ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga   作:ichika

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絆と誓いと

惑星ミカリト

 

 

マガタノオロチの攻勢は留まるところを知らず、なお猛り全てを喰い尽くそうとしていた。

 

「リモートカッターっ!!」

 

リブットの両腕から四つの光輪が縦横無尽に飛び、一斉にマガタノオロチへと向かっていく。

その内のいくつかはマガタノオロチが伸ばす触手を切り裂きダメージを与えるも、器用に絡めとられ巨大な咢でかみ砕かれ、吸収されるばかりだった。

 

「エネルギーを喰らうのか……!」

 

「くそっ……!厄介な事だ……!!」

 

触手を弾き、肉弾戦を挑むグレートとパワードだが、彼等のパワーを以てしても抑え込む事は困難なようだ。

顎を抑えていたグレートは持ち上げられる様に放り投げられ、パワードは体当たりで弾き飛ばされる。

 

機敏な動きでマガタノオロチの気を引きように立ち回り、なるべく補足されない様に戦っているリブットも、攻めきれずにいるようだった。

 

無理もない、Xがヤラれてしまい、今は三人で抑え込むしかない状況だ。

それに加えてマガタノオロチはマガオロチよりも強力なパワーを持っている存在だ、三人で掛かったとて、困難を極める事は想像に難くない。

 

「えぇい……!何としても、此奴を止めなければ……!!」

 

Xを護りながら戦うリブットにも余裕というモノは一切ない。

あるのは焦りと疲労の色のみ、このままではいけないと、最悪の状況を考えての事であった。

 

だが、その咢に捕まれば一環の終わり、ヤラれてしまう事は明白だった。

 

「焦るなリブット!!」

 

「気を逸らすんじゃない!!」

 

同時に拳打を叩き込むグレートとパワードだったが、まるで効き目はなく、むしろ怒り狂ったようにマガタノオロチは触手や火炎弾や破壊光線を吐きながら猛追、彼等を弾き飛ばしていく。

 

その力の前に、グレートとパワードは大きく吹っ飛ばされてしまう。

 

「ぐぅッ……!?」

 

「うぉっ……!?」

 

吹っ飛ばされながも攻撃の全てを受け切っていたことは流石であるが、それでもダメージを殺しきる事は出来なかったようだ、彼等は遂に膝をついてしまう。

 

そんな彼等に向けて、マガタノオロチは特大の破壊光線を放とうとチャージを始める。

 

「グレート!パワード!!」

 

2人を護ろうと、リブットが前に立ちはだかり、右腕にエネルギーを収束、それをすべてマガタノオロチに向けて射出する。

 

「ストロングネット!!」

 

相手を拘束する球体状の光の網がマガタノオロチを包み込む。

張り終わると全く同時にマガタノオロチの顎より破壊光線が放たれる。

 

一瞬の拮抗の後にストロングネットは破られてしまう。

それだけに留まらず、バリアに当たって拡散した熱線が様々な方向へと拡散、無差別に辺りに降り注ぐ。

 

「「「うわァァァッ……!!」」」

 

回避する間もなく、降り注ぐ熱線に3人は焼かれ、薙ぎ払われた。

 

凄まじい威力に一気に体力を持っていかれたのだろう、3人のカラータイマーは点滅を始める。

 

対して、マガタノオロチにも熱線は降り注ぐも、何ということは無いと言わんばかりに健在、3人を喰らおうと、じりじりと距離を詰めてくる。

 

その様、正に絶体絶命と言って差しさわりない様相だった。

 

「リブット……!お前だけでも離脱しろ……!!」

 

「宇宙警備隊へ、報告するんだ……!!」

 

ダメージに震える身体に鞭打ち、リブットを庇う様にグレートとパワードは立ちはだかる。

 

「しかし……!!」

 

「構う事はない……!!」

 

「此奴は私たちが、命と引き換えにしてでも止めて見せる……!!」

 

自分も戦おうと身体を起こすも、ダメージによろめくリブットに、グレートとパワードは命を賭してマガタノオロチを倒す、若しくは援軍到着までの時間稼ぎをするつもりだと告げる。

 

それが、間に合わなかった自分達がすべきことであると。

命に代えても、この星から災厄を逃さぬと。

 

だが、そんな覚悟を嘲笑う様に、マガタノオロチは咢を大きく広げながら迫りくる。

 

防御すらままならず、その咢は彼等を捉えようとした。

 

その刹那――――――

 

「イーッサァーッ!!」

 

咆哮を上げ、飛び出した影が手に持つ剣で一閃、マガタノオロチを斬りつけ大きく後退させた。

 

7つの色の刀身を持つバスターソードを構え、肩で息をしながらも戦意を滾らせるそれは――――――

 

「「「X……!!」」」

 

ダメージより漸く復帰したXの姿に、3人は驚きの声を上げる。

その声は窮地を救われた安堵ではなく、ただ純粋に彼の身体を心配している様でもあった。

 

その身体では、戦えるものも無いだろうと……。

 

「死んではダメです……!!」

 

自身を心配する3人に、正確にはグレートとパワードへ、命を捨てるなと叫ぶ。

 

「命を懸けるのは……!また、笑顔で会うためなんです……!!」

 

次々に襲い来る触手を、掲げたXカリバーを振るう事で往なしながらも、彼は諭す様に、鼓舞するように叫び続ける。

 

笑顔で会うために。

それは嘗て、師から教えられたことの一つ。

 

泣き別れも、惜別ももういらない。

何時か笑顔で会うために、命を懸けて路を歩む。

 

そのために戦い、生き抜くと。

 

「それが、先生から教わった、生きるための闘いなんです……!!」

 

「X……!」

 

あの背中を見続けて、追い続けてきたからこそわかる。

生きるために戦い続けたASTRAYへの想いを、彼は心の底から叫ぶ。

 

生きて、生きて生きて生きて、またいつかの未来に会うために。

 

「だから僕は生きる!生きて、この光で皆を護るッ!!」

 

Xカリバーの輝きが増し、Xがそれを天に掲げると同時に彼の周りに幻影としての彼等が現れる。

ダイナ、ガイア、コスモス、ネクサス、マックス、メビウス、そして、ウルトラマンティガ。

 

力の残滓として残されたサイバーカードがそれを生み出し、Xを更に上の次元へと導くのだ。

幻影たちがXへと重なり、強烈な光がスパークする。

 

光が晴れた時に、そこにあるのは重装騎士の如き勇壮さを持った、戸塚彩加が手に入れた一つの究極、ウルトラマンエクシードX《ASTRAYアーマー》。

 

光を護る騎士は、ゆっくりと、しかし重々しい一歩と共に踏み出し、マガタノオロチへと向かっていく。

 

マガタノオロチの体当たりに力負けせずに受け止め、逆に弾く事で後退させ、そこへXカリバーの一閃が叩き込まれる。

カウンターだとしても見事で、鮮やかな一撃が繰り出される。

それは嘗て、グレートとパワードが見た、最強のウルトラマン達のソレだった。

 

「Xだけに戦わせるわけにはいかない……!!私だって……!!」

 

その姿に奮起したリブットが、全身に力を籠めて立ち上がる。

決してダメージを無視出来ている訳ではない、それでも戦わねばならぬと、精神力だけで立っている様なモノだった。

 

「リブット……!この力を……!!」

 

「お前なら、使いこなせるはずだ……!!」

 

そのままでは行かせられないと、グレートとパワードは右掌に光を宿し、それをリブットに向けて手渡した。

 

グレートが渡した光は身の丈もあるほどに長大な槍へ、パワードが手渡した光は左腕に装備される盾へと変わった。

 

それぞれスプレッダーロッド、ブロッカーエフェクト。

攻防それぞれ持った、彼のための武器だった。

 

「ありがとうございます……!今行くぞ、X!!」

 

2人に礼を伝え、孤軍奮闘するXを援護すべく飛に出していく。

 

スプレッダーロッドの突きでマガタノオロチの眼を狙って攻撃、一瞬怯んだ所にロッドのしなりを利用し、棒高跳びの様に身体を大きく浮かせ、ブロッカーエフェクトによるバニッシュで大きく吹っ飛ばした。

 

「リブットさん!!」

 

「待たせてすまない!私達で此奴を倒そう!!」

 

「はいっ!」

 

戦線を共にすると、目の前の脅威を共に討ち滅ぼすと。

それに応える様にXもまた咆える。

 

この宇宙の脅威を排するために、また明日に、笑って会うために―――――

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

惑星カワイア

 

世界を闇で覆い尽くそうとする邪神ガタノゾーアの猛攻は、留まるところを知らなかった。

 

石化してしまったギンガを復活させるべく、ビクトリーナイトが回復のために離脱してしまった事もあったため、ネオスとセブン21の手練れ2人掛かりであっても抑えきる事は不可能であった。

 

「ウォォッ!!」

 

触手を掻い潜り、ネオスは跳び蹴りを食らわせ、セブン21はヴェルザードを右手に携え斬りつける。

効率的にダメージを与え怯ませるように戦っていても、一切のダメージ蓄積や疲労を感じさせないガタノゾーアは、苛立った様に咆哮をあげながらも尚猛り、爪や触手による猛攻を仕掛けてくる。

 

一瞬でも気を抜けば、次の瞬間には石化させられているだろう事は必至、故に、ネオスとセブン21は決死の覚悟で挑み続けていた。

 

ネオスの蹴りや拳がガタノゾーアの顔面を捉え、セブン21のヴェルザードの斬撃やアドリウム光線が触手や爪の付け根を狙って叩き込まれる。

 

だが、そのどれもが決定打を与えるに至らない。

攻撃し、傷をつけても超回復の如く傷が瞬く間に治癒して行くのだ。

 

基より邪神として防御力もあったが、スフィアが取り込んだことで回復の速度が桁違いになっている事も大きな要因であった。

 

故に、彼等はジリ貧とも呼べる長期戦を強いられていたのだ。

長期戦になればなるほど、体力的に不利になるのはウルトラマン側である事は明白であり、少しでも余力のある内に勝負を決め切らなければならなかった。

 

「セブン21!一気に畳みかけるぞ!!」

 

「分かっている!合わせてくれよ!!」

 

故に、これ以上肉弾戦を続けても埒が明かないと判断した2人は一度距離を取り、必殺光線の構えを取る。

先程食らわせても、目立ったダメージを確認出来なかったとしても、それでも気合でぶち抜いて見せると。

 

ネオスは十字に腕を組み、セブン21はL字に、それぞれ必殺光線をチャージし放つ。

 

「ネオマグニウム光線!!」

 

「レジアショットッ!!」

 

先程以上の力を籠め、威力を跳ね上げる合体光線として放つ。

 

それをまともに受けてはいけないと察知したのだろう、ガタノゾーアは爪や触手を壁の様に束ねあげ、光線から身を護る様に展開する。

 

合体光線と障壁は激突し、周囲の闇を閃光で照らし出す。

スフィアとの融合で回復力も上がったそれを上回らんと、更に力を籠めて壁を撃ち続けた。

 

だがそれはウルトラマン達にとっては諸刃の剣だった。

光線は、自身の体力を引き換えに撃っているようなものであり、長時間の照射は余程の事でない限り自殺行為でしかなかった。

 

それまでに倒しきると、遂に触手の壁を抜け、合体光線はガタノゾーアに直撃する。

 

「「やったか……!?」」

 

だが、突き抜けるためにエネルギーを使い過ぎたか、そこから5秒と照射する事は出来なかった。

 

それでも、ダメージを与える事は出来たのだろう、ガタノゾーアの外殻には僅かばかりの亀裂が入っていた。

 

しかし、それ以上の追撃が出来る程の体力を、ネオスとセブン21には残されていなかった。

膝をつき、カラータイマーとビームランプが点滅する。

 

「く、そっ……!」

 

「仕留めきれなかったか……!!」

 

悔し気に海面を殴りつけるネオスとセブン21の目の前で、邪神はなお猛り続ける。

 

決死の想いで付けたその傷も徐々に再生を始め、まもなく再生してしまう事は明白だった。

 

「ネオスさん……!セブン21さん……ッ!!」

 

ギンガに癒しの光を浴びせながらも、ビクトリーは2人を案じて声を上げた。

相当に深いダメージと強い石化効果によって、ギンガの石化は未だに解かれる様子が無かった。

 

並の怪獣から受けたダメージや呪い程度ならば多少の時間は掛かったとしても、解除に手こずる事もない。

だが、ビクトリーナイトの持つ浄化の力をもってしても、漸くカラータイマーに光を戻す事が叶った程度だった。

 

「このままじゃ……!!」

 

到底間に合わない。

ネオスとセブン21がかなりの時間を稼いでくれていてもこの程度だった。

 

仮に一人で挑んだところで、勝ち目などある筈も無かった。

 

どうすれば良い?何をすれば切り抜けられる?

どうすればギンガを蘇らせ、あの邪神を倒す事が出来る?

 

考えが纏まらない彼女の脳裏に言葉が奔る。

 

 

 

 

―――沙希―――

 

 

 

 

「八幡……?」

 

その声の主は、今、彼女の目の前で石化しているギンガのモノ。

何処までも落ち着きを払った、まるで天気を訊ねるような、何ともないと言わんばかりの声。

そんな、何も変わる事のない様子だった。

 

その声色から、恐怖や混乱などは一切なく、寧ろ、勝利を確信しているような強い意志を感じ取る事が出来た。

 

 

 

―――勝とう、俺達の力で―――

 

 

 

勝つ。

その言葉と同時に、ビクトリーの右腕に装着されているブレスが光を放つ。

それに呼応するように、ギンガの左腕で石化していたブレスも輝きを取り戻し、強い光を放つ。

 

あぁ、何時だってそうだ。

彼は自分達を引っ張って、何時だって諦める事をしなかった。

 

そうだ、自分もそうだったじゃないか。

あの背に憧れて、あの力に追い付こうと生きてきたではないか。

 

ならばやるべき事は一つ、目の前に居る敵を倒す。

彼等を超えるのならば、こんなところで負ける事など許される筈も無いのだから。

 

「うん……!行くよ、八幡ッ!!」

 

必勝の意志を籠め、彼女は右腕のブレスをギンガの左腕のブレスと交錯させる。

 

刹那、2人は光に包まれる。

それは自分達の故郷と師を救うために得た力、2人のウルトラマンの力と、2人が紡いだ絆が重なり合う、究極の力の発露だった。

 

―――ギンガァァァッ!!―――

 

「ビクトリーィィィッ!!」

 

ギンガとビクトリーの姿が混ざり合い、新たなウルトラマンが一人、その姿を現すのだ。

 

巻き起こる強烈な光の嵐は、ネオスとセブン21に迫ろうとしていたガタノゾーアに突き刺さり、大きく怯ませる。

 

「な、なんだ……!?」

 

「この光は、まさか……!!」

 

凄烈な光の波動に振り返るネオスとセブン21の目の前に、その巨人は姿を現した。

 

ギンガとビクトリーの意匠を身体の各所に持つ、ASTRAYの力を受け継いだ新たなるウルトラマン。

その名も、ウルトラマンギンガビクトリー。

八幡と沙希、2人の絆と想いが呼び起こした、奇跡の合体戦士だ。

 

「「お二人とも、お待たせしました!!」」

 

「その声……!ギンガとビクトリー……!!」

 

「良かった……!復活したんだな……!!」

 

自分達を庇う様に前に出たギンガビクトリーに、ネオスとセブン21は歓喜と安堵の入り混じった声を上げる。

 

ヤラれずにいた事に、そして、その力を視れた事への昂りを抑えられないのだろう。

 

「「ここからは、自分達がやります!!」」

 

男女の入り混じった声で2人を背に庇いながらも、ギンガビクトリーは構えを取る。

ここからは自分達のステージだと宣言するように闘気を飛ばす。

 

それに気付いたガタノゾーアは、ギンガビクトリーに標的を定めた様だ、禍々しい叫びをあげながらも猛り、触手や爪を伸ばして迫りくる。

 

だが、彼等は一切臆することは無い。

負ける気など更々ない、必ず勝つつもりなのだから。

 

「「本当の闘いは、ここからだッ!!」」

 

今こそ、師の力に迫る時だと。

裂帛した気合と共に彼等は飛び出していく。

 

その力で、為すべき事を為すために――――――

 

 

 




次回予告
光は絆、受け継がれた光は、新たな地でも燦然と輝き、闇を祓う!

次回ウルトラマンNewGenerationHero`sSaga
第10話 光と共に

お楽しみに
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