「お疲れさま。」
日課の鍛練を終えて地下室へ戻ってきた私にご主人様は声を掛けてくれた。
二日ほど前レミリアお嬢様が突然、私の仕事内容を変更なさった。
以前よりもご主人様といる時間が伸びたのだ。
,,,別に不服ではない。寧ろ嬉しいくらいなのだが,,,やることが急に無くなった感じがする。
仕事内容の変更に伴って部屋も変わった。
場所はご主人様の部屋の右隣。
扉で直接ご主人様の部屋へといくこともできる。
,,,問題があるとするならば、怖い。
そう,,,一人で寝るのが怖いのだ。
昔、悪夢に魘されてから一人で寝るのが怖い。
しばらくはご主人様と一緒に寝ることになったが、ご主人様に迷惑は掛けたくない。一人で寝る練習も始めなければ。
ふと、美鈴お手製の修行着のままだったことに気づいてご主人様に着替えに行くと伝え、自室へ入る。
中華風の修行着からいつもの黒いメイド服へ着替える。
鈴つきリボンでツインデールにしていた髪をほどきいつもの髪型にする。
いくら幼くても私はメイド。これくらいは出来なくては困る。
_そう,,,私は、いくら幼くてもメイドなのだ。甘えは許されない。_
「これでよしっと!」
服を整えてご主人様のもとへと戻る。
私はご主人様が大好きだ。
優しくて、聡明で、強くて、自分の意見をしっかり持っていて,,,。
時々、狂気に支配されたようになるけれど、それも今ではだいぶ落ち着いて来ている。
対して私はどうだろう?
特に何かあるわけでもなく、不安定な自分をコントロールできなくて、ただご主人様に頼っているだけじゃないだろうか?
,,,ただ、甘えているだけじゃないか。
そんな私が、ご主人様に釣り合うような,,,ご主人様にぴったりな従者と呼べるだろうか?
_答えは、否。
そんな私をご主人様は好きだと言ってくれる。
傍に置いてくれる。
だから,,,こんな私でも精一杯お仕えするのだ。
「葎佳?なにぽーっとしてるの?」
「え,,,あ,,,申し訳ありません。どうされましたか?」
「別に,,,ただぼーっとしてたから、なにかあったかなって。」
「そうですか,,,。」
「私、嘘とか隠し事は嫌いよ?それに、長い間一緒にいたんだもの,,,なにかに悩んでる事くらいは判るわ。」
やはり。と言うべきだろうか?
昔からそうだ。ご主人様には私の事はお見通しなのだろう。
「,,,あの,,,私は,,,お嬢様に相応しい従者なのでしょうか?私は,,,その,,,まだまだ未熟ですし,,,。」
そんな風に言う私の頭をご主人様は優しく撫でてくれた。
そして、ゆっくりと話始めた。
「未熟でもいい,,,怖がりでも、弱虫でもいい,,,ただ、私の傍に居てくれる貴女が好きよ。,,,それに貴女は自分のことを未熟だと言った。満身してしまえばそれで終わりだけれど貴女はそうじゃないでしょう?向上心があればどこまでだって良くなれるわ。」
優しい言葉に泣きそうになってとっさにうつむいた私をご主人様は優しく抱き締めてくれた。
温かくて優しくて何処か懐かしい匂いがした。
お待たせしました!
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
今回、自分で書き終わって見てみたらなんともネガティブな内容になっていて慌てて手直ししました。
良ければ頑張る書いていただけると幸いです。
それではまた、次回。