ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga   作:ichika

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超えていく力

 

「――――――それが、あたしの罪……、逃れられない過去の……。」

 

懺悔を終える咎人の様に、ミソラは涙を流しながらも語り終えた。

重く辛く、そして、救いのない、過去の話を……。

 

その話を聞き終え、八幡もまた、先程の戦闘でミソラが何を見ていたのかを察することが出来た。

 

「なるほどな……。」

 

唸る様に低く、重く短い言葉を、今の八幡には絞り出すことしか出来なかった。

 

なるほど、先程の戦闘で、ミソラはそのイルミナという女の幻影を見ていたことになる。

いいや、それだけではないはずだ。

 

自分がその幻影を生み出せるとするならば、相手に見せるのは何も姿だけではない、相手が最も傷つき、恐慌する言葉を幻影に投げさせるはずだ。

だから、ミソラが何を謂れ、何と戦っていたかも気付いていた。

 

彼女は、自分の罪の意識から産み出した、自身への恨みを募らせたその女、イルミナと戦っていたのだ、と……。

 

それが正解かと、八幡はブラック司令を一瞥する。

ミソラとも旧知の仲であるならば、それくらいは知っているだろうと。

 

彼の視線に、何を問われているか察していたのだろう、ブラック司令はイルミナを悼む様に目を伏せるばかりだった。

 

何も言える筈も無い、彼もまた、その痛みを知っているのだから……。

 

嘗てのブラック司令も、獅子の瞳を持つウルトラマンに、配下の円盤生物をすべて殺された。

赤き獅子への恨みにも駆られた事もある、死んだ彼等に恨まれていると感じたこともある。

 

ミソラの痛みが分かっているからこそ、何も、何もしてやる事が出来なかったのだ。

 

だから、どうするのかと、救ってやれるかと、彼は八幡に視線を返した。

彼が、この闇を照らしてやれると信じて……。

 

その視線にしっかりと合わせ、八幡は静かに頷く。

分かっていると、何よりも雄弁に語る様に。

 

「あたしは……、あたしはイルミナを見殺しにした……、何度も助けてくれたあの人を……、大好きな、姉と慕った人を……!!」

 

ミソラの頬を涙が伝う。

それは悔恨と悲嘆の涙。

 

その笑みを、その声を、その背を忘れた事など1日たりとも無かった。

 

忘れることなど出来るはずもない。

素晴らしい人だったと、今でも胸を張って語れる程に。

 

そんな人を自分が撃ってしまった。

だからこそ、彼女は強く感じているのだ。

 

イルミナは自分を恨んで死んでいったに違いない、と……。

 

顔を覆い、泣き崩れるミソラの姿は痛々しいものだった。

立ち上がれないと、前など向きたくもないし、向けないと……。

 

八幡は静かにその懺悔を、後悔の吐露を、嗚咽を聞いていた。

 

誰かを目の前で、それも自分を庇った事で失う経験を、彼も持っていた。

 

地球に降り立ち、幼き日の義妹を助けてくれた異星の親しき人を思いだす。

ヒトを救うためとはいえ、異種族間リテラシーの低い地球人に迫害され、逃がそうと協力した八幡を庇って死んだ、メイツ星人ムエルト……。

 

一時は、幾ら故郷の町とはいえ、戦う事も、護る事もやめてしまおうとさえ思った事もある。

それだけ、同族への怒りが強かったから。

 

それでも自分が前を向けたのは、友の言葉と想い……。

護りたい者達がそこにいるから護ると、そう割り切れたから立ち上がる事が出来たのだ。

 

そして今の彼は、知らないから繰り広げられた迫害を、別の地で繰り返させないと、自戒する事も出来るようになった。

 

時の流れと経験が、彼に戦う理由を見出させたのだ。

 

だが、聞く限りミソラは八幡以上に自責の念が強い。

仕方あるまい、目の前で、しかも自分がトドメを刺したのだから、どこまで行っても罪の意識からは逃れられない。

 

それが、彼女と彼の大きな違いであった。

だから、今の彼には掛ける言葉を探し出すことは出来なかった。

 

討つべき敵を撃っただけだと。

殺したのはその敵だと、お前は悪くないと。

 

そんな簡単な慰めの言葉を掛けることほど残酷で身勝手なことは無い。

そんな言葉で、人の心は納得しないし、出来る筈も無い。

 

何が出来るだろうか、何をすべきだろうか。

答えはない、ただ、あるとするのならば、それは……。

 

「ミソラ、ちょっと面貸せ。」

 

席を立ち、彼は未だ俯くミソラの手を引いて外へ行こうとする。

 

「え……?」

 

何処に行くのか、何をするのか、何のためか?

理由が分からないミソラは、涙を浮かべたまま、引かれるがままについて行くしかなかった。

 

2人を見送り、ブラック司令はうまく行ってくれと、そう願うしかなかった。

狭間にいる者とて、悩む者が居れば手助け出来れば、と……。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「ここだ。」

 

店を出てから暫くの後、彼等はビルの外壁を伝う階段を昇っていた。

 

何の変哲もない、何処にでもある雑居ビル、高さは40メートル程、ウルトラマンの目線に換算すれば、ちょうど首元か、少し上の高さ程度だろう。

屋上に登れば、街の様子を一望できる場所だった。

 

「こんな所に……、一体何が……?」

 

何故自分をこんな場所に連れて来たのだと。

散々自分の傷口を抉らせておいて、何を言うでもするでもなく、こんな何の変哲もない場所に連れて来たのだと。

 

何もないじゃないか。

空はまた灰色の雲に覆われて、先程の戦で傷ついた街並みがそこにあり、人や乗り物が忙しなく行き来している。

 

下から見るのと何も変わりもない、傷ついた街や人がそこに在るだけだった。

 

だから、こんな景色を見せられたとて、何も分かる訳じゃないというのに……。

 

「分かるだろ?」

 

そんな彼女に、八幡は目の前に広がるモノがあると、短く答えていた。

 

その様子に、ミソラは僅かな苛立ちを覚える。

自分が見えない何かが見えているのかと。

 

「分からないわよ……!一体何だって言うのよ……ッ!!」

 

その苛立ちは、沸々とした怒りへと変わっていく。

意味ありげに見ているだけでなく、言葉で示したらどうだと叫ぶ。

 

睨む様に鋭い視線で、彼女は彼を見た。

それは答えを教えろと、そういう様に……。

 

その怒りを受けても、八幡は表情を崩さなかった。

彼の表情は至って真剣であり、心の底から彼女と向き合っていると。

 

ミソラに背を向け、彼は街を見詰める。

視線の先に変わったものは何もない、ミソラが見ているモノと同じ光景がただ広がるだけだった。

 

いいや、だからこそ、何も変わらないからこそ意味があると、彼はそう伝えたいのだ。

 

「分からないってのなら、あんたは何も見ちゃいないんだな、ウルトラマン失格だ。」

 

呆れも怒りも何もない、ただ冷淡なまでの無表情で八幡は告げる。

この光景に何も感じないのならば、お前はウルトラマンではない、と。

 

「―――――ッ!!」

 

その言葉に、ミソラの思考は怒りで埋め尽くされる。

散々煙に巻くようなことを言っておいて、ウルトラマンじゃないとは一体どういう了見かと。

 

確かに自分にはそれを名乗る資格などないかもしれない。

慕った者すら助けられなかった、弱者であると分かっている。

 

だけど、今までの生き方を否定されるほど、自分は落ちぶれていないとも思っている。

 

何も知らないくせに、何も分かっていないくせに!!

 

怒りに任せ、彼女は八幡に殴りかかる。

彼女の拳を受け止め、次々と繰り出される拳打を、蹴りを、彼はその全てを捌いていく。

 

怒りに任せた拳など、本能で振るわれるそれよりも予想のしやすいものでしかない。

 

「この程度か、やはり見えていないんだな。」

 

「なにをぉぉぉ……ッ!!」

 

放たれる言葉に、ミソラは更に激昂し、力を籠めた拳を蹴りを、掴み技を試みるも、どれも躱され捌かれてしまう。

八幡の格闘スキルが高い事もあるが、それでも怒りによって精彩を欠いたミソラの技など、彼にとって脅威ではなかった。

 

当てようとしても、まるで霞を掴むかのような感触に、ミソラは苛立ちを募らせる。

 

そして、八幡の頭を狙って放たれたハイキックを、彼は身を屈める事で回避し、ミソラの軸足を蹴り払う。

 

「……ッ!!」

 

一瞬の浮遊感を感じた直後、身体がひっくり返る感覚が彼女を襲う。

受け身を取ろうとしたが、それより早く八幡の蹴りが彼女に迫ってくる。

 

咄嗟に両腕をクロスして防御態勢を取るも、威力を殺す事は叶わなかった。

大きく吹っ飛ばされ、彼女はビルの壁に叩き付けられる。

 

「ぐぅ……ッ!!」

 

あまりのダメージに、彼女は立ち上がる事すら出来ずに悶えるしかなかった。

何のためにこんなことをしているのかと、痛みに混乱する頭で答えを出そうとしても、何も浮かんで来る筈も無かった。

 

「ミソラ、あんたは何も見えちゃいない、戦うべき相手も、その意味も。」

 

彼女を見やりながらも、八幡は告げる。

 

今のミソラは戦う意味を見失っていると。

だから、煽られただけで理性を失くし、八幡の隙さえ突けなかったと。

 

「何も見えない時に戦っても、何も得られやしない、だから……。」

 

ミソラを見下ろしながらも、彼は続ける。

今の状態ではいけないと、本当の在り方を理解しろと告げる。

 

「もう一度、思い出す事からやってみろよ、何のために戦うか、自分の足元に何があるのかも。」

 

見失っているモノを見つけろと、八幡はそこが乗り越えるべき壁だと突き付けた。

それが分からない限り、乗り越えられる訳もないし、割り切る事など出来ないと。

 

手荒ながらも、八幡は伝えたかったのだ。

彼女に戦う意味の、その真意を。

 

だが……。

 

『そんなもの、そいつに分かる訳がない。』

 

またしても、彼等の前に闇の靄が現れる。

男のモノとも女のものともつかない声が響き渡った。

 

「イルミナ……!!」

 

『無様ねミソラ、そのままくたばってしまったら楽になれるのに、本当にしぶとい女!』

 

青褪めるミソラへ、イルミナはさっさとくたばれと吐き捨てながらも迫る。

今ここで息の根を止めると、その勢いからは見て取る事が出来た。

 

八幡から受けたダメージに動けない今のミソラでは回避する事さえ出来ない、その魔手が迫ろうとして……。

 

「おっと、今回は俺が相手だ、霞ヤロウ!」

 

その突進を、八幡が間に入る事で遮り防ぐ。

彼には未だにその靄が立体的なものであるとしか分からなかったが、それでも攻撃の気配だけは感知できる。

故に、攻撃を遮る事ぐらい造作もなかった。

 

『お前……!!』

 

防がれた事に、靄は忌々し気に彼を睨む気配を見せる。

邪魔をするなと、お前は後で良いと。

 

「ちょっと付き合えよ、お前が一番強いと思ってる姿で、俺を倒して見せろよ!!」

 

『調子に乗るなよ……!ウルトラマンギンガ!!』

 

光と闇に包まれ、巨大化したギンガと闇に包まれた何かが姿を現した。

 

「八幡……!イルミナ……!!」

 

目の前で繰り広げられるギンガとオーブダークの戦闘に、ミソラは漸く動けるようになった身体を起こしてその趨勢を見るしか出来なかった。

 

オーブダークの拳打を、ギンガはあっさりと受け止めつつ、手首を捻り、オーブダークを合気道の様に投げて地に倒す。

追撃を掛けるべく踵落としを叩き込もうと動くが、オーブダークは身体を靄に変えて脱出、ギンガの背後に現出、押し倒さんと迫る。

 

だが、ギンガもそれは呼んでいたのだろう、振り下ろし叩き付けた足を踏ん張り、裏拳を叩き込んだ。

 

「どうした!この程度かよ!!」

 

怯んだオーブダークへ、ギンガは回し蹴りを叩き込んで大きく吹っ飛ばした。

オーブダークは吹っ飛び、自身と紛う程の地響きを立てて地に倒れ伏した。

 

その力の差は歴然だった。

ギンガの恐れるモノを読み取れなかったために、彼に対する脅威度が足りずに実態を、それに見合う実力を発揮する事が出来なかったのだ。

 

それを初戦で察したギンガは、今ここで倒しきって見せると闘気に溢れていた。

 

起き上がるオーブダーク目掛け駆け出し跳躍、ドロップキックをぶちかます。

その威力は凄まじく、大きく吹っ飛ばされて轟音と共に地に倒れた。

 

「これでトドメだ!!」

 

ギンガの身体のクリスタルがピンクに光り輝き、ギンガサンシャインの前段階だと示す。

前回とは違う、フルパワーで打ち出してやると言わんばかりの気迫が、今の彼からは見て取れた。

 

ガードも出来ずに、ただその光に呑まれて消えるモノだと思われた、正にその時だった。

 

不意にギンガの足元が陥没し、崩落に巻き込まれる。

 

「なにっ……!?」

 

技の発動間際だったからか、沈む地盤から飛び退く事が一瞬遅れてしまった。

穿たれた穴に足が嵌り、体勢を崩してしまう。

 

その穴から現れたのは、先日逃したデスドラゴだ。

折れた角は再生していないながらも、その他の傷は癒えたのだろう、その瞳は怒りに燃え、ギンガへ執拗に迫っていく。

 

「この前の……!こんな時に出てくるか……!?」

 

何とか穴から逃れつつ悪態を吐くギンガへ、体勢を立て直したオーブダークへが迫る。

今度は徒手空拳ではなく、カリバーを使った剣戟で攻め立てていく。

 

その剣戟を腕を掲げて咄嗟に防ぐも、やはり勢いは殺しきれるものではない。

斬りつけられた箇所から鮮血と見紛う火花が飛び散る。

 

「ぐぅ……っ!」

 

ダメージに表情を顰め、一瞬だけ後退するギンガの背後には、完全に穴倉から抜け出し姿を現したデスドラゴが在った。

怪獣はギンガを受け止め、雷撃を食らわせて的確にダメージを与えていく。

 

「ぐぁぁ……ッ!」

 

「あぁ……ッ!?」

 

意図してはいないだろうが成立してしまっているコンビネーションに、ギンガはダメージに呻き、ミソラはまさかの光景に、悲鳴の様に喘ぐことしか出来なかった。

 

動き出せない、脚が竦む。

今すぐに変身して、彼を援護しなければならないと分かっている。

 

それでも、身体が動かない。

怖いのだ、また、あのような事を繰り返してしまうかもしれないと。

 

喪う事が怖いのだ。

 

その様子を、ギンガは横目で見ていた。

彼女の脅えも、恐れも全て肯定しつつも、それではいけないと、彼は立ち上がる。

 

示さなければならないと、そのために自分は今ここにいると。

 

「う、おぉぉ……ッ!!」

 

ダメージを堪えながらも、ギンガは果敢に二体の敵を相手取る。

だが、劣勢である事に変わりはない。

 

嘲笑う様に、オーブダークはカリバーによる剣戟を繰り出す。

闇の力の乗せられた斬撃は、ギンガの接近を妨げるどころか、掠めただけでもその身体に傷をつける。

 

「ぐ……!!」

 

剣圧に飛ばされるギンガの退路を、デスドラゴが塞ぎ、その背に体当たりを食らわせ、ギンガを地に倒す。

 

それでも、ギンガから闘志が消えることは無い。

彼は、最後まで抗うつもりなのだ、勝つまで諦めるつもりなどないと。

 

『しつこい……!貴様もこれで地獄へ堕ちろッ!!』

 

その意志に、光に苛立ちを隠せないままに、オーブダークはカリバーを天高く掲げる。

それは、オーブ最大にして最強の技の発動を意味する。

 

「……ッ!!」

 

ミソラが息を呑むも既に遅い、その技は、この街を滅ぼさんと放たれようとしていた。

 

「八幡――――――ッ!!」

 

何とかして伝えねばと、その必死な想いが口を突いて叫びとなって飛び出す。

 

ギンガが反応すると同時に、その技は放たれる。

周囲諸共、彼等は強烈な閃光に包まれる。

 

致死の閃光に、彼女は自身の身体が呑まれて消えていく幻を見る。

 

あぁ、漸く終わらせる事が出来ると、半ば諦めて……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――諦めるな!!――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

声が聞こえた気がした……。

何よりも強く、そして暖かく優しい声が……。

 

「え……?」

 

呆然と、ミソラは目を開ける。

閃光に目をヤラれたか、辺りは白く霞む様にしか見えない。

 

だけど、その一角に、人の形をした何かが見える。

 

輪郭からして女性のモノだろうか、その何かは、彼女を真っすぐ見据えている様に思われた。

 

「イルミナ……。」

 

その影に、彼女は見覚えがあった。

今、彼女を苦しめる闇の姿ではない、嘗ての姿で、ミソラを見詰めていた。

 

「どこまでも、あたしを赦さない、って事よね……。」

 

死の際に看取りに来てくれたかと、連れて行くと言われているとでも思ったのだろう、ミソラは諦めた様に、自嘲するように嗤う。

それでも良い、もう連れていてくれと。

 

だが、イルミナはゆっくりと首を横に振る。

そうじゃないと、彼女に対しての恨みつらみでここにいる訳じゃないと。

 

「え……?」

 

一体何を言いたいのかと、その真意を図りあぐねたミソラは、呆けた様な声しか出せなかった。

 

そんな彼女へ、イルミナはある一点を見詰める。

そこに在るもを見てみろと、声なき声で伝えていた。

 

何があるのかと、白い空間の一点を見る。

閃光に潰された目が、漸くその機能を取り戻し始める。

 

徐々に先程までの街並みが見えてくる。

所々破壊されてはいるものの、それでも壊滅はしていなかった。

 

何故だ、オーブダークは確実に破滅の一撃を放ったはず……。

何があったと、その正体を彼女はすぐに思い知らされる。

 

「あ……!」

 

彼女の目が、それを捉える。

街を、彼女を、そして足下にいる逃げ遅れた人間達を護る様に立ち、バリアを展開し攻撃を防ぐ、光の巨人の背……。

 

「は、八幡……!!」

 

ギンガ自身もダメージを受けたのだろう、カラータイマーは点滅し、今にも倒れそうなほどに傷つきボロボロだった。

だが、それでも彼は倒れない、諦めていない。

 

「なんで……!?どうしてそこまでして……!!」

 

何故戦う、何のために戦う?

何の所縁もない、この星を、自分を助けるのかと。

 

『―――――』

 

イルミナが何かを伝える様に、指し示す。

その先にあるのは、地球人の姿。

 

傷付いている者もいた、倒れ込み意識を失っている者もいた。

だが、それでも生きている、彼が救ったと理解する事が出来た。

 

そして、イルミナは次に、ミソラを指さす。

その行動が意味する事は……。

 

「同じだというの……?地球人と、あたしは……?」

 

無力だと言いたいのかと、ミソラは問う。

無力だから、護らなければならないと思っているのかと。

 

その問いに、イルミナはギンガを見る。

彼が、その答えだと。

 

「あ―――――」

 

八幡に問われた事がフラッシュバックする。

何のために戦うか、戦いの意味は何かと。

 

繋がった。

 

彼が言わんとしていた事と、目の前の光景の、その意味が。

 

「護りたいから、関係なかったとしても戦うというの……?」

 

震える声に、ギンガは首だけで振り返りながらも首肯する。

 

ミソラの言葉を肯定した訳では無いだろう、ただ純粋に彼女の無事を認め、安堵しているだけなのだろう。

 

だがそれでも、そこにある意志に、何の変わりもないのだ。

 

何処の人間だろうと関係ない、何を目指していようが関係ない。

謂れのない暴力に晒されているのならば、己の信念と力、その全てを賭けて護って見せると。

 

ギンガの首肯に合わせ、イルミナも強く頷く。

自分もそうだったと、護りたいから、生きてほしいからミソラを護ったのだと。

 

何よりも強く、彼女の意志が物語っていた。

 

「あたしを、護りたかったから……?あたしを恨んでないと……?」

 

縋る様に、赦しを求める様にイルミナに問う。

その答えを、自分が今生きている答えを……。

 

『―――――』

 

イルミナは困ったように、それでも優しく笑みながらも首肯する。

生きていてくれて嬉しいと、ミソラの生を喜んでいる様だった。

 

「イルミナ……ッ!」

 

感激の涙が頬を伝う。

後悔がなくなったとは言うまい、だが、それでもずっと凝り固まっていた何かが、1つ落ちて行くような感触があった。

 

あぁ、生きていいのだと、前を向いて歩いて良いのだと。

死して尚、彼女は自分を想ってくれている、それが嬉しかった。

 

ミソラの涙を指で拭って、イルミナは両手で彼女の手を覆った。

 

そこに光が溢れ、1枚のカードが現れる。

力の源、喪われた筈の力が描かれたカード。

それは、2人の絆そのものだった。

 

「戦う本当の意味……、ずっと忘れてた……。」

 

そうだ、自分はイルミナと一緒に、罪なき者達を脅かす悪を討つ為のバウンティハンター。

宇宙のならず者を狩り、誰かを護る為に戦っていた。

あぁ、彼はそれを問うていたのかと、やっと気づいた。

 

そうだ、この街は一度は自分が守った場所だ。

そんな場所を、そこに棲む人々を護りたいと思う事に、何の間違いもない。

 

そのために、自分自身の力を使う。

今までも、そして、これからも。

 

「だけど、もう見失わないよ、イルミナ。」

 

泣き顔のまま、彼女はイルミナに笑って返す。

もう忘れないと。

 

その笑みに、イルミナもまた微笑む。

迷わず進めと、その背を押す様に。

 

「行こう、これが、あたし達の本当の力よ!!」

 

しっかりと足を踏ん張り、彼女はオーブリングへカードを読み込ませる。

 

『覚醒せよ!オーブの力!!』

 

リングを中心に光が収束し、一つの剣を形どる。

剣の中腹辺りに円がある、不可思議な形ながらも、それはオーブの力の源流、四大元素を司る力の結晶だ。

 

柄をしっかりと掴み、腹の部分の円を回転させる。

火、水、土、そして風のエレメントが輝き、中央のオーブの紋章へと光が集う。

 

それは本来の姿への変身、それを可能とする光だった。

天に掲げ、その名を叫びながらもトリガーを引く。

 

その名は――――――

 

「オーブッ!!」

 

光が迸り、彼女の姿を変えていく。

誰かの力を借りる訳ではない、自分自身の光でウルトラマンとなるのだ。

 

ギンガへと迫っていた巨人と怪獣を、彼女は携えた剣、オーブカリバーの剣戟で後退させる。

 

「へっ……、遅すぎるぞ、ミソラ……。」

 

ダメージに表情を顰めながらも、それでも八幡は笑っていた。

答えは得たかと、そう問うている様だった。

 

その笑みを背に、彼女は宣言する。

自身の本当の姿を、その本当の輝きを!

 

本当の力、原点の力。

オーブ本来の姿、オーブオリジン!!

 

「我が名はオーブ!ウルトラマンオーブ!!銀河の光で悪を討つ!!」

 

本当の光が、遂に蘇ったのだ……。

 

 

 

 

 




次回予告

過去に囚われているだけでは進めない。
今、彼女が進む道は示されたのだ。

次回ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga

再臨編、銀河の光

お楽しみに
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