夢見兄妹のヒーローアカデミア   作:月神サチ

32 / 32
第31話 二人の英雄と剣仙 その3

――Side 緑谷出久

 

昼食後いくつかパビリオンを観たあと、メリッサさんからフルパワーが使えるガントレットをもらったり色々あった。

 

そして今の時刻は 午後の5時50分。

 

僕はオールマイトから言われて持ってきていた正装に着替え、パーティー会場のあるセントラルタワーの内部にいた。

 

パーティー会場に居ないのは、昼間のメンバーと合流するためだ。

 

「お待たせ〜って流石にまだか」

 

「10分前行動ができてない者が多すぎる」

 

「しかたねーだろ、初めての場所で距離感分かってねぇ上にじょしは時間かかるモンって相場が決まってんだからよ」

 

峰田君、飯田君、上鳴君がやってきた。

 

峰田君と上鳴君は……ウェイターの姿だけど、それで大丈夫なのだろうか……。

 

「……ん?」

 

スマホが鳴ったのでソレを見ると『所要があるので篠ノ之博士と先に入ってる』という朧君からのメッセージだった。

 

「……大丈夫かな……」

 

修羅のような雰囲気の綾さんたちを思い出しつつ零す。

 

「お待たせ〜」

 

っと、麗日さんの声がしたので振り返る。

 

……(本人は頑なに認めてないけど)面食いな朧君が美人と認めてるだけあり、ドレスアップしてやってきた彼女たちは綺麗だった。

 

「朧君持ちってことになってるけど、大丈夫なんかな……」

 

「朧さんの使っていたカードはクレジットカードの最高峰であるセンチュリオンカード。最低年収が日本円にして二億ないと審査弾かれるカードですから、あの程度誤差ですわよ」

 

「ブルジョワだ……」

 

「ちなみにあーちゃんたちも持ってるけど、お兄ちゃんがいつも出してくれるから、資産いくらか把握してない」

 

「資産管理もプロダクションに所属してる税理士さんや弁護士さんたちに丸投げしてますしね」

 

「怖ぁ……」

 

別の意味で怖い話が聞こえてきて僕も背筋が寒くなった。

 

そしてメリッサさんも合流し、コレで朧君以外は揃ったハズ……。

 

「……名前が上がってる朧はどこに?」

 

火傷部分があれど美人と断言できる轟さんがキョロキョロと周囲を見回す。

 

「あー……それは……」

 

『I・アイランド管理システムよりお知らせします。警備システムに、I・エキスポエリアに爆弾物が仕掛けられたという情報を入手。I・アイランドは現時刻を持ちまして、厳重警戒モードへと移行します』

 

いいかけた言葉は、アナウンスで遮られた。

 

そして周囲の主だった外への扉や窓がシャッターにより閉鎖されていく。

 

「……おかしいわ」

 

「何がです? メリッサさん」

 

上鳴君がメリッサさんの零した言葉に反応して問いかけた。

 

「爆弾が仕掛けられただけで警備システムが厳戒モードに切り替わるなんて、想定されてない挙動のはず。いえ、本当に厳戒モードになるような場合なら、アナウンスと区画閉鎖や警備ロボの挙動が今のとは違うはずよ。……何か、胸騒ぎがするわ」

 

OFAの2人に意識を向けるとメリッサさん、そして僕と同意見と返事がきた。

 

「オールマイトや朧君、シールド博士や篠ノ之博士はパーティー会場にいるはず。パーティー会場に行く方法はありますか?」

 

パーティー会場への直通路も閉鎖されているのを横目に僕は問いかける。

 

「非常階段を使えば、会場近く……ホールの上の回廊に行けるわ」

 

「えっ、あの姉名乗る不審者とお兄ちゃん一緒なの!?」

 

「……とにかく行こう!」

 

夢見姉妹たち相手に地雷踏んだ時は、強引に話を押し切る必要があるのは学んだからね!

 

綾さんたちの目がつり上がった気がするけど気の所為!(自己暗示)

 

 

 

 

 

 

 

――Side 夢見朧

 

レセプションパーティー会場にて、オレは襲撃者たちの操作した捕縛装置で身動きが取れなくなっていた。

 

(ソワカソワカ……マスター。今こそ私の出番では?)

 

影がオレにだけ聞こえる声で問いかけてくる。

 

「(……いや……今アンタを出すのはメリットとデメリットを天秤にかけても釣り合わない。アンタは切り札だが、今切る札じゃない)」

 

(残念。収容所から出て数ヶ月……まだまだ貴方様の影の中で焦らされると……。ふふふ、表に出られるのはいつになりますことやら。……本来の姿の方も切り札と言えますが使わないので?)

 

「(八葉一刀流を通じて理にたどり着いた今、元の姿でいるメリットが労力なしで宙に浮かべるくらいしかない。『縁切り』の権能この姿では効果が落ちるとはいえ、通用しないのは今のところお前くらいだし)」

 

(なるほど。……必要なら何時でも呼んでくださいな。総てすべて、包みこんで差し上げます)

 

静観の構えになったのか、静かになる。

 

束はしれっとテーブルの下から何処かに消えたので何処かに隠れてるってことで放置。

 

なんとかならんかと思案してると

 

「うん? この子ども、捕縛されてる……?」

 

襲撃者の1人がオレに気がついたらしい。

 

「巻き込まれたんですけど解放してもらえません?」

 

ダメ元で問いかける。

 

「うーん……子どもだしなぁ……」

 

「馬鹿野郎!ソイツは八葉一刀流の剣仙だぞ。解き放てば瞬間的にオレたち制圧されるわ!」

 

別のやつが気がついてこちらにかけてきて解放しようとしたやつにドロップキックをかました。

 

「む、そんなところにも大物が居たか」

 

金属製の仮面を覆面にする男が反応した。

 

そして連れてこいと男がジェスチャーすると、ほかの襲撃者たちがオレをわっせわっせとはこんでオールマイトの隣に転がした。

 

「オールマイト、駄目だった」

 

「むしろなんでイケると思ったのか、私にはわかんないんだけど???」

 

そんな会話を横に襲撃者首領らしい鉄仮面が他にも大物がいないかと歩いて確認しだす。

 

「……そこの」

 

「は、はいっ!?」

 

小太りの人の良さそうな――いや、糸目系は腹に一物隠してること多いからなんとも言えんな――男に襲撃者首領は問いかけた。

 

「貴様ココの関係者だな?」

 

「た、たしかにそうだが……」

 

「丁度いい、おいテラー、仕事だ」

 

通信機で誰かを呼ぶと首領の側にカチンコをもった金髪の優男の姿が現れた。

 

「一体何だって言うんだい?」

 

「そのお得意の個性で嘘を見破ってくれ」

 

「容易い御用ダ。――真実を語らせるストーリーテラーと尋問される男ォ。――ヨーイ、アクション!」

 

カチンコの音と共に世界が揺れた気がした。

 

「さて、ミスタ、お名前は?」

 

ストーリーテラーと名乗る敵が小太りの男に問いかけた。

 

「誰が敵などに――サミュエル・エイブラハムだ――!?」

 

ハッとして口を塞ぐ小太りの男。

 

「サミュエル!いい名前だなぁ。……研究者にしちゃ、なんかこー……雰囲気が違うんだが、どうしてなんだ?」

 

「むぐ……私は、そこの、デヴィッド・シールドの……助手……経理とか書類仕事……研究者では……な……い」

 

口を塞げど、手が勝手に離れて口が勝手に語った、ように見える。

 

鉄仮面はデヴィッドを拘束するよう手で指示する。

 

「なるほど〜〜シールド博士の助手なら色々知ってるし、もし権限足りないところとかあっても、シールド博士がいればセキュリティとかなんとかできるわけだ」

 

「……そうだ……権限だけで言えば……シールド博士のIDが……管理者より上のアカウント……だから……」

 

サミュエルの言葉に少し考えたあと、テラーは何やらブツブツ言ってからカチンコを再び鳴らす。

 

それから鉄仮面の方を向き、テラーが告げた。

 

「ん〜コレは……ウォルフラム、この2人を連れて行くのを提案しよう」

 

「その心は?」

 

ウォルフラムという鉄仮面が問いかけた。

 

「相互人質の方がこちらにとって都合良し。あとは目的までの道中の何処かで2人以上のIDが必要になる、とかありそうだし。二度手間のリスクよりも確実性を取っておくのがベターでしょ」

 

「たしかにな。……それじゃ、向かうとしますかね」

 

そう言うとサミュエルと一部の襲撃者たちは博士2人を伴って去っていく。

 

「……さて」

 

彼らを見送ったテラーという敵が突然消えたと思えば、オレは会場の壁に叩きつけられていた。

 

「ボクに恥をかかせたゴミに出会えたんだ。たっぷりお返ししないとなぁ……」

 

「……」

 

壁に亀裂が入っているが、ダメージにはならない。

 

「ボクに剣技指導して『教えることはもう何も無い』って免許皆伝出しておきながら剣聖になんてしてないって言いやがったこと!忘れてるなテメェ!」

 

顔に蹴りが入り、頭蓋にちとダメージが入る。

 

「……ああ、お前か。2年前のハリウッドで八葉一刀流の剣士の役に剣の動かし方を教えてほしいと言われて演技指導したあの役者か」

 

「今更思い出したかテメェよぉ!」

 

腹や顔を蹴られ、横腹などを踏みつけられる。

 

「……演技指導が一通り終わって『動かし方は模倣できてる。あとは1人で出来る内容だ。型の演技指導で教えることはもう何も無い』と言ったら勝手に最後の一部を聞き落とし、挙げ句勘違いしたままネットで剣聖になったとか喧伝し、アメリカの剣聖に喧嘩ふっかけに行ってボロ負け。その後大恥かいたとかでオレに訴訟した上でこっちの証拠提出で大負けしたスーパー独り相撲の元少年役者か」

 

「「「「うわぁ…………」」」」

 

会場の襲撃者側さえ残念な子をみるような目でテラーを見る。

 

……アメリカではそこそこ有名だがら他の地域では知られてない。

 

そして襲撃者たちの反応的に欧州の人間だろうと当たりをつける。

 

「! 人の恥を上塗りするクズが!」

 

遠慮なしにオレを蹴り、踏みつけてストレス発散するテラー。

 

「もー怒った。――剣仙、自分の得物で心臓を貫かれ、徐々に血を失い失血死! ヨーイ、アクション!!!」

 

カチンコの鳴る音と共にオレの得物が鞘から消えてうつ伏せになっているオレ背中に刀がささる。

 

「!」

 

心臓を貫き、胸から刀が生える。

 

口からは血が垂れ、痛みの熱が傷から広がっていく。

 

「朧少年!?」

 

「ふははははは! どうだよ剣仙! オレの個性『アクション』はカチンコを鳴らせばオレの設定した状況とルールが自他に対して発動する! そしてカチンコが鳴るとある程度は元に戻るが、それまでに死んだ場合はもとに戻らない! どーするよ剣仙! 咽び泣いて土下座して、オレを剣仙にするなら生かしてやってもいいぜ?」

 

アクターは高笑いする。

 

しかしオレは冷静にオレは小さく口を動かし、音にならない音を発し続けた……。

 




夢見コソコソ小話
夢見朧は忘れっぽい?
夢見朧は記憶力ある方と言っており、実際モノやワード等を覚えるのはかなり得意ではある。
代わりに?人の顔の記憶が致命的に苦手。
下手すると1週間会わないと飼い主を忘れたペットよろしく「どちら様?」状態になるようだ。


夢見朧は逆恨みわりとされてる
欧米活動時期の夢見朧はわりかし正論で叩きのめした連中がそこそこ居て、一部からは逆恨みなどで何度か襲われている。
なので逆恨みしそうな連中が多い。
顔の記憶力も相まって襲われても関連エピソードで思い出すまで「……なんで?」となる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。