ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga   作:ichika

8 / 33
その名はリブット

 

「ふむ、やはりビクトリーも中々の使い手、師が良いのもあるが、潜在能力は彼等に並んでいるようだ。」

 

セブン21とビクトリーの模擬戦の様を見遣りながら、グレートは感嘆の言葉を零す。

 

目まぐるしく入り乱れながらも、一撃必殺の拳打を打ち合う戦いは更にその激しさを増していく。

 

セブン21も、ASTRAYにこそ一歩譲るモノの、それこそ歴戦の猛者であり、宇宙保安庁屈指の戦士として名高い。

そんな彼に、押されているとは言えど喰らい付くガッツを見せるビクトリーの力に、その潜在能力に驚きを隠せない様子であった。

 

無理もない、実戦経験こそルーキー以上に積んでいるとはいえ、それでも若さを考慮すれば充分以上というモノだった。

 

「先生達と同等……、実感が湧かないですね……。」

 

摸擬戦の様子を見ていたXが、よく分からないと苦笑する。

 

彼等を追いかけ、追い付き、追い越そうと鍛錬に励んできたのは事実、着実に十年前以上の力を身に着けたとは自負している。

 

だがそれ以上に、嘗て見た師の姿が、その凄烈な戦ぶりが、その背がまだまだ遠いと感じさせているのだ。

憧れによる補正や、美化があったとしても、まだまだ未熟、もっと強くなれると感じさせる要因である。

 

「君達の基準が彼等になっているのは最早何も言うまい、だが、自分の今の力を認めてやるのも、大きな成長の糧にもなるさ。」

 

そんなX達の心情を理解しながらも、パワードは諭す様に語る。

主観と客観の乖離が激しい彼等自身の今の実力を見つめ直し、どの程度であるか、それが齎す結果を知ってほしいと思わずにはいられなかった。

 

最早彼等の戦力は一人前以上、それこそルーキーや見習い達のフォローだって出来得る実力を持っている。

以前報告のために光の国へ戻ったゼロから聞いた話では、ギンガビクトリーやアストレイアーマーなど、絆を紡いだ力を纏う事で、それこそASTRAYの領域へ一歩踏み入れた力を持っている事は確かだ。

 

それを自覚していない事は、力を着けていく上では向上心を維持するためにも必要な事であるとは言えるだろう。

だが、それは同時に、自身の持つ力の強大さに気付かないという危険性も孕んでいる。

 

彼等からの陶酔を受けたのであるならば、その辺りの危機意識も持っているだろうが、それでも何度も再認識させるに越したことはあるまい。

 

何せ、師を超える事を目的として力を着けていたとしても、力を着ける事を目的としてしまえば、それこそ修羅の道だ。

嘗て、彼等が力を求め目的を見失ってしまった事を知っているからこそ、その轍を踏んでほしくはないのだ。

 

それが、彼等の友としての、彼等の弟子を任された自分達が出来る、在り方の示し方だと思ったから。

 

「きっといつか、君達は彼等に届くだろう、だから焦ることは無い、今はな。」

 

「はいっ!」

 

パワードの言葉の中に在る思いに気付き、Xは微笑みを湛えて頷くばかりだった。

師と同じくらいに自分達を見てくれている事が、何よりも誇らしい事だった。

 

「グレート!パワード!おられますか?」

 

暖かな空気を切り裂く様に、グレートとパワードの名を呼ぶ声が響く。

何処か生真面目さを感じさせる、その溌剌とした声の主を確かめんと、一同は揃ってその方へ見やる。

 

赤と銀の体表を持つ光の戦士が1人、今彼らの方に向けて駆け寄ってくるところであった。

 

「リブットか、どうしたんだ?」

 

彼の姿に、パワードが何かあったかと尋ねる。

面識はあるのだろう、2人の間に堅苦しさは感じられないというのが、外から見たX達にも理解できた。

 

「ここにおられましたか、っと……、お取り込み中でしたか?」

 

暫く探していたのだろう、リブットと呼ばれたウルトラマンは少しだけ表情を緩める様子を見せ、同時に見覚えの無いウルトラマン達がいることに気付いたようだ。

 

間が悪かったか、と言わんばかりの気まずげな色が窺い知れた。

 

「いやなに、友人の弟子の実力を見せて貰っていただけだ、君が気を遣う必要はない。」

 

その様子に苦笑しつつ、気に病むことは無いとグレートがフォローする。

取り込み中であったとしても、今の状況は所詮私用でしかない。

緊急の要件があればそちらが優先されて然るべきだと。

 

ソレはギンガとXも承知の上であると、リブットに悟られない程度に小さく頷いていた。

 

「友人の……?もしかして、あの伝説の……?」

 

彼の発言に、リブットは驚いた様にギンガとXを見やる。

グレートとパワードの、付け加えるならネオスとセブン21の交友関係の中に共通する者の話を聞いていたからこそ思い当たる節があったのだろう、その驚愕は並々ならぬものだった。

 

「あぁ、俺達のダチ、ASTRAY7人の弟子だ、中々骨のある奴らだぜ〜?」

 

自分の事のように、ネオスはASTRAYのことをダチだと、その弟子が立派な戦士であると誇らしげに語る。

本当に心の底から、彼等への敬意と愛、そして若手への強い期待が窺い知る事が出来た。

 

「やはりASTRAYの……!お会い出来て光栄だ、私はリブット、ウルトラマンリブット!文明監視員の所属だ。」

 

それを理解し、名乗らずにいる事は不躾であると感じたのだろう、居住まいを正し、胸に手を当てる敬礼でギンガ達へ名乗った。

 

「初めまして、ウルトラマンギンガ、比企谷八幡です!よろしくお願いします!」

 

「ウルトラマンX、戸塚彩加です、よろしくお願いします、リブットさん!」

 

礼には礼を以て、ウルトラマンとしての名と、地球人としての名、その両方を彼等は誇らしげに名乗った。

 

彼等の師がそうであるように、彼等もまた、地球人であり、ウルトラマンなのだから。

 

「ギンガにXだね、ゼロから君達の武勇は兼ね兼ね聞いていたよ、素晴らしい戦士だと。」

 

彼等の返礼に頷き返し、リブットは感慨深げに呟いた。

眼の前にいるのは、全宇宙の時を止めようと大決戦を利用し暗躍したダーク・ルギエルを討ち滅ぼし、その後もエタルガー等の悪名高き侵略者を下した戦士達だ。

 

如何に地球人とウルトラマンの混ざり者とはいえ、その戦績は並のウルトラマンを遥かに凌ぐ実力の持ち主であるとリブットも認めるところだった。

 

「ゼロさんからですか、ちょっと誇張されてそうだなぁ。」

 

照れ臭いのか、ギンガは後頭部を掻いて苦笑する。

ゼロの性格から考えて、仲間の武勇はこれ以上なく持ち上げて伝えるだろう事は手に取る様に分かる。

 

まだ実力をリブットに見て貰えていない以上、素直に受け取る事はし辛いのだ。

 

「ははは、彼は認めた相手を素直に褒めるタイプだからね、でも、君達の力を疑いはしないさ。」

 

ゼロの人なりを知っているからこそ、リブットはその言葉に全幅の信頼を置けるのだ。

 

故にこそ、リブットの言葉も嘘偽りのない期待があったのだ。

 

「ありがとうございます、コレから先、証明してみせます。」

 

「あぁ、これからよろしく頼む。」

 

その心意気に感激し、ギンガ、八幡は差し出されたリブットの手を掴み、固い握手を交わした。

これから共に戦っていく、その決意の表れだった。

 

「さて、それでリブット、いったい何の用事だ?ゾフィーから任務でも押し付けられたか?」

 

緊急では無さそうであったが、自分達を訪ねて来た理由を問うべく、グレートが口を挟んだ。

 

もし仮に、面倒な要件を吹っかけられでもすれば、実害を喰らうのはこちらだと、その表情にアリアリと嫌悪の色が浮かぶ。

 

「ゾフィー……、宇宙警備隊の隊長、でしたか?」

 

「知っていたのかX、いや、一夏達から聞いたのか?」

 

その名に聞き覚えがあったXがグレートに尋ね、その問いに合点がいったパワードが納得したように呟く。

 

ゾフィー、その名を最初に聞いたのは何時だったか、ASTRAYが集まった時の席だったか、彼等が忌々しげに、それと同時に申し訳なさげに話していた事を覚えていたのだ。

 

「まぁ良い、いつか自分達で会う時に判断したまえ、それで、今回は何の要件だ?」

 

ここで何かを吹き込むのはフェアではないと、グレートは話を戻してリブットへ尋ねた。

 

物事を判断するのならば自分達の体験を基にせよ、言外にそう語っている様でもあった。

 

「え、えぇ、惑星ミカリトの生命エネルギーが急激に衰えていると、惑星監視員の本部より通達があり、調査の依頼が我々に舞い込みました。」

 

「惑星ミカリト……、あの土の惑星が……?」

 

リブットからの報告にグレートは訝しむ様な表情を見せる。

 

困惑の色が見え隠れしている事を、Xは見逃さなかった。

 

「あの惑星の年齢はおおよそ55億程度、星の寿命を考えても、急に生命エネルギーが減少していくとは考えられません。」

 

「星の寿命……?」

 

初めて聞く話の内容に、ギンガはどういうことかと尋ねる。

 

「君達の住んでいた星もそうだが、惑星には寿命がある、その寿命の事を生命エネルギーと呼んでいる、100億ほどの年月をかけて緩やかにそれが消費され、その惑星は宇宙の塵になるのだ。」

 

「だが、惑星ミカリトの生命エネルギーは滅びに直結するほど危機に瀕しているとは考えられない、なにせ千年ほど前の調査でも、特に異常は見られなかったはずだ。」

 

星の命が相当に長い時間だと説明しながらも、それでも異常に過ぎるとパワードとネオスは緊張に表情を強張らせた。

 

「これは早急に動く必要があるか、了解した、直ちに向かおう。」

 

「はい!」

 

事態の真相解明を要すると判断し、グレートは出動の意思を示す。

彼もまた、宇宙の異変を調査解明する組織の一員だ、実働部隊であるが故に、今回もいつもと同じ様に動くまでと。

 

「グレートさん、僕も調査に同行させてください!」

 

「X?」

 

その時だった、Xが作戦への参加を志願し、まさかの志願にパワードが驚きの声を上げる。

 

「仮にもウルトラマン、何か異変があるなら見過ごせません。」

 

「しかし……。」

 

戦うべき時が来ているなら、自分はその力を振るうまでだと告げる彼に、リブットはどうすべきか思案する表情を見せる。

 

如何に力のある戦士からの助力申請とはいえ、今の彩加の立場は客人である。

そんな彼の身に何かあれば、宇宙警備隊のメンツと、そして何よりASTRAYへの面目が立たないというものだ。

 

「お願いします、見て見ぬふりなんて、願い下げですから。」 

 

「ふっ、一夏達によく似ている、良いだろう、力を貸してくれ。」

 

しかし、その強い眼差しに嘗ての友を感じ取ったか、グレートは愉しげに笑み、その申し出を快諾した。

未だ見ていないその力を見るためか、それとも別の思惑があるかまでは、誰にも図る事は出来ないが……。

 

「ありがとうございます。」

 

その意を汲んだXはグレートに頷き返し、後を託すべくギンガに向き直る。

 

「沙希ちゃんに説明お願いね、八幡!」

 

「任せとけ、気を付けてな!」

 

ギンガは右の拳を突き出し、Xもまた拳を突き出す。

そこにあるのは友の無事を願う一心だった。

 

「行くぞ。」

 

「「はい!!」」

 

パワードの出撃を促す声に、Xとリブットは勇んで応じ、その後を追ってコロセウムを出ていく。

 

その背を見えなくなるまで見送り、ギンガは無事の帰還を内心で祈る。

彼等が無事に戻ってきてくれる様にと、その強さを知っていても、だ。

 

それが、絆なのだと、彼は知っているから……。




次回予告
惑星ミカリトへ調査に向かったX達の前に、終焉を告げる厄災はその姿を現す。
それは、全宇宙を脅威に晒す凶兆だった。

次回ウルトラマンNewGenerationHero'sSaga
第7話 戦乱の兆し

お楽しみに
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。