超昂大戦SS 閂市総力戦! ダイビートVSアルダーク ~優しき戦士は愛する街のために 作:環 藍河
ifストーリーとしてお楽しみ下さい。
---ダイビート基地 指令室---
「アルダークの総攻撃開始から、72時間か…。」
「現況は…壊滅的ね。
今日は出動させた戦闘スタッフのうち、撃破されての撤退が7割を超えたわ。
治療班は不眠不休だけど、全然回復が追いつかない。少なくとも、現有スタッフであの侵攻を阻止できる戦力を再び整える、なんてことは期待すべきでないわ。」
「…わかっている。」
「明日戦える戦力、残り2割ちょっとでは…第2次防衛線をぎりぎり維持するのがやっと。
もしも敵側にこれ以上の増援が来たら、いよいよダイビートは壊滅かもしれない。」
「…ぐううううっっ!!!」
ばんっ!!
「俺は、俺たちは…また負けるのか…?
未来でも…そして、この時代でも…!」
ぎりっ、ぐぐぐぐっ…!!
「トキサダ…最悪の事態も、想定しておきなさい。
この基地を放棄して、別の街・別の国へ落ち延びてダイビートを立て直すか。
それとも、籠城戦で最後の一人まで戦うか…。」
「ユーノ…?!」
「どちらも最悪ね。でも…トキサダ、これはあなたが決断しなくてはならないの。」
……
…
「…長官。私に…。
私に、もっとエナジーをください…!」
「アカリ…?」
「勉強したんです…今のDチャージよりももっとエナジーを貯められる、ハードなDチャージが、あるんですよね?」
「!!」
「今よりずっと激しかったり、ひどかったり…。
すごいポーズや、とんでもない道具やコスチューム、汚い言葉で私を虐めて感じさせたり…。」
「それは…それはそうだが…でも!」
「私は…長官からなら、どんな苦痛も…絶対に耐え抜いてみせます。」
「…!!」
「痛みだけじゃありません…どんなに恥ずかしい責め苦も、全て受けてみせます。絶対に逃げたり泣いたりしません。
だから…だから、もっと私を、奥深くまで貫いて…
遠慮無しのチャージをしてください…!」
にこっ。
「私…カッコいい正義のヒーローじゃなくても、構いません。
みんなを護る力がもらえるなら…私、みんなに蔑まれても、見損なわれてもいいんです。
だから…私に遠慮なんか、しないでください。
怖いのも、痛くて苦しいのも、辛いのも…ダイビートに志願した日に、覚悟して来たんですから…!」
「…何故だ。どうしてだ、アカリ…?」
「…だって…。」
きっ。
「だって、このまま私が弱いままで!
ダイビートが全滅したら!
何にもならないじゃないですかあああーーーーーっっっ!!!」
真心から正義のヒーローを志した少女は、いま残酷な現実に追い詰められ…
指令室に、絶望の嗚咽を響かせる。
……
…
日増しに濃厚になる敗色の空気が、ダイビートに、超昂戦士一人ひとりに重くのし掛かり、逃げ場を許さない。
肺をぺしゃんこに潰されそうな息苦しさの中、新人隊員・園崎アカリは…超昂戦士エスカ・ルビーは、長官・戦部トキサダに哀しき自己犠牲を志願する。
アカリ自身も知らない。
その決断の意味を。苦渋の選択に伴う、あまりにも重すぎる代償を。
それでもアカリは、被虐と恥辱と悲痛に呪われた武器をトキサダにせがむ。
その呪詛に灼かれる我が身と引き替えに、愛する人々の明日があるなら…!
「…わかった。
アカリ…いや、超昂戦士エスカ・ルビー。
…俺と地獄に堕ちよう。」
「…っ!!」
「俺は地球防衛組織ダイビート長官として、勇気ある超昂戦士の志願に報いる。
ルビー…君が望む武器を…俺の汚れた武器をその手に取れ。
そして、絶対にこの閂市を奪還するんだ。」
「長官…!」
「…俺も、この瞬間から偽善者を辞める。
ダイビートの初志…人類生存のため、俺は一切の倫理ときれい事をゴミ溜めに叩き込む。」
「…ありがとうございます。
長官…提案を受けて下さって、ありがとうございます…!」
…ぽとっ。…ぽつっ、ぽつっ。
口にする感謝の言葉と、その通りの晴れた心ならば、絶対に流れないはずの落涙。
それは天気雨のようなちぐはぐさで…エスカ・ルビーに一筋の希望の光と、代償たる暗雲を架けた。
【序章 完】
筆者の環藍河です。ご無沙汰しております。
久々の新作をお届け、本日はこちらの序章と第1章を同時UPいたします。
後書きは第1章章末でまとめてお届けします。