ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga   作:ichika

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存在証明

街を歩く一人の青年がいた。

彼は何かを、誰かを探しているのだろうか、辺りを見渡していた。

 

彼、戸塚彩加は飛び出していった若人を探しに出ていたのだ。

 

「さて……、あの手のタイプは何処に行くかなぁ……。」

 

街の構造を良く知らない事もあり、気配を辿りながら探しているが、どうしても遠回りにならざるを得なかった。

 

しかし、場所は凡そには把握した。

目当ての相手は、どうやら複数人の人間がいる場所にいると。

 

「この場所は……、あの公園の中かな?」

 

ひと息でビルの屋上に飛び上がり、彼の気配がする方角を凝視する。

ここから飛んでいくのは目立ってしまうから、また降りて移動する必要がある。

 

「なるほどね、道も憶えたし、取り敢えず様子見して……。

 

地面に降りる前に、上から大まかに道のりを見てから動こうとして……。

 

「……ッ!!」

 

突如として膨れ上がった禍々しい気配に、彩加は息を呑みその方角を睨んだ。

心臓を鷲掴みされるような程に強烈な、闇のプレッシャーが二つ、それが混ざり合い、一つになろうとしている様だった。

 

「こ、この気配は……!」

 

嘗て襲来したダーク・ルギエルとはまた違う、邪悪と呼ぶべき気配。

一つに練り上げられた、禍々しい気配だった。

 

硬直する彼の目の前に、それは降臨する。

 

「あれ、は……ッ!!」

 

その姿に、彩加は息を呑む。

90m近い巨体はまるで怪獣そのもの、赤黒い体表にはエメラルドに輝く鉱石の様な突起が全身に生えるその姿・・…。

 

それは嘗て、彩加達の棲んでいた地球を襲い、最後の最後まで足掻き消えたあの……。

 

「ダークルギエルの……!?」

 

嘗ての敵の姿によく似た存在に、彼は瞠目する以外無かった。

だが、気配はまるで違う、ダーク・ルギエルの怪獣形態、アーク・ルギエルに在ったのは純粋なまでの闇の力。

目の前の存在にあるのは闇と、それ以上に渦巻く邪悪そのもの。

 

そう、まるで違うのだ、在り方が、その存在の核が……。

 

「あれは、一体……!?」

 

目の前の敵の正体を探ろうとしたその時だった。

光と闇の力が渦巻き、一人のウルトラマンの姿が現界する。

 

「ウルトラマンジード……!リオ君ッ!!」

 

そのウルトラマンの変身者の名を彩加は叫ぶ。

その声は不安に彩られており、先走るなと言わんばかりの様子だった。

 

その不安が的中したか、ジードは咆哮をあげながらも、巨獣に飛び掛かっていく。

しかし、その行動は何処か怒りや焦り、衝動に突き動かされている様に見える。

 

「ダメだ。リオ君!!」

 

彩加の言葉より早く、巨獣が振るう腕がジードを弾き飛ばした。

そう、怒りに任せた攻撃など単調で、それも焦りや衝動に駆られたものなど、精彩をこれ以上無いほどに欠いたものになる。

 

それに合わせてカウンターを見舞うなど、ある程度の実力があれば容易い事だった。

 

「何を焦っているんだ……!リオ君、落ち着いて戦うんだ……!!」

 

今のまま戦うなど出来はしないと、冷静になれと叫ぶ。

だが、彼の言葉など届いていないかのように、ジードは尚も猛り、巨獣へと向かっていく。

 

その様は正に獣。

理性など感じさせない、ただ本能のままに戦っている様にさえ見えた。

 

それで勝てる相手ではないと、彩加は憤りを隠す事が出来なかった。

 

敵の懐に入ったジードが攻撃するも効果は無く、逆に身体を掴まれ、持ち上げられるようにして、何度も地に叩き付けられる。

 

強烈な振動が辺りを襲うが、それ以上のダメージを負っている事は誰の目にも明らかだった。

 

このままではまずい。

 

「えぇい……!僕も行く!!」

 

自分も戦わなければならないと判断し、彼はエクスデバイザーを取り出し展開する。

 

呼び出されたXのスパークドールズを手にし、デバイザーへと読み込ませる。

 

『ウルトラマンXとユナイトします!』

 

「X―――ッ!!」

 

光に包まれ、彼は戦うための姿となる。

この地で出会った、迷いを抱えながらも戦う仲間を護るために……。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

大地に降り立ったジードは、威嚇するように咆えながらも禍々アークベリアルと対峙する。

ジードの身長はおおよそ50m、対して、禍々アークベリアルはその倍近くは巨大だった。

 

体格差は歴然であり、それだけの力の差も察することも出来た。

 

「やめろケイス!お前の目的は僕のはずだッ!!」

 

目の前に聳えるその巨体に、ジードは注意を引き付けるべく叫ぶ。

周りは関係ないだろうと、関係のない者達を巻き込む必要など無いだろうと。

 

『お優しい事だなァ、そんな事では、ベリアル様の御体になるなど出来る筈も無い!!』

 

それを甘さと、必要ないものだと嗤う。

ケイスにとって、リオの人格など邪魔でしかないのだ。

黒き王、闇のウルトラマンの復活には、優しさを持つ心など不要であると。

 

故に許せないのだ、悪逆王の血を持ちながらも、その様にならないジードの事が。

だから……。

 

『再教育の時間だ、お前の身体だけもらい受ける!』

 

禍々アークベリアルの咆哮に混じって、ケイスの哄笑が響いてくる。

完全にリオを見縊り侮っている様だ。

 

掛かってこいと、その巨大な腕が手招きするように振るわれる。

その挑発に、ジードは頭に血が上っていく感覚に見舞われる。

 

「うるさいっ!!」

 

何様のつもりだと、自分の何を、お前が知っているのだと。

 

咆えながらも構えを取り、禍々アークベリアルに向かって疾走する。

得意の膝蹴りを見舞おうと飛び掛かるが……。

 

『小賢しい!!』

 

そもそものリーチが違い過ぎた。

膝蹴りを食らわそうと飛び上がったはいい、だが、それよりも早く、禍々アークベリアルの腕が振りぬかれ、ジードの身体を大きく弾き飛ばした。

 

「ぐぁぁぁ……ッ!!」

 

大きく吹っ飛ばされ、ビルを下敷きにしながらも倒れ込んでしまった。

速度はともかく、パワーは並大抵のものではない。

先日のダークロプスゼロの硬さやパワーなど比べ物にならないと、ジードはダメージに悶えながらも思考を巡らせた。

 

「くっそぉぉぉぉ……ッ!!」

 

地面を殴りながらもジードは立ち上がり、我武者羅に突っ込んでいく。

禍々アークベリアルから吐き出されるエネルギー弾の直撃を回避しながらも、懐に飛び込み、爪に見立てた引き裂き攻撃や、蹴りを叩き込むが、そもそもの体積の違いからのダメージが入らない。

 

我武者羅に、無我夢中に殴りつけるが、それでも効果は薄かった。

 

『なんだぁ?そのパンチは……!?それで攻撃しているつもりかぁ!!』

 

禍々アークベリアルはジードの頭を鷲掴みする形で捕縛し、大きく振りかぶる。

 

「……ッ!!」

 

何をするつもりか理解するも既に遅い、受け身を取る暇もなく、ジードは地面に叩き付けられる。

あまりのダメージに、一瞬意識が飛びかけるが、それすらも隙になってしまう。

 

またしても禍々アークベリアルは腕を振り上げ、何度も何度も、ジードを地に叩き付ける。

そうだ、捕まっている限り、逃れられない限り、この攻撃は続くのだ。

 

『どうしたぁ!?さっきまでの勢いは何処に行ったぁ!?』

 

嘲笑う様に、禍々アークベリアルはケイスの声で哄笑し、ジードへの攻勢を緩めることは無かった。

無様な姿だと、そんな事ではベリアルに及ぶものかと。

 

あまりのダメージに、ジードは抵抗する事さえ困難なようだ、呻きながらも、何とか脱出を試みる。

だが、それさえも許さないと、禍々アークベリアルは再び腕を振り上げる。

 

『これでぇ……!終わりだァァァ!!』

 

禍々アークベリアルの腕が凄まじい勢いで振り下ろされる

逃れられないまま、ジードは地に叩き付けられようとして……。

 

「イーッ!サァーッ!!」

 

流星の如く、上空から急降下してきたXが、ジードを掴む禍々アークベリアルの手首を蹴りつける。

 

『なにぃッ!?』

 

予想外の攻撃に、思わず拘束を緩めてしまう。

その瞬間に、ジードは弾かれるように離脱、何とか着地するも、それでも蓄積されたダメージに膝を付いてしまった。

 

「リオ君!大丈夫かい!?」

 

牽制のためハンドスラッシュを撃ち掛けていたXが、ジードに駆け寄ってくる。

その表情からは、ジードを心配するような気配が伝わってきた。

 

だが……。

 

「放っておいてくださいっ!アイツは僕がやるッ!!」

 

「リオ君ッ!!」

 

自身を心配するXの手を振り払い、ジードは再び駆け出していく。

Xの声が背後から響くが、それで止まる事は無かった。

 

『ウルトラセブン!ウルトラマンレオ!フュージョンライズ!!』

 

使うカプセルを切り替えたか、ジードの身体が発光し、その姿を変えていく。

メカニカルなイメージを受ける赤のボディライン、頭部は獅子を思わせる意匠と、スラッガーが装備されている。

 

その姿……。

 

『ウルトラマンジード!ソリッドバーニング!』

 

強力な拳法を駆使した格闘戦を得意とする姿、ウルトラマンジード《ソリッドバーニング》

 

走る勢いそのまま、背部に出現していたスラスターが火を噴き、ジードが跳ぶ。

ノーモーションで幅跳びの様に跳んだそれに、禍々アークベリアルの反応が一瞬遅れる。

 

その隙を逃さないと、右腕のブースターが展開され、加速した拳が顔面に叩き込まれる。

あまりの威力に、禍々アークベリアルは僅かにたじろぐ様な動きを見せる。

 

その隙を逃さずに、ジードは滞空した状態で右足のブースターを点火、殴った勢いを利用し、一回転しながらも回し蹴りを叩き込む。

 

『ぬぅぅ……!流石にやる!その様に作っただけの事はあるなぁ……ッ!!』

 

ダメージに呻きながらも、ケイスは自身の設計が間違っていなかったことに歓喜する。

想定するスペックを引き出して見せている事、その力に、それを作った自身に酔っている様でもあった。

 

「うるさいッ!うるさいうるさいうるさい……ッ!!」

 

哄笑に、ジードは激昂しながらも叫び、殴り続ける。

技などあったものではない、平静であってこそ成り立つ技の全てが、只の暴力として振るわれるだけだった。

 

それは正に獣の力、無意味に振るわれる暴虐に等しい。

 

「うォォォおっ!!」

 

「いけない……!リオ君ッ!!」

 

獣の如き唸りと共に攻撃を続けるジードを制止しようにも、その勢いに分け入る隙も無い。

Xは何とかしてその先に行くなと、止めたいと願う。

 

だが、無情にも、それは今の彼には届かない。

今の彼は、目の前の相手と戦っている訳ではないから。

 

「うォォォッ!!」

 

ジードの右腕装甲が開き、エネルギーがチャージされる。

それは必殺の技を放つための溜めだった。

 

『だがぁ……!私はやられんぞォォォッ!!』

 

ヤられてばかりではないと、禍々アークベリアルの口腔にエネルギーがチャージされていく。

それは、最大級の攻撃を放つという合図に他ならなかった。

 

『砕け散れぇぇぇっ!!』

 

「ストライクブーストォォォォォッ!!」

 

二つの閃光が迸り、ほぼゼロ距離で炸裂する。

それらは拮抗し強烈な閃光を生み出す。

 

いいや、それだけではない。

拮抗から弾かれた余剰エネルギーが周囲に拡散し、街を破壊していく。

 

「いけない……!Xバリアドーム!!」

 

これ以上の被害を良しとせず、Xが二体の周りにドーム状の隔離空間を展開する。

 

展開が終わる刹那、内部で凄まじい光がスパークする。

強烈な爆発が巻き起こり、ドーム内が爆炎に包まれる。

 

同時にバリアドームが耐え切れずにはじけ飛び、上空へ巨大な火柱が巻き上がり、周囲にはソニックブームが巻き起こる。

 

「リオ君―――――ッ!!」

 

爆炎の中心にいる者に、自身も吹っ飛ばされながらもXは手を伸ばした。

その意味を、彼が知る由もないままに……。

 

 




次回予告

何のための力なのか?
理解しないまま倒して良いのか?
彼は答えを見つけられるのだろうか?

次回ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga

探求編、力の意味

お楽しみに
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