――Side 雄英高校
筆記、実技の期末試験が終わった翌日のホームルームにて。
「期末試験、教員がほぼ徹夜したおかげで結果が確定した」
相澤先生の言葉に生徒たちが息を呑む。
「――結論から言えば瀬呂、峰田、芦戸、上鳴が赤点だ。筆記の赤点は0。該当者は全員実技で赤点だ」
「デスヨネー!」
「知ってた」
「終わった!」
「さよなら、合宿!」
血涙流す面々に憐れみの目を向ける合格者たち。
「まだ話は終わってない」
相澤先生の言葉に一同が顔を向けた。
「本来なら赤点者は雄英で補習だったが――全員で合宿行くことになった」
「「「「大どんでん返しキタァ!!!!」」」」
「ただし!」
先生の目が紅く光り、髪が逆立つ。
「合宿中、就寝時間やスケジュール上空白時間の一部が補習に使われる。正直雄英高校で補習してるよりキツイと断言しておく」
「ヒエッ」
誰かが声を漏らしたが、相澤先生はそのまま続けた。
「……合宿の目的は『個性強化』と『基礎能力の向上』だ。赤点の者にこそ参加させるべきイベントと言える。だからこそ、全員で向かうんだ。他のやつに追いついて追い抜くくらいの気持ちで挑め」
「「「「はいっ!」」」」
いい返事する4人。
「あと全員に言えることだが、しおりにある通り、途中帰宅は認めん。取りに戻れん以上、しおりにある最低限の準備は絶対に忘れんように」
――同日 放課後
授業にてテストが返され、一部教科では別教科のテストが返されたりして、全教科のテストが返却された。
「期末も全教科満点とか狂ってるだろお前ら2人!」
ホームルームが終わり相澤先生が去ったあと、上鳴が朧に指さしながらツッコむ。
「そう言われてもなあ……?」
「仕事と違い、勉強は答えが決まってますから、それに沿って解いていけばよいだけですし……」
「天才たちは次元が違うなぁ……」
朧とヤオモモの言葉に芦戸は遠い目をする。
「それよりさー、明日休みだし、みんな合宿行くんだから皆で買い物行かない?ほら、最近出来たショッピングモールに!」
葉隠が雰囲気変えるために提案する。
「良いかもなぁ」
「互いにチェックとかしながら買えば買い忘れなさそうだし、良いね!」
ほとんどが賛同する中、
「んなもん群れてやってられっか」
と爆豪は先に帰り(今日は鍛錬無しと朧が通知してたのもある)、
「……休日は見舞いなんだけど……ちょっと考えさせて」
と轟は保留を告げて教室からでていった。
「……唯我独尊な爆豪と保留の轟以外は……全員来る感じね? 集合時間どうしよっか」
「昼くらいで良いんじゃないか?人数的にもたぶん一度集まって、行きたい所被ってる面々で別れて、ある程度したら集合って形になるだろうし」
芦戸の言葉に朧が提案する。
「だね。12時集合にして、先に済ませて買い物に集中したいならソレまでに済ませる。途中で食べるのもアリならちょうど良いだろうしね」
「では、集合時間は十二時! 集合場所はモール中央の『銀の巨大懐中時計』があるところで!」
芦戸が頷いたあと、飯田が委員長として仕切りだす。
平和な学園生活が其処にあった……。
――Side 夢見朧
翌日。
「おっ、予想通り、夢見三兄妹にヤオモモの4人で……C組の心操君と夏目さんもいる……?」
集合時間5分前。ほとんどのメンツが揃っていた。
「なんか心操……滅入ってるっぽいけどどしたん?」
「……女性率高くて居心地悪かった……!全員アイツが手を付けた奴だし!」
ヨロヨロしてる心操に瀬呂が首傾げてると、心操からとんでもない事実が告げられた。
「……大変だったな」
「……ああ……」
尾白の言葉に頷く心操。
「……お待たせ」
声の主は轟。
全員そちらに目を向ける。
「「「「!?」」」」
そして男子たちのほとんどが目を丸くした。
いや、服装に関しては女子も目を丸くした。
黒のオフショルダータンクトップにジーンズという、かなり攻めた服だったからだ。
「えっ? どういうこと……?」
「あんなにデカかったっけ?」
「いーや、普段は耳郎とどっこいどっこいだったはず」
「パッド……はありえねぇ。オフショルダータンクトップでソレは自殺行為だしな」
轟の胸部装甲の厚さに一部(クソ真面目な飯田、あんまり状況がわかってない心操、綾たちに捕まってるオレ)除いた男子が集まってひそひそ話。
「ウチを基準にすんなし! あとデリカシーなさすぎ!」
「「「「「すみませんでしたっ!」」」」」
キレた耳郎のイヤホンジャックがターゲットを決めようとしたのを見て、ひそひそ話してた男子たちは頭を下げた。
その間にトテトテとオレに近づく轟ちゃん。
オレの両サイドに居る女子4人の威圧感などものともしない。
「……似合う?」
「天然ちゃんか!? 天然ちゃんだったなお前! このタイミングで聞くなよ大人な色気とかミステリアスな雰囲気あって似合ってるけどさぁ!」
普段のダウナー気味ロール殴り捨てて本音をぶちまけるオレ。
「……良かった」
「もれなく命の危機なんでオレ的には最悪だけどな!」
修羅を顕現させかけてる妹2人とヤオモモと夏目から目を逸らしつつそう告げる。
「……むう……」
「ならもう1発爆弾投げ込んでも大丈夫だよね!」
ふくれっ面になる轟の横に躍り出てくるのは葉隠だ(服だけ浮いてるので間違いない)。
「透明化――解除っと」
腕時計のスイッチを押した葉隠。
すると彼女の透明な身体が姿を現した。
「は? えっ?」
「めっちゃカワエエやん!」
「かわいいの暴力や!」
「コイツは朧の罪が増えますねぇ……」
ザワザワする一同。
「篠ノ之束っていう朧君の姉を名乗る人から届いたんだけど、すごい便利だね!」
「「それ姉を名乗る不審者。兄様(お兄ちゃん)の姉ではないです」」
「まあ……うん。知ってる人だし、腕は確かだからいいけど、今度からオレの関係者かどうかは、オレに確認してね? (葉隠のことと、個性について示唆したけど、どうやってI・アイランドから調べて送ってきた……?)」
「はーい」
ボタン押し直して透明化する葉隠。
「目の保養になるからもっとみたかった……!」
血涙流す峰田を横に、買い物タイムが始まった。
――Side 死柄木弔
【先生】から教えられた通り、雄英近くのショッピングモールに襲撃の時見たガキ共が集まっていた。
「マスター、襲撃します?」
「アホか。今日はオールマイトが気にかけてるってガキに挨拶してやるだけだ。お前はこのメモの買い物と買いすぎねぇ程度に好きなもん買ってこい」
93にメモを渡して追い払ったあと、パーカーを深く被る。
そして個々に散っていったガキのうち、緑谷出久というヤツのあとを付けた。
警戒心というのがないのか、あっさりその生殺与奪はオレの手の中に転がり込んだ。
コイツのクビにはオレの指が4本、いつでも殺せる状態だ。
「……何が目的だ」
「世間話だ。気が済んだら解放してやる。言うまでもないが、解放したあと、追いかけてくるとか無粋なコトすんなよ?『ついうっかり』とかしちまうかもしれないからよ」
「……」
返事がないから肯定として、適当な観葉植物に併設されたベンチに座るオレたち。
「……ヒーロー殺しってすげえよなぁ。最近ウチに集まってるヤツの半分くらいがステインにあこがれて〜とか抜かしてるんだ」
「! やり方は間違ってるし、暴力の時点で僕たちは肯定したら駄目だけど……『ヒーローの理想論』は、多くの人が持ってるヒーロー像と同じだから、わからなくもない」
敵との会話拒否より、会話を続けて情報を得ようとする方向にシフトしたのを感じた。
「……お前もそうか。実はよー、ステイン信者な加入者は大体昔ヒーロー憧れてたやつなんだ。個性のせいで迫害されたり、訳アリだったりな。憧れたとしても個性のせいで追いやられて敵になるなんてザラにある。――ソレをオールマイトやヒーローたちは救わなかった。オールマイトだけは本物ヒーローってステインたちはのたまってるが……ソイツらさえ、オレからしたら偽物だよ」
「!? 一体、過去に何が」
オレは視界に体育祭で爆豪と戦っていた小娘の姿が目に入った。
「残念、タイムアップだ。今度会う時は殺し合う時だろうな。――緑谷君、カノジョいたんだなぁ。時間取って悪かったわ! そんじゃまたな!」
オレは作り笑いをしながら緑谷から手を離す。
そして立ち上がって手を振ったあと、人混みの中へ紛れ込む。
「マスター、買い物終えました」
合流する93。
「んじゃ、帰るか」
オレたちは適当な人のいないところで黒霧に連絡してワープゲートを通り抜けた。
夢見コソコソ小話
ショッピングモール時の朧は、鋼の錬金術師の『雨の日のマスタング大佐』レベルの無能状態だったので、気配察知の有効範囲がガタ落ちして、死柄木弔を察知できなかったようだ。
ついでに事件の後に『そう言えばここでそういうイベントあったな……』って感じで記憶も薄れてます。
よくも悪くもヒロアカ世界に馴染んでる朧。
原作より良い未来になるかは……まだわからない。
時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?
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ほしい!
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いらね