ひろがるスカイ!プリキュア〜救けて勝つヒーロー〜   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!


コラボ相手『そらまめ24』様。
コラボ作品
『ひろがるスカイ!プリキュア〜無個性なヒーロー〜』
https://syosetu.org/novel/335973/

大変オススメする作品であります。
相手様のコラボの時系列は、第46話~第47話に当たります。



希望は……

 

 

 

 

災悪へとなった現在。

パーク周辺には海と風が荒れ、空の雷雲からは激しい雨と稲妻が降り注いでいた。

 

「ぢがら”ぁ”!!」

 

ハイエンド(ボトム)は猫背のような姿勢になると、背面が内側からうごめくような動きが起こり、その背面から2つ、まるでスラスターの展開のように肉が捲りでた。その部分からは空気が激しい勢いで噴射され、一気にデクの元まで向かった。

 

「出久さん……ッ!?」

 

それを見たスカイは動こうとするも、その意志とは裏腹に、自身の脚は動かなかった。

 

「な、なんで…!?」

 

「こ、怖くて身体が動かない…」

 

「クソ、動け!!」

 

だがそれはスカイだけにあらず、他のプリキュアたちも同様だった。

先ほどまで感じていた死の感覚。それが今も身体に流れ込むように感じており、それによって身体が本能的に止まったのだ。

 

「そんな…出久さん…!!」

 

そしてスカイの脳裏には、あの日苦しんだ悪夢が過っていた。

 

 

 

一方デクは、ハイエンド(ボトム)の攻撃を受け、戦闘服(コスチューム)が破れると同時に折れてしまった左腕を抑えながら、グググッと顔をしかめながら立ち上がった。

 

「クッソ…! (左腕が、折れた…!!)」

 

だがハイエンド(ボトム)は一瞬でデクの傍まで着くと片腕を変容させ、紫の稲妻を纏いながら振りかざした。

 

「ッ! (回避…できな——)」

 

その腕は振り下ろされ、衝撃と共に瓦礫と土煙が立ち昇った。

 

「……ア”?」

 

だがハイエンド(ボトム)の攻撃は届かなかった。

 

「俺の知る超常でも、こんなバケモンの"個性"持ちは知らねぇぞおい……!」

 

その正体は、デクとハイエンド(ボトム)の間にAMOがすぐに駆け付け割り込み、『透明な壁(インビジブルウォール)』で防いでいた。

 

「ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!!!」

 

ハイエンド(ボトム)はもう片方の腕も変容させ、両腕をそのままラッシュするように振り下ろし、殴り続けた。

それに『透明な壁(インビジブルウォール)』も透明であるがゆえに光としての亀裂が入った。

 

「くっ…! (1分も持たねぇ…!!)」

 

「オール・…マイ・オーン……!?」

 

「ジャ、邪魔ァ”!!!」

 

ハイエンド(ボトム)は最後に大きく振りかざした腕を、更に変容させて大きく肥大化させた。

その腕を振り下ろそうとするが、そのハイエンド(ボトム)にミサイルとレーザーが降り注いだ。

 

「ヴぅ!?」

 

「これ以上、好きにはさせない……!!」

 

ハイエンド(ボトム)が剥いた方向には武装しているフェイトを全て『ナノテクノロジー』で武器に変形させて放ち続けているドクターがいた。

 

『エネルギーガ15%マデ減少。コレ以上ハエネルギー類ノ攻撃ガ不可能ニナリマス』

 

「…ッ!」

 

だがフェイトに搭載されている自動停止システムが起動し、攻撃が止まってしまう。

その隙をハイエンド(ボトム)は見逃さず、その腕をドクターへと伸ばし、ドクターをワシ掴みにした。

 

「うぅ…! 全装甲の熱を最大まで上昇!」

 

『ソレデハドクターノ身体ガ持チマセ——』

 

「いいからやって!!」

 

ドクターの指示にフェイトは危険だと知らせるも、それを遮るように強くドクターは命令した。

それによってドクターの纏うフェイトから熱が次々に発生し、ドクターを掴むハイエンド(ボトム)の手が焼け始めた。

 

「ヴァ”ァ”ア”ア”ア”ッ!!!」

 

だがハイエンド(ボトム)は背面のジェットを噴射して飛び、その勢いを乗せてドクターを掴む腕を大きく振るった。その勢いのまま手を放し、ドクターは遠くのほうまで吹き飛ばされ、数回バウンドするようにしながら地面に激突した。

その際纏っていたフェイトの装甲が、背面のウィング型スラスターの左翼や脚部の装甲、頭部のブレードアンテナなどが砕けてしまっていた。

 

『装甲破損。『ナノテクノロジー』ニヨル自己修復モ不可能デス』

 

「桁違い…すぎ——……ッ!?」

 

ドクターの言葉は最後まで出ることはなかった。

その理由は、ハイエンド(ボトム)の身体が再生していたからだ。

 

「玩具…そレに…」

 

ハイエンド(ボトム)は周辺を見渡す。

その周辺には、今だ動けないでいるプリキュアたちがいた。

 

「ドれ一番、つ、強イ…? 強イんだァァァアアアアッ!!!!」

 

ハイエンド(ボトム)の思考は、強者との戦闘ばかりであり、咆哮と同時に両腕を地面に叩きつけ、その勢いでパーク全体の地上前面を砕いた。

それによってプリキュアも、デクも、AMOたちも土煙の中それに巻き込まれた。

 

 

——◆——

 

 

上空。

激しい雷雲の中、シロップに乗り空を飛んでいる妖精たちとあげはとエル。

そして、彼女たちとは別で1つのヘリが飛んでいた。

 

『皆様見えるでしょうか!? 今日開園したはずの『フェアリーパーク』にて起きた謎の事件! 突如して起こり出した謎の現象に起こり出した怪物たちの襲撃! それに対抗したのは以前から目撃されている伝説の戦士、プリキュアでした! その後にプリキュアたちの勝利に終わると思いましたが、今状況は悪化し続けております!』

 

それは報道のヘリだった。

そのヘリ内にいるマスコミは、パーク内で起きている現状を映し、世界へ発信させていた。

 

『先ほどまでは勝利が、希望が、光が見えたはずなのに、今はむしろ……絶望しか見えません……

 

それをリポートする女性もカメラマンも、その表情は絶望に染まっていた。

 

 

——◆——

 

 

耳には脳無の咆哮、それに激しい雨と雷の鳴る音が聞こえ続けてる。

僕は身体を潰すように上に乗っている瓦礫を、身体を動かして退かして、痛みに耐えながら立ち上がった。

 

「くっ…ぅあ…!!」

 

脳無の攻撃で左腕が折れた…しかも強すぎるあまり、戦闘服(コスチューム)のグローブまでも壊れ破けて、歪な形になってしまった腕が露になってる。

それに、脳無が巻き上げるように振るった攻撃…あれのせいで右頭部に瓦礫が当たって血が流れて、右目もあまり開けないから、視界が……。

 

「——っは」

 

土煙が晴れると、事態は悪化していることが改めてわかった。

 

「ヴぉ”お”ぉ”オ”オ”ぉ”ぉ”お”ぉ”オ”ッ!!!!!」

 

脳無の咆哮…そして周りには横たわっているプリキュアの皆やAMOたち……。

 

「みん、な…」

 

思わず足を一歩踏み出すと、その足元にあった小さな瓦礫が崩れた。

 

「ヴッ!!」

 

脳無はその音を聞き逃さず、僕の方に振り向いた。

 

「…ッ」

 

【フルカウル】を纏いながら脳無を睨む。

考えろ…考え続けろ…相手はただの脳無じゃない。自立思考型だ。

奴を止められるのは情報を持っている僕だけだ。

それにランボーグやボトムたちと違って、脳無はプリキュアの力で消滅するようなものじゃない……確実に脳みそを潰さないと()せない存在だ。

脳無の攻撃を受けて左腕はもう使えない。

なら『黒鞭』で内側の骨に腱、筋肉を直接補強。

そして外側も別で張り巡らせて無理やり補強して動かす。被害をこれ以上出さないための対策を取る…!!!

 

「オ、お前……つヨい…ノカ? さ、ささっキ…簡単に、吹き飛んダ、ダロ?」

 

視界も左目でしか捉えられない…右目も微かに捉えられるけど、なるべく右側に来させるに訳には…でもそれだと左腕での対処は難しい……いや、そんなこと考えるな。

身体がどうなったって、脳無を止めないと…ましろさんとあげはさんの世界が…それに、ソラさんの世界にまで影響を及ぼす可能性だっていくらでも想像出来てしまう……!!

 

「お前を絶対止める…!!」

 

「ヴぅ…ぢからァァアア!!!」

 

脳無が一気に背中の空気の噴射でこっちに飛んできた。跳躍の瞬間、インパクト35%+『浮遊』!!

 

「ヴぅ!!」

 

脳無の攻撃してきたけど、それをギリギリ跳躍して回避した。そのまま『浮遊』で上空に留まる。

そして【エアフォース】で移動の補強!

 

「に、逃がさナい!!」

 

「チィ!!」

 

やっぱり脳無も飛べるか…しかも腕を拡散させるようにして伸ばしてきた!

 

エアフォース!!」

 

足を振るいエアフォースを放つも、脳無はそれを効いていないのか、そのまま真っすぐ来ていた。

背面から出している『黒鞭』で他の方向から伸びて来た腕を対処するも、だけどそれも長くは持たない…!!けどもっと上に行け…被害が出ない上空へ……攻撃して気を引き付けて、雷雲の上へッ!!!!

 

「ぢがらァァ”ァ”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!!!」

 

僕と脳無は互いの攻撃をぶつけぶつかれながらも、上へ上へと昇っていった。

 

「ヴぁ”あ”あ”あ”っ!!」

 

脳無が殴りかかって来たと同時に右手で【エアフォース】を放ってその推進力で回避する。

だけど掠ったことで戦闘服(コスチューム)の上着の一部がその風圧で破けた。

それでも気にせず雷雲の中に入っていく。

 

「ヴぅ”ぅ”……ド、どこダ…!?」

 

後ろを振り向けば、既に雷雲によってもう脳無が見えないでいた。

恐らくそれは向こうも同じはず。

なら、最後に脳無を確認した場所を思い出して……『浮遊』を解除する!

 

スマッシュ!!!」

 

「ガッ!?」

 

【シュートスタイル】で攻撃し、脳無にダメージを与える!!

雨の激しい雷雲の中でなら感知系の"個性"を持っていない限り接近するまで認識はできない。

最後に認識した場所、次の行動パターンを分析と予測をし続けて攻撃する!

 

「ヴぅ”ぅ”…!」

 

「…っく!」

 

けどやっぱり黒い脳無だから『超再生』も持っているよな……『浮遊』を一瞬だけ解除して、落下の遠心力を乗せた【シュートスタイル】で脳無の身体の一部を抉り飛ばしてもすぐに再生してなかったことになる!

 

「やるしかない……!」

 

折れていない右腕に『OFA』を溜める……。

 

「『ワン・フォー・オール』…100%……」

 

 

——◆——

 

 

同時刻。

地上、荒れ果てたパーク場。

 

「動いて…動いて!!」

 

瓦礫から抜け出したり、身体をゆっくりと身体を起こしていた。

だが未だ恐怖が抜けず、その後に身体が言うことを聞かずに動けないでいるプリキュアたちがおり、その数人は必死に体を動かそうとしていた。

 

「なんで動かないの! 動いてよ!!」

 

「デクが、デクが必死に戦ってるのに!!」

 

上を見上げれば、雷雲による雨が降り注ぎ、雲の中や外に雷が頻繁に起こっている。

そんな雷雲の中から打撃などと言った攻撃音が地上にまで微かに聞こえていた。

 

「はぁ…ふぅ…はぁ…ふぅ…!」

 

そんな中クラウディは、必死に息を整え、雨がたまに目に入りながらもしっかりと雷雲を見ていた。

 

「(動け動かせ…身体が動かないから動かせないんだ……一度動かせばその後はもう行ける! 動け! 動けェ!!)」

 

クラウディは背に生えている翼を動かし、一瞬宙に浮き、足もつま先で地面から離れた。

クラウディはその瞬間を見逃さず、雲を出し、その雲を踏んで大きく飛び上がった。

 

「「「クラウディ!?」」」

 

クラウディ以外のプリキュアたちが驚く中、クラウディは近付けば近づくほどに打撃音。

クラウディは激しい雨に打たれながらも、無理やり動かし、動かすことができた身体で、プリキュアの力でデクとハイエンド(ボトム)が戦っている雷雲の中へ入っていった。

その約1分弱後、更にもう1人、誰かが同じように雷雲の中に入っていった。

 

 

——◆——

 

 

「ア”ぁ”ぁ”あ”ア”あ”ぁ”ア”ア”あ”ァ”ア”ぁ”ア”ッ!!!!」

 

「うぅッ!!!」

 

脳無の攻撃をギリギリで避け続けて接近し続ける。

だけど相手も自立型だ。

きっと自身の最もやられてはいけない弱点部分は知っているはず。

 

「がァァあ”ぁ”ア”ア”あ”ァ”ぁ”ア”ア”ッ!!!!」

 

脳無は両腕を翼のように変容させて、背中の空気の噴射で僕から距離を取ろうとし始めた。

100%を放つことがわかったのか?でも!!

 

「『黒鞭』!!」

 

折れていても『黒鞭』で内から外まで覆いつくして補強している左腕を無理やり振るう。

それによって腕は痛みの悲鳴を上げるも関係ない。『黒鞭』は脳無の身体をしっかりと捕縛した。

 

「にが、さないッ……!!!」

 

「……ヒヒィ!!」

 

するとなぜか脳無は距離を取り始めたはずなのに、またこっちに距離を詰めてきた。

でも、そっちから来るなら、こっちはこのままァ……!!

 

「『ワン・フォー・オール』100%!!!」

 

「ゔぅ”ぅヴヴぅ”ヴうゔゔぅ”!!!」

 

脳無はそのフードから顔を出し、脳みそもはっきりと見えた。

脳無は口を大きく開いて食らいつこうとしてくる。対する僕は右腕、その拳を構えて突き出した。

 

 

デトロイト スマッシュッ!!!!

 

 

——ドォォォオオオンッ!!!

 

 

「ゔぅ”ッ!!?」

 

勢いよく閉じて食らおうとした脳無の口を避けて、そのまま【100%デトロイトスマッシュ】を脳無の頭部に放ち、命中させることができた。

100%の力は凄まじく、周辺にある雷雲は全て100%の衝撃の風圧で全て吹き晴れていった。

 

「ぐっ!!」

 

その衝撃で戦闘服(コスチューム)のグローブは塵1つなく壊れてしまい、内出血で変色し腫れあがった、歪な傷跡がある右腕が露になっていた。折れてはない!!

 

『あと、どうだろう…2度3度、同じような怪我が続いたら、腕の使えない生活になると思っておいて』

 

まだあと1~2発100%を撃てるはずだ!!

 

「……ザ、残、念…!」

 

「く…っ…」

 

でも当たり所が悪かったのか、脳無は健在だった。

頭部を潰すと言っても、一部じゃなくて、完全じゃなきゃダメなのか……!!!

 

「もモ、モ、もラ…う、ゾ……——

 

「——はっ」

 

——『レインボージュエル』に匹敵スる……お前の"個性(ちから)"ァァアアッ!!!!」

 

脳無は、口をさっきよりも大きく開き、僕を丸々一口で捕食しようとしていた。

しかも、僕は聞き逃さなかった。

脳無の声が…ボトムの声に変わっていた…。

 

「ボトムの、人格…!?」

 

回避ができない。間に合わない。

このまま食われるのか…僕はおもむろに瞼を閉じた。

 

 

——ドンッ!

 

 

「……?」

 

けど、いくら待っても身体に噛みつかれる痛みが来ない。それなのに、何かが当たったような音は聞こえた。そっと瞼を開けば……——

 

「ぐっ…! うぅ…!!」

 

「クラウディ!?」

 

クラウディが僕の前で、脳無の上と下から迫る口を両手足で抑えていた。

なんで、こんな上空に……!?

 

「じゃ、邪魔するなァ!!」

 

「ッ! ぐぅ!! (更に強く…!?)」

 

だけど、純粋な力は脳無のほうが上だから、徐々に口が、歪な歯が迫って来て来ている。

僕はすぐに折れている左腕を振るって『黒鞭』を操作し、クラウディの身体に巻き付かせてから、すぐに前に出て右腕に100%を溜めた。

 

ニューハンプシャー スマッシュ!!!」

 

右腕で【ニューハンプシャースマッシュ】を100%で放ち、その拳圧を推進力にそのまま脳無を吹き飛ばすと同時に、僕と『黒鞭』で掴んでいたクラウディは互いに後方に吹き飛んだ。

 

「~ッ!」

 

二度目の100%。

流石に右腕からも悲鳴が上がり始めている。

【ニューハンプシャースマッシュ】の推進力はクラウディが雲を出して踏みとどまり、踏ん張ったおかげで何とか止まることができた。

 

「くっはぁ! ハァ…ハァ…! (まだ、身体の震えが止まらない…! ランボーグやフュージョン、さっきまでの巨大なボトムとは全く違いすぎる…! アイツは本当に何なんだ!?)」

 

隣にいるクラウディは息が僕とは違う意味で荒くなっていた。

てことはやっぱりクラウディの方はまだ脳無を知らないんだ。

 

「ふぅ…ふぅ…デク、大丈——…ッ!?」

 

クラウディが僕を見た途端言葉が詰まったように最後まで喋ることはなかった。

それは僕自身も分かっている。

今の僕の身体の状況は、戦闘服(コスチューム)が両腕とも無くなって、左腕は『黒鞭』で内側の骨に腱、筋肉を直接補強。そして外側も別で張り巡らせて無理やり補強していて、右腕は100%を二発も放った結果、内出血で変色し腫れあがっており、どっちも肌をさらけ出している。

頭部にも血が垂れていて、右目は半開き。

更に腕以外の上半身の戦闘服(コスチューム)もボロついていて、足のアイアンソールも一部がボロボロになっている。

 

「そ、その怪我……」

 

「僕は、大丈夫…それよりも、脳無を…!!」

 

「ぢがらぁぁあ”あ”あ”ッ!!!」

 

「「ッ!!」」

 

吹き飛ばした脳無が、両腕を翼に変えて、広げると同時に背中の空気の噴射で一気に僕たちのほうへ飛んできた。

するとクラウディは僕の後ろに回ると抱き着いて来て、雲を出し、踏んでその弾力を利用し、初手の移動をすぐに出し、ギリギリで僕たちは回避した。

その後クラウディは翼を広げて、その自由飛行能力で僕を抱えたまま必死に距離を取り、脳無はそんな僕たちを追いかけていた。

 

「くっ!! (向こうの方が早い! このままじゃ追いつかれる…!! それに、こんな大嵐の中だと風や雨で動きが……)」

 

すると雷雲の中でもあるからか、雷雲の中で発生している雷が降り注ぎ、それも避けながら飛んで行った。僕を抱えているから、きっと充分な速度を出せないんだ……狙いは僕だ。僕が離れれば、クラウディは大丈夫なはずだ。

 

「ッ! 前から何か来てる?」

 

「えっ?」

 

けど前を見れば、雷雲の中でもわかるほどに、雷とは違う小さな光が見えた。

その小さな光は近付けばどんどん大きくなって言っているのが分かり、それが細く、剣のような形に見えた。そしてそれは雷雲から出てくると、正体がわかった。

 

「オール・マイ・オーン!?」

 

雷雲の中、ローブが暴れるように舞いながらも、腰に掛けてる剣を抜いてこっちに来ているAMOがいて、アイツが持っている剣は、刀身部分が青白く光っていた。

そして僕たちとAMOはそのまますれ違い、AMOは脳無へと向かって行った。

 

「オール・マイ・オーンさん!」

 

「そのまま離れてろ!」

 

クラウディが思わず止まって、心配するように声を上げるも、AMOは気にせず脳無との距離を詰めていき、剣を構えた。

 

「【 ■■■■■■■■■ 】」

 

小声だったのか、口は動いているが、何を言っているのかわからない。

だけど、何かを呟いたと同時に剣を構えた。

 

「オ”お”ォ”ぉ”お”お”ォ”ォ”オ”お”オ”ッ!!!」

 

そして脳無がAMOに攻撃を仕掛けた。

だけどそれよりも速く、AMOは持っていた剣を振ったのか斬撃がいくつも出て、それによって、一瞬で脳無の四肢が完全に両断された。

 

「ヴぁッ!?」

 

脳無は驚いたような声を出す。

AMOは剣を鞘に納めるとすぐに脳無の上に移動し、背中から、先が歪な口になっている触手を4本も生やし、そのうちの1本が脳無の身体に巻き付き、口で噛みついた。

そして残り3本は、後方に向き、口を開いた瞬間、リングが出てきてチャージし始めた。

 

「『輪っか(リング)』+『ニトロ』+『獄炎』+『空気押し出し』+『放出』+『倍加』!!!」

 

大きな爆破と共に空気がその触手から放たれ、AMOは脳無をそのまま押して、下に向かっていた。

 

「みんなの元へ!?」

 

「すぐに追いかけて…脳無は、簡単には倒せない……!!」

 

「ッ! う、うん!!」

 

クラウディに頼み、僕たちも急いでその後を追った。

 

 

——◆——

 

 

"複数個性"を使用したAMOは、ハイエンド(ボトム)をそのまま押し切り、パークの地上へ激突した。

 

「貴様ァ!!!」

 

「こんの、バケモンがァ!!」

 

土煙が立ち昇るも、ハイエンド(ボトム)が腕を振るえば煙はすぐに吹き晴れていき、AMOは『触手』+『大喰い』で生み出し、先が歪な口になっているその『触手』を使い、ハイエンド(ボトム)へ攻撃した。

ハイエンド(ボトム)もまた、変容する腕で攻撃し始めた。

 

「うぉぉおお!!!」

 

歪な口をした触手はハイエンド(ボトム)の身体を食らいちぎるも、その部分は『超再生』にてすぐに再生していった。

 

「(隙を作れ! 頭部に触れられる隙を!! ドクターの言う通り、今のコイツの力の半分が"個性"によるものなら……奪えるはずだ!!)」

 

AMOは剣を鞘から再び抜き、その刀身を青白く光輝かさせながら剣を振るった。

同時に『触手』+『大喰い』に更に『剣化』+『軟体』を乗せ、より『触手』を強化した。

 

「じゃ、邪魔…する、ナァ!!!」

 

「(かかった!)」

 

ハイエンド(ボトム)が片腕を大きく肥大化させ、大振りで攻撃するが、それはAMOが誘導させた攻撃であり、狙いだった。

AMOはそれを避け、3つの"個性"を混ぜた4本の『触手』でハイエンド(ボトム)を無理やり抑えつけながら、自身の歪な左腕、その掌でハイエンド(ボトム)の頭部を掴んだ。

 

「"個性"発動…『All my own(オール・マイ・オーン)』!!!」

 

AMOは自身と同じ名の"個性"を発動させた。

それに共鳴するかのように、歪な黒い左腕の、赤い亀裂から赤い光が漏れ出した。

 

「テメェのそのチートな回復系……貰うぞォ!!」

 

そして吸引するかのような音が鳴り響きながら、ハイエンド(ボトム)の頭部から赤い光の波が出始め、AMOの腕に入っていく。

だがその赤い光はどす黒いものに変わり、次の瞬間——

 

「——ッ!!!?」

 

——AMOの腕はその亀裂から血が溢れ出した。

AMOは咄嗟に手を放し、『触手』でハイエンド(ボトム)を押し飛ばして距離を取った。

同時にその左腕をAMOは抑え、痛みに苦しんだ。

 

「なん…だ…!? "個性"が奪えない…いや、そもそもアイツのは、"個性(・・)"じゃないのか(・・・・・・)!?」

 

ハイエンド(ボトム)の持つ力は確かに"個性"によるものだ。

だがAMOが奪えない理由は、他のハイエンドとは異なる部分があるのだ。

 

ボトムと融合したハイエンド。

別名『フード(殻木命名)』は、デクのほうの超常世界にて、九州を襲撃し、その力で蹂躙していった。

だが、そんなフードはエンデヴァーによって破られた。つまり、フードは本来破れており、その植え付けられた"個性"たちも因子が燃えカスのようになっており、機能を失っていた。

ではなぜ今その"個性"らは機能しているのか?

その理由は、ボトム自身の闇の力が、欠けた因子と融合し、"個性"とは異なるものとして機能しているのだ。答えとしては、焼け焦げになって機能を失った因子に、ボトムの力がそれを補うように混ざり、因子を覚醒しているため、3分の1が"個性因子"であり、残りの3分の2はボトムの闇の力なのだ。

だからAMOの『"個性"を奪う』という"個性(ちから)"でも、奪えなかったのだ。

 

「お、オ前…ハ、力を奪えるのか…?」

 

「(混じったような2つの声…ボトムと、あのバケモンの元の人格か? それに、あの一瞬で俺の"個性"も分かりやがったし…)」

 

ハイエンド(ボトム)は再び動き出そうとしたが、そんなハイエンド(ボトム)に全方面からあらゆる光が降り注いだ。

 

「ヴぅ…?」

 

ハイエンド(ボトム)は多少の痛みを感じながらも、周辺を見渡せば、無事に動くことができたプリキュアたちがいた。

 

「よ、弱イ…雑魚……」

 

「【 プリキュア! サファイア・アロー 】!」

 

「【 プリキュア! ファイヤー・ストライク 】!」

 

アクアとルージュが技を放ち、ハイエンド(ボトム)の元へ向かって行くも、ハイエンド(ボトム)はそれを片腕で受け止めると、そのまま押し返すように振るいかき消した。

そして足を踏み込み、背面のスラスターから空気を噴射し、一瞬でアクアとルージュとの距離を詰めた。

 

「はや——ガッ!?」

 

「ルージュ! うぁ!!」

 

ハイエンド(ボトム)はそのまま2人を殴り飛ばし、2人は離れた位置まで飛んで行き、激突した。

 

「アクア、ルージュ!」

 

「お、お前ハ……」

 

「はっ!?」

 

「どッち、ダ?」

 

ミントの背後にハイエンド(ボトム)が既に回り込んでおり、腕を振り下ろした。

そこにブライトが割り込み、光のシールドで防いだ。だが防いだ瞬間に罅が入っており、ハイエンド(ボトム)が力んだ瞬間シールドは割れ、ハイエンド(ボトム)はそのまま叩きつけた。

 

「「あぁっ!!」」

 

「……つ、つまら、ン…」

 

土煙が昇る中、ハイエンド(ボトム)は顔を上げると、ハイエンド(ボトム)の背後からピンクの光が迫って来ていた。

 

「【 プリキュア! シューティング・スター 】!」

 

ドリームが腕を前でクロスし、ピンクの光を待って突っ込んでいった。

だがハイエンド(ボトム)は振り返り、片腕を変容させ触手のように数本に変えた。

その腕を振るい、【シューティング・スター】で飛んできているドリームを捕まえた。

 

「そんなっ!?」

 

ハイエンド(ボトム)はドリームを地面に叩きつけた。

 

「「ハァー!!」」

 

そこにベリーとパインが攻撃しようと飛びかかるも、ハイエンド(ボトム)はそのまま叩きつけたドリームを引きずるように振るい、ベリーとパインにぶつけてそのまま投げ飛ばした。

 

「弱い…弱いぃぃぃいいい!!!!」

 

ハイエンド(ボトム)が雄たけびを上げた瞬間、光の鎖がハイエンド(ボトム)を拘束した。

ハイエンド(ボトム)が顔を向ければそこにはレモネードが技を出しており、レモネードの左右からブラックとホワイトが駆け出した。

 

「ハァー!」

 

「ヤァー!!」

 

ブラックは拳でハイエンド(ボトム)の頬を殴り、ホワイトは足で腹を蹴った。

 

「…ゔぅ”……!!」

 

「ッ! 効いてない!?」

 

「そんな…! ッ!?」

 

ハイエンド(ボトム)は拘束を引きちぎるとブラックとホワイトを掴み、自身の手をパンッ!とするようにして2人を互いに叩きつけた。

 

「「あぁ!?」」

 

「ブラック! ホワイ——」

 

レモネードの言葉は最後まで続くことなく、ハイエンド(ボトム)はそのままブラックとホワイトをレモネードに投げ飛ばし、3人はそれによって吹き飛ばされた。

 

「みんな…!!」

 

「そんな…さっきまでとはまるで違いすぎる……!!」

 

それを見たブロッサムとマリンは青ざめていた。

それは、スカイとドクターの元に駆け寄り身体を支えていたプリズムも同様だった。

 

「…! ヴぅ?」

 

その時ハイエンド(ボトム)は上を見上げた。

そのハイエンド(ボトム)が見る先は雷雲であり、その雷雲の中から緑色の稲妻と黄緑色の光が現れ、ハイエンド(ボトム)目掛けて振ってくるように飛んできていた。

 

「【 ひるがる…クラウディ——】」

 

30 マンチェスター——】

 

その正体はデクとクラウディだった。

【フルカウル】を纏い、左腕を『黒鞭』で補強の右腕が内出血で変色し腫れている重傷のデクは、まだ万全に使える足の片足を突き出す。

同時にクラウディも黄緑色の光を放ちながら片足を突き出し、互いに背中を合わせていた。

それによって緑の稲妻と黄緑の光が混ざったようになり、そのまま2人はハイエンド(ボトム)に向かって行った。

 

「「スマァァァァッシュゥゥゥ!!!」」

 

ハイエンド(ボトム)は腕を反撃とばかりに変容させて2人の蹴りを殴り返した。

それによって衝撃波が発生し、地上は風圧で抉られて行った。

 

 

——◆——

 

 

「ぐぅ!!」

 

「うぅ!!」

 

クラウディと合わせた足による【スマッシュ】を脳無に放つも、脳無も対抗して殴って来たから、僕たちと脳無の攻撃がぶつかり合っていた。

でも、2人でも力負けして徐々に押され始めていた。

 

「ぢか”らぁぁ”あ”あ”あ”ッ!!!」

 

そしてそのまま僕たちは押し返され、地面に倒れ込んだ。

 

「クッソ…!!」

 

身体を必死に起こし、構える。

周辺を目だけを動かして見渡せば、みんなが倒れていたり、身体の痛む場所を抑えてたりしていた。

 

「ぢがらを”……」

 

「ッ?」

 

脳無が顔を別の方へ向けた。

僕もそれに釣られて視線をある場所に向けたら、そこにはスカイがいた。

 

「ッ!?」

 

そして次の瞬間、脳無はスカイに向けて腕を伸ばした。その腕は何かを放つようなものへと変容し、そこから何かを放とうとしていた。まさか……!?

 

「つよさぉぉ”お”お”お”ッ!!!」

 

 

——ドーンッ!!!

 

 

「——ッ!!!」

 

脳無は、禍々しいエネルギーをスカイ目掛けて拡散するように放った。それと同時に——

 

「——……ぇ?」

 

 

 

 

 

この時の僕は頭の中には何もなく——

 

 

 

 

 

カハッ…!

 

 

 

 

 

——身体が勝手に動いていた。

 

 

 

 




結構大変な絶望の中の戦闘回。
結構手こずりましたが頑張りました。オリジナル回ってある意味手こずるんですよねいや本当に。
皆様思う所もここに持ってかれたよとかもあるという方もいらっしゃるでしょう。
まぁ、あえて言いましょう。私の計画通りですねェ!!!(何様だよってね)。

いやぁ区切ってくれれば感想とかももっとできると思うと思いますが、なんか区切るよりかはぶっ通しでやった方が皆様も楽しく読めるでしょうし、読み応えあっていいと思うんですよ。ですよ!!!

とりあえず、次回で戦いを終えらせる気でいます。
なので、本番(ちゅうへん)終わり(こうへん)へと変わります。


もしよければお気に入り登録と評価、感想の方よろしくお願いします!!!


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