つ減るだけでも有り難いワン。……公私で評価の分かれる少年少女たちの一件はこのあと彼らに決めてもらうとして……。――オールマイトとは違う形で抑止力として存在している剣仙が、最も相性の良い妹2人と組んでも利き腕切り落として撃退が精一杯だっという黒衣の男が気がかりだワン」
八葉一刀流という戦闘集団のトップと剣聖に匹敵するという剣仙の(義理の)妹2名……。
今のオールマイト相手に互角に戦える剣仙が実質敗北した事実。
「……歴代最弱の剣仙……他の剣仙ならあるいは……?」
急に足を止める面構さん。
「あの子は成長途中の子供だワン。歴代剣仙の全盛期が技術なのか純粋な身体能力なのかその両方合わせたものなのか分からないけど、『歴代の剣仙の全盛期と同等であれば』なんてたらればを考えたところで不毛でしかないワン」
「ですよね……」
窘められて反省。
再び歩き出す。
「黒衣の男の正体、ステインと敵連合のつながり、人形兵器の背後関係に敵連合の犯行声明……。ここからはヒーローじゃなくて『警察』で『大人』である私たちの仕事だワン」
「ええ、そうですね……」
そう言いつつ今回の一件に関わった少年少女たちのいる病室のドアをノックする。
『どうぞー』
その言葉を聞き、数拍あけてからドアを開く。
そこには行儀よく?各自のベッドで横になったり座ったりしてる緑谷君、飯田君、轟さん、夢見三兄妹の6人がいた。
――Side 夢見朧
犬の頭してる警察署長から緑谷君たちにステイン撃破の名誉と個性無断使用の処罰セットを得るか辞退するかと言われ、3人とも辞退することで丸く収まった。
「少しばかり独り言になるが……『市民のため、ヒーローのために体を張ってステインと戦ってくれたこと、とても勇気がある行動だった。ここにいる者以外知ることはできないだろうが……ありがとう』」
3人は面構さんの言葉で充分満たされたらしい。
何処か誇らしげだった。
「……あれ?」
途中でこちらを見て首をかしげる轟。
「……そういえば夢見の3人は個性使用許可持ってるから私たちにも使用許可出せたんじゃ……」
「たしかに……?」
飯田君が同意するが、緑谷君が首を横にふる。
「……ヒーローライセンスに関する国際条約で『ライセンス所持者が個性使用許可を他人に出せるのは『許可証を発行してる国のなか』だけ』ってことになってるんだ。まあ例外もあって、欧州だとEU加盟国のどこかでとれば加盟国では取得した国と同じように使えるし、南北のアメリカ大陸は大陸内ならEU同様。または国連加盟国全てとライセンスに関する許可共有の条約を締結してるI・アイランドみたいに日本とライセンスに関する条約をしっかりと締結してる国なら他人に許可出すこともできるはずだよ。まあ、I・アイランドは特殊な区画内や状況以外、免許なくても個性使えるけどね」
立て板に水とばかりに流暢に話す緑谷君。
「ちなみに3人のライセンスはどの国のヤツなの?」
「「「スペインとメキシコ」」」
轟の質問に答えると困惑と納得をないまぜにしたような顔をする緑谷君。
「……かなりライセンス取得が緩い国って聞いてたけど、そうだよね、そのあたりじゃなきゃ10歳で取れるわけないよね……」
「ちなみにその2国と日本はヒーローライセンスに関する許可の共有条約結んでないから、日本で他人に個性使用許可は出せません」
塚内さんが手でばってんを作りながら告げた。
「……話が随分脱線したな。何の話だっけ?」
「個性使用許可云々だったワン。まあ、別の話をしようとしてた所をいつの間にかダイナミックに脱線しててタイミング逃したこっちが悪いけどワン」
面構さんの言葉に申し訳なさそうにする緑谷と轟。
「えー、こほん。……八葉一刀流剣仙宛に上から手紙が届いている。可能ならここで返事を貰いたい」
そういって塚内さんが手紙を渡してきた。
「……」
「なんで私たちにも見せてくれないの〜?」
しれっと寄ってきた妹2人を虚空から取り出した剣の鞘で叩いて沈めながら目を通す。
「……論外だ。受けるつもりはない」
「だよね」「知ってたワン」
「一体何が……?」
オレが手紙をポーチにしまうのを見ながら首をかしげる飯田君。
「オトナのしがらみってやつだ」
オレは誤魔化しながらも冷静に告げる。
「いや朧はこの国じゃ未成年だろ」
「違う、そうじゃないよ轟さん!」
「なかなか息あってるね君たち。ヒーローできなかったら漫才やるといいかもね」
塚内さんが冗談めかしてそう言ったあと、面構さんが口を開く。
「あとは君たちを足止めした『黒衣の男』について覚えてることとかの確認をさせてもらうワン。あ、そんなに堅苦しいものじゃないから、リラックスして大丈夫ワン」
――Side 緑谷
面構さんと塚内さんの聴取が終わり、なぜか電話越しなのに正座で頭のペコペコバッタのように下げてプッシーキャッツ?に謝る朧君や、姉妹のりんご剥き対決に轟さんが参加表明して『可もなく不可もなく』と審査員に評価されて凹んだりとあったけど割愛。
昼が近づいてきた頃にグラントリノやマニュアル、エンデヴァーといった職業体験先のヒーローが見舞いに来てくれた。
小言とか言われたけど、元気で生き残ったことに安心してくれた。
……そんな3人が去ったあと、それより衝撃的なことがおきた……。
「……」
「母様、そろそろ兄様窒息しますわよ?」
どことは言わないけど(どこからともなく現れたサムズアップする峰田君の幻影は心の中で吹っ飛ばした)、すごくデカい、右目に泣きぼくろのある女性が朧君を抱きしめていた。
いや、あれは自分の胸に養子とはいえ息子を沈めていたというのがただしいのか……?
「……はい、やりすぎ」
(いつの間にかツインテールが復活してる!)綾さんが糸を使ったのか引き離される朧君と女性……夢見プロダクションのCEO、
「怪我なんてめったにしない朧が怪我したとあればそうなるわな」
からから笑うのは夢見洋さんだ。
「まあ、回復してるし無事が確認できたからヨシ!」
現場猫ってネットで流行ってるミーム?のポーズしてる少年は夢見世羅君。
「兄様は不滅ですから、心配いりませんわ」
ニコニコ笑顔の奏さん。
「……大丈夫そうだから帰るわね。帰るまでが行事って言うし、しっかり残りの期間体休めて、体験してきなさい」
祈さんたちはそのまま帰っていった。
「……」
……自分の胸触ってる轟さん。
声かけづらい……!
「……何やってるのかね、轟君」
「……夏目って娘、スタイル良かったし、妹2人も割とスタイルいいから」
「緊急脱出!!!」
ガラスをぶち破って朧君が逃げた!?
反応に困るからってそんな逃げ方ある!????
「ま、まちたまえ……!とりあえずナースコール鳴らしてナースセンターへ……!」
錯乱してる飯田君は止めるまもなくドアから居なくなった。
いや、怪我人なのは僕たちで3人は実質僕たちのお目付け役だからね!?
「……追ったほうがいいのかな?」
「いや今は安静にするべきで……!」
言い終わる前に窓から飛び降りた轟さん。
こっちに意見聞いておいて回答聞き終える前に飛び出すってどうなの????
ああもうめちゃくちゃだよ(諦め)。
というか朧君、轟さんについては、エンデヴァーに意味深な顔で見られてたし色々とロックオンされてたから遅いような……!
「緑谷君」
いつの間にか奏さんも居なくなっており、病室には僕と彼女しかいなかった。
「たぶんステインに不意打ちできたその力、受け継がれてる間に付与されて育まれたモノだと思う。お兄ちゃんああ見えてポンコツだし、うっかりで忘れっぽいから、緑谷君の方でオールマイトやグラントリノに確認してみて?」
「う、うん。もとからそのつもり(綾さんは……めんどくさいのかな)」
「おー、自分からちゃんと動けるのはマルだねぇ。ちなみにあーちゃんは表向き君の秘密を知らないことになってるからそのあたり自発的に動けないの。あ、あとコレね」
しれっと人の心を読んたかのようにコメントする彼女は、懐から丸めた紙取り出すと僕に放り投げてきた。
「……これは?」
「麗日ちゃんのメールアドレス〜。……いや、知ってるのは分かってるからね? 便りがないのがいい便りなんて言うけど、無事って君から伝えて、安心させてあげてほしいってことだよ。乙女心は摩訶不思議ってね」
そういうと彼女も窓から飛び出した。
……ここ、六階なんだけどなぁ……。
ツッコミ不在は恐怖って何処かで読んだことある。
けど、ツッコミが自分しかいない時のツッコミ役がこんなに大変なのは知らなかったよ……。
まだ昼前なのに眠くなってきた……もう一眠り……。
夢見コソコソ小話
ステインとの戦い+夢見三兄妹復帰までに起きた中型人形兵器との戦闘により飯田君、緑谷君、轟さんの実戦経験が原作より気持ち多くなっている。
中型人形兵器との戦闘の時に各自を監督してるヒーローから個性使用許可が出ているので個性使用許可が降りてないのはステイン戦のみ。
時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?
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ほしい!
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いらね