全力疾走っ!青春声援物語 グレイブンロード (挿絵無しVer)   作:匿名423371

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第7話① - 知らぬ明日に躊躇した今

 

 

「誰かが車道で寝ています!!!!!!!!!超危険でええええええええす!!!!!!!!!」

 

 夜に差し掛かった下校中。ガードレールの向こう側に伸びる車道ど真ん中にて、薄汚れた中年男性が倒れるように寝ていた

 それを見つけたメイケイエールは途端に目の色を変え、一瞬にしてガードレールを乗り越え車道に飛び出した

 

「バカ!!!危ないぞ!!!!」

「歩道まで運びますよ!!!!!!!!!ソングちゃんも早くこっち来て足持ってください!!!!!!!!!ほっといたら車に轢かれちゃいます!!!!!!!!!!」

 

 そりゃあそうだが、不潔な感じがして生理的にちょっと触りたくない……ためらっているとエールの方はお構いなしに、彼を仰向けの状態でずりずりと身体を引きずっていく。あー!もう!!わかったよわかった!!!

 意を決してアタシもガードレールを乗り越え、引き摺る足を掴もうとするが……毛むくじゃらな足に一瞬躊躇してしまう。うー、知らない男の小汚い足なんて出来ることなら触りたくなかった……

 吐き気を押し殺して足を掴み、なんとか二人で酔っ払いを歩道の方へと運び込んだのだった

 

「よし、もういいだろ。このまま歩道に置いておいても」

「え………?」

 

 おいおい。なんだその、“冗談ですよね…?”みたいな面は。小汚い酔っ払いなんて適当に放っておいていいだろ

 

「このままだとかわいそうですよ!!!!!!!!!ベンチとかにに寝かせましょう!!!!!!!」

「はぁ!?マジで言ってんの!?!?コイツを公園まで運べってか!?!?」

「大マジです!!!!!!!!!今度は自転車とかに轢かれちゃうかもですし!!!!!!!」

「それはもう、コイツの自業自得ってことでよくないかぁ…?」

 

 確かにほっとくと危なそうだが、路上で行き倒れていた酔っ払いなどもう関わりたくない……どうにか止めようとするが、聞く耳を持ってくれないメイケイエール。……全く、仕方がないなあ

 近くの公園までおよそ100m。ヒトより身体的優位性のあるウマにとって、約60kgある酔っ払いの運搬などなんてことないのだが、精神は普通の女の子と変わらない。オヤジの酒と脂の臭いが、じわじわとアタシのヲトメメンタルを蝕んでいく

 しかし、メイケイエールの方は嫌な顔を一切見せない。人助けはして当然です!という感じだ

 まさかだと思うが……メイケイエールってどんなやつが相手だろうと、命を救えるのならばと率先して心肺蘇生法とか出来てしまうタイプなのだろうか。いやこの様子ならきっと、やれてしまうのだろうな……だとしたら心の底から尊敬ものだ………アタシなんて想像するだけでちょっと…………

 

 酔っ払いの中年男性を公園のベンチに運び込んだ後、アタシはすぐに公衆トイレへ駆け込んで手を洗った

 濡れた手をハンカチで拭きながらベンチまで戻ると、ベンチに寝かせた酔っ払いのそばでエールは腰掛けていた

 

「気が済んだろメイケイエール。もう帰るぞ」

「……すみません!!!!先に帰っててください!!!!!!!」

「え。なんで」

「この方が起きるまで、私はここにいたいと思います!!!!!!」

「はぁ〜……?」

 

 ため息混じりの呆れた声が出てしまう。お人よしがすぎるだろメイケイエール

 

「どこの誰かもわからない男に、そこまでする義理なんてないだろ?」

「確かに、ソングちゃんのいう通りです。ですが……ウマとは違って、ヒトはか弱い生き物なんだって、私は教わりました」

「はぁ」

「しかもこの人、見た感じ結構お年を召しているんですよ!!?!?!?ほっとけるわけありませええええん!!!!!!」

 

 う、うーん……春だから夜でもそこまでさむくならないとおもうし、なんにせよアタシは付き合ってられね〜。エールの腕を強引に掴んで、寮の方角へと引き摺った

 

「ほら帰るぞー」

「いーーーやーーーでーーーすーーー!!!!!!のーーこーーりーーまああああああす!!!!!!」

「おいおい……そんなに帰りたくないってのかよ」

「だってモヤモヤするじゃないですか!!!!!!!!!このままほっといたら心配で夜も眠れませんよ!!!!!!!!!」

 

 お前の馬鹿でかい声の方が眠れなくなるわ!真面目というよりわがままなエールにうんざりしていると、ベンチの方から、親父臭いうめき声と共にむくりと身体を起こす音が聞こえてきた

 あーあ。起こしちゃったなメイケイエール

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