呪術廻戦とまどか⭐︎まぎかのクロスもの。メインは呪術   作:かりん2022

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懺悔

「悟の様子はどうだ?」

 

 夜蛾学長は気遣わしげに問いかけた。

 

「あー。綺麗に洗脳されてますね。呪いの残穢が見えないって事は、改変した認識は解呪後もそのままなのかも。傑に会わせてくれません? あ、幼女の方ね」

「それは無理だ。お前まで洗脳されたらたまらん」

 

 キッパリと夜蛾学長は断じた。

 

「そうは言っても、悠長にはしてられませんよ。傑に会わせないでいると、洗脳されてる方の僕が暴れます。もう会うのは会っちゃってるんで、そういう意味では手遅れでもありますし」

「しかし……」

「十分に気をつけますって」

「第三者を置いて、メールでのやりとりならどうだ」

「ずいぶん用心しますね」

「あの惨状を見たら誰でもそうなる。あの大男と幼女を見て、洗脳された悟が区別がつかないと戸惑っていたんだぞ」

 

 悩ましげに学長は言う。それはわかる。あれは僕も顔が赤くなるくらいの失態だった。

 

「本人の証言によれば、傑が妹……傑は一人っ子のはずでしたが……に仲間はずれにされそうで焦っていて、幼女になりたいと言っていた時期があったそうです。スマホの写真からも、時期が一致します。本人の可能性もありますよ。少なくとも幼女の傑は呪霊ではありません。ま、人間でもないですけど。傑の体と魂を利用した、呪骸……パンダのような物だと思います。問題はむしろ、傑の幼女化よりも認識がずらされてる事ですね。傑が洗脳されてる可能性も操られている可能性も十分にあります。少なくとも、第三者の介入は確実。じっくり見ながらどのパターンか判断したいので、傑とは直接話したいんですけど」

「駄目だ。俺にはその言葉が洗脳された故の言葉かどうかわからんのだ」

 

 そういうわけで、真希が事情聴取をしながら内容を悟に報告する事となった。

 嫌がらせ兼、少しでも考えられる影響の排除である。

 真希は、幼女を見下ろす。

 上目遣いに見つめてくる幼女は、どうしても無害に見える。

 洗脳五条の言葉ではないが、確かに可愛い。とはいえ、子供は可愛いもの。

 年齢から見れば、妥当な可愛さと言える。

 

「よろしくお願いするよ、ええと、真希ちゃんって言ったね」

「真希さんっていえ、幼女。それとも猿相手には無理だってか?」

 

 気遣ってくる幼女に、吐き捨てる。

 

「自分の事を卑下する物ではないよ。それと一応、私の方が年上なんだけどね。真希さん。私は夏油傑だよ」

「ふん。私は幼女を夏油さんって呼ばねーぞ。傑」

「私は幼女ではないのだけれどね……」

 

 そこで、チャット画面が瞬き、文字が出てくる。

 

『真希。準備できたー? 早速だけど、何があったか聞いてくれる?』

 

「何があったんだってよ」

「それなんだけど、私の悟を呼んでもらえないかな」

「は?」

「事情をちゃんと話すのは、1人目は悟にしたいんだよ。私は悟を巻き込んでしまった責任がある」

「駄目に決まってんだろ」

「ちゃんと話してくれんの?」

 

 真希は目を見開く。拘束されているはずの五条が、その身を縛る縄を解きつつ佇んでいたからだ。

 

「おい。勝手に出るな!」

「傑にはちゃんとご飯出せって言っただろ。傑は常に何か口に入れてないと駄目なんだからな」

「デブるぞ」

「傑は少しぐらいふっくらしたほうが健康的なんだよ! いくら食わせても太らねーし! それに俺、傑と傑が180センチ以上になったら結婚するって約束してるし」

「私としてはちょうどいいサイズだと思うんだけどね」

 

 真希は同情の目で洗脳五条を見た。

 10年成長しない幼女なのだ。どう考えても幼女傑が180センチを超える日は来ない。

 仮に呪術で夏油が姿を変えられていたら? 男同士は結婚できない。そういう事である。

 結局、仕切り直しで食事を与えた後、2人の会話を真希が記録する事になった。

 

「悟。ごめんね。私は……ずっと君を騙してたんだ」

「傑」

「私は、あの日、帰省した時。死んじゃってるんだよ」

「……嘘だ。六眼が、俺の眼が偽れるはずがない」

「悟。今から、君へ掛けた呪いを解くよ」

「は? どういう……いや、待ってくれ」

「待たない。本当は、もっとずっと前に、あの日、妹が死んだ時にこうすべきだった」

「傑……!」

 

 風が吹く。

 反応は劇的だった。

 洗脳五条は幼女傑を抱き寄せ、慟哭した。

 

「傑……!! 馬鹿! ほんっと馬鹿! 1人で勝手に幼女になってるし! 死んでるし!! どういう事なんだよ、ちゃんと全部話せよ!!」

「ごめんね、悟……何度謝っても足りないよ。巻き込みたくなかったのに、結局君を泣かせて、こんな所まで連れてきてしまった。そして、これからもっと酷い事をしようとしてる」

「なんだよ……」

「もし、あるものがこちらになければ……私を君に、殺してほしいんだ。中の呪霊も、全部」

「やだ」

 

 子供っぽくイヤイヤをする五条。それをよしよしとする夏油は聖母の笑み。

 

「君にしかできないんだ」

「俺にもできねーよ! 何体いると思ってんだ、俺らでなんとか一体倒すのが精一杯だった特級呪霊ども!!!」

「ええっと、苦戦して取り込んだのは122体だね。でも今、君は強くなっただろ。君ならできる!」

「出来るか!!! その前にまず事情話せよ、今度こそ洗いざらいな!」

 

 ここで真希は青ざめ、関係者も大いに動揺した。

 

「わかったよ、悟。真希さん、お願いがあるんだけど、こちらの世界にものがあるかどうか、情報が欲しいんだ」

「ああ? これ以上、どんな爆弾を落す気だ!」

 

 これは簡単に殺すわけにもいかなくなった。真希は警戒して噛み付くように問う。

 

「こちらの世界に、大量に自殺者と幼女の死体がセットで見つかった事はないかい? あるいは、呪具を落とす呪霊はいないかい?」

「あー。あの変な呪の詰まった黒い石な?」

「そうだよ」

 

 どうやら、五条は心当たりがあるようだった。

 

「いくつか持ってる。傑も持ってるだろ? それ出さねーの?」

「あれ、私の動力源なんだ。食事ではあまり足しにならなくてね。サンプルとして一個渡すのすら嫌かな。悟が持ってるなら助かった」

「は? つまりそれがないと」

「ああ、生きるだけならなんとかなる方法もあるんだ。でも、生きるだけかな。もう術師とかも無理になる。そうだねぇ。普通に生活出来るのは、今のストックだと持って一年かな」

「ねぇの?」

「呪具を落とす呪霊なんてほとんど聞いた事ねぇよ。呪霊の発生源の呪物ならあるけども。サンプル見せろ。取らねーから写真撮らせろよ」

 

 そうして、写真を撮る。調査の結果、該当はなし。

 傑は、ため息を吐いた。

 

「そっか。でも、良かったよ。それなら、却って全部話せる」

 

 そうして、幼女夏油は話し出した。

 これはすでに終わった呪の物語である。




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