ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga 作:ichika
宇宙空間、某所
最も近い恒星も既に数光年、数十光年離れた漆黒の闇の中。
冷たく暗い、星の輝きさえも遠くにある宙。
その煌めきの狭間に、三つの影があった。
「座標はこの近辺であってるのか?」
タロウから告げられた座標付近で、ギンガ達3人は顔を見合わせながら座標を確認していた。
師であるASTRAYからの試練の一つである事は気付いているが、何をするべきか、何があるのかと身構えている状況だった。
「もう少し、この方向に進んだところで合ってそうだね。」
鎧の様なモノを身に纏ったXが、座標を確認しながらも進んでいく。
その鎧は、ウルトラマンゼロが身に纏っていたウルティメイトイージスそのものだった。
光の国訪問時、ゼロから手渡された力を纏っていたのだ。
「だね、しっかし、本当にゼロさんの力は便利だよね、ワープみたいに飛べるし。」
「確かにな、これで時空も超えられるって言うんだから、何処に迷子になっても大助かりだよな。」
ビクトリーとギンガは、Xの纏う力の源流に想いを馳せながらも、それはそれで楽で良いと言う結論に至った。
使えるモノなら何でも使う、その考え方は正に師に通じるものがあった。
そんな他愛もない話をしながらも、彼等は目的の座標まで飛び続ける。
宇宙空間を飛ぶこと自体は初めてではない事もあるが、それでも気を抜いている様子は見られない辺り、彼等も成熟した戦士の風格を持っている事だけは確かだった。
和やかな雰囲気のまま進んだところで、彼等の視界に何かが写り込んだ。
「あれか?」
眼前の物体を目視し、ギンガはその正体を掴もうと目を凝らす。
そして、その正体に絶句する以外無かった。
「な、なんだあれ……!?」
そこにあるのは、途轍もなく巨大な建造物であった。
宇宙空間に聳え立つ、三つの輪っかが組み合わさった様な見た目のそれは、嘗て地球で遭遇したエタルガーの所有していた時空城など目ではない、それの何十倍もの巨大さ、生半可な小惑星など小石にしか見えぬほどに、惑星規模の巨大建造物であった。
彼等は知る由もないところではあるが、その場所の名は怪獣墓場。
死んだ怪獣や宇宙人の魂が流れ着き、葬られる場場所なのだ。
「あれが、俺達が行くべき場所、なのか……?」
「なんか、いやな予感しかしないけど……。」
そこから漂う禍々しい雰囲気を感じ取ったか、ギンガとビクトリーは冷たい何かが背を撫ぜるような感覚を味わっていた。
だが、何かがあるのならば行くべきだと感じているのだろう、彼等3人の飛行速度が落ちることはなかった。
そして、建造物へ接近し、内部へ侵入出来そうな場所を探し始める。
裂け目らしい裂け目は見当たらず、あるとするならば構造物の繋ぎ目しかないと判断する。
「あそこから中に入ってみるぞ。」
ギンガの言葉に2人も頷き、接近して繋ぎ目からの侵入を試みる。
繋ぎ目を潜ろうとした瞬間に、何か薄いフィルムを通り過ぎたような、僅かな抵抗感が彼等を包むがそれも一瞬の事、次の瞬間には、彼等の目の前には想像もしない光景が広がっていた。
活火山のようにマグマを吐き出し続ける山脈に、草木の一本もない荒野、そして無数に浮かび漂う怪獣達の魂の姿。
どれも現実離れしており、どういう原理でそれが存在しているのかも分からない、正に不可思議現象そのものだった。
「なんだここは……?なんか気持ちわりぃな……。」
「重力はそこまででもないけど、何というか空気が重い……。」
ギンガとビクトリーは、怪獣墓場の異様さに、自身達が相容れない場所であると感じているのだろう、顔色が優れない様子であった。
XはASTRAYから受け取っていた端末を操作し、周辺状況の調査に取り掛かっていた。
「僕達ウルトラマンの活動に特に不便はない環境だけど、マイナスエネルギーが煮凝りみたいになってるね。」
「なるほど、道理で気分が悪いワケだ、ま、心霊スポットみたいなものかな。」
Xからの情報に、ビクトリーは本当に嫌そうな顔をしながらもため息を吐く。
人間時代からホラーモノが嫌いだったりと、割とその手に対する耐性がない彼女からしてみれば、正直修行の一環であるとしても即座にトンズラしたくなる場所である事は間違いなかった。
「強ち間違ってはいないかな、でも、それ以上にこれはちょっとマズいかも。」
「どうした、彩加?」
雰囲気よりも何よりも、この空間には厄介なものがあるという言葉に、ギンガは訝しんで声を掛ける。
この場を支配する雰囲気を気にしなければ戦いには然程影響はないが、何か影響の出るものがあるのかと。
「空間自体に歪がある、これ、ウルティメイトイージスの空間跳躍の時に出る歪と似てる波長なんだ。」
「なんだって?」
ウルティメイトイージスは空間を抉じ開け回廊を開き、別の宇宙や同じ宇宙の別の場所へと移動できる力を持っている。
原理としては空間に歪を作る事で抉じ開ける事で、時空や距離を無視して飛ぶことの出来るというモノだった。
それを利用して、彼等もこの付近まで飛んできた事は事実だが、それは意図的に歪を作り出し、尚且つ制御できているからの手段である事は否めない。
「もし仮にここで時空が歪むほどのエネルギーがぶつかったら、何処の時空に繋がるか分かったものじゃない、って事だね。」
「マジかよ……、そんなところで一体何をしろって……。」
時空の断層に放り込まれたら、どの世界に行くか分かったものではない。
離れ離れならばまだ生易しい、時空移動の手段を持っているXならばなんとかなるかもしれないが、ギンガとビクトリーはそうはいくまい。
違う時空に放り出されてしまっては脱出の手もないのだ。
「取りあえず、あたし達の力、それぞれ3人で分けて持っておかない?」
如何すべきか、何をすべきか思い悩む中、ビクトリーが突如として掌に2つの光を生み出す。
「どういうことだ、沙希?」
一体何のためにと問い返す。
その光が、何を齎すのか、すぐには想像できなかったのだろう。
「この光が、たとえ時空を超えて離れ離れになってもあたし達を繋いでくれる絆になるよ。」
光を見せながらも、彼女は自身の右腕を、そこに装着している赤いブレス、ASTRAY等所縁のあるウルトラマン達の力が宿るビクトリーブレスを2人に見せる様に掲げる。
離れていても心は、縁は繋がっている。
だから、どれだけ離れていても、時空さえ超えて必ず探し出せると、そう伝えたかったのだ。
「そっか、そうだよな……。」
「うん、きっとどこかで、先生達とも、小町達とも繋がっているんだよね。」
ギンガは左腕の青いブレスを、Xは師と友から託された光のカードを見て微笑むだけだった。
そうだ、自分達はたとえ離れ離れになろうとも、きっとどこかで繋がっているのだと。
頷きあい、ギンガとXも掌に自身の力の欠片を光とし、それぞれに受け渡す。
コレで何があっても大丈夫、きっとまた出会えると。
「それを教えるために、先生はここにあたし達を呼んだのかもね、何が起きても大丈夫って、ね?」
「きっと、そうだよ。」
ビクトリーの言葉に、Xはその通りだと頷く。
彼等ならば、そういう風に回りくどく伝えてくれると信じているから……。
『ならばその絆ごと、この地に骨を埋めるがいい。』
「「「……ッ!!」」」
暖かな空気を切り裂く様に、哄笑と共にそれは姿を現す。
臨戦態勢を取った彼等の目の前に、群青色の体表を持った巨人だった。
胴体、特に胸元にはウルトラマンのカラータイマーとは真逆の印象を抱く、禍々しいクリスタルが輝き、その表情は不敵かつ残忍な笑みを浮かべている様にも見えた。
「お前は何者だ……!?」
警戒を崩さないまま、ギンガが敵の正体を探るべく声を上げる。
先程の言葉と言い、どう考えても友好的とは思えないが、攻撃の口実を与えないためにも先制攻撃だけは行わない様子であった。
『我が名はレイバトス、この地に眠る怪獣達の魂を使い、全宇宙を征服する者なり!』
「レイバトス……、聞いたこと無いね!」
応えてやるが世の情けと言わんばかりのレイバトスに、ビクトリーは聞いたこと無いぞと一笑に附す。
目の前に居る敵が良くない企みをしている事は分かった。
だが、今の彼女達が戦おうとしているモノはもっと悪辣な、平行宇宙にすら被害を齎そうとする存在だった。
故にレイバトスがやろうとしている事自体は見過ごせないが、ハッタリをかますにしても迫力不足でしかなかったのだろう。
『覚える必要もない、今ここで、お前達は全てを終えるのだ!』
構えを取り、レイバトスは彼等に向けて突っ込んでくる。
その手で命を刈り取ってやろうという心づもりなのだろう、全身に殺意があふれている様子だった。
「やる気か……!行くぞ!!」
「「勿論!!」」
ギンガの檄が飛び、ビクトリーとXが勇んで応じて迎え撃つ。
向ってくるレイバトスに対し、ギンガが先行し取っ組み合う形になり、進撃の勢いを殺し、後ろから飛び出したビクトリーが顔面付近に蹴りを叩き込む。
『ぬぅ……!!』
ギンガと組み合っていたせいで回避しきれずに直撃する。
一瞬仰け反ったのを見逃さず、ギンガは取っ組み合いから離れショルダータックルを叩き込む。
『ぐぬっ……!!』
何とか体勢を立て直して反撃しようとするも、ゼロアーマーを纏っていたXがギンガの隙をカバーするように間に入り、ウルティメイトゼロソードで横薙ぎ一閃、レイバトスを大きく後退させる。
ゼロの力を写されたカードの力だけあり、攻撃の一つ一つに必殺の威力が籠められていた。
後退するレイバトスを追い、3人は全くの同時にストレートキックをその胴に叩き込む。
3人のフォーメーションは完璧に息があっており、それこそ隙を見つける事さえ困難なほどだ。
それを受けて、レイバトスはダメージに呻くしかなかった。
『お、おのれ……!中々やるようだな……!!』
ギンガ達が中々の使い手であると悟ったのだろう、レイバトスは蹴りが入った場所を僅かに擦りながらも意識を切り替える。
肉弾戦は数の不利を考慮しても、3人のウルトラマンの方が上である事は認めざるを得ない。
ならばどうするか、まずは数の不利を埋めてやればいい、戦術の基本だ。
『ではこれはどうだ、ウジュイカ、レエガミヨ……!!』
印を刻む様に両の手を擦り合わせ、闇のオーラを増幅、目の前に打ち出すように突き出した。
それは、怪獣墓場の宙に漂う怪獣達の魂と結びつき、実体となってその姿を現す。
数は6体、ベムラー、レッドキング、ゴメス、エレキング、コッヴ、そしてシルバゴンから構成される再生怪獣軍団だった。
「怪獣を呼び出した……!?」
「あたし達が倒した怪獣が……!?」
それは嘗て、自分達がウルトラマンとして戦い始めた頃に戦い、倒した怪獣達の姿をしていた。
まさかの召喚かと、ギンガとビクトリーは身構える。
『驚いたか、これが私、亡霊魔導士レイバトスの力、貴様たちに倒された怪獣達を蘇らせたのだ!!』
「蘇らせる……!?なんて厄介な……!?」
レイバトスの言葉に、Xは驚愕に目を見開き、状況の厄介さに歯噛みする以外無かった。
嘗てのエタルガーのように怪獣を呼び出し戦わせる敵の存在に、驚く以外無かったのだ。
『行け、怪獣軍団よ!!』
レイバトスの号令に、怪獣達は咆哮をあげながらも彼等へ向かってくる。
「こうなったら加減はなしだ!!」
「「OK!!」」
ギンガの檄が飛び、ビクトリーとXも同じ想いだと返す。
時空の歪だとか訓練だとかどうでもいい、今は目の前の脅威を退ける事が先決であると判断しての事だった。
「ギンガスパークランス!!」
「シェパードンセイバー!!」
『サイバーゴモラアーマー!アクティブ!!』
ギンガとビクトリーはそれぞれ得意とする得物を、Xはゼロアーマーをパージし、主に対怪獣用として使用しているゴモラアーマーへと換装する。
基本形態のままの装備とはいえ、多数相手にはこの装備が向いていると判断したのだろう。
3人はそれぞれ向かってくる怪獣達に向けて走り出し、各自が同時に2体を相手にするという形をとる。
誰か一人に比重が偏る事もなく、適切に相手が出来る最大数であると言えるだろう判断は、彼等に染み付いた戦士としての強さだった。
ギンガはベムラーとコッヴを相手取り、ランスの長い間合いを有効に使って距離を詰めさせず、コッヴの頭部を斬りつけた反動を利用し、振り返りざまに背後に迫っていたベムラーに回し蹴りを叩き込む。
ビクトリーはエレキングとゴメスを相手に、両者の長大な尻尾による打撃及び電撃をセイバーで打ち払いながらも懐に潜り込み、連続で斬りつける事で的確にダメージを与えていく。
Xはゴモラアーマーのパワーを活かし、レッドキングとシルバゴンの突進を真正面から受け止め拮抗、2体を担ぎ上げる様に持ち上げ、自身の後方へ投げ捨てる様に叩き落とす。
それだけでは終わらない、ギンガはベムラーの腹にランスを突き刺し、大きく振り回して投げようとする素振りを見せる。
それを見たビクトリーはすぐさま反応し、ゴメスの尻尾を掴んで思いっきり引っ張り、エレキングの方へ誘導する。
見事に誘導されてしまった2体は衝突し、一瞬何が起こったと言わんばかりに焦ったような叫びをあげる。
その瞬間、回転の勢いがついたままに放り投げられたベムラーがゴメスとエレキングの方へ飛び、押しつぶすようにして叩き付けられる。
飛んできたベムラーを受け止めきれずに、縺れて倒れ込んだ。
それは明確な隙でしかない。
ギンガとビクトリーはすぐさま体勢を整え、必殺技の贈り物を見舞う。
「ギンガクロスシュート!!」
「ビクトリウムシュート!!」
L字に組まれた腕から光線が放たれ、倒れ伏していた三体の怪獣に直撃、あまりの威力に耐えることも出来ずに爆散、そのまま元の骸へと還した。
「ゴモラ振動波!!」
起き上がり受かってきたレッドキングとシルバゴンを、超震動エネルギーを全開にして再度真正面からぶつかり合う。
だが、両のクローは先程よりも深く怪獣達の腹に突き刺さり、体内へとエネルギーを流し込み、一気に爆散させた。
残ったのはコッヴ一体、仲間がやられた事に驚いたか、一瞬動きが止まる。
「「「はァァァッ!!」」」
それぞれの装備を光に返し、全くの同時に飛び上がる。
ビクトリーは左足に、ギンガは両足に、Xは右足にエネルギーを集中、コッヴ目掛けて突き出す。
それはコッヴの腹にぶち当たり、一瞬の拮抗さえ許さずに吶喊、一瞬にしてその身体を粉々に砕き、墓場へと還した。
「どうだッ!」
この程度ではヤラれてはやらんぞと、ビクトリーは挑発するようにレイバトスを見やる。
確かに数を出される事自体は脅威だが、それもエタルガーとの戦闘で織り込み済み、この程度では脅威にもなりはしないと。
だが、それでも多少の時間は掛かったのは事実、その時間は何かをするには十分過ぎたのだ。
『ご苦労、予想より早かったが、最早お前達には何も出来まい。』
嘲笑う様に話すレイバトスの前には、途轍もない質量のエネルギー弾が形成されていた。
それは途轍もない大きさで、回避などさせるつもりはないと言外に語っていた。
『このまま、この地に骨を埋めるが良いっ!!!』
言葉と同時に、レイバトスからエネルギー弾が放たれる。
「……ッ!!沙希!彩加!!」
これは避けられないと悟ったか、ギンガの激と共に迎え撃つ構えを取る。
「ザナディウム光線!!」
Xが必殺の光線、ザナディウム光線を放ち、エネルギー弾を破砕せんとする。
「「ギンガビクトリーアルティメイタム!!」」
ギンガスパークランスとシェパードンセイバーから放たれる合体光線、ギンガビクトリーアルティメイタムも、先に放たれていたザナディウム光線と絡み合い、エネルギー弾と衝突し拮抗状態に持ち込む。
衝突の際に衝撃が発生し、空間を震わせる。
少しずつ、何かが変調していく気配を漂わせる。
だが、弾き返すにはまだ足りない。
もっと力を解放するしか、この技を打ち破る事は出来ないと。
「沙希!彩加!!もっと力を解放するんだ!!」
「わかってるよ……!!全力出してやる!!」
「でも、これ以上力を出したら……!!」
ギンガの言葉に同意し、力を籠めるビクトリーと対照的に、Xはこれ以上の拮抗で起きる事を危惧していた。
彼は気付いていたのだ、先程から空間の歪みがどんどん大きくなってきていることに。
今以上に力を解放すれば、本当にどうなるかわかった物ではないと。
「わかってるよ……!だけど、俺達ならきっとまた巡り会える!!どれだけ離れたとしても!!」
それを理解して尚、自分達の絆と縁を信じているギンガは更に力を解放する。
たとえ空間の歪みに呑まれようとも、どこかの世界に流れつこうとも、必ず巡り会えると。
「だから!今はレイバトスを倒す!!コイツを野放しには出来ない!!」
だから、今は目の前の脅威を退けるのみだと。
それ以外考えるなと。
「あたし達で、コイツを倒すよ!彩加!!」
「まったくもう……!!絶対に見つけ出してみせるからね!!」
ビクトリーからの発破に腹を決めたか、Xは仕方が無いと言わんばかりに力を解放、エネルギー弾を打ち破らんと力を籠める。
光のエネルギーは彼等の意志と呼応し、その力を遥かな高みへと押し上げる。
エネルギー弾が徐々にヒビ割れて、押され始める。
『こ、小癪な……!!』
如何に数で勝っているとは言え、ここまでの力を出せるとは思っても見なかったのだ。
『み、認めん……!この我が……!?』
「「「逃がすかァァァ!!!」」」
籠められ光が束と成り、エネルギー弾を貫き破砕、そのまま突き進み、逃げ損ねたレイバトスにぶち当たる。
『ぬ、ぬぁぁぁぁぁ……ッ!??』
一瞬の拮抗の後、光線はレイバトスを貫き、盛大に爆散させた。
だが、それが引き金になったか、それとも限界を超えたか、空間の歪みが遂にワームホールとなり、強烈な引力が発生する。
「うわっ……!?」
「くうっ……!!」
光線を出し切った直後で動き出しがワンテンポ遅れたギンガとビクトリーは、得物を地に突き刺す事で耐えようとするが、その足場ごと吸い寄せられていく。
「うわわッ……!?」
Xが勢いよく吸い寄せられ、ワームホールの中へ引き込まれていく。
「彩加ーーッ!!」
「彩加……ッ!!」
助けに飛ぼうとして、彼らもまたその超引力に吸い寄せられてしまう。
藻掻けど藻掻けど飛ぶことすら出来ない。
3人の距離は開いていく一方だった。
「沙希ーーッ!!」
「八幡……ッ!!」
ギンガとビクトリーが手を伸ばすが、その手を掴む事は出来ずに、彼等は別々の方向へ吹き飛ばされてしまった。
ワームホールが閉じた時に残されたのは何も無く、酷く思い静寂だけ……。
『ぬ、ぬぅぅぅ……!!』
いいや、違った。
空間に散らばった闇が一か所へと集まり、形を成していく。
『ま、まさかこの私に、このような傷を……!』
その闇、レイバトスはダメージに呻きながらも傷口を抑える。
再生能力でも持っているのだろうか、徐々にその身体は元に戻ろうとしていた。
だが、受けたダメージのためか、その速度も微々たるもの、完全再生には時間を要すると思われた。
それではいけない、全宇宙を支配するためにも、こんな所でくたばる訳にはいかないと。
『こ、こうなれば、あの悪魔を呼び起こすまで……!!』
何とか戻った腕を組み、印を切る。
それは、先程怪獣を蘇らせる時に使った術の発動を意味していた。
『甦れ……!全宇宙を破壊する悪魔……!レイブラッドに侵されし悪のウルトラマンよ……!!』
掌から闇の波動が撃ち出され、形を成そうとして……。
何も蘇らせる事なく霧散して消え去った。
『なッ……!?そんなバカな……!?』
有り得ないと、死者を蘇らせることが出来る自分なら、どれ程高位な存在であろうと蘇らせる事が出来る。
それが叶わないという事が意味するところは―――――
その先を考えるよりも先に、焔が迫る。
『なにッ……!?」
避ける間もなく、火炎球がレイバトスに直撃、その身体を内部へ閉じ込める。
それは焔の監獄、何者も逃れることの出来ない檻。
『な、何者ッ―――――』
誰がやったかを確かめるより先に、その檻はレイバトスの身体ごと飛び、付近を流れていたマグマの中へと飛び込んでいく。
逃れる事すら、抵抗する事すら出来ずに、レイバトスは焔と共にマグマの中へと消えて行った。
あまりにも呆気ない幕切れを齎したのは、唯一人の存在だった。
「これで厄介な妖術使いは封じ込められたかしら?」
沈んでいった焔を見届ける様に、薄桃色のローブを身に纏う人影が怪獣墓場の大地を踏み締める。
力強く悠然に、そして何よりも軽やかな足取りだった。
「さてと、これまでは3人揃って戦えてたけど、これから先はどうなるのかな?」
ローブの影から覗く顔は、ウルトラマンメビウス。
ASTRAY序列陸位、リーカ・S・ヒエロニムス。
彼女もまた、ギンガ達の師の1人であり、全宇宙に名を残した者だった。
「一夏の頼みで見に来たけど、3人揃っての戦力は本当に申し分ないかな?後は個人個人の力の底上げだけとは言ってたけど……、あの人は何処まで見通してるのかしら?」
序列壱位の頼みで観察した弟子たちの力は、報告で聞く以上の物になっている事は確かだ。
それを予見していたからこそ、彼女達のリーダーは怪獣墓場を次の行き先に指定し、空間の歪を利用しての次元移動を学ばせたのだろう。
本当に、千里眼でも持っているのかと疑いたくなるが、それは単に弟子達の成長を信じているからこそだ。
是位にはなってくれているだろうという期待の現れである事は、彼女自身もよく分かっていた。
「まぁうん、私も楽しみなんだけど、ね。」
だが、それはそれで結構。
彼女も弟子達の成長を楽しみにしているのは確かだ。
行き着いた先で更に力を着けて、またいつか、自分達と相見える時に真っ当にやり合える位になって欲しいと。
「八幡君、沙希ちゃん、彩加君、またいつの日か会おうね。」
フードを目深に被り、彼女は怪獣墓場を後にする。
自分達のリーダーに報告するために。
人知れず、自分達の目標のために暗躍しながらも、心待ちにしていた。
いずれ訪れる、その時を待ち侘びて……。
はいどーもです!
次の話からそれぞれの主人公達にスポットを当てて書いていきます(要するに新章突入です)
その前に裏話を入れるかも知れませんが、それはお楽しみと言うことでひとつ……
次回予告
青空広がる惑星、地球。
平和だったその星、その街に、嵐が巻き起こる。
次回ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga
再臨編 蒼穹の風来坊
お楽しみに