ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga 作:ichika
前作の完結より4年経ち、続編の構想が出来上がりましたので投稿いたします。
誰だお前!?なんて言わないでください!
注意事項はあらすじに記入しています、ご確認の上、読み始めていただけたら幸いです。
それでは、お楽しみくださいませ。
動き出す陰謀、その影で
これは嘗て、光を手にし、迷いを抱えながらも我武者羅に進み、自分達の道を見付けた彼等の、そのあとのお話……
とある宇宙のとある銀河、その中にあるとある惑星……
惑星の大半が海によって構成される水の惑星、リクエター。
そこは雄大かつ穏やかな海と、わずかな陸地に生い茂る深緑があり、さまざまな生命の揺り篭として存在していた。
その穏やかな星に、魔の手が忍び寄ろうとしていた……。
「行け!奪え!逆らう奴は皆殺しだぁ!!」
穏やかな海を波立て、木々を薙ぎ倒しながらも蹂躙するバド星人、ゴドラ星人、スラン星人を中心とした侵略軍が現れたのだ。
狂喜に染まった表情で哄笑を響かせ、足元を逃げ惑う水棲人種、ラゴン達を見下ろし、玩ぶ様に追い立てていた。
逃げ惑うしかないラゴン達だが、反撃の術を持たないが故に蹂躙される。
それはまさに弱肉強食、理不尽なまでに突き詰められた世の理そのものだった。
それになす術なく、ラゴン達は故郷の星を食い荒らされる事になると思われた。
だが、そうはならなかったのだ。
理不尽に抗するは理不尽のみ、侵略者達にとっての厄災もまた、そこにはあったのだ。
刹那、光の柱が空から舞い降り、海の星にそれは起つ。
銀色の体表に赤と青のラインを持つ光の巨人、その姿は……。
「お、お前はまさかぁ……!?」
その姿に、バド星人は恐怖に染まった声を上げる。
ゴドラ星人も、スラン星人も、短く悲鳴をあげて戦慄する。
彼等は知っていたのだ、その光、その巨人の伝説を。
全てを壊し、全てを顧みない、最恐にして最強の極光達、7人の戦士。
「ウルトラマンダイナぁぁ……!!」
ASTRAY序列伍番、ウルトラマンダイナ、神谷玲奈。
ウルトラマンでありながらも、何物にも味方しない者として、広大無辺、様々な宇宙に名を刻んだ者だ。
「こ、この惑星にいたのか……!?」
彼女の実力を噂でしか聞いたことの無い者達でも、最早挑もうとすること自体が無謀であると、知っていたのだ。
そんな彼等に対して、慈悲など与えるつもりなど無いとでも言うように、ダイナは静かに構えた。
そこに一部の隙もなく、ただひたすらに研ぎ澄まされた風格と、それに見合った実力を察する事が出来た。
「し、しゃらくせぇ!!ここまで来て引き下がれるか!!」
「やってやる……!!やってやるぜ!!」
「やっちまえぇ!!」
それを察してなお、引き下がる事の出来ない理由があるか、それとも欲望を抑えきれない故か、3体の星人達は束になってかかっていく。
数さえ揃えれば何とかなる、合理的ではあるが、今の状況では浅はかとしか言えない状況であるのだ……。
先頭に立っていたゴドラ星人が繰り出した爪での攻撃を、ダイナは半身になって躱しつつも、入れ換える様に右足の膝蹴りを叩き込む。
「うげぇ……ッ!?」
防御もままならない状態で叩き込まれたそれの威力は察するに余りある。
ゴドラ星人は腹部を抑えながらも後ずさり、膝をつく。
たったの一撃でグロッキーにさせてしまうほどに、その技は鋭く、そして容赦の一欠も有りはしなかった。
「このヤロウ!!」
仲間の危機を救わんと、バド星人が飛び掛かるがまるで無意味。
掴みかかろうとした腕を取られ、1本背負いの要領で地に叩き付けられた。
「ごぁぁぁ……!?」
「隙ありぃ!!」
叩き付けられたバド星人は呻き悶え、技を出し終えたダイナの背後から、腕の爪にエネルギーを纏わせたスラン星人が迫る。
完全な死角、気付いてから回避はまず不可能なその一撃を、ダイナは僅かに首を左へ傾けながらも、カウンター気味に放たれた裏拳であっさりと往なしてしまう。
「ぐへぇ……!?」
首を獲ったつもりが、逆に防御すらさせない一撃を叩き込まれ、スラン星人は水の大地へ倒れ込むしかなかった。
羽虫を見る様な、感情の籠らない目で倒れ込むスラン星人を見下ろしながらも、一切の情けすら見せる事無く、星人の腹を蹴り上げ、何とか立ち上がろうとしたゴドラ星人とバド星人に叩き付けた。
「「「ごわぁぁぁぁ……!!」」」
受け止める事も避ける事も出来ずに、三体の星人は縺れて倒れ込むしかなかった。
その間、僅か十秒足らず、ダイナは僅か一歩しか動いていない。
格の違いをまざまざと見せつける、隔絶した実力がそこにはあった。
勝つことなど到底出来ぬ、加えて逃げる事も許さない、生殺与奪を完全に掌握した立ち回りだった。
そして、それを握った上で、ASTRAYとしての彼女が敵対者に取る対応はただ一つ。
中腰になりつつ両の腕を腹の前にたたみ、その腕にエネルギーを纏わせる。
そして、その光エネルギーを一気に前面へと放出し、敵を切り刻み屠る技、フラッシュサイクラーを倒れている三体の侵略者へと叩き付けた。
「「「ぎゃぁぁぁぁl!!!」」」
一切の情けもなく、その光刃は星人達を切り刻み、爆散させていった。
後に残るは、物言わぬ肉塊、いや、それも既に切り刻まれ、水の大地へと溶けて還っていった。
だが、まだ終わりではない。
ダイナは振り向きざまに腕を十字に組み、滞空していたUFO群を必殺の光線、ソルジェント光線で一瞬にして薙ぎ払った。
回避する事さえ出来ず、侵略軍団であろうそれらは、一瞬にして無に帰したのだった。
「ふぅ……。」
事も無げに、十字を解いたダイナは肩でも凝るのか腕を回しながらも、小さく嘆息する。
高揚も悲哀も、そして疲労も一切感じる事もなく、ただ只管に無味乾燥なまでの無表情で、彼女は辺りを見渡した。
先程までの侵略が幻であったかの如く、穏やかに波打つ海と、最も近くの陸地から手を振る、原生生物であるラゴン達が、自分達の命を護った巨人へ感謝を伝えようと、その魚人の様な身体を大きく動かしているだけだった。
「いいわよ別に、アタシ等の縄張りの近くで厄介事起こそうとしてた奴等を追っ払っただけよ。」
煩わしげに手を振りつつも、彼女はラゴン達をなんとも言えぬ表情で見ていた。
つくづくおめでたい連中だ、侵略の意図は無いにせよ、武力に訴えかけないだけで、自分達の棲む星を、何処の誰とも分からぬ宇宙人が縄張りとすることを良しとした。
それは、誰かに護って貰いたいと言う他力本願に他ならない。
たとえ彼女自身、この惑星に用事があり、利用したいと考えていてもだ。
故に、他者に頼ることしか出来ない連中とは、ほとほと嫌になるというものだ。
栄えるも滅ぶのも他者任せとは……。
「(ま、勝手にすればいいわ、アタシ等には関係ない事だし。)」
要件さえ終われば、後は何処か別の星に新しい縄張りを作るだけだ、その後にどうなろうと知った事ではない、と。
皮肉気に嗤いつつ、彼女は変身を解こうとして……。
「へぇ……?」
何かに気付いて振り返り、そこにいた相手へ心からの笑みを浮かべるのだった。
「相変わらず、えげつねぇ戦い方をするもんだな。」
振り向いた先には、青いマントを身に纏うウルトラマンの姿が在った。
彼の名はウルトラマンゼロ、彼女達アストレイともかかわりの深い、友人ともいえる者の名だった。
「あら、ゼロじゃない、久し振りね?」
久方ぶりの友と呼べる者の来訪に、玲奈は微笑みを湛えて歓迎の意を示す。
先程まで戦闘を行っていた者とは思えぬほどに穏やかで、人懐っこいまでの笑みはむしろ、得体の知れない恐怖を感じさせて止まなかった。
その表情に、その笑みに言いたいことは星の数程があれど、その何れもが暖簾に腕押しだと言うことは分かっていた。
故に、ゼロは小さく嘆息して、雑念を振り払うのだった。
「惑星ディオスでの任務以来だな、随分探したぜ。」
「ちょっと前じゃないのよ、その間に、アンタは随分と偉そうな格好するようになったじゃない?」
久方ぶりの再会を喜ぶ様にクロスタッチしつつも、玲奈はからかう様に言葉を投げ掛ける。
10年も経たぬ間に、自分達でもそうそう羽織ることをしないマントを誇らしげに纏っているのだから、彼女からしてみれば愉快かつ、ナマイキだと思ってしまうのも無理はないと言うことだ。
「それ、一夏達にも言われたぜ……、アイツといいお前といい……、俺をなんだと……。」
「ダチだからね、堅苦しいカッコなんざなくたって良いって事よ。」
少しは褒めたって良いだろうと悄気るゼロに、彼女は似合わんからやめろと、対等であるが故の気遣いを見せた。
そんな大袈裟な格好などしなくとも、自分達はお前を見ていることは間違いない。
それは、ASTRAYとゼロとの間にある友情を表しているかの如く……。
「言ってくれるぜ……、それで、なんでこんな惑星にいるんだ?」
それ以上は気恥ずかしいか、ゼロは話題を逸らすべく、何故この様な何もない星に彼女がいるのかを問う。
アジトにするにしては不便極まりない、他主要惑星や銀河連邦からも離れている星を根城に選んでいるのか、理解できなくても仕方がないと言うものだ。
「ん?あぁ、それこそくじ引きの結果よ、物資調達、もとい、酒造りのための水を探してたのよ。」
その問いに、野暮なことを聞くと言わんばかりに、彼女はあっけらかんと答えて見せる。
そう、彼女が、ひいてはASTRAYがこの水の惑星を根城に選んだ理由は他でもない、良い酒を作るためだけだ。
それなりに長く生きている彼らの事だ、DIY位はやってのけると言うもの、その一環として、彼女にお鉢が回ってきたと言うだけなのだ。
「相変わらず、やることが一々ぶっ飛んでやがるぜ……。」
半ば予想していたとはいえ、守護などついで以下な言動を見せられると思うところはあると言うものだ。
だが、それについてはなにも言うまい。
利害の一致としての守護任務ならまだ有情であると言うものだろう。
それに、嘗て弟子と呼べる若人達との邂逅を経て、これでも幾ばくか剣呑さは失せた方だ、友人であると同時に別組織の所属でもあるゼロにとって、敵対行動を採る必要が無いだけ有り難いと言うのが本音だった。
そこまで考えて、用件はそれでは無いことを思い出したか、軽く咳払いをして真剣な評定を作った。
「ま、取りあえず用件がある、友と見込んで頼みたい。」
「ま、アンタが来たって事はジーさんか大隊長辺りの差し金でしょ?使い走りは大変ね、呑んでく?」
ゼロの言葉に、彼を遣わせた人物におおよその辺りをつけ、苦労してるだなと嘆息し、散々使われている友を案じて酒を差し出す。
呑んで気を楽にしろと、ある程度の気遣いがみられる行動であった。
「また今度な、今回は割りと急ぎの用件なんだ、一夏には話を通したが、早いうちにASTRAY全員に会わねぇといけねぇんだ。」
「へぇ?そんな面倒なことさせるなんて、一夏にしては妙なこと……、んん……?」
ゼロの言葉に腑に落ちないものがあったのか、彼女は僅かに考え込む表情を見せるが、何かに思い当たったか、その表情が悪戯を思い付いた子供の様な顔つきに変わっていく。
「ねぇゼロ、それって別にアタシ達が請け負う必要のある任務なのかしら?」
ゼロが持ってくる依頼のややこしさは、彼女も身に染みて理解していることではある。
しかしながら、銀河中に散らばっているASTRAYの面々にわざわざゼロを出向かせるなどと言う手間を、自分達で対処しなければならない問題が持ち込まれた時にかけるものだろうか。
答えは否である。
ウルトラサインでも何でもして、火急の件として召集をかければ良い話だ。
つまるところ、この様な手間をかける理由は……。
「それは分からねぇ……、だが、宇宙警備隊の面子は無いに等しい、動けば余計な火種を生む危険性だってある、今回もそうだ。」
「まぁ確かにねぇ、あぁそう言えば、少し前に宗吾が会敵したって言ってた奴等の件も、なんとなくそれっぽいわよね〜、アタシら狙ってるみたいだし。」
「ま、お前達ほど何しでかすか分からん連中も、中々いるもんじゃないからな。」
その問いに、ゼロは肩を竦めながらも苦々しく答えるしかなかった。
かつての一件以降、彼が属していた組織の面子は既に崩壊し、宇宙の抑止力になるかどうかすらも怪しいと言うのが現状なのだ。
だが、それでも力を持っていることは事実であり、それが大々的に動くとなれば、宇宙中が戦乱を予感し、要らぬ禍を呼び寄せる事にもなると。
「だからこそ、お前達の様に自由に動き回れる力が頼りなんだ、力を貸して欲しい。」
故に何者にも縛られず、宇宙を股にかける彼女達に助力を請いたいと腰を折り、頭を下げんばかりの勢いを見せるゼロに対し、玲奈は柔らかく微笑みながらもそれを制した。
「その言葉は、アタシらに言うべき事じゃないわ、特に今回はね。」
「なに……?」
その言葉の意味を計りあぐねたゼロは、彼女の表情を伺うように顔をあげる。
柔らかく、それでいて悪戯を思い付いた悪童の様な笑みに、何か思い至る事があったのだろう、彼は米神をひくつかせることしか出来なかった。
「だってほら、アタシら以上に動きやすくて、適任な子達がいるじゃない。」
とびっきりの笑みと共に放たれた言葉は、これから幕を開ける物語のほんの序章、いいや、カーテンコールでしかなかったのだ……。
次回予告
エタルガーを下した戦いから十年後、彼等は光の力を高めながらも、今を生きる人間として生活していた。
彼等の前に、再び戦いの帳が落ちる。
それは、嘗てからの挑戦、そして新たなる戦いの幕開けであった。
次回ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga
第1話 新たなる戦い
お楽しみに〜