夢見兄妹のヒーローアカデミア   作:月神サチ

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時系列は緑谷たち入院〜前話までとやや広めでシーン毎に違います。
そこだけよろしくお願いします。


第22話 闇に蠢く者たち

――Side 敵連合

 

神野市某所の廃れたバーにて

 

「――よぉ、死柄木弔、待たせたな……って何してるんだ?」

 

闇のブローカーである義爛は、テーブル席の一角にデスクトップPCとモニター複数を広げてカタカタ4本指打法でなにかを入力している死柄木弔を見て目を丸くした。

 

「ああ、義爛。なに、ちっと博士が『次作る人形兵器のデザインを考えてくれ』って言ってきたらからAI使ってデザインの原案出力してるんだ」

 

「……AI画像生成? オンラインだとログとか辿られかねんぞ?」

 

親切心(と打算)から忠告する義爛。

 

「それに関しては大丈夫だ。コレはネットに繋がってない。先生が市販で買える一番いいパーツ集めて黒が組み立てて博士がソフト類入れてくれたつよつよPCだ」

 

「至れり尽くせりでよーござんしたな。……って世間話しにきたんじゃねえ。敵連合に入りたい言う連中から仲介を頼まれた。コレが各自の情報だ。サツ*1がつけた敵名と個性でウラ*2は取れてるから草*3とかじゃねぇのは確かだ」

 

そう言って茶封筒の束をカウンターでガラスを磨く黒霧に渡す。

 

「昨日今日でこちらと接触したいとは行動力ありますねっと。……写真に敵名、個性に犯罪実績とアピールポイントや一言コメント? ……まるで履歴書みたいですね……?」

 

封筒を開けて中身を何枚か見る黒霧。

 

「その方が書くの楽なんだよ察してくれよ」

 

「文盲*4でもいるのかよ」

 

「単に字が汚すぎて代筆したほうが良かっただけだ」

 

死柄木弔と義爛の会話を横に黒霧が吟味している。

 

「なんかいいのいた?」

 

カウンター席に移動しながらきいてくる弔。

 

「居たというレベルじゃないですね。複数のヒーロー殺害実績を持つ『ムーンフィッシュ』、『荼毘』、『ブサイク大総統』。現在解散している傭兵団【赤い星座】のトップの緋の戦鬼(オーガ・ロッソ)こと『シグムント・オルランド』、国際指名手配犯 『人食いの童磨』に『大怪盗顔無し(フェイスレス)』。……他にも裏では有名な敵たちの名前がゴロゴロありますね」

 

「……オレの影が薄くなるのはこまるんだがなぁ」

 

選ぶのめんどくさって顔をする死柄木弔。

 

「クソみたいな命令じゃなきゃあんたを一応トップと仰ぐって言質取ってるやつしか集めてないんだがなぁ……」

 

「基準曖昧すぎねぇ? ……まあいいや、この書類の奴ら『全員』連れてきてくれ。後は面接して決めるわ」

 

困惑しながらも結論を告げる。

 

「んじゃ、支払いはいつも通りに」

 

「ヘマすんなよ?義爛」

 

弔の言葉にニヤッとしただけで返事はせずに去っていく。

 

 

 

 

少ししたあと、テレビが独りでに電源がつき、4分割された画面が表示される。

 

「? 博士か? なんかあったか?」

 

『あー、済まないが上司命令で別件に対応しなければならない。2、3ヶ月ほどそっちにかかりきりになる。代わりと言ってはなんだが、それなりに使える人形を用意した。使い潰してくれて構わんよ』

 

その言葉とともに義爛が出ていった扉が開く。

 

そこにはまだ少女と言える身長の、黒のぴっちりとしたボディスーツをまとった青い髪と金色の瞳の娘が立っていた。

 

「……博士冗談きついぞ? どう見ても人間なんだが」

 

『とある筋の技術を使った生体部品ベースの人造人間だ。もっともドクターの個性移植実験用に作った3体の1つだったんだが、個性移植実験に2度失敗して持て余していたんだ。君のために生きて君のために死ぬよう『教育』済みだ。無論戦闘能力は保証する』

 

他の画面部分で小型人形兵器を一撃で粉砕する映像や重量表示に数百キロとでてる岩を軽く持ち上げて投げ飛ばす映像、なぜかロボットダンスしてる映像等が表示される。

 

「……OZ-0093です。なんなりとご命令を、マスター」

 

「…………まずはそこの黒霧に従って服着替えてこい。オレが『そういう趣味』で見られそうな服からな!!!!」

 

「優れた防御力を持つ戦闘服ですが……かしこまりました」

 

そういって黒霧と共に去っていく。

 

『本当ならもっと良いのを用意したかったし、データも取りたかったから非常に残念だ。あ、人形兵器のデザイン案は急ぎではなくなったが、イメージ固まったら随時送ってくれたまえ。では』

 

独りでに電源が落ちるテレビ。

 

「……正直ステインの話題を完全に潰せなかったのは心残りだが、新聞の一面を敵連合のネタで奪えたから良しとするか。……にしても『ステインの背後に敵連合!?』か。……当たらずとも遠からずだがこっちが上って実質決まったようなもんだし、こっちの勝ちでいいよな」

 

近くにあった新聞を広げて満足そうに頷く弔。

 

久しぶりに気分が良くなった弔はそのまま眠ることにした。

 

実にいい気分だ。

 

 

 

 

 

 

 

――Side 『先生』

 

「……ドクター、研究の方はどうかな?」

 

研究に熱が入りすぎて倒れてないか確認を兼ねて、ドクターの研究施設を訪れる。

 

声をかけたところ、彼はこちらを見て破顔した。

 

「普通の脳無よりコストが段違いで、当初とは大分離れているが『ギガントマキア』のような自我を持つ脳無を作る目処は立った。また完全機械に個性付与は目処が立たんが、生体ベースの人造人間に個性移植する実験で得られたデータで関連する研究がすすむやもしれん」

 

「相互利用を協力とは良く言ったものだ。……ドクター、これ以上こちらの手をみせないようにしつつ【黒】の陣営の手札を暴いてくれ。こちらの集めた風の剣聖の情報にない技を見せた『風の剣聖のロボット』や人形兵器に使われてる未知の技術は警戒するにことしたことはない」

 

「もちろん。そのために人造人間への個性移植実験を『失敗』したように偽装したからの」

 

からから笑うドクター。

 

肩を竦める『先生』

 

「アレらはかなり狡猾だ。……それに【黒】は何かしらの切り札を持っているようにも見える。日本国内のあちこちに手足がある我々が奴らの拠点を捕捉できてないのもね」

 

「異空間生成とかの技術ならぜひとも欲しいのう」

 

「そのあたり含め上手く頼んだ」

 

私はそういうと別の用事を済ませるためにその場をあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――Side 【黒】

 

「……こちらの拠点や隠蔽には気付く様子なし。……当初の予定を前倒しして『アレ』の建造を博士と人形たちに進めさせるか」

 

大画面の映像を閉じてそう零す黒。

 

「我は全てを滅ぼす。それが我の生まれた意味だ」

 

 

*1
警察

*2
情報源含めた情報精査。

*3
密偵、いわゆる敵のスパイ

*4
字の読み書きできない人のこと。ちなみに現代日本の識字率はほぼ100%。江戸時代とかでも成人男性は70%超えていたとされている。これは当時の世界と比較してもトップクラスに識字率が高いものだったと言われている




夢見コソコソ小話
敵連合の協力者たち
黒と先生の陣営は敵連合協力という大義名分のため、テーブルの上で握手している。が、テーブルの下では足の蹴り合いをしてるように水面下でバチバチやり合っている。相手の技術を奪い弱体化させるためにあの手この手を使っている。

時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?

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