超昂大戦SS 閂市総力戦! ダイビートVSアルダーク ~優しき戦士は愛する街のために   作:環 藍河

1 / 6
※原作第1部第8~9章の時間軸ですが、本編と様々な矛盾点がございます。
 ifストーリーとしてお楽しみ下さい。



序章 絶望の底終! そして戦士は闇の道を選ぶ

---ダイビート基地 指令室---

 

「アルダークの総攻撃開始から、72時間か…。」

「現況は…壊滅的ね。

 今日は出動させた戦闘スタッフのうち、撃破されての撤退が7割を超えたわ。

 治療班は不眠不休だけど、全然回復が追いつかない。少なくとも、現有スタッフであの侵攻を阻止できる戦力を再び整える、なんてことは期待すべきでないわ。」

「…わかっている。」

 

「明日戦える戦力、残り2割ちょっとでは…第2次防衛線をぎりぎり維持するのがやっと。

 もしも敵側にこれ以上の増援が来たら、いよいよダイビートは壊滅かもしれない。」

 

「…ぐううううっっ!!!」

 ばんっ!!

「俺は、俺たちは…また負けるのか…?

 未来でも…そして、この時代でも…!」

 ぎりっ、ぐぐぐぐっ…!!

 

「トキサダ…最悪の事態も、想定しておきなさい。

 この基地を放棄して、別の街・別の国へ落ち延びてダイビートを立て直すか。

 それとも、籠城戦で最後の一人まで戦うか…。」

「ユーノ…?!」

「どちらも最悪ね。でも…トキサダ、これはあなたが決断しなくてはならないの。」

 

……

 

「…長官。私に…。

 私に、もっとエナジーをください…!」

「アカリ…?」

「勉強したんです…今のDチャージよりももっとエナジーを貯められる、ハードなDチャージが、あるんですよね?」

「!!」

「今よりずっと激しかったり、ひどかったり…。

 すごいポーズや、とんでもない道具やコスチューム、汚い言葉で私を虐めて感じさせたり…。」

「それは…それはそうだが…でも!」

「私は…長官からなら、どんな苦痛も…絶対に耐え抜いてみせます。」

「…!!」

「痛みだけじゃありません…どんなに恥ずかしい責め苦も、全て受けてみせます。絶対に逃げたり泣いたりしません。

 だから…だから、もっと私を、奥深くまで貫いて…

 遠慮無しのチャージをしてください…!」

 

 にこっ。

 

「私…カッコいい正義のヒーローじゃなくても、構いません。

 みんなを護る力がもらえるなら…私、みんなに蔑まれても、見損なわれてもいいんです。

 だから…私に遠慮なんか、しないでください。

 怖いのも、痛くて苦しいのも、辛いのも…ダイビートに志願した日に、覚悟して来たんですから…!」

 

「…何故だ。どうしてだ、アカリ…?」

「…だって…。」

 

 きっ。

 

「だって、このまま私が弱いままで!

 ダイビートが全滅したら!

 何にもならないじゃないですかあああーーーーーっっっ!!!」

 

真心から正義のヒーローを志した少女は、いま残酷な現実に追い詰められ…

指令室に、絶望の嗚咽を響かせる。

 

……

 

日増しに濃厚になる敗色の空気が、ダイビートに、超昂戦士一人ひとりに重くのし掛かり、逃げ場を許さない。

肺をぺしゃんこに潰されそうな息苦しさの中、新人隊員・園崎アカリは…超昂戦士エスカ・ルビーは、長官・戦部トキサダに哀しき自己犠牲を志願する。

 

アカリ自身も知らない。

その決断の意味を。苦渋の選択に伴う、あまりにも重すぎる代償を。

それでもアカリは、被虐と恥辱と悲痛に呪われた武器をトキサダにせがむ。

その呪詛に灼かれる我が身と引き替えに、愛する人々の明日があるなら…!

 

 

「…わかった。

 アカリ…いや、超昂戦士エスカ・ルビー。

 …俺と地獄に堕ちよう。」

「…っ!!」

 

「俺は地球防衛組織ダイビート長官として、勇気ある超昂戦士の志願に報いる。

 ルビー…君が望む武器を…俺の汚れた武器をその手に取れ。

 そして、絶対にこの閂市を奪還するんだ。」

「長官…!」

「…俺も、この瞬間から偽善者を辞める。

 ダイビートの初志…人類生存のため、俺は一切の倫理ときれい事をゴミ溜めに叩き込む。」

 

「…ありがとうございます。

 長官…提案を受けて下さって、ありがとうございます…!」

 

 …ぽとっ。…ぽつっ、ぽつっ。

 

口にする感謝の言葉と、その通りの晴れた心ならば、絶対に流れないはずの落涙。 

それは天気雨のようなちぐはぐさで…エスカ・ルビーに一筋の希望の光と、代償たる暗雲を架けた。

 

【序章 完】

 




筆者の環藍河です。ご無沙汰しております。
久々の新作をお届け、本日はこちらの序章と第1章を同時UPいたします。
後書きは第1章章末でまとめてお届けします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。