夢見兄妹のヒーローアカデミア   作:月神サチ

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第20話 継承者(たち)との邂逅

――Side 緑谷

 

職業体験6日目

 

グラントリノの自宅(兼事務所)にて。

 

僕、オールマイト、グラントリノ、根津校長、すっごく眠そうな相澤先生、胃のあたりをさすっている朧君という秘密の共有者たちによる会合が開かれていた。

 

「黒い鞭……歴代の継承者……うーん、わからん!」

 

「先代……7代目の師匠は浮遊の個性を持っていたから違う……今の私には残り火しかないからな……先代たちの朧げな意思を受け取ることもできない……」

 

グラントリノはお手上げ、オールマイトも知らないようだ。

 

「調べる手伝いならできるけど……如何せん手がかりが足りないね……」

 

根津校長がうーむと唸る。

 

「……ここで悩むのは合理的じゃあない。無意識を呼び起こせる環境が整った、夢と現実の狭間にある夢幻回廊にさっさと向かうのが妥当でしょうね」

 

「寝てる間無防備なんで、誰が傍で護衛お願いします……」

 

胃をさすりながらも冷静に告げる朧君。

 

……本当に何あったの???

 

「俊典と小僧、剣仙は必須、校長と担任も同行した方が良い。必然的にワシの担当になるな。任せとけ。……ソレはソレとして剣仙はなんでそんなに死にそうな顔して胃のあたり撫でとるんじゃ?胃薬やろうか?」

 

「大丈夫……さっさとやりましょ……」

 

大丈夫かな……?

 

 

 

 

 

 

夢の中で目を覚ますのも慣れたものだ。

 

目を開くと夢幻回廊、入口の門を通り抜けた先にある第一層――宇宙と海が星に満たされ、色々な設備がある幻想的な場所――いわゆる拠点階層に立っていた。

 

いつも通り、煌めきの光を桜の花びらのように散らしている木の下のベンチに座って待っていると、遠くで大きなモノが動く音がした。

 

おそらく朧君がオールマイトたちを連れてきたのだろう。

 

しばらくすると、朧君がオールマイトたちを連れてきた。

 

「すごいところだね!?」

 

「合理的じゃないが……幻想的ではあるかと」

 

「感動するのはいいけど、今は目的優先で!」

 

根津校長はそういうと朧君を見た。

 

「それじゃ、やりますかね」

 

朧君はどこからともなく取り出したオトナの身長位ある杖の石突で床を叩いた。

 

それとともに僕たちを半球のドームが包みこんだ。

 

「……あー、あー? なんだこりゃ」

 

声の方へ振り返るとそこには半円に並んだ8個の椅子とソレに座る8人の人がいた。

 

最も、1人は光の塊みたいな感じで形がオールマイトそっくりだか時折こっちを見るような動作をするだけ、もう1人はスキンヘッドの厳つい男性。残りは……ほとんどが影に包まれて見えない。

 

「……今言うのもアレだけど、私が私を見つめててすごく変な気分!」

 

「ほんとに今言わなくてよかったよ???」

 

根津校長があきれ顔でそう告げる。

 

あ、椅子にいる方のオールマイト?も凹んでる。

 

そしてこちらにいるオールマイトも凹んでる。

 

「で、その人がおそらく緑谷の身体からでた黒い鞭の個性を持った主だな」

 

「正解さ。オレは万縄大悟郎!5代目のOFAの継承者だ! 持ってた個性は黒鞭!」

 

相澤先生の言葉にいえーいとノリよさそうな返事を返す大悟郎さん。

 

「……継承者の意思?」

 

「たぶん……部分的にそう……?」

 

「なんでどこぞのキャラ当て魔神の質問にたいする回答みたいな返答してるんだ……」

 

オールマイトの言葉に大悟郎さんが首傾げながら答えて朧君が困惑する。

 

「他の6人がシルエット人間状態なのはどうして?」

 

「誤解を恐れず言うなら、オレより緑谷と相性悪いし、オールマイトとも相性微妙だったから」

 

その言葉に他のシルエットが『ガーン』と言う文字のエフェクトを出したあと、漫画でみるどんよりな縦線を漂わせた。

 

「OFAの成長と何か関係ある?」

 

オールマイトがキャラ当てランプ魔神みたいな質問をまたもや繰り出す。

 

「半分合ってる。原因は不明だが、オールマイトの代でストックされてた歴代継承者の個性の一部たちがOFA内で自己構築し始めた。そしてそれに合わせて継承者たちの人格も再構築されたんだ。もっとも、進み具合がオレ以外団栗の背比べだったけどな」

 

「それが僕の代で表に出るまでになった……?」

 

大悟郎さんは頷く。

 

「一応オールマイトから君に渡された時点でそれぞれの最低限の自我構築はできてる状態だったさ。お互いを認識できてたけど、『なんか伝えようとしてる?』レベルだったが」

 

「先日のステインとの戦い、ですね?」

 

僕の言葉に頷く大悟郎さん。

 

「先日のステインとの戦いでOFAが緑谷と一気に馴染み、一番相性良かったオレの個性が一気に活性化して、勢い余って黒鞭が表に飛び出たって感じだな」

 

「つまり今後緑谷ひいてはOFAの成長で他の歴代継承者の持つ個性が使えるようになる……と?」

 

相澤先生の問いかけに頷きつつも少し険しい顔をする大悟郎さん。

 

「おそらくな。そして1つ言えるのが、『歴代継承者たちの個性』より出力や性能が上がったり性質が変化してる可能性が高い。オレの黒鞭もたしかに複数同時に出せたが、緑谷が出した時の数は出せないし、それぞれの耐久力も段違いだったからな」

 

「個人的に現在の出力限界や同時使用の限界とかそのあたりも把握しておきたい所ですね」

 

夢幻回廊の中のおかげか、表情の穏やかな朧君がそう告げた。

 

「でも今力を出せるのは俺だけだぞ? 出力限界はともかく、同時使用の限界確認なら誰かの個性を覚醒させないと行けないんだが……」

 

「……裏技に心当たりあるんで大丈夫です。相澤先生、杖お願いします」

 

朧君は杖を相澤先生に渡すと回廊の別エリアに姿を消した。

 

「緑谷、せっかくだから出力限界の確認ついでに黒鞭の練習しとけ」

 

「ココなら俺も手伝えるから暴走の心配ないハズさ」

 

「わかりました」

 

相澤先生と大悟郎さんの言葉に僕は頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――Side 夢見朧

 

時間圧縮かけて3分で拵えた『スープ』を2つ持って緑谷たちの元に戻る。

 

「裏技って……スープ!?」

 

「またオカルトも真っ青な方法を……」

 

とりあえず片方を緑谷に押し付ける。

 

「オールマイトの前任者、挙手」

 

オレの言葉に光るオールマイト(OFAの個性)の左隣が手を挙げた。

 

オレはその人にスープを渡す。

 

「二人共一気に飲め」

 

7代目の影が驚いている。

 

緑谷は相手に合わせて飲もうとして、チラチラ様子見してる。

 

「……飲んでも大丈夫なやつ?」

 

オールマイト(本人)が恐る恐る問いかけてきた。

 

「ええ、味も品質は保証しますし個性への効果も問題ありません。在庫がソレしかないんで次は半年くらい待たないとですが、ね」

 

すると影は意を決したのか一気に飲み始める。

 

緑谷もソレに合わせて飲み始める。

 

マナーもへったくれもない飲み方だが、是非もなし。

 

「おっ? 姿が……」

 

スープがそれぞれの胃の中に入っていくとと共に影に変化が見えた。

 

「お、お師匠様……!」

 

シルエットは色づき、輪郭もはっきりして大悟郎と同じようにそこに実際に人がいるように見える。

 

「……ごちそうさまてした……!」

 

7代目――志村菜奈――はそう告げてこちらに皿を渡した。

 

「……事実は小説より奇なり……か」

 

「オールマイト、色々話したいこととかあると思うけど今は我慢してっ」

 

大悟郎と校長(と相澤先生)がそれぞれのオールマイトを取り押さえてる。

 

「話は全部聞いてた。といっても浮遊の個性なんて、ほとんど移動できないから使えるのかは怪しいけど……」

 

志村菜奈は微妙な顔をする。

 

「暴走のリスク考えればその方が都合良い」

 

「OFAの素の力とうまく組み合わせて使えば実質飛行になるしね」

 

根津校長がしれっとフォロー入れてくれた。

 

「んじゃまあ……修行の時間と行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでグラントリノに7代目会わせなくていいのか?」

 

「「「「「あっ」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 




夢見コソコソ小話
夢見一家で戦闘力が一番高いのは朧だが、
手段とか選ばなければ世界を一番速く滅ぼせるのは奏で次点が世羅。
奏曰く「6分あれば終わらせられる」とのこと。
そんな女(ともう一人の妹)は命の危険に生物としての本能が活性化したらしいです。
『被害担当は兄』というダイイングメッセージを残して現場にいた世羅の分身は力尽きたとか……。

時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?

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