――Side 夢見朧
第1戦はヒーローが緑谷と麗日で敵が爆豪と飯田のペアだった。
……爆豪が殺意高い攻撃でビル半壊させ、緑谷君が個性を完璧に制御した一撃でビルのフロアのほとんどを破壊したりとビルが実質おしゃかになった。
結果としては麗日さんが核兵器(ハリボテ)に触れて試合はヒーローの勝ち。
しかし設定された状況を踏まえて動いていたのは飯田君だけで3人は行動が不適切(先述の2人の攻撃は衝撃で爆弾を暴発させてるリスクがあり、麗日さんも爆弾めがけて瓦礫類を投げており、爆弾対処が目的のヒーローとしては誘爆リスクよりマイナス評価)、とモニタールームにてヤオモモの講評で切り捨てられた。
「うーむ……朧少年から何かあるかね?」
「八百万さんの評価で基本問題ないかと」
「基本っつーことは何があんだろ言ってみろよゴルァ!」
こっちに食って掛かろうとした爆豪をしれっと避けつつ続ける。
「講評じゃないからな、オレの思ったこと。……勝利条件を少し複雑にしたほうが良いかもしれないと思っただけです」
「あぁ!?」
キレ気味に続き促すあたり器用だな……。
オールマイトも気になるようで続けてと促してきた。
「ヒーローの勝利条件が『敵の全滅と爆弾の確保』か『爆弾確保後制限時間まで爆弾を死守』で敵の勝利条件を『ヒーローの全滅』、『制限時間経過時点で爆弾を保持』、『爆弾確保された場合、でビルから1キロ離れた地点まで離脱』。『双方が条件を満たした場合満たした数で判定』あたりが丸いかなと」
「その心は?」
「今回の想定敵が『襲撃に対してある程度までは抵抗する』ことが前提なこと。爆弾確保した後の行動は敵次第であること。爆弾を確保はしたが敵に逃げられるなんてことも、爆弾を取り返されて爆発されたなんて事例もありましたしね」
「むう……妥当だね」
「なんでもっと先に言わねぇんだよテメェ!」
納得するオールマイトとキレまくりの爆豪。
「把握テストと今の試合を見て個性の使い方をみた感じ、コレくらいにしても良いとオレが思ったこと。オールマイトが話を振り、君が深堀りしたから案を出した。誰がが個性に振り回されてるならこの提案はせずに適当な評価だしてのらりくらりしてたよ」
「……チッ!」
オレに突っかかるのをやめて空いてる席に座る爆豪。
「……せっかくだ。次の試合は朧少年のルールを適応しようか。状況次第で室内戦とは外れてしまうが、実践的になるので良しとしよう!」
何故かオールマイトの背後に現場猫の幻影が見えた気がしたが、面倒くさいので見なかったことにした。
このあとは以下の通り。
耳郎、上鳴ペア VS 八百万、峰田ペアで敵側の勝利。
内容はヤオモモの罠と峰田のもぎもぎの害悪遅滞戦術による時間切れ。
轟、障子ペア VS 尾白、葉隠ペアでヒーロー側の勝利。
内容は轟の凍結→敵サイド完封捕縛からの爆弾確保。
瀬呂、奏ペア VS 芦戸、綾ペアは敵側の判定勝ち
内容は瀬呂のセロテープで爆弾を確保したが、芦戸、綾両方が戦線離脱に成功した。
蛙吹、青山ペア VS 切島、常闇ペアでヒーロー側の勝利
内容は青山、切島の順に捕縛で脱落。爆弾確保後に逃走を選択した常闇を背後から捕縛した。
「さて……朧少年。君の番だがパートナーは誰にする?」
「葉隠さんを指名させてもらおうか」
「えっ、私!?」
驚く彼女に頷くオレ。
なお峰田や妹2名からは謎の目線で見られたが……。
「OKだ。それじゃあヒーロー側は……みんなすっごく向上心あるね!?」
オールマイトがチョイスしてからランダムに決めるとしてたが妹たち以外、全員が挙手してる。
「余裕かましてるその面ボコボコにしてえ」
「オレの格闘が何処まで通じるか、胸を借りたい」
「オレの硬さなら、切られても傷つかねえってところ見せてやる」
「んんん~~~! では爆豪少年、轟少女、八百万少女、尾白少年の組み合わせと対戦してもらおうか」
オールマイトの言葉に選ばれたものは喜び、選ばれなかったものは悔しがりながらも映像から学べるものは学ぼうという意思を見せる。
――Side 葉隠透
「本当に私でよかったのかな?さっきの対戦のとき、いいことなしだったし……」
ビルに移動してから問いかけると彼は頷いた。
「相手と装備が噛み合わない状況だったからな。有利不利をひっくり返す力量差もないあの状態は同仕様もなかった」
辛辣じゃないかなぁ……?
「だから――」
彼が説明した予想の斜め上な提案に、私は目を丸くしたのだった……。
――Side 轟焦凍
『それじゃあ、訓練スタートだ!』
その言葉とともにビルに手を当てて瞬間的にビルを凍結させる。
「……私の個性を知ってるだろうし、対策してるだろうけど」
「オレは上から探す。てめえらは下から探せ」
そう言うと爆豪が勝手に爆発で飛び上がって5階の窓から入っていった。
「単独行動……自殺志願では……?」
八百万の言葉に心の中で同意した。
たしかに爆豪もそれなりに強いと思う。
……ただ、彼とはまだ隔絶した差があると思う。
「……とりあえず進むか」
私達はそのまま1階から侵入した。
少し進むとそこには2本の小太刀を両手に持つ朧がいた。
「……氷を回避したか」
「それで終わってほしかったのなら済まないな」
私の言葉に苦笑いする朧。
「さて、3対1でオレと戦うか、誰かが足止めしながら爆弾を探すか……直前までの訓練で判断材料があるはずだ。さあ、うまく立ち回れよ」
そういいつつも、こちらに先手を譲るように微動だにしない。
「……」
まずは私が氷塊を滑らせるように作り出して彼にぶつけるがブレるように姿がブレるように消える。
「! 轟後ろだ!」
尾白の言葉に反射的に氷を周囲に展開すると背後にいた気配が消えた。
「轟。氷の生成量は室内だからチェック対象外。速度は有精卵にしては及第点。ただ精密さはやや雑だな。範囲攻撃は有用だが、反射的な攻撃で
いつの間にか眼の前にいた――そう思ったときには鳩尾に走る痛みで意識が遠のいていた。
――Side 尾白猿尾
「っ! わかっておりましたがココまで差がありますか……!」
険しい顔でセメントガンを作り出して放つ八百万さん。
しかし剣仙は最小限の動きでセメントを回避して掌底で一撃。
「……っ!オレたち相手じゃサブウェポンも必要なしってか!」
「オレだけに注意を向けて、本当に大丈夫か?」
その言葉と本能の訴えから慌てて大ぶりに転がって立っていた場所から逃れると、そこになにか見えないものが叩きつけられたのか、地面に亀裂が走った。
「二人が復活する前に尾白くんを倒せって……無茶言うよね……」
何処からか聞こえる声に周囲を見渡す。
そう言えば二人に捕縛テープは巻かれていない。
……爆豪みたいに戦うのが目的か?
少し思考が横にそれていたが風を切る音がしたので尻尾を近くのむき出しの柱に巻き付け、自分を引き寄せる。
「なんでわかるの!?」
「長いもの振り回すとどうしても音が出るんだよねっ!」
音の聞こえた場所に尻尾を叩きつけるが、感触はなし。
というか、朧さんがいなくなってる。
……爆豪倒しに行ったのかな?
などと考えていたら明後日の方向から声がした。
「なら逆に武器捨てたら何処に居るかわからないかな!?」
「それはどうかなっ!」
半ば反射的にサイドステップ。
何かが通り過ぎる風の流れにカンがあたっていたことを理解する。
そのままオレはその場で体の回転で尻尾を振り回す。
「っ!」
見えない何かが当たる感触。
……あれ、そう言えば彼女体しか透明化できないみたいなこと言っていたような……。
引っかかる違和感を深堀りする前に反撃がきたので思考を切り上げる。
想像以上に戦況は良くなかった。
――Side 爆豪
「ココにもいねぇ!」
4階の最後の部屋を確認しながらオレは歯噛みする。
5階も4階もあの事なかれ野郎も透明野郎もいなかった。
「……まさかどっちも1階か2階に……?」
「その通りだ」
声の方を向くと何食わぬ顔でこちらを見ていた事なかれ野郎がいた。
「っ!ぶっ飛べや!」
反射的に間合いを詰めて野郎の顔に一撃を与えながら爆発を発動した。
――が、その攻撃がスカしたのかオレの腕はなにもない場所を薙ぎ払っただけった。
「反射神経はよし。爆発の使い所もわかってる。才能があり、努力もできる」
反射的に裏拳をしたがそれも躱された。
「あとは命懸けの同格以上との実戦があれば、一皮むけて戦闘面ではトップヒーローに手が届くだろうな」
声の方を攻撃するも背中に蹴られた感覚。
肺から空気が抜ける嫌な感覚。
『轟少女、八百万少女、尾白少年脱落!』
「む、葉隠さん思った以上にやるな。……残念だがここでおしまい」
その言葉とともに首の後ろに痛みが走ったかと思うと、意識が……遠く……。
オレは……特別……。
――Side 夢見朧
「さて、講評だが……誰か言いたい人!」
オールマイトの言葉に飯田君が反応して喋りだす。
「一番評価が高いのは夢見君。ヴィランらしい振る舞いをしつつ、身体能力頼りではない技術でヒーロー側を翻弄していました。 尾白君の対処を葉隠君に任せたのは理由があるのはわかったが、気絶させた2人に捕縛テープを巻かなかったのはいささか慢心があったかと。葉隠さんは尾白君を個性で翻弄して倒し、轟君と八百万君に捕縛テープを忘れずに付けて脱落させたのが良かったかと。それから――」
長くなったので割愛
「うむ、今回のヒーロー基礎学はここまで!次回以降は救助などもやっていくから、心構えをしておくように! では!」
その言葉とともに去っていくオールマイト。
「……あ、夢幻回廊の件だが、まだ先生たちの議論があるから当面使えそうにない。代わりに明日あたりに習場の1つをA組用に解放する許可もぎ取ったから、もし特訓とかしたいなら明日以降に声かけてくれ」
その言葉に喜びの声をあげるクラスメイト。
うんうんと頷き、クラスへと足を向けた……。
――Side 葉隠透
「……あれ? その服とか刀どうしたの?」
更衣室で着替えてると耳郎ちゃんが不思議そうに声をかけてきた。
……あっ……。
「いや、えっとその……」
「……自分の体しか透明にできないって言ってた気がするけど……」
「嘘だったん!?」
梅雨ちゃんや麗日ちゃんの言葉に答えようとしたが、言葉に詰まる。
「……ちょっと見せてねー」
私を半包囲してた女子の面々を避けるように割り込んで私が脱いだ服とかを調べ始める綾ちゃんと奏ちゃん。
「……うわ、この服セット……。お兄ちゃんの持ってる装備で上から3番目位に強いヤツだ。……あ、血の刻印がついてる……」
「こっちの刀……が自ら鍛え上げたコレクションの一振り……! こっちにも血の刻印が……」
ジト目になる綾ちゃんと奏ちゃん。
「……つまり葉隠さんは朧さんから服や得物をプレゼントされてそれを駆使して戦っていたと……?」
「……ちなみにさ、血の刻印って何?」
ワナワナしてる八百万ちゃんを横に芦戸ちゃんが疑問を口にする。
「ん〜と、お兄ちゃんが使える力で、一部の服や武具につけられる刻印のことだね。使った血の持ち主の肉体の一部認識されるから、葉隠ちゃんみたいに普通の服だと透明にならないとかのデメリットを無視できて便利なんだぁ」
「……どうして朧さんのモノを持ってるのか、キリキリ吐いてもらいますわよ?」
「え、あ、ちょっと」
……このあと、彼に付いて根掘り葉掘り聞かれることになった。
『いくら個性で見えてないといえど裸はだめだ。何かの拍子に見えるようになったら大変なことになるし!』という朧の必死の説得によるものと素直に伝えたところ、夢見姉妹と八百万さんにライバル認定されてしまったりするのだった。
時系列的に夏休み→映画(I・アイランド)→合宿だけど、映画編ほしい?
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ほしい!
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いらね