全力疾走っ!青春声援物語 グレイブンロード (挿絵無しVer) 作:匿名423371
第6話① - キラリ お日様がおはようのウインクした
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「ソングラインちゃーーーーーん!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「うおっ!」
放課後の学校。いつもの待ち合わせ場所であるグラウンドのターフで立っていると、アタシに向かってハイテンションガールが飛んで来やがった
いきなりだったので、すかさずアタシは回避行動を取ってしまう。抱きつく目標を失ったエールはそのまま自由落下を続け……
「ぶぎゃ!!!!!!!!」
そしてそのまま思いきしターフの上へとダイブ
コンクリートだったら擦りむいていただろう。柔らかい芝のおかげで、どうやら彼女に怪我はないみたいだ
「落ちた先がターフでよかったな」
「にしたって酷いです!!!!!!!!!!!避けなくて良かったのに!!!!!!!!!!!」
「いきなり飛び込んできたら避けるに決まってるだろ」
「むーーー!!!!!!!」
寝転ぶエールはご立腹ですよと言わんばかりに頬を膨らませている。それなりの関係になってからまだ日が浅いというのに、ハグしようだなんて距離感詰めすぎだろう
「何が不満だってんだメイケイエール」
「もっと私と仲良くしましょうよ!!!!!!!!せっかく桜花賞の件、許してくださったのに!!!!!」
「許したのはお前のクソ真面目な性格に免じてだ!自主練に付き合ってるのも、遊び半分な奴よりかは真面目な奴とやる方が練習のモチベ上がるからだしな。別に馴れ合うつもりはないぞ」
「むーむーむー!!!!!!」
芝生の上で暴れる彼女をほっといて、アタシはスマホで準備体操の動画を再生する。画面サイズと音量を最大にした後、スマホをエールにも見やすい位置の芝生にそっと置いた
「ほら、今日も頑張るぞ。自主練」
「ですね!!!!!!!!!頑張りましょう!!!!!!!!!」
「切り替え早いなお前……」
──────涙を零しながら放つメイケイエールの本音を聞いてから、大体数週間が経った
その日からアタシは、努力家だがレース中に暴走してしまう彼女のことがほっとけなくなってしまった。そしていつしか、一緒に自主練をするぐらいの仲にまでなっていたのだった
彼女との関わり合いの中で、メイケイエールの生態が幾つか判明した
一つ目は、常時声がうるさいこと。初対面の時はそんなことはなかったが、彼女と普通に会話するようになってからはだんだん声がバカデカくなっていった
どれぐらいの声量と言えば、少し遡って彼女の感嘆符の数を見て欲しい。アレはSNSでよく見る過剰な感想コメントではない。アタシもさらっと流しているが、マジでこんぐらいの声量で喋っているのだ
二つ目は、とにかく元気だということ。いつもニコニコの満点笑顔。自主練習にさえ弱音一つ吐かずに楽しそうに取り組む
前に食堂でソダシの話を聞き出した時、ニコニコ笑顔で語っていたのが一番エールの素に近かったらしい。見てる方としても、ネガティブよりポジティブな方が嬉しいのだが、先日の余興レースのアレがまるで嘘のようだった
「体操終わり。じゃあいつも通りスプリントドリルやるぞ」
「ラジャーです!!!!!!!!!」
「何度も言うがアップだからな。本気で走るなよー」
「わかってます!!!!!!!!!」
最後の三つ目は、いい意味でも悪い意味でもクソ真面目だということ。自分に厳しい性格なのか、はたまた怠けることを知らないのか。何事にも全力でやりたがる
たとえば、今やっているスプリントドリルだ。これは本来、トレーニングの準備として身体を温める為のウォーミングアップである。なので基本最初はスキップのような軽い走法から行い、徐々に筋肉負荷のある走り方をこなしていくのが普通だ
しかし困ったことに、メイケイエールはそれすらいつも全力疾走したがるのだ。昨日なんて、スキップで100mを約8秒で走破。本気以外を知らないのかコイツは
「う〜…!!!!!軽く流すってどうやるんでしょ〜…!!!!!」
「普通に力抜いて走ればいいだけだろ」
「それがわからないんです!!!!!!!!身体は思いっきり走りたくてうずうずしちゃってます!!!!!!!!」
「レース狂かお前は。次は併走やるからそれまで我慢だ」
「やったーーーーー!!!!!!!!!!!!」
……というような感じで、学校に居られる時間ギリギリまで自主練習。夕方ぐらいに、2人で一緒に女子寮に帰る。それが最近の平日の流れだった