夢見兄妹のヒーローアカデミア   作:月神サチ

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今回は期末試験前後の他エリアのお話。
短めです。
ではどうぞ。


第27話 闇はより深く/バタフライエフェクト

――Side 敵連合

 

神野市某所のバーにて。

 

そこにはいつもの死柄木弔と黒霧(と黒霧と一緒にグラス磨いたり雑用してるOZ-0093)、準レギュラー化してる義爛。

 

そしてテーブル席には赤毛の眼帯をした大柄で筋骨隆々な男に、宗教を感じさせる服装とお香に身を包んだ白っぽい髪の青年、一見この場には不似合いそうな黒髪の幼女などが適当に酒を飲んでいた。

 

なお、義爛のそばには別の2人が居た。

 

「……荼毘だ。ステインの意志はオレが継ぐ。……アンタのトコの【先生】とやらから推薦された」

 

「スピナーだ。……ステインの唱えた英雄(ヒーロー)のあり方に賛同し、そして世にはびこる偽物を滅するためにココに来た。……イシュ……イシュなんとかってなのってた【黒】がココに入るのと引き換えに鍛えるって言ったのも理由ではある」

 

焼け爛れた身体に一部人皮を付けて取り繕ってるような男と、トカゲ姿の男が自己紹介する。

 

「【先生】に【黒】とか……。無下にしにくい相手から推薦もらってきやがって。……戦力が増えるのは歓迎だが、上に従わない狂犬は要らねえぞ? 戦力だけで言えば町1つ滅ぼせる連中が数人居るしな」

 

ダルそうにする弔。

 

「組織に入る以上、トップには基本従うさ。にしても……紅の戦鬼、人喰い。……そのガキは大怪盗顔無し(フェイスレス)の顔の一つか。義爛から聞いていたが国内外から随分と大物が来たものだ」

 

「……ブサイク大総統……。異形系個性持ちから同族と支持されてた『不遇に抗う戦士』も本当はココにいるハズだったと聞く。剣仙にやられたのは実に惜しい……」

 

悲しそうな顔をするスピナー。

 

「えっ、アイツのあの顔、個性と直接関係ない天然モノだよ? 持ってる個性は『コンプレックス感じるほどその相手に与えるダメージが増す』っていう、威力係数は狂ってるけど、クセが強すぎる個性だし。顔は数代上の親戚の1人と瓜二つだから隔世遺伝なのはほぼ確定だし」

 

「なん……だと……」

 

フェイスレスの言葉に衝撃を受けるスピナー。

 

「……まあ、幼少期からあの容姿で迫害受けてたのは事実だからねぇ。君等がシンパシー感じたのはあながち間違いではない」

 

「……随分詳しいな? 古い友人か何かか?」

 

戦鬼が問いかける。

 

「まー、そんな所。だから――あの剣仙には少しばかりお礼をしようかなって」

 

「とりあえず、だ」

 

切りの良さそうなところで弔は話をぶった斬った。

 

「――来るなら拒まねえ、去るのも咎めるつもりはない。だが――敵連合を名乗りながら裏切るのは認めねぇ。抜けるならケジメつけろ。ソレだけは覚えとけ」

 

「わかりやすくて助かるな」

 

「筋通せってことだな、右に同意だ」

 

2人が弔から突きつけられた条件に頷く。

 

それを見た弔は少しめんどくさそうにしたあと

 

「OK。お前らの敵連合入りを歓迎する。……93!買い出し行くぞ。黒霧は細々とした不文律とか2人に教えとけ」

 

そう告げてOZ-0093と共にバーを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

――Side 二瓶鉄心

 

俺は二瓶鉄心。

 

北の大地で主に活動してる、あと数年で還暦の猟師のオッサンだ。

 

ああ、一応八葉一刀流の剣聖でもあるが、基本刀を振り回すことは無い。

 

無手か猟銃、捌く時にナイフってところか。

 

「二瓶の旦那ァ。今朝の熊、捌き終えましたぜ」

 

「今日の熊はほとんどトガが捌いたので、トゥワイスがえらそーにするのは違うと思うのです」

 

刀と猟銃の手入れをしていると、小屋の戸を開けてそこそこ背のあるアラサーの男と、高校生くらいの小娘が仲良さそうに入ってきた。

 

どちらも熊の解体したせい?か服に血がついている。

 

「……返り血でない程度には血抜きしたはずだが?」

 

「飲みたくなったので、トガが直のみしました!」

 

「飲みすぎてたので止めました」

 

「いつもの発作か。裏の入口にある着替え使ったあと、着てたほうを洗濯しとけ。俺は飯の支度する」

 

「「はーい」」

 

気の抜けた声で小屋を出て裏手に向かう2人。

 

一昔ほど前からの付き合いであるトゥワイス――本名未だに覚えられない――と数年前に拾った渡我被身子とかいう小娘。

 

どっちも脛に傷持つが、どっちもこの北の大地に来てからは悪いことはしてねぇ。

 

……血を飲みたいと抜かすトガの「発作」は、捕まえた熊や猪、獲物を捌く時の血を飲ませたり、捌かせることで代替させている。

 

無論俺が先に血を舐めたりして問題ないかは確認してる*1ので寄生虫や毒や病気の類は問題ない。

 

普通とは離れているが……息子や娘がいたなら、こんなふうになんだろうなあと思いつつも、手入れを止めて、よっこらせと立ち上がる。

 

土間の竈門に向かい、灰の中に埋めておいた赤熱する炭を出して薪を足す。

 

まもなく薪が炭の熱で燃え始めるので、米や粟、稗などを2摑み程鍋に入れて水を入れたら竈門にセット。

 

適当に保存してある野菜類をいくつか見繕って細切れにし、別の鍋にちぎった干し肉と塩を少しに、昆布とマグロ節を少し入れて水を足してから火にかけた。

 

「きゃああああああああ!!!!!」

 

「!?」

 

反射的に駆け出して、裏口から外に出る。

 

そこには小山のような人の形の機械がトガとトゥワイスを捕まえていた。

 

トゥワイスは気絶してるのか気配が薄い。

 

「む、さすが剣聖。反応が早い」

 

声をする方を見ると半透明なキノコ髪の男が立っていた。

 

「何者だ。2人を返してもらう!」

 

「それは困る」

 

破甲拳で兵器に攻撃しようとしたが2人は兵器と共に消えた。

 

「安心したまえ、我々が欲しいのは二人の個性データだけ。解析が終われば返すとも。機密を喋られては困るので記憶処理をするが、丁重に扱うと誓おう」

 

「信用もクソもない初対面に誓われても信用ならんわ!」

 

男に殴りかかるがすり抜けた。

 

「野蛮だねぇ。まあ、今月には終わらせる予定だから、精々1月だ。……それでは失礼」

 

そういって消え去るキノコ髪の男。

 

「……山を降りて電話を使うしかないな。……剣仙とは余り馴染み無いから……麻呂なら知恵も貸して貰えるだろうか……」

 

トガたちの気配はない。

 

連れ去られたと見るのが妥当だろう。

 

しかし探すには情報が足りない、人手が足りない。

 

……ならば頼るしかない。

 

作りかけの飯を搔き込み、身支度を整え、急ぎ小屋を後にした……。

 

*1
大変危険なのでやってはいけません




夢見コソコソ小話
二瓶鉄心は3月〜11月の間は北の大地にいて各地にある猟師小屋か山の何処かに生息しているが、12月〜2月は東北〜北関東、越後あたりに生息域を移動している。
トゥワイスやトガとは冬に北関東〜東北あたりで会ったらしい。

時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?

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