ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga   作:ichika

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彼の未来

 

「行くよ!!」

 

「はいっ!!」

 

Xの掛け声にジードが返し、2人は禍々アークベリアルへと突っ込んでいく。

 

目の前に聳える悪魔を打倒すべく、彼等は1つの意思の下に連携するのだ。

 

『小賢しぃぃぃぃ!!!』

 

何故立ち上がる、何故向かってくる?

理解出来ない憤りが怒りとなり、閃光となって放たれる。

 

それは先程までよりも大きく、高い威力を持っていると理解させるには充分過ぎた。

 

だが……。

 

『ベムスターアーマー、アクティブ!』

 

Xの身体にノイズが奔り、その体に紫のアーマー、宇宙怪獣ベムスターを模した鎧が装着されていく。

 

右腕に装着された盾が展開し、その閃光を吸収していく。

それはベムスターの固有能力である物質やエネルギーを吸収する性質。

 

そしてそれは、吸収するだけに留まらなかった。

 

『なにぃぃぃ……!?』

 

「倍返しだ!!」

 

驚愕する禍々アークベリアルに対して、Xは吸収したエネルギーを、自身の光エネルギーを上乗せした形で撃ち返す。

 

それは一直線に突き進み、禍々アークベリアルの胸部に突き刺さる。

 

『ぐぉぉぉ……!!』

 

そのあまりの威力に堪えきれず、禍々アークベリアルは大きくふっとばされ、背中から叩き付けられる様に落ちる。

 

その隙に、ジードが上空を取る。

 

『ウルトラマンヒカリ!ウルトラマンコスモス!!』

 

カプセルを変更しその姿を変える。

それは青い流線フォルムをしており、何処かコスモスの柔軟な動きを彷彿とさせるものだ。

 

『ウルトラマンジード!アクロスマッシャー!!』

 

その姿、ウルトラマンジード《アクロスマッシャー》

身軽な動きで敵を翻弄する姿だ。

 

「ジードクロー!!」

 

右手を天に掲げると光が集まり、2つの爪を持つ武器、ジードクローがその姿を現した。

 

ジードクローを構え、彼は立ち上がろうとする禍々アークベリアルに向かって走っていく。

 

『させるかァァァァ!!』

 

接近を阻止せんと放たれる閃光を、ジードは身体を回転させながらもクローへエネルギーを籠める。

ジードは地面と平行になりながらもドリルの様に勢いよく回転し、閃光と衝突しながらも突き進む。

 

それはまるで、どんな障壁にだってぶつかっていくという、彼の覚悟の表れだった。

 

「コークスクリュージャミングッ!!」

 

その技は閃光を掻き消し貫き、禍々アークベリアルへと一気に向かっていく。

 

『ぬぅぅっ!?』

 

何とか身を捩って避けようとするも遅い、接近速度の方が速い。

凄まじい勢いで回転するジードが、何とか避けようとした禍々アークベリアルの顔面に叩きこまれた。

 

『がァァァッ……!?』

 

直撃にしては浅かったものの、それでも後退させられるほどの威力は叩き込めたのだろう、禍々アークベリアルは背中から叩き付けられるように倒れ伏した。

 

「畳みかけるッ!!」

 

その隙を見逃がさずに、Xが動いた。

ベムスターアーマーが解除され、もう一つのアーマーが装着される。

 

『エレキングアーマー、アクティブ!』

 

エレキングを模した鎧、電撃攻撃を得意とするアーマーだ。

装着を終えたXが禍々アークベリアルの上を取る。

 

体勢を立て直せていない巨獣にとって、それを回避する事は出来ない。

 

「エレキング電撃波!!」

 

右腕に装着されていた銃口から電撃が放たれ、禍々アークベリアルを責め立てた。

 

『ぐぉぉぁァァァッ……!?』

 

その威力に巨獣はのたうち回ることしか出来なかった。

だが、それでも倒しきるに至っていないのは、純粋に耐久力の高さがモノを言っているのだろう。

 

『忌々しい……!模造品の分際でぇぇ……!』

 

忌々し気に吐き捨てながらも、禍々アークベリアルはその巨体を起こす。

何故向かってくるのだと、お前は自分が何であるか理解しただろうにと。

 

『この創造主に歯向かうと言うのかぁぁぁ!!?』

 

ジードの事が理解できないと言わんばかりの叫びをあげる。

お前は自分が作り上げた模造品、主を復活させるための依り代となるためだけの人形でしかないのだと。

 

だというのに、創造主たる自分に反旗を翻すなど、その自由意思を与えたつもりなどないと。

 

それが、ケイスの限界だったのだ。

 

「それがどうしたッ!!」

 

その言葉に反論するようにジードが叫ぶ。

確かに自分は造られた命かもしれない、ただの人間ではないかもしれない。

 

それでも―――――

 

「僕には護りたい人たちがいる!!信じてくれる人がいるッ!!」

 

ありがとうと言ってくれた少年、自分を案じてくれる店長、そして、自分の再起を信じて戦ってくれた彩加への想いが、彼の心に火を灯したのだ。

 

「僕が誰かを決めるのはお前じゃない!!僕自身だ!!」

 

だから、彼は立ち上がる、何度だって立ち向かえる。

それが、自分の歩いて行ける意味だと知ったから。

 

「僕は深見リオ!ウルトラマンジードだァァァッ!!」

 

プリミティブに戻ったジードが、巨獣の顔面の強烈なパンチを見舞った。

 

それは魂の籠った一撃、自分自身の在り方を証明するための拳だった。

たとえ戦う事しか出来なかったとしても、その在り方でも何かを護れるのならば、自分は戦うだろう。

 

それが、自分が歩く路なのだと、そう信じたのだ。

 

『黙れぇぇぇぇっ!!』

 

よろめきながらも身体を捩り、尻尾による叩き付けを見舞おうと動く。

殆どカウンターに近い攻撃だった事もあり、ジードは技を出した後の硬直で反応が一瞬遅れた。

 

それは回避できないと思わせるには充分だったが、今の彼は一人ではないのだ。

 

「Xクロスキック!!」

 

控えていたXが飛び掛かり、光のエネルギーを纏わせた飛び蹴りを禍々アークベリアルの尻尾に見舞った。

 

引き千切る事は叶わなかったものの、それでも弾く事は出来た様だ。

弾かれる尻尾の勢いに巻き込まれ、禍々アークベリアルの体勢が崩れる。

 

その隙に、ジードはその場から飛び退き距離を取る事に成功した。

 

「僕たちは一人で戦っている訳じゃない、こうやって、繋がる事が出来るんだ!!」

 

Xの言葉に、ジードの胸が篤くなる。

一人ではないと、彼も示してくれたのだと、改めて理解できたから。

 

「僕は強くなる!皆と、彩加さんたちと一緒に!!」

 

まだ見ぬ誰かを、善なるものを護るために強くなると、ジードは、リオは宣言する。

これから歩く路を示すために、これまでの苦悩と決別するために。

 

その刹那、Xのカラータイマーから7つの光が飛び出し、ジードのカラータイマーを通じてリオの掌に収まった。

光は形を変え、7つのウルトラマンが描かれたカプセルとなる。

 

ティガ、ダイナ、ガイア、ネクサス、マックス、メビウス、そしてウルティメイトゼロ。

Xが預けられていた光から分かれ、ジードの想いに呼応して具現化したものだ。

 

「使うんだリオ君!一緒に此奴を倒そう!!」

 

共に行こうと、Xは己が力を解放する。

ウルトラマンマックスのカードを読み込み、その右腕にマックスギャラクシーが装着される。

 

それは、その力を使えと、何よりも強く叫んでいる様だった。

 

それに頷きながらも、ジードはカプセルを選ぶ。

 

強く鳴動する二つのカプセルを、俺にやらせろと言わんばかりに唸る意志を汲んで、彼はナックルに装填する。

 

『ウルトラマンネクサス!ウルティメイトゼロ!』

 

「超えるぜ!極限!!」

 

ジードの身体が変わっていく。

身体は赤と青のラインが入り乱れ、胸部と腕部にはウルティメイトイージスの様な鎧が出現する。

 

その姿こそ、伝説を纏いし力、。

 

『ウルトラマンジード!ノアクティブサクシード!!」

 

ジードに与えられた新たな姿、その顕現だった。

 

「超えて見せる、昨日までの僕を!!」

 

両の腕にエネルギー刃を展開し、ジードは一気に禍々アークベリアルとの距離を詰めていく。

それに追従し、Xもまたギャラクシーソードを展開、挟み込む形で飛び掛かっていく。

 

『う、ぉぉおぉ……!?』

 

あまりにも小回りを利かせた動きに、禍々アークベリアルは捉えきれずに徐々に混乱を深めていく。

 

光弾も閃光も、全て捉える事すら出来ない。

いいや、全て撃ち落とされていると気付いてすらいなかった。

 

二人のウルトラマンは圧倒的なスピードで動き回りながらも、同時に街を破壊し得る光弾や閃光をすべて受け切り無効化していたのだ。

 

『舐めるなぁぁぁぁ!!!』

 

破れかぶれと言わんばかりに、禍々アークベリアルの拳がジード目掛けて突き出される。

位置もタイミングも合わせた攻撃で、ジードを完全に捉えた筈の一撃だった。

 

だが、瞬間移動と殆ど変わらない動きで、ジードはその空間から姿を消していた。

勢いのついた拳は何も無い虚空を撫でるに過ぎなかった。

 

『なに……ッ!?』

 

「はぁぁっ!!」

 

攻撃が空振ったせいで隙の生まれた禍々アークベリアルの脚に、ギャラクシーソードを展開したXの一撃が叩き込まれる。

 

『ぐぉぉぉっ……!?』

 

気を取られたと、倒れ込みながらもXを掴まんと手を伸ばす。

せめて1人くらい道連れにせねばと、最早死なば諸共の勢いだった。

 

だが……。

 

「やらせないっ!!」

 

倒れ込む禍々アークベリアルの前に、テレポートしてきたかの様にジードが姿を現す。

 

右腕に纏ったエネルギーを、倒れ込んでくる巨獣へと叩き込むために。

 

「ナックル・レイ・インパクトッ!!」

 

『ぐぉぉぁぁぁ……ッ!?』

 

その凄まじい威力に、巨獣が宙を舞う。

それは反撃も防御も出来ない程に、完全な無防備を晒すほどの隙だった。

 

「僕は……!」

 

「僕たちはッ!!」

 

ジードとXが吼える。

その先にある勝利を、未来を勝ち取るために。

 

「「未来を掴むんだーーッ!!」」

 

2つの刃が禍々アークベリアルの体表を切り裂いていく。

 

『ぐぉぁぁぁぁ……!!』

 

悲鳴をあげ、巨獣はのたうち回った。

回復が追いつかないダメージを与えたと、それはひと目で理解出来る程だった。

 

立ち上がる事さえ困難な程に消耗したと理解するのに、時間はかからなかった。

 

「決めるよ、リオ君!!」

 

「はいっ!!」

 

Xの言葉にジードが動く。

カラータイマーの前でエネルギーをZ字に収束させ、禍々アークベリアルに向けて撃ち出す。

 

それは一直線に突き進み直撃、張り付ける形となって禍々アークベリアルを拘束した。

 

『う、おぉぉぉ……!?』

 

逃げる体力も、逃れる策も既に無く、ここにきて詰みと突き付けられたのだ。

 

「ギャラクシーカノン、フルバーストッ!!」

 

Xの右腕に輝くマックスギャラクシーが鳴動し、強烈な光線が放たれる。

その光線は巨獣の外皮を裂き、内部へとダメージを通していく。

 

だがそれだけでは倒し切るには至らない。

最後の一押し、一撃が必要だったのだ。

 

ジードの両腕に、ウルティメイトゼロソードが現れる。

その剣は光の輝きを纏って煌めき、力を示していた。

 

「行くぞっ!!」

 

両腕の剣を構え、ジードが飛び込んでいく。

自身の未来を、生き方を切り拓くためにも、目の前にある壁を越えてみせるためにも。

 

「ソードレイ・オーバードライヴ!!」

 

光の剣がXの軌跡を描き、禍々アークベリアルに叩き込まれる。

それは一気にエネルギーを放出し、その体表を、体躯を両断したのだ。

 

『オノレ……!!オノレぇぇぇぇ……!!』

 

慚愧の声をあげ、禍々アークベリアルは切断面から溢れ出した光に呑まれて消えていった。

 

跡形もなく消し飛ばし、残されたのはただ静寂のみ……。

 

それはジードを讃える、なによりも強い勝利の凱歌だったのだ。

 

「お疲れ様、リオ君。」

 

臨戦態勢を解いたXが、ジードの肩に手を置いて労いをかける。

お前は勝てたと、乗り越えられたと、その事実を伝える様に。

 

「彩加さん……。」

 

「君はやったんだよ、ほら。」

 

その言葉に促されるように、ジードは自身の背後を見る。

 

そこには壊された街並みと、何とか無事だった建物たちと、そして……。

 

「ウルトラマーーン!!」

 

「ありがとな〜!!」

 

ジードに向けて手を振る人達の姿が、彼自身が助けた者達の笑顔があった。

誰も皆、この街を、自分達を護ってくれたウルトラマンへの感謝に、表情を綻ばせていたのだ。

 

「みんな、君が護ったんだ、君自身の意思で、君自身の力で、ね。」

 

お前が護ったと、救ったのだと。

自らの意志で戦い、護り、救えたのが彼らなのだと、Xは力強く伝えていた。

 

それを理解し、ジードもまた深く、深く頷いた。

自分の戦いに意味があったと、それを決めるのは自分自身なのだと。

 

教えてくれた事を、やっと掴めたと感謝しながら……。

 

「ありがとうございます、彩加さん……!僕は、生きてて良いんですね……!」

 

「自分の生きる意味を決めるのは君だよ、僕はそれを手助けしたに過ぎないから、ね。」

 

頭を垂れるジードに頷き、Xは微笑む。

彼が自分の道を見付けてくれた事が、何よりも嬉しかったから……。

 

その時だった。

Xのカラータイマーから光が一筋奔り、空の彼方へ道を示す様に伸びていった。

 

まるで、Xにこの道を行けと告げる様に……。

 

「どうやら、僕の道も示されたみたい、かな?」

 

自身の為すべき事を理解しているが故に、Xは別れを察して言葉を発する。

 

「もう、行ってしまうんですか……?」

 

こんなにすぐに別れる事になるとは思ってもみなかったのだろう、ジードは寂しげに尋ねる。

 

異世界から訪れた者は、いつか元の世界へ戻ろうとするのが当然だと、何処かで理解していたからこその問いだった。

 

「僕もまだ君と同じ、旅の途中なんだ、だから行かなくちゃいけないんだ。」

 

この若い力の行く先を見たいとは思う。

だがそれ以上に、今の自分の根底を作った者達に追い付きたいと言う願いが、彼の歩みを止めさせなかった。

 

だから、一旦はここでお別れなのだと。

 

「分かりました……、短い間だったけど、僕を導いてくれて、ありがとうございました!」

 

だから、今の彼に出来る事は1つ。

ちゃんとお礼を言って、見送る事なのだと。

 

「ううん、僕はちょっと手を貸しただけだよ、それに……。」

 

頭を下げるジードに向けて、Xは掌に3つの光を灯して受け渡す。

 

その光は3つのカプセルへと変わり、ギンガ、ビクトリー、そしてXの力を示した。

 

それは、Xがこの世界に迷い込む直前に、友と交わした再会の為の光。

絆の光を、今度は未来を切り拓こうとする、新たな友への餞として譲り渡すのだ。

 

「この絆が、きっと僕達を繋いでくれるから。」

 

これで終わりにしてくれるなと、これからも、強く生きろと背を押すように、Xは力強く続けるのだ。

 

「はい……!僕もこれから、もっと強くなります!また会える、その時まで!」

 

「うん、それじゃあ、またいつか!」

 

最後に堅く握手を交わし、別れを惜しむ。

いつの日かまた相見えたいと、そう願って。

 

そして、手を離したXが空の彼方へと飛び立っていく。

 

その背を、その軌跡を、見えなくなるまで見送った。

 

自分に道を示してくれた恩人を、その旅路の無事を祈る様に。

 

「ありがとうございました、僕はこれからも、みんなと一緒に戦っていきます。」

 

自分と共にXを見送った街の人々を、これからも護り護られて行くと、彼はその軌跡に誓った。

 

ウルトラマンとして、深見リオとして、彼は導を得たのだから……。

 

 




次回予告

変わらない日常、変わらない光景。
それは、平穏と言うべきか、それとも……

次回ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga

変遷編、3兄妹

お楽しみに
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