夢見兄妹のヒーローアカデミア   作:月神サチ

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第30話 二人の英雄と剣仙 その2

――Side 緑谷出久

 

メリッサさんに案内され、プレオープン中のエキスポに来ていた。

 

「できないのは旅行くらい?」

 

雑談の中で出てきた、I・アイランドではできないこと。

 

「そう。研究者とその家族には守秘義務があるからね。迂闊に外にはでられないの」

 

苦笑い気味のメリッサさん。

 

それは……少し不便な気がした。

 

「その代わり、生活面で不自由ないし、ちゃんと申告すれば研究の予算は出るから悪いことばかりじゃないのよ?」

 

僕の顔を見て察したのか、メリッサさんが付け足すようにそう言う。

 

そんな彼女が案内してくれたのはパビリオンの1つ。

 

サポートアイテムを展示してるパビリオンだ。

 

「ここのサポートアイテムのほとんどはパパの特許技術を元に作られてるの!」

 

とても誇らしげなメリッサさん。

 

「へえー……すごいなぁ……!」

 

「ココにあるアイテム一つ一つが、世界中にいるヒーローの活躍を助けするの」

 

「……お父さんのこと、尊敬してるんですね」

 

「ええ! ――パパのような科学者になることが夢だから」

 

誇らしそうに、同時に追いつきたいというつよい想いを感じた。

 

 

 

なんて話してたら

 

「楽しそうやね、デク君」

 

背後から麗日さんの声がした。

 

ハッとして振り向くと、そこには彼女の姿が。

 

「麗日さん!? どうしてココに!?」

 

「楽しそうやね、デク君」

 

に、2回言った……壊れたとか無いよね(スゴイ、シツレイ)?3回言われたらどうしよう(困惑)。

 

「んんっ、私達も聞いていましたわよ?」

 

「スゴイこと言ってたねぇ」

 

「修羅場かなぁ?」

 

「……大変そうだな」

 

「お茶子ちゃんにライバル出現!?」

 

「綾、あんまり茶化してはいけませんよ」

 

「まあまあ、旅先の出会いも旅行の醍醐味言いますし」

 

声の方を向くと八百万さんに耳郎さん、轟さんに葉隠さん、綾さん奏さんに夏目さんまでいた。

 

ハッとしてメリッサさんに紹介する。

 

「あ、えっと、僕のクラスメイトで――」

 

「そっちの2人、アーヤとディーヴァよね!? 2人の曲はよく聴いてるから知ってるわ! アメリカのカレッジ飛び級で卒業したと聞いてたけど、日本でハイスクール……高校生やってたのね! 色紙もペンも持ってないのがこんなに歯がゆい日があるなんて!」

 

「ありゃ、ファンがこんなところにも」

 

「市販の色紙とペンのサインでよければ」

 

何処からともなく奏さんがペンと色紙を取り出してサインをする。

 

そして綾さんに渡すと彼女もサインをして

 

「お名前は「メリッサ・シールドです!」 メリッサさんへっと。はい、どうぞ」

 

キレイな筆記体のアーヤと達筆なアルファベットでディーヴァと書かれたサイン色紙をメリッサさんに渡す綾さん。

 

「ありがとう!大切にするわね! アーヤとディーヴァのサインがこんなところに貰えるなんて……感激!」

 

その声でざわめく周りの人。

 

「あー……お兄ちゃんと合流しつつ、ファンサしながら適当に撒いてくるね」

 

「もし兄様と先に合流しましたら、あの姉を語る不審者から引き剥がしお願いしますね」

 

そういうと2人はハーメルンの笛吹きのように2人のファン?を誘導してパビリオンをでていった。

 

「……悪いことしちゃったかな……」

 

バツが悪そうなメリッサさん。

 

「悪気あったわけではないようですし、朧さん……2人の兄を誘惑とかしてないからたぶん大丈夫ですわ」

 

「空港入口でもファンサしてたし、『コレも仕事だからね』っていってたから……うん」

 

八百万さんと耳郎さんがフォローしてくれた。

 

「……せっかく会えたんだし、何処かでお茶しない? ほら、時間(10時くらい?)的にもね?」

 

 

 

 

 

 

 

夏目さんの提案とメリッサさんの案内により、エキスポ内にあるカフェの1つ、そのテラス席に僕たちは居た。

 

いや、僕だけわがまま言って別席に逃げたので少し正確ではなかった。

 

(……しかし女子率が高い……居心地が……心操君の前言ってた気持ちが少しわかる気がしたよ……!)

 

そばの席から流せてくる女子の姦しい会話を受け流し、朧君から手ほどきうけた『圏境』を思い出して空気になろうと努める。

 

「お待たせしました」

 

その声とともに僕の前に置かれたドリンクでその努力は霧散した。

 

しかしドリンクよりも聞き慣れた声の方に反応したのが原因だろうか――。

 

「その声――上鳴君?」

 

ウェイターを見ると上鳴君と峰田君がいた。

 

「二人共どうしてココに?」

 

「エキスポの間だけアルバイト募集しててさ、応募したんだよ」

 

「バイト期間の交通費と宿泊費支給の上、給料入って時間外はエキスポ見学できる。おまけに飲食店に来た可愛い子とかナンパ出来て一石五鳥以上硬いからさ!」

 

僕の問いかけに2人がニッとしながら答えた。

 

「お前たち〜バイト中は油を売ってるんじゃない!」

 

声の方を向くと飯田君がいた。

 

「飯田君!? なんでココに?」

 

「2人と同じバイト?」

 

頭に浮かんだ疑問を耳郎さんが代わりに?聞いてくれた。

 

「否! 僕は家族宛にきた招待状でココにきている。家族は僕以外用事やら色々あって来れてない!その分満喫しようとした矢先に二人と遭遇したんだ。2人がバイトと聞いて、雄英高校1年ヒーロ科A組学級委員長として2人がサボらないか監視しているんだ」

 

「なるほど……?」

 

「真面目というかなんというか……」

 

麗日さんが苦笑い。

 

「私は家族がI・アイランドの支援をしてる企業の株主をしていましたから、プレオープンから入れる招待状を優待券としてもらいましたの」

 

「付き添い2人可能だったからA組女子でジャンケンして、ウチと麗日がその権利ゲットしたんだ」

 

八百万さんの言葉に耳郎さんが補足した。

 

なるほど、そう言う理由だったんだ……。

 

「私と透ちゃんは朧の付き添い枠だね」

 

「誘われたから来ました」

 

夏目さんの言葉に葉隠さんがふんすふんすしながら答えた。

 

「私は……エンデヴァーに届いてた招待状で来た」

 

なるほど……ナンバー2ヒーローなら届いてもおかしくない。

 

「他のA組面々もいるはず。明日以降のエキスポ本番に参加するために何処かのホテル取ってるとか……」

 

僕の知らないところで情報共有されてる……!?

 

「ってことはかっちゃんも……?」

 

「雄英体育祭1位だったからな、例年通りなら招待状あるはずだが……」

 

……所在確認したほうがいいかもしれない。

 

メリッサさんが明日エキスポの案内を提案してる横で轟音が聞こえた。

 

反射的に僕はそちらへ駆け出していた。

 

 

 

 

『記録、37秒! 現在7位です!』

 

岩山のような地形のアトラクションに切島君がいて、ちょうどクリアしたところだった。

 

「……かっちゃん!?」

 

眼下のスタート地点に構えてたかっちゃんがスタートの言葉で飛び出した。

 

ロボを一瞬で破壊していき

 

『クリアタイム……15秒!トップです!』

 

観客席にいた一般人が歓声を上げた。

 

「お、緑谷じゃん!」

 

スタート地点に戻ってた切島君がこっちに気がついた。

 

それと同時にかっちゃんが飛び上がってこっちにすっ飛んできた!

 

「なんでテメェがココにいるんだァ!?」

 

「そんな細かいこと気にしたら」

 

「細かくねぇわぶっ飛ばすぞ!」

 

だめだ狂犬の如き状態だよこれ。

 

「やめたまえ!雄英高校の生徒としてあるまじき振る舞いだぞ」

 

「うるせぇわ!」

 

飯田君が来てくれたけど今のかっちゃんを制御するのは無謀かな……!

 

『き、記録5秒!? ぶっちぎりのトップです! さすが八葉一刀流のナンバーワン! そこらで拾ってきた枝で、スタート地点から動かずに全目標を的確に撃破だー!』

 

なんて会話してたら規格外の記録と剣仙のワードが飛んできた。

 

「……」

 

そこには若干頬がやつれてる朧君が立っていた。

 

「ふざけんな!今度はオレが「おっくんさすがー!」」

 

殴りかかろうとしたかっちゃんが別方向からきた誰かに蹴り飛ばされた!?

 

そして蹴り飛ばした人――不思議の国のアリスのアリスみたいなエプロンドレスと機械のうさ耳をつけた、薄めの赤紫のロングヘアの女性――が朧君に抱きついた。

 

『人嫌いで有名な篠ノ之束博士が剣仙へ熱烈なハグ!? これは剣士最強と名高い八葉一刀流剣仙とI・アイランドトップクラスの天災のカップル誕生か!?』

 

「「「「ないわ」」」」

 

客席側からヤオモモさんが槍を作り出して投擲し、葉隠さんが八葉一刀流の斬撃を飛ばす技『緋空斬』を繰り出し、轟さんが足元から博士?だけ的確に凍らせようと氷結の道を作り出す。

 

同時に追走するように夏目さんが分身?!して包囲した。

 

しかし博士?は全部綺麗に回避、あるいは受け流してドヤ顔を決めた。

 

……横にいる朧君の胃はボロボロそう……(こなみ)

 

 

 

 

 

「……で、ソイツ誰だよ」

 

場所は戻って上鳴君たちがバイトしてるカフェのテラス席。

 

朧君は色々注文してくる先からそれらを平らげている。

 

朧君の隣に博士?がいる。

 

そして彼らのいるテーブルには朧君と関係(意味深)もった人たち(いつの間にか合流した綾さんと奏さんもいる)が座っており、僕達は近くのテーブルに座っている。

 

すると博士?が口を開く。

 

「名前聞くときは先に自分から名乗るのが礼儀な気がするけどまぁいっか。――私は篠ノ之束。I・アイランド所属の物質・量子学の研究者さ。一応そこのクソ生意気な小娘2人含めて、夢見三兄妹のコスチュームのデザインから作成まで1人で手掛けてる。あと今の研究分野と離れるけど、君たちが入試や体育祭で戦ったロボットに内蔵されてるバランサーやセンサー類に使われてる技術を作ったのは私で、特許持ってるよ」

 

「スゴイ人だ!」

 

「デカい!美人!羨ましい!」

 

普通(?)に驚いてる人がいる中、

 

「泥棒兎だよ」

 

「兄様いないとコミュ障ぼっちのクセに」

 

凄まじいオーラを見せてる人もいる。

 

チラッとメリッサさんを見ると口を開く。

 

「たしかに……普段の篠ノ之博士は人前にめったにでないし、声も専用スピーカーないと聞こえないくらい小声ではあるわね……」

 

奏さんの情報は嘘じゃないようだ。

 

「そう言えば博士もパーティーに?」

 

「もちのロン。おっくん来たんだし、パートナーは見せつけなきゃ」

 

また火薬庫の導火線に火が付く音が……!

 

「それじゃあ、ご飯食べてもう少しエキスポを見て回ったら、パーティーに参加するために一旦解散ってことで」

 

メリッサさん……火薬庫の爆発見てたのに同行打診するのメンタル強くないかな……!?

 

 

 

 




夢見コソコソ小話
朧はどっちかと言うと巨乳派寄り。
感度が良いのがベストらしい。


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