全力疾走っ!青春声援物語 グレイブンロード (挿絵無しVer)   作:匿名423371

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第15話② - 「服を買おう!」

 

 

 ユニクロでエールが試着し、アタシがダサいと切り捨てた服は、結局エールが自分で買うことになった。よくわからないけど、記念に買います!と言っていた。早いところ、ちゃんと似合う服を探してあげないとな

 元々着ていたドレスはコインロッカーに預け、エールは買ったばかりの服装に変身。ドレスと比べてある程度マシになったところで、アタシたちはショッピングを再開した

 本来アタシたちがモールに来た目的は、エールにおすすめのカフェへ連れて行くことだった。しかしこのバカ真面目お嬢様のせいで、いつの間にかコイツのお出かけ用衣服を探すことが目的になってしまった。まあ、それも楽しそうだからいいんだけども

 

「ここだな。アタシ行きつけのアパレルショップ」

「おぉ……!!!!!!!!!」

 

 エールを連れて、目的のお店の前までやってきた。店内は木造の壁とレトロチックな民芸品に溢れていて、西洋ウエスタンを思わせる雰囲気を醸し出している

 その印象を明確に決定づけるのが、マネキンで展示された衣服たちだ。ダメージ加工でほつれたデニム。日本国内じゃあまり見ない、派手な柄の刺繍が入ったシャツ

 そう、ここは多国籍ジャンルを多く取り扱うアパレル店なのだ。それもアメリカンカントリー系だけではない。北欧民族系や、アタシが特に大好きなハワイアン系の衣服も揃っている

 アタシは異国特有の、土臭さを感じる素朴な空気感にめっぽう弱いのだ。自分の名の由来もそんなんだし

 

「もしかしてこの店なら、ソングちゃんとお揃いコーデができるってことですか!?!?!?!?」

「まー。同じ服があれば出来なくはないかな」

 

 二割増しで興奮気味のエールをテキトーに流す。アタシが今着ているこのグリーンのカーディガンも、デニムのパンツも、全部ここの店で買ったものだ

 

「まっ、エールにそういうのは早いな。まずは、ちゃんとメイケイエールに似合う普段着を見つけないとだろ?」

「ですね!!!!!!!!」

「とりあえず、着てみたい服とか好きに探してみて。アタシも勝手に似合いそうなの、色々ピックするから」

 

 わかりました! 笑顔のエールはバカデカボイスを店内に轟かせる

 先ほどまで、エールのドレス問題で忘れてたけど………そろそろエールのバカデカ音量を注意しないとかもなぁ。いつもこんな感じだから、自分の感覚が麻痺してきている

 エールはディスプレイラックに近づき、真剣に服をチョイスし始める。アタシも彼女について行きながら、いろいろ教えてやることにした

 

「洋服が沢山あると迷っちゃいますね!!!!!!!!!」

「こういうのはフィーリングだよ。服をこうやってパラパラ〜って見ていって………お、こういうのとか似合うんじゃない?」

「わ!!!!!!!デニムシャツですね!!!!!!!!!」

 

 アタシはピンと来た服のハンガーを掴み、エールの胴体に合わせてみる。一眼見た時は良さそうと思ったんだけど、………

 

「んー………ごめん、やっぱびみょいな。インナーでどう印象変わるか試してみたいけど………」

「着てみましょうか!!!!!!!?」

「いや、大丈夫………うーん、これは戻しだなぁ」

 

 全体的に合う気がしなくて、アタシは掴んでいた服を元のラックに戻した。デニム系は結構好きでよくアタシは着ているのだが、エールには似合わなさそう。パンツとかなら違ってきそうだが

 一つ一つ物色し、次の服を探す。するとエールは、興奮したように問いかけてきた

 

「ソングちゃんって、そういうのわかるんですか!!!!!!!?!?」

「ファッションのこと?いやー、まだ全然勉強中だよ。他の子の方が服のセンス良いし、そもそもアタシ、垢抜け出来てないじゃん」

「垢抜け………ですか?」

「知らない? 良く言えば素朴な印象、悪く言えば田舎臭くてダサいって意味」

 

 エールに似合いそうな服を探しながら、アタシは自嘲気味に苦笑いをする。それを彼女は、間髪入れずに否定してくれた

 

「そんなことっ、絶対ないですよ!!!!!!!!!ソングちゃんってとっっってもおしゃれで可愛いじゃないですか!!!!!!!!!!!」

「ありがと。でも、田舎臭いのは時日だしさ」

「むぅ………!!!!!!!絶対可愛いのに………!!!!!!!」

 

 エールにそう思ってもらえているのは嬉しいな。アタシは鼻を鳴らして照れを誤魔化した

 

「………アタシはさ。都会の子が好むような、シンプルなファッションがあんまり好きじゃないんだ。無地のシャツに無地のパンツみたいな、スマートに見えるやつとか」

「インスタでも結構目にしますよね!!!!!!!!!」

「不思議と冷たい感じがして嫌なんだよ。なんだろ、あんまり言葉にするの難しいんだけど………のっぺりっていうか、つまんないっていうか………血が通ってない感じがするって言えば伝わるか?人間味が薄いみたいな」

「あっ、なんとなくわかる気がします!!!!!!!!!」

「だからかな……… おっ、これも良さそうだ」

 

 話しながらアタシは良さげの服をハンガーごと掴む。その洋服は、色とりどりの模様が編まれた、エスニック系のアウターだった

 

「その土地でしか感じることの出来ない独特の香りと、古くからの伝統が表れた民族模様。民族系のファッションは、人間味やその暖かみを強く感じられて好きなんだ」

「なるほど………!!!!!!!!!だからソングちゃんの勝負服にも、いっぱい民族系のマークが刺繍されているのですね!!!!!!!!」

「そのとおり。お母さんが作ってくれたお気に入りの勝負服だ」

 

 アタシの勝負服にも、至る所にアボリジニの紋様が刻まれていた

 自分の着る服は、なるべくエスニック系のデザインに揃えたい。そういうちょっとしたこだわりが、アタシの中にはあるのだ

 

「…………こんな話した手前悪いんだけど、お前ちょっと、エスニック系似合わないかもなぁ………」

「そうなんですか!?!?!?!?」

 

 アタシは良さげに思えていた服を戻しながら呟く。派手な柄物だと全体の情報量が増えてしまい、まっすぐなエールの良さがくすんで見える感じがする

 

「エールの場合は、もっとシンプルな服の方が似合いそうだ」

「ソングちゃんあんまりそういうの好きじゃないって言ってたじゃないですか!!!?!?!!!!!!!」

「あ~?それはアタシの趣向の話だぞ」

「私だってきっとエスニック系似合いますよ!!!!!!!!まだ良い感じの服がみつけられていないだけで!!!!!!!!」

「そりゃ、その可能性はあるけど………」

「いや、意地でも似合ってみせます!!!!!!!!!」

「似合ってみせるって何だよ!」

 

 エールの謎の熱意に圧倒されたアタシは、やれやれと思わず笑みをこぼしてしまう。自分のツッコミの後、二人は別々になって服探しに熱中する。少し経った後、エールが両手に1着ずつ服のハンガーを掴んでアタシの元へ戻ってきた

 

「コレとコレの組み合わせとか、いかがでしょう!!!!!!!!!」

「ほー」

 

 左手にはベージュ系の花柄ヴィンテージシャツ。右手には咲いたロータスが控えめに描かれたホワイトのインナーだった。この二つを一緒に着てみるのはどうか?と聞いているのだろう

 

「試着するまでもなく合わないな。十中八九、派手めなおばちゃんみたいになるぞ」

「えーー!!!!!!!??!?」

「てか、エールに柄物は似合わないって言ったろ?」

「着てみるまでわからないですよ!!!!!!!!」

 

 エールのセンスをアタシがバッサリ切り落とすと、眉をハの時にして不満そうな表情を見せる

 

「そもそもだ。これからの夏に合わせるなら色合わせが微妙だし、それに柄物に柄物を組み合わせるコーデって、あまり合わないことが多いんだよ」

「そうなのですか!!!!?!?!」

「そ。上級者向けだな。まあどーしても着てみたいなら、まずどっちをメインで着たいか考えないと」

「うむむむ………!!!!!!!!!」

 

 両手に持つ服を交互に見て、むむむと悩むメイケイエール。その合間にもアタシは服を探す

 お? これはどうだろうか。手にしたのは桃色のカーディガン。角ばったゴシック体で“5”と形取るアップリケが、左胸に刺繍されていた。

 

「それっ ソングちゃんが今着ているものに似てますね!!!!!!!!!」

「気づいたか? アタシの服の色違いみたいだな」

 

 アタシが今着ているグリーンのカーディガンには、角ばったゴシック体で“18”という数字がアップリケとして刺繍されている。しかも同じ、左胸にだ

 

「“18”が付いてるカーディガン無いんでしょうか!!!!!!!?!?」

「見たところ無いみたいだな」

「うむむむ………!!!!!!!!!」

 

 アタシが見つけた桃色のカーディガンを受け取り、エールは突っ立ったままうむむと悩む仕草

 立って悩むぐらいなら、一回着てみればいいんじゃないか? アタシはそう言って、エールを試着室へと促す。エールはうむむと悩んだまま、候補の服を手に持ち試着室へと消えていった

 

 試着室の前でしばらく待つと、カーテンが自ずと開かれた。苦悶する真面目少女の姿は消え、そこには二人で一緒にチョイスした服を纏った可愛らしい少女がいた

 

「どうですかソングラインちゃん!?!?!?!!?似合ってますか!?!?!?!?!?」

 

 軽やかに揺れるポニーテールの少女は、ホワイトのロータスTシャツをインナーに、桃色のカーディガンを羽織って楽しそうにポージングをしていた。元々の素材がいいのもあって、本当にオシャレな女の子みたいになっていた

 

「おおおおお!!かわいいじゃん!!すごく似合ってるぞメイケイエール!!!!!」

「そうですか!!!!?そうですか!!!!!!!?!?やったあああああ!!!!!!!!」

 

 表情も明るくなったメイケイエールは、ウキウキで試着室を飛び出し、謎にガッツポーズを決めた。それほど嬉しいのか、テンションおかしくなってる

 

「これは絶対買います!!!!!!!というかもう、このまま着ていきたいぐらいです!!!!!」

「そんなに気に入ったのかメイケイエール。でも買うにはまだ早く無いか?」

 

 喜んでくれるのはお勧めした甲斐があるってもの。でも、まだチェックしたい店は沢山あった。こういう時は一旦服を戻して、ほかの店を回って本当に買いたいと判断してから買うのが普通だが………

 

「買うったら買うんです!!!!!!!!!!!!」

 

 ………んまあ、そんなに欲しいなら、止めないけど。彼女自身、そんなにお金の心配することもなさそうだし

 

「早速レジ行ってきますね!!!!!!!!」

 

 ニコリと笑って、エールはレジのある方角へ足を進めた

 ………って、おいおい待て待て

 メイケイエール、まさかそのまま、試着したままでレジに行くつもりか!?

 

「今すぐそれを脱げメイケイエーーーーール!!!!!!!!!」

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