ひろがるスカイ!プリキュア〜救けて勝つヒーロー〜   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!


コラボ相手『そらまめ24』様。
コラボ作品
『ひろがるスカイ!プリキュア〜無個性なヒーロー〜』
https://syosetu.org/novel/335973/

大変オススメする作品であります。
相手様のコラボの時系列は、第46話~第47話に当たります。



誰だって諦めない限り、奇跡も希望も起こるのだ

 

 

 

 

ハイエンド(ボトム)がスカイへ向かって行った放った攻撃を、デクはその攻撃によりも早くスカイの元へ駆け出し、自身を盾にするようにスカイの前に立ち、身代わりとなった。

だがその衝撃によってデクは大量に血を出しながら吹き飛び、【フルカウル】と『黒鞭』も解かれ、そのまま地面に受け身することもなく数回バウンドと回転をし、地面へ倒れた。

その瞬間が、その場にいる全員の目には、スローモーションのように遅く、ハッキリと見えてしまっており、同時にデクのポーチから手帳カバーが出てしまい、離れた位置に落ちていった。

 

「デクくん!!」

 

飛んで行ったところに一番近くにいたプリズムが駆けつけたが、デクは身体から血が漏れ出し続け、地面へゆっくりと広がっていっていた。

 

「出久…さん……?」

 

一方でスカイは動くことができなかった。

何が起きたのかわからず、スカイの視界には、重傷で倒れて地面に血が広がっていっているデクが、焦点が合わずに揺れながら映っていた。

そして、スカイの瞳は光を失い、虚な目になり、脳裏にはあの日見た悪夢が過った。

大切な友達(ヒーロー)が殺され、消えてしまう悪夢を。

 

 

——ドクンッ

 

 

スカイはヨロヨロと立ち上がり、虚な目のまま、不器用なようにデクの元へ歩き出した。

 

 

——ドクンッ

 

 

スカイの耳には全てが曇ったように、詰まったかのようにハッキリと聞こえていない。

デクの肩を掴み、必死に揺らしながら涙ながらに呼びかけるプリズムも、周りの風景も、視界に移るものがすべて灰色になり、揺らされているデクだけが唯一色が灰色になっていなかった。

 

 

——ドクンッ

 

 

スカイはやっと出久の傍まで着くと、腰を抜かすようにしゃがんだ。

 

 

——ドクンッ

 

 

それに気づいたプリズムは涙目ながらにスカイを見て、震えるような声で喋った。

 

「ソ、ソラちゃん……出久くんが、怪我も酷くて…目も覚める様子が……」

 

そんなプリズムの言葉を片耳に、スカイはその手をデクの頬に触れてた。

 

「ぁ…あぁ…!!」

 

スカイの表情は絶望に染まり、涙も溢れ出した。

スカイが触れたその手から伝わったのは、雨に濡れてなのか、冷たくなっていっている肌の体温だった。

 

「そん、な…噓、ですよ…嫌、だ…いや……嫌だッ!!! 目を覚ましてください出久さん!! 出久さん!!!」

 

スカイはデクの身体を、先ほどのプリズム同様揺らし始めた。

だがデクは反応せず、傷口に口や鼻、身体の穴という穴の部分から血を流していた。

それでもスカイは繰り返し続け、荒れたパーク内では嵐による雨と雷鳴が響き渡っていた。

 

 

「出久さぁぁああんッ!!!!」

 

 

だがそれらを遮るように、スカイの悲鳴にも近い叫び声が、パーク全体に響き渡った。

 

 

——◆——

 

 

スカイの悲鳴にも近い叫び声は、他の者たちにも届いていた。

 

「……ッ」

 

「そん、な……」

 

「デクさんが…」

 

数人はスカイたちと同じように、座り込んでいたり、信じられないような表情をしていた。

 

「ヴッヴッヴッ……ヴあ”ぁ”ア”あ”ァ”ァ”ッア”ッあ”ッあ”ッぁ”ッア”ッあ”ッッ!!!!!」

 

ハイエンド(ボトム)は、デクを倒したことに喜びを感じているのか、高笑いをした。

そしてすぐにデクたちをしっかりと見た。

 

「………『レインボージュエル』に匹敵する力を持つ小僧…貴様は、これから一生、我の力の一端として生き続けてもらうぞ」

 

「「「ッ!!?」」」

 

ハイエンド…否、ハイエンドと融合し、完全に主人格となったボトムは、その足を動かし、倒れているデクとその傍にいるスカイとプリズムたちの元へ向かおうとした。

 

「ッ!」

 

 

——ドンッ!!!

 

 

だが、ボトムはすぐに足を止め、片腕を変容させて盾のようにした。

同時にその腕に黄緑の光が蹴りを入れてきた。

 

「お前は……」

 

「……ってない」

 

「ア?」

 

「まだ…——……終わってない!!!

 

「「「クラウディ!?」」」

 

その正体はクラウディ(もう一人の出久)だった。

そしてあろうことか、彼はボトムを少しだが蹴り飛ばし、ボトムは数歩押されたが耐えた。

 

「なに…?」

 

クラウディは一度地面に着地してから身構える。

 

「……デクから、お前のその依り代にしている化け物の弱点と力の正体は聞いた。それと同時に、僕が基本足で戦っているのにも気づいていて、蹴るときばどこにどう力を入れるのかも言葉でだけど、教わった……!!」

 

「瓜二つの小僧が、何ができる?」

 

「お前を倒す……そして、デクに繋ぐ!!!

 

クラウディは駆け出し、ボトムに蹴りを入れ、ボトムは返り討ちとばかりに反撃し、互いの攻撃がぶつかり合った。

 

「ッ! 力が増している…!?」

 

だが、クラウディのほうが優勢だった。

 

「(蹴る際に、腰としなりを意識して、ただ足を振るうんじゃなくて、腰を捻るように遠心力をつけて、しなるように!!!)」

 

ボトムは再び後方へ通されて行き、クラウディは見逃さず攻めていった。

しかしクラウディは気づいていない。

デクに聞いたとおりのやり方によって確かに蹴りの力は増していた。だが、それだけではない。

 

「【 スマッシュ 】! 【 スマッシュ 】!! 【 スマッシュ 】!!!」

 

「ぐぅ!! おのれェ!!!」

 

クラウディは連続で蹴りを入れ続け、ボトムはそれに押され続けていた。その理由は、怒りだ。

デクがやられたこと、それによって悲しむソラとプリズム。別世界とはいえ、自身の知る世界にも同一人物はいる。

もしもあれが、己と共に戦う2人だったら、否、それでなくても、彼は怒りを抱かずにはいられなかった。その怒りによって力が無意識に上がっており、一時的に、覚醒や進化などはしない物の、力そのものの出力が上がっていたのだ。

ボトムはすぐに距離を取ろうと腕を振ろうとするも、その腕はみじん切りかのように細かく切断された。

 

「ぬぅ!?」

 

「まだ…俺も動ける……それに勝ち誇ってんじゃねぇよ!」

 

「なに…?」

 

「こっちにはなぁ……優秀なドクターがいるんだよォ!!!」

 

AMOは『触手』+『剣化』を使用と同時に剣を抜き、駆け出した。

 

 

——◆——

 

 

ボトムと戦うクラウディとAMOの戦闘音が響く中、ドクターはスカイたちへ歩み寄った。

 

「ッ! 思能ちゃん…?」

 

「…ドクターは…科学者だけど、同時に医者としても使われる言葉……」

 

ドクターが、デクの傍で座り込むと、装備していたフェイトの、破損してしまっても残っている部分の装甲が『ナノテクノロジー』によって形を変えていった。それらはゆっくりとデクの元へ伸びていき、形を不完全だが完成させた。

 

「まだ、諦めない…フェイト…」

 

『生命反応確認。脈拍低下、呼吸モ浅クナッテオリマス』

 

フェイトの示した反応にスカイとプリズムは、驚愕の表情になり、スカイは瞳から薄っすらと光を取りもどし始めた。

 

「なら行ける…緊急医療システム起動! 破損部位などは無視して、無理にでもやる!!!」

 

『了解。全システムヲ医療システムニ変換。コレヨリ治療ニカカリマス。準備ハイイデスネ? ドクター(マスター)

 

「もちろん……ッ!!」

 

ドクターは覚悟を決めた表情でAMOに顔を向けた。

 

「抗って! ボスゥ!!!」

 

「ッ!」

 

「死んでも生きて抗えッ!! ボスが認めたヒーローは、私が必ず呼び起こす!! 死んだならあの世から無理やり引きずり出して呼び起こすッ!!! だから……——」

 

「最後まで抗え! オール・マイ・オーンッ!!」

 

ドクターのこれまでにない叫び。

プリズムも初めて見るドクターの叫びに驚いていた。そしてそれを聞いたAMOはニヤつき、ボトムに攻撃を続けた。

 

「アイツのあの状態を、あの化け物を、デクは知っていた……だから誰よりも早く動けて…1人であそこまで対抗で来ていた……なら、アイツを止められる希望は、デクだけだ…!!」

 

ドクターはフェイトと共にデクの治療に取り掛かり、それを見ていたプリズムは立ち上がり、スカイに手を伸ばした。

 

「ましろ、さん…?」

 

「立って……みんな、諦めてないよ。ソラちゃん」

 

「…ぁ」

 

スカイは周りを見れば、諦めず戦い続けているAMOやクラウディ、加勢しようとする他プリキュアたち。そしてデクを呼び起こすために治療しているドクター。まだ誰も諦めていないのだ。

 

「……ッ」

 

スカイはプリズムの手を取ると、立ち上がり、空いている手で涙を拭いた。

 

「……思能さん、出久さんをお願いします」

 

「……いいから、口より行動で示して」

 

スカイとプリズムは頷き、ボトムへと向かった。

 

 

——◆——

 

 

「ヴぁぁああ!!!」

 

「ぐっ…! ふぅ、聞いていたかプリキュアどもぉ!!!」

 

「「「ッ!」」」

 

AMOは『触手』でボトムの攻撃を受けながらも耐え、そして叫んだ。

 

「ドクターがデクを必死に呼び起こそうとしている! それを信じて抗え! 紡げ!! お前らは希望を捨てないんだろ!? あきらめの悪い奴らなんだろ!? なら抗え! 足搔けェ!!」

 

AMOは歪な左腕を、掌を開いてボトムを掴んだ。

 

「『分解』!」

 

「ッ!」

 

『分解』を使用したことによって、ボトムの身体の一部が『分解』される。

だがその部分もすぐに『超再生』で回復していった。

 

「無駄だと……——

 

「無駄なことする奴が、いると思うか…!」

 

AMOはそういうと『反重力』で浮き出して距離を取った。そしてすれ違うようにスカイとプリズムが駆け出していた。

 

「「ハァー!!」」

 

「っ!?」

 

2人の拳がボトムの腹部に命中する。

しかしその場から吹き飛ぶことはなかった。

 

「小僧ならまだしも…貴様らプリキュアの攻撃は効かないと……ッ!?」

 

「そんなの、最後までやらないとわかりません!!」

 

だが、次第に2人の手にはそれぞれのカラーの光が圧縮されるように凝縮し、そしてボトムを吹き飛ばした。

 

「諦めない限り、希望がなくなることはないからッ!!」

 

「おのれェ…——……ッ!?」

 

ボトムは気づいた。

周囲にいるプリキュアたちも、絶望していたはずなのに立ち上がっており、諦めていないことを。

 

「——さんなら」

 

「ッ! ヴぅ”…?」

 

「……出久さんなら、デクなら…こんな時でも、諦めることはありませんッ!!!」

 

「…ッ! おのれ……プリキュアァァアアッ!!!!」

 

ボトムが咆哮をすれば、周りにいたプリキュアたちは全員が一斉にボトムへと向かいだした。

 

 

——◆——

 

 

同時刻、上空。

激しい嵐と雨の中でも、パークでは激しい戦闘が繰り広げられているのがわかるほどの状態。

その上空で雷を避けながら飛ぶシロップとその背には妖精たちとあげはとエルがいた。

だが、あげはに抱かれていたエルは暴れていた。

 

「えるぅ~!!」

 

「ちょ、どうしたのエルちゃん!? そんなに暴れたら落ちちゃうよ!?」

 

しかしただ暴れているのではない。

まるで何かを見つけ、それを欲しがるような動きだった。だがここは上空であり、何かを見つけるようなことはできない。ましてや赤ん坊にはだ。

ただでさえ激しい嵐と雨の中で、プリキュアたちですらハッキリと見えないようなものなのだ。

その中でも、エルは必死に両手を伸ばしていた。

 

「いずくんがやられちゃったことで頭がいっぱいなのに……本当にどうしちゃったの…?」

 

「えるぅ!!」

 

「……ッ! あそこ! なんか光ってるナツ!」

 

「「「えっ?」」」

 

するとナツが何かに気づき、腕を伸ばし指を指した。それに釣られて全員がそこを見れば、上空でありながらも、微妙にだが、戦っているプリキュアたちと少し離れた位置で何かが光っているのが見えていた。

 

「アレは……」

 

「えるぅ!!」

 

「うわっ! ちょ、エルちゃん落ち着いて…!!」

 

「もしかして…エルちゃんはあの光に気づいていたんです?」

 

コフレがエルにそう問いかければ、エルはコフレを見て強く頷いた。

 

「『ミラクルライト』じゃないみたいやが……なんやあれは?」

 

「分からないけど、エルはあの光を求めてるココ!」

 

「……エルちゃん」

 

あげはは心配そうにエルを見れば、エルは涙目ながらにあげはを見ては、見える光を指した。

それに釣られてあげはは再び光を見た。

白と紫が混ざっているような光(・・・・・・・・・・・・・・)……何を意味し指しているのかは分からないが、不思議とそれは、どこか既視感があり、手放してはならないものだと悟らせた。そしてあげはは覚悟を決めた表情をした。

 

「シロップだっけ? お願い、私たちをパークに見えるあの光に連れてってッ!!」

 

「ッ!? な、なに言ってるロプ!? 危険ロプ!!」

 

あげはのとんでもない頼みにシロップは驚愕し、危険だと言うも、あげはは真っすぐな目で見ていた。

 

「あの光の傍かその近くで降ろしてくれればいいからッ! お願いッ!!」

 

「えるぅ!!」

 

「~~ッ……あぁもうわかったロプ!」

 

シロップは背面に乗っている全員が落ちないよう蓋をしてから、急降下をし始めた。

 

 

——◆——

 

 

激しい戦闘音が響く中、プリキュアたちは必死に足搔き、ボトムと交戦を繰り広げていた。

 

「ぐぅ!! (なんだ…急にこいつらの攻撃が……!?)」

 

ボトムは内心混乱していた。

先ほどまで攻撃が一切通じることもなく、腕を振るえば簡単に吹き飛ぶプリキュアたちが、今ではしぶとく、さらに攻撃までも自身に通じてきていることに。

 

「ヴぅ”!!」

 

「「「ハァーッ!!!」」」

 

ボトムが腕を変容し、全体的に攻撃するも、それをプリキュアたちはそれぞれの攻撃で防いだ。

 

「ルミナス! お願い!!」

 

ブラックが叫べばルミナスが飛び上がり、両手を突き出した。

 

「【 ルミナス・ハーティエル・アンクション 】!」

 

そして【ハーティエル・アンクション】をボトム向けて放った。

虹の渦はそのままボトムに命中し、動きが遅延状態になる。そこを狙いピーチが『キュアスティック・ピーチロッド』を、ブロッサムが『ブロッサムタクト』を構えた。

 

「【 プリキュア・ラブサンシャイン・フレッシュ 】!!」

 

「【 プリキュア・ピンクフォルテウェイブ 】!!」

 

2人はそれぞれピンクのエネルギー弾をボトム目掛けて放ち、遅延しているボトムはそれを破いたものの、2つの攻撃を受け、そのまま押され、地面を抉りながらも耐えていた。

 

「どうなっている……いったい何が…!?」

 

エネルギー弾をかき消すも、今だ頭は混乱の中にある。それを知らないプリキュアたちは休まず攻撃を続けていた。

 

「ッ! みんな、アレ!!」

 

「「「えっ!?」」」

 

そんな中、ミルキィローズがある方向の上空に指を指し、他の全員がその方向を見た。

その先には、危険だとわかっておりながら、なぜか高度を下げて急速降下しているシロップがいた。

 

「何をやって……」

 

「待って! シロップたちが向かってる方向、何か光ってるッ!!」

 

そしてマリンがシロップたちが向かう先に何かが光っているのに気づいた。

その光は、先ほど上空であげはたちが見つけ、エルが必死に求めたものと同じものだった。

 

「ッ!!」

 

同時にボトム自身も気づいた。

『レインボージュエル』に匹敵する力を宿しているが、倒すことができた少年が治療と同時に起こされそうとしているのを。

プリキュアたち同様、謎の光があり、その光に上空から降りてきている妖精たちが向かっていることを。ボトムはプリキュアたちの攻撃を避けながら背面のジェットを噴射し、その速度で治療しているドクターとされているデクの元へ向かって行った。

 

「(さっきより速い!? マズい! 『空間停止』でもあの速度は止められる可能性は低い!)」

 

AMOは焦りながら追いかけようとするが、それよりも速く、AMOの横を通り過ぎてボトムを追う者がいた。

 

 

 

そして、現在も進行形でデクを必死に治癒し、目覚めさせようとしているドクターとフェイト。

だが衝撃音が聞こえ、ドクターは反射的に音の方を見れば、ボトムが自分たちの方へ全速力で来ているのに気づいた。

 

「やめろォォオオオッ!!!!」

 

「~ッ! (システムはすべて医療システムに回してる……回避も、防御も不可……!!)」

 

ボトムはそのままの勢いで殴り飛ばそうと片腕を構えるも、そんなボトムとドクターたちの間に1人の黄緑の光が割り込んだ。

 

「ッ! もう1人の、緑谷出久…!?」

 

それはクラウディだった。

キュアレインボーとして限定的に獲得した飛行能力と、自身の雲を足場にして跳ぶ飛行能力をうまく掛け合わせ、それぞれの最大の速度を重ねることでボトムの速度に追い付いたのだ。

 

「やらせるかァ!!!」

 

「どけぇ!!!」

 

ボトムの腕とクラウディの足がぶつかり合い、その衝撃による風圧が発生する。

その風圧の中、ドクターは飛ばされないようフェイトを使用して、自身とデクを地面に固定していた。

 

「ぐぅ!! (押し負ける…!!)」

 

だがクラウディのほうが少しずつ押され始め、ボトムはそのまま押し切り、吹き飛ばそうとしていた。

 

「そのまま耐えてろッ!!!」

 

「ッ!?」

 

そこにAMOが駆けつけ、両手を構えた。

 

「『空気押し出し』+『電波』+『放出』+『弾性』+『倍加』!!」

 

そして5つの"個性"を変容させ、ボトムに直接放出した。それによってボトムは吹き飛ばされ、距離を離された。

 

「訳が分からないが、少しずつアイツに攻撃が効いてきている! 休まず畳みかけろッ!!」

 

そのAMOの言葉で気づいたプリキュアたちは、駆け出した。

 

 

——◆——

 

 

一方で、謎の光に向かっていたあげはたちは無事パーク内の地上に着くことができていた。

 

「これって…手帳のカバー(・・・・・・)?」

 

シロップから降りたあげはとエルは急ぎ、その光を拾い上げる。

その光の正体は、ソラがかつて使用しており、今はデクが預かっている手帳の、今はカバーだけでしかない『私のヒーロー手帳』だったのだ。

 

「えるぅ!」

 

その手帳にエルは手を伸ばす。

それに気づいたあげはは渡すと、エルはしっかりと握り次にはデクのほうに指を指した。

 

「……もしかして、その手帳をデクに持っていけばいいの?」

 

「えるぅ!」

 

あげはの問いにエルは大きく頷く。

そしてあげはは一度妖精たちを見てから、再びデクたちのほう見て——

 

 

——ダッ!

 

 

——走り出した。

 

「みんなはもう一度飛んで安全な場所にいて! 行こうエルちゃん!」

 

「えるぅ!!」

 

 

——◆——

 

 

激しい戦闘音と光や斬撃が飛び交う中、ボトムは異様な気配に気づいた。

そしてその気配がするほうを見れば、あげはと抱えられているエルがいた。

 

「ヴぅ!!」

 

ボトムはそれを捉えた瞬間、2人に攻撃しようとするがそこをAMOが『触手』で捕縛してから、ブラックとホワイトが攻撃し防いだ。

 

「往生際が悪いぞ……プリキュアァァアアッ!!!」

 

ボトムはついに、ハイエンドに備わっていた"個性"だけでなく、自身の闇の力も使い、振り払った。

そしてボトムは背面から空気と混じって闇のエネルギーを噴射し、両腕の付け根からさらに2本腕が生えて4本になり、生えた2本は翼に変容した。

しかし、その変容した翼も闇の力によってまるでドラゴン系のようなものへと変わっていた。

ボトムは翼をはばたかせると同時に空気と闇を噴射して、再びドクターとデク……ではなく——

 

「ッ! あげはちゃん!」

 

「エルちゃん!!」

 

——あげはとエルの元へ向かっていた。

非戦闘である2人がなぜ地上にいるのかわからないが、スカイとプリズムは焦りながらも急ぎ駆け出す。2人に続き、他の全員も駆け出すが闇の力までも使用し始めたボトムの速度に、一度は追いついたデクでさえも、追いつけない速度だった。

 

そしてあげはとエルは、デクの元まで目前でありながら、ボトムが2人の目の前についてしまった。

 

「ッ!」

 

「何をする気かは知らんが……好きにはさせないぞォ!!!」

 

「ダメぇぇえええッ!!!」

 

プリズムが悲鳴のように叫ぶも、ボトムは腕を振り下ろそうと掲げる。

あげははエルを守るようにするも、エルは光り続けている手帳持ちながらも、ボトムの奥にいる、今も治療されているデクを見ていた。

すると、エルの身体は次第に光が溢れ出し始めた。それは、ソラやましろが初めてプリキュアになったのと同じようなものだった。

そして次の瞬間——

 

 

「——ひぃぃろぉぉおお!!!」

 

 

——「ひーろー」…そう、「ヒーロー」と叫んだ。

瞬間、エルから溢れ出していた光が、光っている手帳に吸収され、そしてその手帳は、エルの手元から離れると自らデクの元へ飛んで行った。

 

 

——◆——

 

 

「何が、何が足りないの!?」

 

同時に、酷すぎるほどの重傷部分を最優先にしながら治療に専念していたドクターは、一向に目を覚まさないデクを見て焦っていた。

完ぺきとは言えない治療だが、それでもある程度再起できるぐらいまでは終えている。それでもだ。

それでもデクは目を覚ますことがなかったのだ。

 

『高エネルギー反応検知。接近シテイマスッ!!』

 

「は? まさか……!!」

 

ドクターはボトムがこちらに再び来ているのではないかと思い、治療終えているためすぐに、纏える部分だけフェイトを纏い身構えるが、それは違かった。それは手帳カバーだった。

光を溢れ出している手帳はそのままデクの元へまっすぐ行くと、デクのちょうど胸もと当たりの位置に止まった。

そして次の瞬間手帳は閃光のごとく発光し、デクを包み込んだ。

その時傍にいたドクターはその光に反射的に距離を取ってしまった。

 

「な、なに…あれは……」

 

『不明デスガ、反応ハプリキュアニ近イデス。デスガソノ反応モ、何故カ"個性(・・)"ニ変換サレテイマス(・・・・・・・・・)

 

「ッ!? どういうことなの!?」

 

フェイトの報告にドクターは驚愕していた。

フェイトの報告はわかりやすく言えば、

プリキュアの力が(・・・・・・・・)"個性(・・)"へと変化していってる(・・・・・・・・・・)ということなのだ。

 

 


 

 

燃え上がる炎。

その中にあるコアのような白い球体は黒く戻った(・・・)

そしてその球体から光が6つ出現する。だがそれらとは別の謎の光が1つ飛び出した。

それは、デクが"個性"を再び発現する際に取り込んだエルの力の一端。

その光は形を本来の理を変え、宿主である人物の理になろうとしていた。

同時に、2つの光(・・・・)が外部から入って来たかのように現れ、形を変えようとしている光と混ざり、1つとなった。そしてその光は……——

 

 

——"個性因子"となった。

 

 

『起きて、起きるんだ九代目』

 

『諦めるな坊主! お前を信じて戦っている人たちがいるぞ!』

 

『私たちは君の思いに"個性(ちから)"で応えることしかできない……だけど、頑張ってくれ——』

 

 

——次は君だ、出久君。

 

 


 

 

包み込む光が破裂するように飛び散りながら消える。光の粒が雪のようにゆっくりと落ちながら、僕は立っていた。

身体中の痛みが、ある程度引いている。でも左腕などの折れてる部分は治っていない。応急処置のようなものなのだろう。

溢れ、内出血でひどくなった腕の、その手には『私のヒーロー手帳』のカバーを握っている。

それを改めてギュッと握りながら、僕は呟いた。

 

「"個性"『変身』…発動……」

 

すると、僕の両肩に乗せて首元を隠すようにして、膝の関節部分まで伸びている黄色いマント(・・・・・・)が身に着けられた。

そして首元、マントの対面から見て左側(身に着けている僕から見て右側)には、スカイたちの首元に着けられているのと同じ、黄色の星マークがついた緑色の球体に左右に伸びる緑の羽根が付けられていた。

それを終えれば、僕は『私のヒーロー手帳』をポーチの中にしまった。

元々着ていた戦闘服(コスチューム)はボロボロのままで、治っていないけど、その上に新しい黄色いマントを羽織った状態。そして左腕は再び『黒鞭』で内側の骨に腱、筋肉を直接補強する。

同時に【フルカウル】を10%で発動して纏った。

 

「もう大丈夫…——」

 

みんなが見ている。なら応えろ。

心配させるな。安心させろ。そう……——

 

 

「——僕が来た!」

 

 

——笑顔で!!!

 

 

 

 




「とりあえず、次回で戦いを終えらせる気でいます」と言ったな?あれは嘘だ。

けど、もうどこをどう説明すればいいのかわからないですね……(苦笑)
とりあえずデクの状態だけを、具体的な内容と答えは次回公開ですので、チラ見せ程度に説明します。
まず、デクは目を覚めまして『変身』という謎の"個性"を使用しましたが、元の戦闘服(コスチューム)はボトム(ハイエンド)の戦闘でボロボロのままで、身体の負傷もある程度治療されていますが、骨折などは治っていませんし、右腕の100%の反動での内出血で変色し腫れあがったままですし、肌もさらけ出ております。
綺麗なのは黄色いマントだけです。
これらの理由は次回絶対明かす予定です。
ちなみに『トガヒミコ』の『変身』とは違います。
超常世界では同じ"個性"でも名前が違うところがあるように、名前は同じでも内容の能力が違う"個性"だってあるんですよ。あるんですよ!
それと、皆様、これだけは絶対覚えてください。

"個性"とプリキュアの力は異なり、全く別の能力として存在しています。

はい。ということで終わり(こうへん)は、本当の終わり(えんちょう)になりました。

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