――Side 夢見朧
更衣室にて制服に着替え、根津校長に軽い報告を行い(ついでにイメージについて改善指導不足の密告)、ついでにオールマイトへ半分ほど嫌がらせ目的でグラントリノ宛の手紙を渡した(グラントリノへ手紙を書かないの?とオールマイトへ圧をかけるため)。
それなりに時間が経ったので既にほとんどが帰っている者が居ると思ったが、A組に戻るとまだほとんどの生徒が居た。
居ないのは……爆豪だけか。
「む、剣仙殿、何処に行っていたのだ?」
一人本を読んでいた、カラスのような頭の常闇踏陰がこちらに気がついて問いかけてきた。
「ああ、根津校長に来るよう前日から言われてたのでそっちに居たんだ。詳しくは教えられない」
「なるほど。深くは聞くまい」
「そこ聞かないの!?」
上鳴電気が困惑した顔で問う。
「EUやUSAでヒーローとして活躍した実績を持つヒーローとしての大先輩だ。そんな彼を校長が呼び出すということは、人には言えぬなにか重要なことがあったのだろう。――秘密を抱え、ソレをむやみに語らぬのもまたヒーローの宿命」
「男は黙って背中で語るってか?」
「それは話が違うでしょ……」
切島鋭児郎の言葉に尾白猿夫が指摘する。
「にしても個性把握テストで兄妹揃って好成績だったけど、どんな個性なの?」
「確かに……綾さんは糸みたいなの使ってて、奏さんは衝撃みたいなのを使ってたけど、朧さんは個性使ってる様子なかったよな」
「いや、50m走では1秒もかかってなかったはずだ。――朧さんは瞬間移動系の個性だったり?」
芦戸三奈、瀬呂範太、飯田天哉が首をかしげる。
「オレたちの個性は邯鄲。眠ることで夢幻回廊と呼ばれるところにアクセスできて、そこで得たもの、手に入れた力を持ち帰ることができる個性だ。オレは……瞬間移動の類を、綾は糸や縄の類を操る力を、奏は音を操る力を手に入れている」
「はぁ!?」
「とてもすごい個性だね」
「羨ましいなぁ」
耳郎響香や青山優雅、葉隠透が驚きを見せる。
「そうでもありませんよ?」
奏の言葉に一同が目線を向けた。
「まず見つけられるモノはガラクタがほとんど。もし力を持ち帰ったとしても、適合できるかは別問題。母も40年近く潜り続けてますが適合した力は『集中力付与』や『触れたものからプラスマイナス任意のエネルギーを弾き出す』とか変なモノばかり。夢幻回廊で体得した技能も持ち帰る事ができるので鍛錬場所と鍛錬時間が増えるというのがこの個性のメリットでしょうか」
「あとは精神的に辛いデメリットがあるね。夢幻回廊での死や怪我は現実に影響しないけど、経験したことは脳裏に焼き付くんだよ。死とか、ひと思いに死ねない苦しみとか、人が経験しなくていいことを胸焼けするくらい経験したし」
「……メリットばかりじゃないってわけか」
障子目蔵の言葉にオレたちは頷く。
「個性でデメリットあるって聞くと少し親近感が……」
「麗日さん、使いすぎると気分悪くなるんだよね……」
麗日お茶子の言葉に緑谷君が思い出すように補足する。
「その夢幻回廊?ってのは邯鄲の個性持ってないと行けない?」
記憶だと男だったはずの轟君(今は轟ちゃん)がこちらに近づいてきて問いかけてきた。
「持ってなくても、邯鄲の個性持ちとの添い寝で一応回廊の入口までは連れていける。ただし、回廊の番人が許可しないと、入口で待ちぼうけになる。それに夢幻回廊にアクセスはじめてしばらくは、おきた後すこし寝ぼけたような状態になる。これらのリスクとデメリットを飲むなら……お兄ちゃんが入口まで連れて行ってくれるんじゃない?」
「……あれ、綾がやる流れでは……?」
男性陣がオレの言葉に頷く。
「同性と言えど、お兄ちゃん専用の乙女の柔肌を他人に触れさせるのは……」
「異性に添い寝させる方がよほど問題な気が……」
ヤオモモも冷静にツッコミをいれる。
「今からでもできるのか?」
食いつく轟。
答える代わりに奏を呼ぶ。
「……奏」
「はい、轟さん私の席使っていいので、こう、机で寝る感じで……」
奏の席に座り、机に突っ伏す轟。
オレは自分の席の椅子を前後反転させ、轟と向かい合うように座ってから突っ伏して目を閉じる。
間もなく意識は夢へ落ちていった……。
――Side 夢見奏
「……そろそろいいかな〜」
そう言って教室にあるプロジェクターとスマホをつなげる綾。
「何をしてるんだ?」
上鳴さんの言葉に綾はニコニコ笑顔。
「夢幻回廊の様子を映すの」
「夢幻回廊って夢の中だろ?そんなことできるのか?」
障子君の言葉に綾が甘いよ〜と言いつつヒントを提示。
「モノを持って帰れるんだから、持ち込むこともできるんだよ?」
「あ、もしかしてあらかじめ向こうにカメラとかドローンとか持ち込んでて、それを遠隔起動したりして、その映像をここで映すってこと?」
「芦戸ちゃん正解〜。ってことでポチッとな」
綾の言葉とともにプロジェクターには夢幻回廊の様子が映され始めた。
――Side 夢見朧
「とりあえずここにある貸出用の道具と武具があるが……今日は軽く見せるだけだから貸す予定はない」
「わかった」
頷いた轟を見たあと、虚空から愛用の武器を取り出す。
「!?」
「すまない。無手でも問題ないんだが、オレの戦闘スタイルはやっぱりコレだから」
「……その、武器取り出すのって、現実でもできるのか?」
少し目を丸くしたあと、興味の色を滲ませた声で問いかけてきた。
「まあ、できるな。……オレだけじゃなくて綾たちもできるけど……」
「……良いな」
「……ありがとう?」
お互いに反応にこまった状態になり、しばらく謎の沈黙が訪れる。
「……さて、一番浅い層を見ていくとしようか」
少し強引に出発することにした。
――Side 夢見綾
「すごいな」
「八葉一刀流の総師範『剣仙』の9代目の実力は伊達ではないということだな」
氷耐性ある魔獣相手に苦戦する轟ちゃんを下がらせて瞬殺したり、後方から襲撃した魔物に抜刀した姿を見せずに細切れにするお兄ちゃんを見て驚くクラスメイトたち。
「将来の旦那様を褒められると、照れるなぁ」
「「「「はい?」」」」
私の言葉に困惑する事情知らないクラスメイトたち。
「……まだ諦めてないんですの?」
「どういうことヤオモモ!ちょっとアタシたち追いつけてないから教えて!」
呆れた目のヤオモモに対して説明求める芦戸にほか面々。
「……夢見朧さんと綾さんは『夢幻回廊で拾われた』子供で、奏さんの実母『夢見睡』さんの養子なんです。それと朧さん綾さんに遺伝的血縁関係はないそうです。……つまりここにいる三兄妹は養子縁組解消すれば婚姻可能。そこの家族愛的な意味でシスコンな朧さんに異性としてブラコンな二人は、兄妹を謳いつつ男女の仲になろうと虎視眈々ってことですわ」
「血の繋がりのない兄妹!?ヨスガノソラモドキとかなにそれどこのエロゲだよ!!」
「峰田血涙でてるぞ」
ハンカチ差し出してる尾白君の優しいねぇ。
……峰田君鼻かんでる。いや、ティッシュとかでやるべきでは?
「……変な男に対する虫除けって大義名分で兄様が許嫁とか大本営発表してる八百万さんには言われたくないです。そのせいで兄様が『八百万さんの許嫁がオレとか変な噂が流れてる……。八百万さん的に好都合らしいけど良いのか……?』ってすっごく悩んでいるんですよ???」
「いや、あれは……」
奏が笑顔で半ギレ気味に暴露し、ヤオモモはそれに反論できていない。
カオスなことになってきたなぁ(他人事)
「剣仙は女関係でも無双してる人だった……?」
「三奈ちゃん、多分本人はそのつもりないし本人の手の届かないところでやってるから、場外乱闘って言うのが正しいと思うわ」
などと言ってると、映像からお兄ちゃんと轟ちゃんが消えた。
「もう二人が目を覚ますよ」
私の言葉にヤオモモと奏はハッとして何事もなかっかのように振る舞い出す。
それとともに轟ちゃんとお兄ちゃんが身体を起こす。
「……変な感覚。本当に慣れるか自信ない」
「はじめはそんなものだ。続けていけば慣れると思うけど……」
「言い方が……エロいことしたあとみたぐぇ」
峰田君を梅雨ちゃんが舌で引っ叩いて言論封殺(できてるとは言っていない)した。
「……泊りがけすれば毎晩……」
「それはオレが社会的に死ぬから駄目です」
「そう……」
しょんぼりする轟ちゃん。
だけどそれをすると戦争不可避だし仕方ないね。
「しかし寝てる時間を鍛錬に当てられるのはアドバンテージだよなぁ」
「映像見た限り魔獣相手に試行錯誤できそうだし、放課後とかに1時間あるだけでかなり変わりそうだよね」
それぞれが思い思いの言葉を口にする。
「……一応集団で夢幻回廊に行く方法はある。準備や場所とか、許可諸々を相澤センセに確認してみる。早くても今月末くらいだろうし、許可降りるか分からないが……期待しないで待っててくれ」
「「「「ありがとうございます!」」」」
オレは彼らのリアクションを見たあと、職員室行ってそのまま帰るからと伝えて教室をあとにした。
……緑谷君が個性を使いこなす練習ができることをオールマイトに伝えて味方につけるか。
教師としては雛鳥な日本のトップヒーローの顔を思い浮かべながら、職員室の扉を開いた。
時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?
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ほしい!
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いらね