ひろがるスカイ!プリキュア〜救けて勝つヒーロー〜   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!(まさかこちらでもお世話になるとは……頭が上がらねぇ…!!)

基本視点は出久で他ではナレーションにしようかなって思ってます。
主役とナレーションの2つ視点で書くのが私のスタイル……みたいだからです(自分で自分の読んで思ったことです)。
もしかしたらソラ視点でも書く可能性がある……いやないかも。




世界を超えた出会いと戦い

 

 

 

 

グローブを外した手を流れている綺麗な川に入れ、そこから手を器のようにして川の水を上げて口に流しいれる。

それを終えると手に付いた水を軽くはたいてからグローブを持って立ち上がり、歩き出した。

 

「……どうしよう」

 

周囲を見ても森だけ。城跡のどこかって感じはしない。あの戦いの跡が全くないからだ。

携帯もあの戦いの中だったからかなくなっていて、連絡手段はない。

活真くんと真幌ちゃんが、島の人たちが、クラスメイトが、かっちゃんが心配でしょうがない。

それに『OFA』をかっちゃんに譲渡させたことをオールマイトに伝えないと…かっちゃんなら大丈夫だろうけど、僕が教えられる『OFA』のこととかを話さないと……。

 

「まずはどこか人気(ひとけ)のあるところに行かないと……」

 

ボロボロになっていたコスチュームも元に戻っているし、あの時にできた傷もすべて治っていた。

だけど、僕の中に残っていた『残り火』は感じない(・・・・)……後悔はないけど、やっぱりあの戦いは嘘じゃないってことだ。

しばらく歩いていると、森から抜け出すことができた。だけど、同時にここは那歩島じゃないってことが分かった。

那歩島にはない街が、ビルが並んでる……でも、ここが大自然の中じゃないだけまだ良かった。これなら警察とかに事情を話て雄英に連絡できる。

僕は森から抜け出し、街へ走り出した。

 

 

 

街に着いた僕は交番を探すために歩いていた。

歩いていたんだけど……。

 

「なにあの子? コスプレイヤー?」

「近くで撮影でもしてるのかな?」

「キュアチューバ―とかじゃねぇの?」

 

なんか、周りの視線がおかしい……確かにコスプレイヤーっぽいけど、撮影とかはしていない。

特に気になる単語は『キュアチューバ―』ってやつだ。それに、誰もヒーローって単語を使ってない……どういうことだ?

疑問と違和感でいっぱいだ。

それに、周りを見渡せば、プロヒーローっぽい人は誰1人いない……建物につけられてるモニターにもヒーロー関係のCMが一切流れていないし…——

 

「ッ! なんだ!?」

 

瞬間、どこかで何か爆発…いや落下音?が聞こえた。音がした方は……あっちか!!

音のした方へ走り出す。すると、向かう方から黒い何かが溢れ出しているのが見えた。

 

(ヴィラン)の仕業なのか…!?」

 

嫌な予感がする……走れ!急げ!!

 

 

——◆——

 

 

時刻は出久が走り出す少し前に戻り、街中のある店の前にて、2人の少女と抱えられている1人の赤子がいた。

 

「「これ、夢だ…」」

 

そんな少女2人は、先ほど目の前で起きたことを夢と思い込み、現実逃避していた。

 

「夢でしたか」

 

赤子を抱えている、青髪で右側にまとめてサイドテールにしている少女。

名は『ソラ・ハレワタール』

 

「うんうん。夢だよ夢!」

 

片手にエコバッグと手帳を持つのは、薄ピンクのお団子ヘアにロングの髪をした少女。

名は『虹ヶ丘(にじがおか)ましろ』

 

「初めまして、夢の中の人。私、ソラ・ハレワタールです」

 

「私はましろ。虹ヶ丘ましろだよ」

 

「よろしくお願いします」

 

夢の中なのか、2人は自己紹介をし始め、終えてからソラは辺りを興味津々の様子で見渡した。

 

「鉄の箱が走っているなんて夢の世界はすごいですね! この夢の街、名前はなんていうんですか?」

 

「『ソラシド市』だよ」

 

「ソラシド市……あ!」

 

「えっ? あ、もしかしてこれ……」

 

「私のです! 拾ってくれてありがとう、とても大事な手帳なんです!」

 

ソラは己の大事な手帳を、ましろが持っていたことに気づき、ましろは一度持ち主確認をしてから、ソラに手帳を渡した。

そしてましろはその手帳に書かれている文字が、読めないからなのか、とっても気になる様子だった。

それはましろの暮らす国でも、学校の授業などで習った文字でもない、全く知らない文字だからだ。

 

「初めて見る文字……なんて書いてあるの?」

 

「これですか? スカイランドの文字で『私の——」

 

ソラが手帳に書かれている文字を説明しようと言いかけた瞬間、そんな2人の近くに何かが落下して来た。落下してきたものは道路の真ん中にちょうど落下し、その衝撃で周囲に土煙が立ち上がった。

 

「あれは…」

 

「夢の中、本当に何でもありだよ!」

 

ましろが夢だとまだツッコむが、逆にソラはどこか警戒をしている様子をしている。

そして土煙が晴れると、そこには落下してきたものの正体がいた。

身体全体、人間でいえば肌に当たるところが薄紫色になっており、全体の作りは肥満体ででべそ、髪色は青色の髪形はモヒカンで顔は豚のような顔になっており、出っ歯が出ている大男だった。

 

「ソラ! 許さないのねん…! お前をボコボコにして、それから『プリンセス』を頂くのねん!」

 

その大男はソラを、否、ソラが抱えている赤子をしっかり睨んでいた。

 

「えるぅ…」

 

「怖くないですよ。私が守ります」

 

赤子はそれに怯えるが、ソラは安心させるためにあやした。

 

「……守れるかな?」

 

大男は自身の後方にある工事現場、そこにあるショベルカーに目を付け、突然片手を上に掲げた。

 

「カモーン! アンダーグ・エナジー!!」

 

そして大男は5本指を地面に付ける。するとそこから膨大な闇のエネルギーのような、大男が言う【アンダーグ・エナジー】が溢れ出した。

そして【アンダーグ・エナジー】はそのまま迷いなく工事現場にあるショベルカーに向かって行き、包み込んでいった。するとショベルカーは原型を変え、人型に突然変異した。

クローラは足へ、バケットは2つに増え両手に、アーム(関節部)は黒灰色に変わり、操縦席が顔になるよう変わり、黄色い目を光らせた。そして頭部には先ほどの大男と全く同じモヒカンが生えていた。

 

「ランボォォグゥゥ!!!」

 

それによって周囲にいた市民も騒ぎ出し、注目しだした。だが、自身を『ランボーグ』と鳴き声のように言っているそのショベルカーは、自身の両手をぶつける。

そこから生まれた衝撃波は凄まじく、周囲にいた市民たちは慌てて逃げ出した。

 

「普通に痛いよ!? これ、夢じゃ無いの!?」

 

ましろはあまりにも非常識なことに、とうとう自身の頬をつねって確認する。

それによって痛みが走り、今現在までの出来事がすべて夢ではなく現実であることを悟った。

それに対しソラは真剣な表情でましろを見た。

 

「ましろさん」

 

「は、はいッ!」

 

「この子をお願いします。私が時間を稼ぎますから、その間に逃げてください!」

 

ソラは赤子をましろに託し、ランボーグの元へ向かおうとする。

それはとても危険なことだと、ましろはソラの手を掴み、止めに入った。

 

「ッ! (震えて……)」

 

ソラの手は震えていた。

2人を逃がすために自ら向かおうとしているが、本当は自身も怖いことに、ソラも怯えていることにましろは気づいた。

だがソラはそれでも向かおうとするが、先に動いたのはランボーグだった。

 

「ランボーグ!!」

 

ランボーグは腕を掲げ、そして3人に向かって振り下ろした。

 

「「ッ!?」」

 

だが次の瞬間、2人は何かに押される感覚に襲われた。同時にランボーグの腕が地面に激突し、土煙が立ち昇る。

 

「うぅ……」

 

「な、なにが……ッ!」

 

2人は身体をゆっくりと起こし、先ほどまで自分たちがいたところを見ようとした。

だが視界に映ったのは……緑をメインとし、両腕には白、両足には黒をメインとした戦闘服(コスチューム)を身に纏う——

 

「大丈夫!?」

 

——緑谷出久だった。

 

 

——◆——

 

 

ショベルカーのような異形型と豚のような異形型の(ヴィラン)を睨む。

 

「お前何者なのねん!」

 

「…そっちこそ、何が目的だ!」

 

「こっちが聞いてるのねん!!」

 

分からないのか?やっぱり、ここら辺にはさっきの市民の反応から見て、ヒーローがいないのか?

 

「僕は…ヒーローだ!!」

 

「ッ! ヒーロー…!?」

 

「怖いのが出たと思ったら今度はヒーロー!?」

 

"個性"が…『OFA』がない今、"無個性"でしかない僕がどこまで相手できる?

いくら仮免を持っていようと…いや、そんな弱気になるな!後ろにはこの街の市民がいるんだ!

ヒーローと警察がいるかもわからないこの状況で対応できるのは、"個性"がなくとも、僕だけなんだ……!!

 

「ヒーロー気取りってことかねん? ギャ~ハッハッハッ! お前に何ができるっていうのねん!」

 

「出来る出来ないは関係ない! ただ困ってる人を助けたいだけだ!!」

 

「なら痛い目にあわせてやるのねん! やれ! ランボーグ!!」

 

「ランボーグ!!」

 

来たッ!あのショベルカー(ヴィラン)……ランボーグって呼ばれた(ヴィラン)が、あっちの男が命令した瞬間動いた。脳無のように命令されて動くやつなのか?いや今は、こいつらをここから離れて人気のないところに誘導を……!

 

「君たちは早くここから離れて!!」

 

「ランボーグッ!」

 

「くっ!」

 

ランボーグの攻撃を横に回避して、距離を取りつつ、アイツの視界から外れないようにする!

 

「こっちだ!」

 

「ランボーグ!!」

 

躱せ!躱して行け!あの人たちが逃げるまで、時間を稼ぐんだ!!

『OFA』がなくても、これまでの経験を引き出せ!!

 

「何やってる! 早くするのねん!!」

 

「ラ、ランボ…!」

 

よし、撹乱してる!

ある程度の力なら素でも出せる!足を崩して倒せば時間をもっと稼げ——

 

「危ない!!」

 

「ッ!?」

 

声が聞こえて思わずそっちを向いたら、ランボーグが片手を僕のほうへ伸ばしてきていた。

振り返りながら回して来たのか!?

 

「ぐぁッ!!!」

 

僕は咄嗟に腕をクロスして防御する。だけど攻撃を防ぎきることができず、そのままビルの壁に吹き飛ばされ、激突した。

 

「くぁっ……!」

 

「YOEEE! 何がヒーローなのねん! 何も出来ない癖に、ヒーローを気取るからそうなるねん脇役が!!」

 

何も、できない……そんなの、そんなの!!自分が一番わかってる!!!

あの日オールマイトに認めてもらえて、後継者として選んでくれて、"個性"を託してくれた…何もできない、何もなかった僕に!!!

 

「なにも出来なくても、ヒーローは……!」

 

「止めを刺すのねん! ランボーグ!」

 

「ランボーグ!!」

 

ランボーグがズシッ、ズシッと音を立てながらゆっくりと近づいてくる……元々あの戦いで『OFA』を手放して、夢は潰えたんだ……それでも、僕は…!

 

「ッ!」

 

歯を食いしばって立ち上がろうとしたら、僕の目の前にさっきの女の人、青髪の人のほうが来た。

背中を向けて、両手を左右に広げて守るようにしていた。

 

「これ以上は、させません……!!」

 

「なっ!? ダメ、だ…! 逃げて…!」

 

「嫌です!」

 

なんで…自分たちが狙われてるってわかってるはず……ッ!震えて……!!

 

「私たちだけが助かって、あなたが傷つくなんて嫌なんです……! それに、"相手がどんなに強くても…正しいことを最後までやり抜く"。それが『ヒーロー』だから!!」

 

「ッ!!」

 

この人は…怖くても、自分が相手より弱くても、困ってる人を守るために……!

あの時の、昔の僕と同じように……。

 

「なにをゴチャゴチャ話してるのねん! やれ! ランボーグ!!」

 

「ランボーグ!!」

 

「うぁ!?」

 

ランボーグが腕を振り下ろす前に女の人は僕を抱き上げて、そのまま急いで回避した。

 

「アァ!!」

 

「ッ!?」

 

だけど、衝撃で飛んだ瓦礫がこっちに来て、その瓦礫が彼女の背中に当たってしまった。

そのままゴロゴロと転がって少し離れてから止まった。

 

「くっ…大丈夫!?」

 

「このぐらい、平気です…! それよりも…あなたのほうが……!!」

 

「大丈夫…こんな傷、大したことない…!」

 

助けるどころか、助けられた……自分の"個性"がなくなった途端の無力さに、悔しさがこみ上げてくる…!後悔はしていないけど、やっぱり、今の僕じゃ……。

 

「見失ったら面倒なのねん……追いかけろランボーグ!」

 

「ッ! 待て——」

 

「カバトントン」

 

(ヴィラン)が一緒にいた人と赤ちゃんを追いかけようとしていた。それを止めようと動こうとしたけど、視界がいきなり紫の煙で覆われた。

すぐに煙を振り払うも、既に(ヴィラン)はあの2人を追いかけに行ってしまっていた。

 

「あの人たちの元に…!」

 

どうする!?ここまで行ってもヒーローどころか警察も来ない…!

 

「追いかけないと…!」

 

「ッ! そんなボロボロで動いたら…!」

 

「怪我も痛みも関係ない…! 今、困ってる人がいるなら…助けないと…!!」

 

「ッ…!」

 

身体を無理やり動かし、立ち上がる。こんなの大したことない…!早く追いかけないと…!

でも、彼女も心配だ……!すると彼女は、身体を振り絞って立ち上がった。

 

「急ぎましょう…! ましろさんたちが危ない…!!」

 

「ッ…うん! 少し掴まってて!」

 

「うぇ!?」

 

急いで(ヴィラン)を追いかけるために、僕は彼女を抱き上げて走った。

 

(ヴィラン)たちの追い付いた先に、きっと君と一緒にいた人たちもいるはずだ……追いついたら君は、その人たちと一緒に逃げて…」

 

「それは、できない相談です…! さっきも言いましたが、あなたを置いて逃げるなんてできません…!」

 

「…ッ」

 

どう言っても、恐らくこの人は守るために逃げない…それだけは分かった。

これ以上言っても、きっと……そんなことを思いながら走っていたら、(ヴィラン)と先に逃げていた人を見つけた。

 

「早くその子を渡さないと……!」

 

「やめろ!!」

 

「あ!?」

 

まだあの人たちには手を出していない。僕は抱き上げていた女の人を降ろした。

 

「2人とも! 無事だったんだね!」

 

「あなたの相手は…私たち…うぁ!」

 

「ッ!」

 

だけど、さっきの瓦礫の痛みのせいか、女の人は地面に膝をついてしまい、その勢いで、胸ポケットにしまっていた手帳のようなものが、(ヴィラン)の足元まで飛んで行き、それを(ヴィラン)は拾った。

 

「あぁ? 『私のヒーロー手帳』? 何じゃこりゃ…」

 

「ヒーロー…手帳…?」

 

それって、もしかしなくても彼女の……。

 

「『空の上を怖がっていたらヒーローは務まらない』…『ヒーローは泣いている子供を絶対に見捨てない』…『絶対にヒーローになるぞ』 ヒーロー? そこの脇役と同じに? …ギャハハハッ!」

 

(ヴィラン)は内容を読み上げ、そして笑いながらページに手を掛けた。

そして次の瞬間…——

 

「あ!」

 

「ッ!!」

 

——(ヴィラン)は彼女の、ヒーロー手帳のページを思いっきり破いた。

 

「力のない奴は、ガタガタ震えて、メソメソ泣いてればいいのねん! ギャ〜ハッハッハッハッ!」

 

(ヴィラン)がバカにするように嘲笑っているその瞬間、まるで大きな地響きのような音のように1回だけ鳴り響き、それは全員の耳に入った。

 

「……へ?」

 

この時、(ヴィラン)の視界から見れば、何が起きたのか理解するには時間が必要だったであろう。

それは、既に『OFA』を失っているはずの出久が、(ヴィラン)との距離を一瞬で縮め、己の右手を、強く握りしめて構えていたからだ。

そして、その握られた右手は、(ヴィラン)の顔面に命中し、そのまま奥のビルまで殴り飛ばした。

あまりにも早い出来事。ソラとましろらも驚愕していた。そしてこれは、出久本人も気づいていない無意識のこと。なぜなら彼は今……——

 

 

「それ以上、彼女の夢をバカにするな……!」

 

 

——(ヴィラン)のやった行いに、怒りを抱いていたからだ。そんな彼の左手には、先ほど(ヴィラン)が破いたヒーロー手帳の残されたカバーだけが握られていた。

先の攻撃で(ヴィラン)は手放し、それを出久がキャッチしたのだ。

 

「く…な、なにするのねん!!」

 

(ヴィラン)は自分が殴られたことに怒り出す。

だが、それよりも出久は一歩踏み込み、言葉を述べた。

 

「それは、こっちのセリフだ…!!」

 

僕は(ヴィラン)を睨んだ。あいつは、彼女の夢をバカにした…否定した。

怖くて身体が震えても、困ってる人を助けるために頑張る彼女を……!!

 

「彼女は…怖くても…自分より強い相手が前にいても…怯えず、そこの人たちを守ろうとした! 僕を助けてくれた!! 彼女はヒーロー気取りじゃない……本物のヒーローだ!!」

 

「…!」

 

「今日出会ったばかりだけど…それでもヒーローに憧れ、夢に向かって、努力し続けてたってことはわかる……! お前が破いたこれは…彼女のヒーロー手帳は…! 彼女にとってはとても大切な……夢が、目標がたくさん詰まった宝物なんだ(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)ッ!!

 

「…~ッ!!」

 

思い出すのは、己が幼いころから書き続けた『将来の為のヒーロー分析ノート』。

僕も彼女と同じように、たくさんのヒーローのことを分析して書き続けていって、今も書き続けてる。

そして、もう仲直りしたけど、大事なノートを燃やされたりもした。

だからその時の気持ちも、勝手だけどわかるつもりだ……だから…だから…!!

 

「これ以上彼女を、彼女の夢をバカにするなら……お前を許さないッ!!!」

 

自分の手をギュッと強く握りながらそう言った。言わずにはいられなかったんだ。

彼女は僕に似ているから…怖くても、ヒーローを夢見て、そしてヒーローになるために必死に努力を積み重ねたんだろう。

あいつが破り捨てたこれが、何よりの証拠だ……それをあいつは……!

 

「な、なんなのねんお前! 何もできないくせにヒーローを気取る脇役がベラベラと!!」

 

「そうだ……僕はもう何も出来ないさ…救けるために、『授かった"個性()"』を手放したから…でも、それでも僕は…目の前で困ってる人たちがいるなら、手を伸ばして救ける! それが、ヒーローだから…!!」

 

「な…なに笑ってるのねんお前…!」

 

笑うさ……だって僕が憧れたヒーローは…僕を認めてくれたヒーローは…僕をヒーローの道に導いてくれたあの人は……笑顔で人々を救ってるんだから!!!

 

「そんなボロボロのくせに…お前なんかただの脇や——」

 

 

「彼は本物のヒーローですッ!!!」

 

 

「「ッ!?」」

 

思わず振り返れば、彼女が立ち上がって、僕の隣に来て(ヴィラン)に向かって叫んだ。

 

「見ず知らずの私たちをボロボロになっても必死に守ってくれました…自分よりも他を優先して…恐れず、真っすぐに! そして、私の夢をバカにせず…それどころか、とても嬉しい言葉をくれました……! そんな彼は、脇役なんかじゃない…! 気取りでもない! 彼は私のヒーローですッ!!」

 

「…ッ!」

 

彼女の言葉に嬉しさと同時に、オールマイトと出会って、求めた言葉を言ってくれたこと思い出した。

 

「2人とも…」

 

「えるぅ…」

 

「「大丈夫……」」

 

周りが安心できるように言うんだ。笑顔で。

 

「パパとママの所に…お家に帰ろう」

 

「必ず守るよ…そして救けるから…!」

 

 

——相手がどんなに強くても、正しいことを最後までやり抜く…

 

「それが…」

 

 

——どんなに困ってる人も笑顔で救ける…

 

「それが…」

 

 

   「「それが、ヒーロー……!」」

 

 

瞬間、ソラは胸が輝きだした。

そして出久は胸の奥底から何かが燃え上がったのを感じた。

 

「ぷりきゅあ~!!」

 

赤ちゃんが叫ぶと隣にいる女の人と僕の方へ光が飛んで来て、僕たちは思わず手を伸ばして掴んだ。

女の人のほうはその光が徐々に形へと変わっていく中、僕が掴んだ光はそのまま消えていった。

いや違う……僕の中に入って来た(・・・・・・・・・)

一方女の人のほうは、胸の光から現れた、羽が付いたペンのようなものと一緒に掴んでいた。

女の人は僕を見る。

僕たちは互いに頷き、彼女は覚悟を決めた顔をして(ヴィラン)を見て言った。

 

「ヒーローの出番です!!」

 

その言葉に共鳴するかのように、ドクンッと何かが身体の奥底で高鳴った。

そして次の瞬間、女の人のほうは光に包まれ、僕は"発現"した。

 

 


 

 

真っ暗な空間にたった1つ、燃え上がる炎。

謎の光によって消えかけたそれは再燃したが、完全と言えば嘘になる。

そんな炎に今一度光が降り注いだ。

否、その光は炎を潜り抜け、炎の中心部にある黒い球体へ接近していった。

やがてその2つが接触し合い、黒い球体は白へ変わっていき、輝き始めた。

瞬間、球体が膨大に膨れ上がり、炎もそれに合わせてさらに燃え上がった。

白い光の球体の中には小さな6つの光(・・・・)があり、その中心に、新たな光が現れた。

 

 


 

 

女の人の青く輝く光が消え、僕も全身に巡ってくるような感覚と同時に微かに発光しだした。

 

「私、どうしちゃったんですか!?」

 

「これって……」

 

女の人のほうは姿を変え、僕は発光とともに身体から稲妻を漏らしていた。

それ以上に、僕のこの状態って……それに、胸の奥に感じるこの炎は……"個性"は……!!!

 

「『ワン・フォー・オール』……!?」

 

かっちゃんに譲渡させて、『残り火』が消えるまで使ってきたからこそわかる。

あの時、確かにかっちゃんに譲渡させて、かっちゃんは『OFA』を使っていたし、僕も僕の中に残っていた『OFA』の『残り火』が完全に消えたのは感じていた。

だけど現に今、僕の中に『OFA』がある……同時に、今までとは何か……——

 

「あ、あいつらをやっつけろ! ランボーグ!」

 

「ランボーグ!」

 

「「ッ!」」

 

ランボーグが腕を振り下ろして攻撃しようとしてきた。それに対し咄嗟に脚に力を入れて、跳躍して避けた。

 

「うぇええッ!?」

 

「…力が増してる(・・・・・・)……!?」

 

今まで通りの出力で使用しただけなのに…!さっきの子と何か関係があるのか!?

譲渡したはずなのに、今使えるこのあまりにも異常な事態、それらが関係しているのか!?

いや、今は自分のことよりも、目の前の(ヴィラン)を止めることを考えるんだ!

僕たちはすぐ後ろにあるビルの屋上に着地した。

 

「いったい、何が……」

 

「よくわからない……だけど今は、アイツを止めよう!」

 

「ッ! はい!!」

 

女の人のほうを見て戦うことを言えば、彼女は返事を返してくれた。

これでみんなを守れる……!!いや、守るんだ!!!

 

「ランボーグ!!」

 

ランボーグが追いかけてビルの屋上に飛んできた。

 

「そういえば自己紹介がまだでした! 私はソラ…ソラ・ハレワタール! 今は『キュアスカイ』です!」

 

「僕は緑谷出久。ヒーロー名は『デク』! 行こう、スカイ!!」

 

「はい! デク!!」

 

この状況で自己紹介はおかしいと思うけど、互いに呼びかける際の名前は大事だ。

それに今きっと、笑っちゃってると思う…でも、笑顔で困ってる人を助けるのがヒーローだ!

ランボーグが拳を振り下ろしてくる。

それをスカイは片手で防いだ。

 

「はぁっ!!」

 

ランボーグはすぐさまもう片手を振り下ろそうとしたけど、それよりも早くスカイはランボーグに攻撃して、ビルの屋上から遠ざけるように吹き飛ばした。それに合わせて、僕は【フルカウル】を駆使してランボーグの上に瞬時に移動した。

 

「ランボッ!?」

 

セントルイス スマッシュ!!!」

 

【セントルイス スマッシュ】でランボーグの腹部を蹴り、そのまま一気に地上まで叩きつけた。

 

「今だ! スカイ!!」

 

「はい!!」

 

すれ違うようにスカイが一気にランボーグへ落下しながら接近していった。

 

ひ~ろ~が~る ……——」

 

スカイが技を放とうとした時、彼女が水色に光輝いきながら、大きな握り拳となった。

 

「—— スカイパーンチ !!!」

 

そしてそのままランボーグ目掛けて飛んで行き、命中させた。

するとランボーグは色が徐々に抜けるような感じで灰色になっていった。

 

「…スミキッタ~……」

 

ランボーグがまるで最後の言葉かのようにそう呟くと、光に包まれながら元のショベルカーに戻っていった。

同時に、どういうわけか先の戦いで巻き込まれてボロボロだった街までもが、何もなかったかのように元に戻っていった。

 

「どういうことだ…?」

 

こんなこと普通ありえない……僕の世界では街に被害を受けないようにするための戦いも学んでいる。

だけど、この世界はまるで戦いが終われば勝手に治るような…そんなことを考えながら僕はスカイの隣に着地した。

 

「もう終わりだ。おとなしく——」

 

「ヒッ! カバトントン!!」

 

「あっ!!」

 

主犯を拘束しようと歩み出したら、主犯は自分の足元に煙を出した。

そして晴れるともうそこにはいなかった……。

 

「逃げられた…"個性"にしては関係性がないし、まるで複数持ち…あいつは一体……」

 

すると、隣にいるスカイの身体が突然光り出したと思ったら元の姿に戻り、ソラさんは宙に浮いたペンをキャッチした。

それに合わせて、僕も思わず【フルカウル】を解いた。

 

「これは、一体…」

 

ソラさんがさっきのことを不思議に思ってる。

それは僕もだ。どうして『OFA』が僕の中に……。

 

「えるぅ!」

 

赤ちゃん声で振り返れば、さっきの光を飛ばしてきた赤ちゃんとその赤ちゃんを抱いている女の人がいた。とりあえず今は安否の確認だ。

 

「怪我はありませんか?」

 

「えっ? あ……あなた達こそ…って! 特に君だよ! 酷い怪我を…ってあれ?」

 

そう言われて自分の身体を見れば、さっきまでの戦いの傷が治っていた(・・・・・・・)

古傷とかは消えてないけど、今さっきできた新しい傷だけは……どういうことだ?ソラさんも治ってるようだし……。

 

「あなた達って…ヒーローなの?」

 

それを言われて、思わず僕たちは顔を見合わせた。

 

「う~ん……私にもわかりませんが、少なくとも出久さんはヒーローだと思います!」

 

「それなら、僕にとってもソラさんはヒーローだよ」

 

きっと同じことを思ったのだろう。僕が言おうとしたことをソラさんが先に言ってきたのだ。

そして僕は、救えたことにホッとした。

 

 

 

 





序盤から詰め詰め且つオリジナル展開入れて書きました(文字で言うと10.000)。後悔はない!
出久が転移して最初から使えたらなんかよろしくないなって思い、このような展開にしました。でもやっぱり出久はヒーローが一番お似合いですね♪だから一生推せるんですよ!!
あとスカイランド人は『デク』って本当の意味知ってるのかな…?

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