――Side 雄英高校
あれから1週間。
時間は昼休み。
お弁当組の女子たちは机動かしたり他の席借りたりして皆でご飯食べていた。
「二人共まだ帰ってこないねぇ」
「でも先週の中間テスト受けずに済んだみたいだし、ラッキーなんじゃない?」
耳郎の言葉に芦戸が口を開く。
「ケロ……というか綾ちゃんたちにも連絡来てないの?」
「きてない。たぶん外部と通信できないところに潜入捜査してるかなぁ。……ヤオモモとも連絡取れないのが不穏だけど」
見ていたスマホをスリープにしながら懐にしまう綾。
「兄様が理性破壊されててヤオモモさんを性欲のはけ口にしてなければいいんですが……」
「ないと思うけどね……」
奏のしかめっ面に葉隠がナイナイと否定する。
「公欠初日からニュースなった『敵名 ブサイク大総統、東北新幹線襲撃も居合わせた剣仙が撃破』が最後の足取りだから、向かった場所にいくつか心当たりはあるんだよね」
「……鋼のアリアンロードとか?」
芦戸の言葉に葉隠が少しビクッとした。
「たぶんそこなら3日目には帰ってきてるはず。もし他のヒーローとか山爺とかのハシゴ案件なら納得なんだけど、そのへんの目撃情報ないから違うハズ」
綾は冷静に否定した。
「……契約の力が必要な何か……?」
「契約の力?」
思考の海に身を投じていた奏が零した言葉に反応する芦戸。
「……お兄ちゃんが夢幻回廊で手に入れた力は『忍術という概念』と『契約の力』の2つで、八葉一刀流を含めた他の技能はその2つの力の派生や人が習得可能な技能なの。須佐之男とか飛雷神の術とかは前者の概念からの派生技能ね。前話したときにお兄ちゃんが言わなかったのは……言わなくても良いと上から言われてたから」
「八葉一刀流、蘇生包丁や食義は理論上全ての人類が取得可能な技能です。兄様はイカれた精神力や鍛錬で10歳になるまでに体得してますが」
ハッとする奏。
咳払いしてから続ける。
「兄様の『契約の力』は平たく言えば契約を交わした相手に対して『契約内容の履行を強制』できたり、『契約対象の常時監視』が可能な力です」
「なにそれどこぞのぶへっ」
ガタッと立ち上がってこっちに駈けてきた峰田は梅雨ちゃんの舌で弾き飛ばされた。
「……契約の結び方にもよりますが、兄様が死んだとしても履行されるか自動監視され、違反した場合は違反に対する処罰が自動執行することが可能です」
「……悪用したら大変な力ねぇ」
梅雨ちゃんの言葉に頷く奏。
「ちなみに契約を守ることで契約を結んだ双方または片方に恩恵を与えることもできるようです。個性ではないので相澤先生の消失や個性複製などの対象外。恩恵はピンキリですがものすごいものもあるようで……最近家の不祥事をでっち上げて司法取引でその力を政府が管理することに同意させようとしてる動きがあるので場合によっては国籍を移さねばならないかもしれません」
「不穏すぎない???」
芦戸の言葉に女子たち(と聞き耳立てる形できいてた男子)が頷く。
「まあ、お兄ちゃんが剣仙の間は表立って動かないと思うけどね。八葉一刀流は繋がり強いし、麻呂みたいな人望ある人が暴動起こして革命待ったなしなんてオチは望んでないだろうし。なにより政府関係者のおじいさんたちは山爺に頭上がらないからね。……っと、話戻そう」
「その契約の力を使えば監獄に収容されてる有用な個性の敵とかをこちらに引き入れることもできますからね。契約に同意させるのが骨でしょうが」
「……まあ、やるとしても過去が抹消されてる人かあるいは……」
などと会話してると入口のドアが開く。
そこには制服姿の朧と彼の腕に抱きつく制服姿のヤオモモの姿が。
「お兄ちゃんとヤりやがったよあの女! かーっ。見んね、透。卑しか女ばい!」
「綾ちゃんが壊れた」
二人を見て放たれた言葉に困惑する葉隠。
たしかにヤオモモの薬指には朧と教室を出る前にはつけてなかった、夢見三兄妹の付けてるのと同じデザインの指輪が付けられていた。
「いやまあ、あの女があの指輪つけてる時点で兄様の毒牙に掛かったのは明白ですしおすし」
「奏ちゃんも壊れてない?」
芦戸も奏の言葉にどうしたら治るかなと困り顔。
女子たちに気がついたヤオモモ。
一言二言朧に言ってから離れてそちらにむかう。
「綾さん奏さんごきげんよう。同じ方の寵愛をいただく者同士、仲良くしましょうね」
笑顔で固まる綾と奏。
「ちょ、ヤオモモ。出会い頭に煽るとか一体どうしたん!?」
逆◯しかしてない2人に寵愛云々があるとは言い切れず、傍からみたら煽りにしか見えない。
「いえ、昔からず〜〜〜〜〜っと見せつけられて来ましたので偶の一度くらい煽らせていただいてもバチは当たらないかと」
「「……」」
大きく息を吐く綾と奏。
「……で、お兄ちゃん表面的には元気そうだけど、立ち直った?」
「ええ、……要請中に一度別件でまた心折れかけましたがなんとか立ち直りましたし、大丈夫かと」
「こちらは理由があるとはいえ、私たちは兄様を追い詰めてしまいましたから。ソレに引き換え、八百万さんは兄様を立ち直らせてくださいました。今まで煽ってきた自覚もありますし、私たちに怒る権利はありませんからね、甘んじて受け入れます。別件については可能ならあとで教えてください」
「可能な範囲でお伝えしますわ」
爆発することなく穏やかに終わる会話。
「爆豪見たかあのやり取り。普通大人ならああいう対応で揉めることなく流すんだぜ?」
「知ってるわそのくらい!オレにもできるっつーの!必要ならいくらでもやってやるわ!」
切島の言葉に爆発する爆豪。
「そういや2人がいない間、中間テストあったんだけどお前ら受けずに済んでラッキーだよなぁ」
少しばかり嫉妬の目を向ける上鳴。
「いや、オレもヤオモモも午前中に全教科詰め込みでたぶん同じ内容のテスト受けてきた。今日スマホ電源切ってたのと会えなかったのはカンニング対策。昨日までは、行った場所隠すために止むなく止めてた」
しれっと答える朧。
「うっそだろお前。時間ギリギリまで解けなかったやつとかあるんだぞ!?」
頭かきむしる上鳴。
するとドアが開く。
入ってきたのはプレゼント・マイク。
「へいリスナーズ。午前にやった2人の中間テスト、全教科採点おわったから返すってよ。全教科満点だおめでとさん」
教師からの言葉に戦慄する一部の生徒。
それを横に2人分の答案が返される。
「私たちより時間短くて満点とかそんなバナナ!」
「ぜってーミスしてんだろ見せてみやがれ……!」
群がり、2人の答案を勝手に取り上げてあら捜しを始める生徒たち。
その間に去っていくプレゼント・マイク。
いつの間にか朧の前に妹たちがいた。
「迷惑かけてごめんね、お兄ちゃん」
「まだまだ迷惑かけると思いますが、赦していただけますか?」
その言葉に朧はため息をつく。
「可愛い血の繋がらない妹で、大切な相手だ。もちろん赦すさ。……だがタイミングとか雰囲気とか、次からもう少し……その……な?」
「「気をつけまーす」」
シリアスさんはお亡くなりになったのか、2人は緩い顔で返事した。
「雰囲気云々って会話部分、ふつー男女逆では?」
「芦戸ちゃん、口は災いの元だよ」
「ケロ……私も気をつけなきゃ」
芦戸の指摘を葉隠が窘めて、梅雨ちゃんは自重を心に決めたりしたようだ。
「クソッ、どこも間違いねえし途中式とかもケチつけられねぇ!」
「A組のヒエラルキーが改まって決まったな……」
「入試でも兄様筆記の得点率106%でしたみたいですし、中間テストなら満点未満はまず見ませんわね」
「いや待って100%超えてるのおかしくない????」
「解答用紙の裏に問題を推敲したのを残してたら担当者がそれ見てヤケで推敲分点数つけたらしくてさ。……やったの理系科目だけだったけどな」
夢見コソコソ小話
八葉一刀流の八の型は無手の型だが、先代が流水岩砕拳習得者でもあったため八の型に同拳術が一部組み込まれてる。
もっとも組み込んだのは晩年らしく、今の八の型奥伝取得者は習得していない。
シルバーファング的には次の世代に継承済んでるし、八の型から流水岩砕拳を知って門戸を叩く人増えたからヨシ!とのこと。
感想ついでにコソコソ小話で聞いてみたいことあったら書いてくれると嬉しいゾイ
時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?
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ほしい!
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いらね